Chapter1 主語と動詞

① S ... V(1)

[イントロダクション]
「英語の基本」p.14~p.15で述べた通り、英文の最大の特徴は、「冒頭(付近)にSV(またはbe Ved)がある」ということです。 よって英文を読む際にまず突き止めなくてはならないのは、その文のSとV[be Ved]が何なのかということです。
SV[be Ved]を突き止めることが容易な文もあれば、修飾語や等位接続詞などが存在することにより突き止めが難しいもの、 あるいは、主語自体が従属節や準動詞句であることによって、突き止めが難しいものもあります。この「突き止めが難しいもの」について学ぶのが、Chapter1なのです。
例文1.1.1に入る前に、まずは「解釈教室」p.1の、上半分を読んで下さい。

【1.1.1】

<はじめに>
英文において、どのようなものが主語になりえるでしょうか。候補は以下のものです。

(1) 名詞
(2) 名詞節(《従位接続詞の一覧表》のAの列にある従位接続詞が形成する節。
※A-0のifが形成する節は、Sにはならない。「COMPLETE」p.92、「英語の基本」p.159の下の図を参照のこと。
(3) 名詞句(《準動詞句の一覧表》のAの列のもの。つまり、toV句、Ving句、そして、wh+toV句)。
※wh+toV句について忘れていたら「COMPLETE」p.168、「英語の基本」p.310~p.312参照。

 さて、この例文1.1.1の前には、20行ぶんほどの解説があります(p.1の下半分と、p.2の上の6行)。まずはここを読んでください。 なお、p.1の下のワクの中にある(b)の文の類例は、「COMPLETE」p.319で扱いました。「動詞修飾語+VS」の倒置です。
★★★(この星印は、「上で指定された部分を読み終わった後に以下を読んで下さい」という意味です)
さてここでは「前置詞の直後の名詞が主語になることはない」ということが述べられています。前置詞の直後は前置詞のOであり、前置詞句、 つまり「前置詞+前置詞のO」はCか修飾語としてはたらきます(「COMPLETE」p.47の表、「英語の基本」p.81の表参照。 但し前置詞句は「意味上の主語」にはなりうるので、この点には注意をしてください。 「意味上の主語」となる前置詞句については「COMPLETE」p.205~p.206、「英語の基本」p.382~p.383で扱いました)。
前置詞のOよりも後ろにある名詞が、文の主語なのです。
主語についてもう1点、以下のことを知って下さい。

******************
主語に対する後ろからの修飾語が存在する場合は、主語と述語が離れてし
まい、読みにくくなる。述語が出てくるまで待たなければならない。
******************

 主語に対する修飾語が後続する場合は、SとVが隣接していないので、そのぶん読みにくくなります。 
以上をおさえたうえで、例文1.1.1に挑みましょう。なお設問について少し補足します。

・<解答・解説>の中で「本文」という言葉が用いられているが、それは、
その部分で読んでいる例文のことを指す。たとえば例文3.2.5を読んでいて「本文の2行目にあるthatは」などという記述があれば、 その「本文」とは、例文3.2.5のことを指す。
・「L」という記号は「行」を意味する。つまり「L1」は「1行目」を意味し、「L3」は「3行目」を意味する。
・「文型は何か」という問いに「第5文型」あるいは「第5文型の受動態」
と答える場合、パターンまで答えること。つまり「第5文型パターン③」「第5文型パターン④の受動態」というように答える。
・「要素は何か」という設問の解答の候補は、「S」「V」「C」「O」
「修飾語」のみならず、準動詞句に対する「意味上の主語」もありえるということを忘れないようにする。 「意味上の主語」については「COMPLETE」p.204~p.208、「英語の基本」p.382~p.385で扱った。
・「要素は何か」という設問で、解答が「修飾語」である場合は、単に「修飾語」と答えるのではなく、 「名詞修飾語」「動詞修飾語」「形容詞修飾語」「副詞修飾語」「句修飾語」「節修飾語」「文修飾語」のいずれかまで答えること (「句修飾語」「節修飾語」「文修飾語」については「COMPLETE」p.304~p.310で扱った。忘れていたら参照のこと)。
・「~は≪準動詞句の一覧表≫のどれか」という設問で、解答が「B―1」
である場合は、単に「B―1」とだけ答えるのではなく、「同格」「関係副詞」「主格」「目的格」のいずれかも答えること。 この4つの区別があいまいである場合は、必ず「COMPLETE」と「英語の基本」の、≪準動詞句の一覧表≫のB―1のところ(つまり形容詞的用法のtoV句のところ)を読むこと。
・≪従位接続詞の一覧表≫の後半のタテの数字表記は、「COMPLETE」では1´、2´、3´、4´であり、「英語の基本」では6、7、8、9だが、
このHPでは前者に合わせる。

 

<設問>
Q1[L1] Mayの要素は何か。
・「要素」と「品詞」の混同に注意すること。「英語の基本」p.81の下の表の、左側が「品詞」で、右側が「要素」。
※have an effect on ~(~に影響を及ぼす)

 

<解答・解説>
Q1 名詞修飾語
・名詞による名詞修飾。「COMPLETE」p.48、「英語の基本」p.83参照。

 

<補足講義>
冒頭にThe freshnessという名詞があるので、これが主語だと予想して読み進めます。このfreshnessは、of a bright May morningという前置詞句によって修飾されています。 さらに、このmorningが、in this pleasant suburbという前置詞句によって修飾されています。 そしてまた、suburbがof Parisによって修飾され、その後に、ようやくhadという述語が登場するのです。ここまでぐっとこらえて待ちます。

 

【1.1.2】

<設問>
Q1[L1] anyone having difficulty in assembling the machineを関係代名詞を用いて書き換えよ (この問題を解くにあたっては、「英語の基本」p.324~p.326を読むこと)。
Q2[L1] mayの意味は何か。
※have difficulty in Ving(Vするのに苦労する)

 

<解答・解説>
Q1 anyone who has difficulty in assembling the machine
・「今この瞬間、組み立てに困難を感じている人」という内容の文ではない。ゆえに進行形にはならない。 「英語の基本」p.326で扱ったものの一例。本文のhaveは状態動詞を考えてよい。

Q2 可能
・「アドバイスを受けられます」ということ。「COMPLETE」p.239の表の
mayのところに「可能」に書き加えておくこと。辞書でmayを引き「可能」の意味を探してみること。

 

<補足講義>
冒頭にAnyoneという名詞があるので、これを主語だと予想して読み進めます。するとすぐに、havingから始まるVing句があるので、 これはAnyoneを修飾するものだと考えます。つまり《準動詞句の一覧表》のB-2のVing句だと考えるのです。
machineの後ろにmay haveという「法助動詞+動詞」があります。これが述語です。

 

【1.1.3】

<設問>
Q1[L1] morningの要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 動詞修飾語
・動詞修飾語としてはたらく名詞。「COMPLETE」p.49、「英語の基本」p.83参照。後者では「名詞の副詞的用法」という言葉を紹介した。
・なお、文修飾語とも考えられる。文頭にある副詞的用法の名詞、文頭にある前置詞句、文頭にある副詞節(「英語の基本」p.236の2つ目のワクの中の上段のもの)は、後ろにある動詞のみを修飾していると考えるよりも、後続する文全体を修飾していると考えたほうが適切である例が極めて多い。ただ、「動詞修飾語」と「文修飾語」の線引きは極めて難しい。
・文修飾語については、「COMPLETE」p.308で既習。

 

<補足講義>
冒頭にある名詞は、主語だと予想するのが普通ですが、この予想が裏切られる場合がいくつかあります。そのうちの一例がこのmorningです。一部の名詞(時間、空間、方法、数量などに関するもの)は、動詞修飾語としてはたらくことがあるのです。いわゆる名詞の副詞的用法です。
本文の冒頭の名詞morningは、時間に関する名詞です。よって、「朝に」という意味で、動詞修飾語としてはたらく可能性も出てくるのです。
読み進めると、morningの後ろに、a great many years agoという句があります。これは「~前に」という意味なので、これも動詞修飾語だと考えられます。その後ろに、five or six young men metというSVが登場するので、ここで冒頭のmorningは、Sではなく、動詞修飾語だということが判明します。
つまりこの文は、全体が「動詞修飾語 動詞修飾語 SV ・・・」という構造なのです。
SVは隣接しているので、SとVの連なりを見抜くのは容易なのですが、そもそも、Sが登場するまでが長く、もどかしい文なのです。
なお伊藤先生は、この、動詞修飾語としてはたらく名詞morningについて、「副詞的目的格」という、やや難しい用語で説明しています。この用語は、今は記憶する必要はありません。  

 

【「参考」の文】

<設問>
Q1[L1] wantの要素は何か。
※want(欠乏) more and more(ますます)

 

<解答・解説>
Q1 O
・feelのOである。OSVの倒置。これも上で述べた「予想が裏切られる場合」の一例。「OSV」については「COMPLETE」p.318で既習。     

 
【1.1.4】  

<はじめに> 
この問題の前に半ページほどの解説がありますが、ここで述べられている主要な内容は以下のことです。

******************
過去分詞形(あるいはing形)は、現在形や過去形のように、述語と決めつけていいわけではない。準動詞句を形成する場合もある。
******************

 たとえば、He is sleeping.という文のsleepingは述語ですが、The boy sleeping on the bench is my brother.という文のsleepingは、the boyに対する述語ではなく、名詞修飾語としてはたらくまとまりを作っています。≪準動詞句の一覧表≫のB―2の用法です。このようにing形の動詞は「述語となっている場合」と「まとまりを作っている場合」があるので、文中でing形の動詞を見たら、いずれなのかを判断しなくてはなりません。
もちろん後者の場合は、≪準動詞句の一覧表≫のどれなのかの判別も必要
になります。
面倒なのが、過去形と過去分詞形が同じ形である動詞です。この場合、
以下のような多くの選択肢の中から、いずれなのかを正しく突き止めなくてはなりません。

(1) 過去形であり、述語としてはたらく。
(2) 過去分詞形であり、受動態や完了形の述語の一部である。
(3) 過去分詞形であり、≪準動詞句の一覧表≫の3の行の用法のいずれかである。

 ちなみに「解釈教室」のp.3のワクの中の(a)は、上の(1)であり、(b)は(3)で、≪準動詞句の一覧表≫のB―3の例です。
では、1.1.4に挑みましょう。

 

<設問>
Q1[L1] the elementとradiumの文法上の関係を答えよ。
Q2[L1] discovered句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
※the Curies(キュリー夫妻)

 

<解答・解説>
Q1 同格(関係)
・「COMPLETE」p.334で扱ったthe monthly magazine Koro Koro Comicと同じ関係。

Q2 B-3
・カンマが置かれて「挿入」の形になっている。名詞修飾語としてはたらくVed句が「挿入」の形になっている例は、「COMPLETE」p.322で既習。
・なお、冒頭からCuriesまでの直訳は「キュリー夫妻によって発見されたラジウムという元素」だが、伊藤先生は受動を能動にして訳している。

 

【1.1.5】

<設問>
Q1[L1] todayはどこを修飾するか。
Q2[L2] encountered句内部の文型は何か。
Q3[L2] seen句内部の文型は何か。
※every other(1つおきの)

 

<解答・解説>
Q1 hobby
・時を表す語が、後ろから1語で名詞を修飾する例は、「英語の基本」p.65既習。
・todayはisを修飾するとも考えられる。和訳から、伊藤先生はこちらの考えだとわかる。

Q2 第3文型の受動態

Q3 第5文型パターン④の受動態

 

<補足講義>
Every other personで始まる文の述語を探しましょう。直後のencounteredが候補になりますが、encounterという動詞は「~に出会う」という意味で、第3文型で用いるのが基本です。つまりI encountered Tom. というように、直後に名詞が置かれるのが基本的な用いられ方なのです。
ところがこの文では、直後at a vacationであり、目的語が見当りません。そして、その後ろにor seenがあります。seenは過去分詞形なので、「encounteredは過去形ではなく過去分詞形ではないか。orによって、encountered句とseen句が結ばれているのではないか」と予想をし、更に読み進めます。すると、carries a cameraがあり、これが主語のEvery other personに対する述語以下だとわかります。
つまりこの文においては、主語が、orによって結ばれた2つのVed句によって修飾されているのです。そして、述語動詞までの距離が長いの
です。文の大まかな構造は次の通りです(「名修」は「名詞修飾語」という意味です)。

  S 名修のVed句(1) or 名修のVed句(2) V O.

 2つのVed句のそれぞれも、やや面倒なものです。
まず、person encountered at a vacationの部分を、受動態のまま訳すと「行楽地で出会われる人」となり、かなり不自然です。ここは能動態として訳したほうが自然になります。「出会われる人」とせずに、「出会う人」とすれば自然な訳になります。なお、このような、受動態の訳し方の工夫については、「英語の基本」p.47で述べてあります、
2つ目のVed句であるseen strolling in a parkの部分は、「既習の項目の、未習のパターン」です。たしかに、「COMPLETE」でも「英語の基本」でも、名詞を修飾するVed句を扱ってあります。たとえば次のようなものです。
He lives in a house surrounded by trees.
I will meet a man called Jack.
これらのVed句は、第3文型の受動態と、第5文型パターン①の受動態が収縮したものでした(必ず「英語の基本」p.331を参照してください。節からの書き換えとしてとらえてあります)。
ところが、本文のseen strolling in a cityの部分は、第5文型パターン④の受動態が収縮したものなのです。
このことを理解するために、まずは「COMPLETE」のp.202の下半分と、「英語の基本」のp.365の下部から p.366の上部を読んで、第5文型パターン④の受動態を復習して下さい。
★★★(このマークは、「指定された箇所を読み終えたら、以下を読んでください」という意味のものでした)
person seen strolling in a cityは、who isを補って、person who is seen strolling in a cityという表現に戻すことができます。who is seen strolling in a cityという部分は、まさに、第5文型パターン④の受動態なのです。
なお、上で「収縮」という言葉を用いましたが、大半の準動詞句は、従属節が収縮したものだと考えられるのでした。
「英語の基本」の第3部、「準動詞句」のサブタイトルが、「従属節の収縮」だったことを「英語の基本」p.8や、目次で確認して下さい。

 

② S ... V(2)

[イントロダクション]
Chapter1の①では、SとVが離れ、SV関係がつかみにくい例を見ました。この②では、この問題を引き続き検討していきます。
まずは「解釈教室」p.6の、例文1.2.1の前にある5行に目を通して下さい。
★★★

 

伊藤先生は、Sの後ろに長い修飾語がある場合は、「Sに対するVを持つ」ということを忘れがちになる、と警告しています。

【1.2.1】

<はじめに>
この文に関してはまず、do X honorという表現を知ってください。これは、doを第4文型で用いた表現で、「Xに敬意を与える(doには「与える」という意味があります。辞書参照)→Xに敬意を示す、Xを尊敬する」という意味です。

<設問>
Q1[L1] who節の終点の語を答えよ。
Q2[L2] to throw句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 minister
・if節がdoを修飾するので、if節はwho節に含まれる。よってif節の終点が、同時にwho節の終点。この文はThe peopleに対する述語であるwould beの登場までが長い。このwereについては「COMPLETE」p.257参照。

Q2 B-1(主格)
・まずは「英語の基本」p.316の下~p.319の上の「発展」を読むこと。
★★★
・firstはfirst menの意味。この主格には「→」の意味がある。「英語の基本」p.319で、主格に「→」の意味がないこともありうる場合の例の一つに「first 名詞」を挙げてあるが、これは「first 名詞の場合は、→の意味が必ずない」ということではなく、「first 名詞の場合は、→の意味がないこともある」という意味である。last、onlyなども同じ。

 

【1.2.2】

<設問>
Q1[L1] when節は≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
Q3[L1] when節の終点の語を答えよ。
Q4[L3] to know句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q5[L3] who自体の要素とwho節の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 C-3
・(have) feltを修飾する。動詞修飾語としてはたらく副詞節のwhen節が、主節のSとVの間に挿入されている。挿入のマークであるカンマが、節の終わりにしかない。ゆえにやや読みにくい。「副詞節が主節内部に挿入される例」は「COMPLETE」p.324で既習。

Q2 wereとwore
・主格の関係代名詞であるwhichの述語動詞は、wereとworeの2つなのである。
・which節の終点はcomfortであり、これが同時にwhen節の終点である。

Q3 comfort
・上記の通り。

Q4 B-1(同格)
・desireからは「どうしたいという願望?」という疑問が生じる。「desire+toV句」は、「COMPLETE」p.171で既習。

Q5 whoの要素:S who節:O(knowのO)
・whoはSなので、このwho節の直訳は「誰がそこに住む人なのかということ」。ただ、この訳は少し不自然なので、wereの前後を入れ替えて、伊藤先生は「そこに住むのがだれか」を訳している。

 

<補足講義>
この文では2つの現在完了形が用いられており、経験について語られています。過去の経験の話であるという文脈に合わせて、L3のwho以下の動詞は過去形が用いられています。

 

【1.2.3】

<はじめに>
SとVの間にある修飾語は、Sを修飾することもあれば、Vを修飾することもあります。例文1.2.1のwho節は前者の例であり、例文1.2.2のwhen節は後者の例です。
ただ、中にはSとVの間に、Sを修飾するものと、Vを修飾するものの両者が存在することもあるのです。このことを述べているのが「解釈教室」p.7の中央の7行です。まずはここに目を通して下さい。そのうえで、例文1.2.3に挑みましょう。

 

<設問>
Q1[L1] even if節はどこを修飾するか。
Q2[L2] needの品詞は何か。
※in one’s day(生きている間) in vain(空しく)

 

<解答・解説>
Q1 fear
・助動詞の部分を含めてneed not fear全体を修飾すると考えてもよい(伊藤先生はそのように説明している)。
・even ifは≪従位接続詞の一覧表≫のC―5。「COMPLETE」p.135のリスト、「英語の基本」p.245のリストに存在する。動詞修飾語としてはたらく副詞節は、前にある動詞、後ろにある動詞のいずれをも修飾できるが、この例は、意味を考えて、後ろの(need not) fearを修飾すると判断する。noblyの後ろのカンマも大きなヒントとなる。このカンマは「who節はここで終わりますよ。後ろにあるeven if節をこちらと関連させて読まないで下さいね」という目印になっている。

Q2 助動詞
・「Vする必要がある」はneed to Vともneed V(原形)とも表現でき
る。前者は本動詞のneedであり、toⅤ句は文法上はOである。後者では原形の動詞が後続しているので、このneedはwillやcanなどと同じ種類のものであり、助動詞。否定表現は、前者ではdon’t need to Vとなり、後者はneed not Vとなる。
・needは動詞かつ助動詞であるということは、辞書で確認のこと(辞書には品詞が記載されている)。

 

<補足講義>
この文の大まかな構造は、次のようなものなのです(「丸V」は助動詞を示します)。

 S + Sに対する修飾語 + Vに対する修飾語 + 丸V + V + O .    

 やはり主語と述語が離れているので、この点において読みにくい文なのです。
なお、even if節の前後にカンマがあり、「挿入」という形になっています。ゆえに、副詞節がくっきりと浮かびあがり、副詞節がとらえやすくなっています。これも主節の内側に挿入された副詞節の一例です。
obscurelyは、形容詞obscureの副詞形ですが、obscureは「不明瞭な、あいまいな」という意味のみならず「有名でない、世に埋もれた」という意味もあります。この文のobscurelyは、後者の意味の副詞形です。つまりlive obscurelyは、「無名のまま生きる」という意味なのです。

 

③ (S+S)+V

[イントロダクション]
このChapter1の①と②では、「SとVの間に修飾語が存在することにより、SVの関係がつかみにくくなる例」を扱いました。
これより扱う③では、Sが複数あることにより、Sの先頭からVまでの距離が長くなる例を見ます。
この③で扱う文は、わずか1つのみです。

 

【1.3.1】

<設問>
Q1[L1] taken句はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1   (his daily) walk
・X takes a walk.という表現の受動態は、A walk is taken by X.である。本文のwalk, taken …の部分は、この受動態の文が元となっている。
・このVed句は、たしかに名詞修飾語だが、「された散歩」「なされた散歩」と訳すとやや不自然になるので伊藤先生の訳では工夫されている。

 

<補足講義>
1つ目の主語は、冒頭のregularityですが、これは前置詞句のof his daily walkによって修飾されています。そして、このdaily walkは、takenから始まるVed句によっても修飾されています。なお、名詞修飾語としてはたらくVed句が挿入の形になっているものは、例文1.1.4で扱ったばかりです。
2行目の前半にandがあり、その後ろにthe strict limitationという名詞があるので、これが2つ目の主語だろうと判断して、述語の登場を待ちますが、limitationもまた、of the hours of restという前置詞句によって修飾されています。
そして、3行目にようやくhelpedという動詞が登場します。
この文の主語は、regularityとlimitationという2つの名詞であり、いずれに対しても長い修飾語が存在しているので、Sの冒頭とVまでの距離が長くなっているのです。

 

④ To 不定詞、etc....V

[イントロダクション]
≪準動詞句の一覧表≫を見ればわかる通り、toV句、Ⅴing句には多く
の用法があるので、どれなのかを見極めなくてはならない場面が非常に多あります。まずは「COMPLETE」p.165にある《準動詞句の一覧表》を見て、これらの多様さを確認して下さい。
なお、《従位接続詞の一覧表》と《準動詞句の一覧表》はぜひコピーを用意して、常に、すぐに参照できる状態にしておいて下さい。    
この④では最初に、文頭にあるtoV句が、どの要素になる可能性があるのかを検討します。
ここでまずは、「解釈教室」p.11の、例文1.4.1の前までの部分を読んで下さい。
★★★
p.11の上の(a)の例文は、《準動詞句の一覧表》のA-1で、Sとしてはたらく例です。(b)は《準動詞句の一覧表》のC-1で、動詞修飾語としてはたらく例です。
それぞれ、「COMPLETE」ではp.166とp.179に、「英語の基本」p.307と、p.335に例があります。確認して下さい。
この2つの用法のうち、いずれかを見極めるには、伊藤先生が述べている通り、toV句の終点の直後がVなのか、SVなのかを探るのです。
このことを頭に入れたうえで、例文に入りましょう。

 

【1.4.1】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] amongの品詞は何か。
※give expression to ~(~を表現する)

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①の受動態
・toV句の最後の語が、2行目の先頭のfeelingであり、この直後が動詞のisである。よってtoV句はSだということになる。
・is consideredの部分から、この文が受動態だとわかるが、その後ろにbad mannersがある。この文は「SがOをCだと考える」という文の受動態で、「~は…だと考えられる」という意味。つまり文全体は、第5文型パターン①の受動態である。considerが用いられた受動態は、「英語の基本」p.46の下から2番目で既習。確認のこと。

Q2 前置詞
・among a group of peopleは動詞to giveを修飾する。

 

<補足講義>
strongがanyによって修飾されています。よって、これを訳出したほうがほうがより正しい全訳となりますが、「英語の基本」p.64で述べた通り、anyの訳出は非常に面倒なものです。また、伊藤先生のようにanyの訳を無視して「人なかで強い感情を示すことは」と訳したとしても、「感情」がどんなものかを説明していない以上、消去法で、「その感情はどんなものであっても」ということになるとも考えられます。だからこそ伊藤先生はanyを和訳に反映させていないのでしょう。
anyという語の厄介さが、この文からもわかります。

 

【1.4.2】

<設問>
Q1[L1] to recognize句の終点の語と、句全体の要素を答えよ。
Q2[L2] for a momentを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 終点の語:thought 要素:S
・冒頭のtoV句のVであるrecognizeのOがthat節なので、toV句が長くなっている。that節の終わりが同時にtoV句の終わりであり、その直後にmay beという「法助動詞+動詞」がある。よって、このtoV句をSだと判断する。
・比較の文で、2つ目のasの後ろが「S+think」である例は、「COMPLETE」p.281で既習。

Q2 しばらくは、当座は
・momentには「瞬間」という意味のみならず「時期」「時」という意味もある。辞書参照。

 

【1.4.2  参照】

<設問>
Q1[L1] to taste句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 C-1
・このtoV句はisを修飾する。
・it is以下は形式主語-真主語の構文。

 

【1.4.3】

<はじめに>
この例文1.4.3と、次の例文1.4.4では、ing形の動詞から始まる文について考察します。まずは、例文1.4.3の上にある3行を読んで下さい。
★★★
《準動詞句の一覧表》を見ればわかる通り、ing句には多くの用法がありますが、これらのうち、文頭に置かれる可能性があるものは、A-2の動名詞(Sとしてはたらく場合)と、C-2の分詞構文です。
この2つの判別の方法は、やはり「文頭のtoV句」の場合と同じです。
つまり、句の終わりの直後がVなら、句全体はSであり(動名詞)、句の直後がSVなら、句はVを修飾します(分詞構文)。

 

<設問>
Q1[L1] driving句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 A-2
・driving句の終点はday。そしてその直後がisという動詞なので、driving句全体はSとしてはたらく動名詞だということになる。

 

【1.4.4】

<設問>
Q1[L1] thinking句の終点の語を答えよ。
Q2[L1] whenを訳せ。
Q3[L1] don'tの後ろに1語を補え。
※in fact(実際は)

 

<解答・解説>
Q1 don't
・when節はthinkingを修飾するので、when節の終点がthinking句の終点。

Q2 ~のに、~だが
・「~の時に」でも悪くはないが、逆接のニュアンスを出した方がよい。whenに逆接の訳があることについては「英語の基本」p.242で既習。

Q3 know 
・<補足講義>参照。

 

<補足講義>
don't isという連なりが不自然ですが、省略という現象の存在を考慮に入れると、don'tの後ろにknowが省略されているのだと判断できます。繰り返される語が省略されるという話は「COMPLETE」p.325で扱いました。
thinking句の内部には、thinkingのOとしてthat節があり、その内側にknowを修飾するwhen節があり、そのwhen節においては、述語のknowが省略されています。そして、その後ろにisが登場するので、thinking句は、don't (know)までだとわかります。
さて、ここでVingで始まる文の、もう1つのパターンを補足をしておきます。
ちなみに、冒頭がing形の動詞である文には、以下のようなパターンもあります。
Dropping stones suddenly flashed and turned into water.
(落下中の石が突然光り、水になった)    
つまり、ing形の動詞が、Sとしてはたらく名詞を修飾している例です。
なお、1語のing形による名詞修飾については、「英語の基本」p.327の下~p.330で詳しく扱ってあります。ここは「発展」なので、まだ読んでいない場合はお読みください

 

【1.4.5】

<はじめに>
今度は文頭にthat節が存在する場合の判別について考えていきます。
まずはここで、《従位接続詞の一覧表》を用意して下さい。 そして、文頭に置かれるthat節は、この表のいずれのthatの可能性があるかを考えてください。考え終わったら、以下の行に進んで下さい。  
文頭のthat節のほぼ全ては、A-0のthat節で、これがSとしてはたらく例です。まずは「COMPLETE」p.89、「英語の基本」のp.155で例を確
認して下さい。
このような文は形式主語―真主語の構文になることが多いのですが、このままの形であることも少なくありません。  
that節がSだということは、that節の直後には、述語となる動詞や助動詞が登場するということになります。
このことを、伊藤先生は「解釈教室」p.13の一番下の行にある図で示されています。
なお、名詞節を形成するthatは≪従位接続詞の一覧表≫のA―0のものなので、接続詞自体はどの要素にもなりません(「COMPLETE」p.104参照)。これは、逆に言えば、その後ろにある文は、S、C、O、前置詞のOなどの欠けのない完全な文だということです。「COMPLETE」p.142の上部で、≪従位接続詞の一覧表≫の0の行にある従位接続詞が形成する節の内側について「文が完全なままの状態で存在しています」と述べていることを確認してください。このことを伊藤先生は、「解釈教室」のp.14の上のワクの②で「独立した文」という言葉で表現しています。名詞節のthat節を読む際には「その後ろが完全な文であることを確認する必要がある」と述べているのです。
この例文1.4.5の前にある解説については、p.14の2行目から、例文1.4.5の直前までの8行を読めば十分です。まずはこの8行を読んで下さい。
★★★
さて、「うまくゆかなければ」という文言(「もんごん」と読みます。意味は国語辞書参照)が気になるところですが、とりあえずは、例文1.4.5に挑みましょう。
冒頭からはじまるthat節が、本当にSとしてはたらくのかをチェックしつつ、文全体の意味を考えて下さい。   
なお、この文中のshouldは「べきだ」と訳すものではありません。「COMPLETE」p.239の表にはない用法です。とりあえず「訳は無視するshould」ととらえておいてください。

 

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L3] seemed too cruel to be trueを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 A-0
・that節が終わった後に動詞seemedが現れ、予想通り、that節はSとしてはたらくということがわかる。

Q2 あまりにも残酷で本当ではありえないようだった
・<補足講義>参照

 

<補足講義>
that節の内部の主語がBeethovenであり、これに対して、関係代名詞節のwho節が修飾しています。
このwho節は挿入の形になっています。挿入されていても、関係代名詞節は訳し上げるのが基本です(「COMPLETE」p.323参照)。この例でも、伊藤先生はやはり訳し上げています。「ベートーベンは、あれほど情熱的に音楽を愛し、…」と訳していないことを確認してください。
who節の終点はmusicであり、should ceaseが述語です。
cease toVのtoVは、辞書ではceaseのOと記載されていますが、実際には、「COMPLETE」p.168、「英語の基本」p.310で示した例と同じように「動詞+to」でひとまとまりの助動詞のようにとらえてしまっていいものです。
seemed too cruel to be trueの部分が少し難しかったかもしれません。
ここは「COMPLETE」p.369、「英語の基本」p.373で扱ったtoo ~ toV構文ですが、toVのVが、一般動詞ではなくbe動詞なので意味がとりにくいのです。また、seemedの存在も少し厄介なので、ますはseemedをwasに置き換えて、
S was too cruel to be true. 
として、これの意味を探ります。
too ~ toV構文の部分は、「COMPLETE」p.369、「英語の基本」p.373の②の訳で訳しましょう。
すると、「Sはあまりにも残酷で本当ではありえなかった」となります。
そして、このwasがseemedに代わると、「Sはあまりにも残酷で本当ではありえないようだった」となります。
伊藤先生の訳では、そこからさらに工夫をしています。  
なお、動詞seemについて復習をしたい場合は、「COMPLETE」p.43、「英語の基本」p.35を読んでください。

 

【1.4.6】

<設問>
Q1[L1、2] 文中に存在する3つのthatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] authorを訳せ。
Q3[L3] propertyを訳せ。
※A as well as B(Bと同様にAも)

 

<解答・解説>
Q1 A―0
・いずれのthat節もS。Vはare。
・なお、3つのthat節が結ばれているが、最後の前のみにandが置かれている。これについては「英語の基本」p.302の上部参照。

Q2 創造主、造り手
・「著者」は不適切。「作者」はややズレる。

Q3 所有物
・「財産」は不自然。「所有物」「もの」がいいだろう。辞書参照。

 

【「参考」の文】

<設問>
Q1[L1] that節の要素は何か。
Q2[L1] likeの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 O
・to understandのO。文全体はOSVの倒置である。これについては「COMPLETE」p.318で既習。

Q2 前置詞
・a thinker→S  like→Vと考えると、後ろにあるcould reachの存在の説明がつかない。likeは「~のような」という意味の前置詞である。
・英語の品詞の多様性については、「COMPLETE」p.139の上部と、「英語の基本」p.85の下部に同じ文を引用した。
・なおlikeは従位接続詞でもある。≪従位接続詞の一覧表≫のC―5の一例。意味は「COMPLETE」p.137、「英語の基本」p.245のリスト参照のこと。

 

<補足講義>
この文は、伊藤先生がp.14の上の方で述べた「うまくゆかなければ」の例です。
例文1.4.5と例文1.4.6では、いずれも冒頭のthat節が、予想が通りのSであり、読みやすい文でした。ところが、この予想が裏切られることもあるのです。それがこの文です。
冒頭から読み進めていきましょう。まず、thinker like himは、「彼のような思想家」です。この文でも、冒頭のthat節をSだと予想して読んでいくのですが、 conclusionという節の終点の直後がI have never beenです。「主語+述語」が存在しているのです。 「おかしい」と思いながら読み進め、最後の単語のunderstandにOがないことを発見し、to understandのOであるthat節が、前方に移動したのだと考えます。

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Chapter2 目的補語

① 第5文型の意味

[イントロダクション]
まずChapter2のタイトル「目的補語」について説明します。「COMPLETE」および「英語の基本」で示した基本8文型には、3種類のCが登場しました。SVCのC、SVOCのC、そしてS be Ved CのCです。
このうち、SVCのCは「主格補語」と呼ばれ、残りの2つは「目的格補語」と呼ばれます。「目的補語」とは、この「目的格補語」のことです。
第5文型とその受動態に関しては、「COMPLETE」でも「英語の基本」でも、分けて扱いました。
まずは最も基礎的なものであるパターン①とその受動態を扱い(「COMPLETE」p.32~p.34、p.38~p.39、p.41、「英語の基本」p.32~p.34、p.45~p.47、p.62~p.63、p.78~p.79)、残りのパターン②~⑤とその受動態を、「準動詞句」のところで扱いました(「COMPLETE」p.187~p.203、「英語の基本」p.349~p.366)。第5文型の基礎を忘れかけていたら、まずはこの部分を読み返してください。
これより、第5文型のそれぞれのパターンを見ていきます。「解釈教室」p.17については、読んでも読まなくてもかまいません。
さてここで、≪従位接続詞の一覧表≫と≪準動詞句の一覧表≫のそれぞれに関して、用いる「比重」を決めておきます。
いずれも「COMPLETE」版と「英語の基本」版の2種類がありますが、≪従位接続詞の一覧表≫は「英語の基本」p.249~p.250にあるほうのものを中心に用いるようにしてください(p.250はタテの行の数字が「6」「7」「8」「9」となっているので、これを「1´」「2´」「3´」「4´」と書き換えてください)。「COMPLETE」版の≪従位接続詞の一覧表≫(p.88とp.144にあるもの)は、「どの従位接続詞がどこにあるか」がつかみやすいので、表の中から特定の従位接続詞を探す際などに利用してください。まだこれらのコピーをしていない場合は、早めに準備してください
一方≪準動詞句の一覧表≫は、「COMPLETE」p.165にあるものと、「英語の基本」p.348にあるものを常に同時に参照するようにしてください。「COMPLETE」版は、それぞれの準動詞句がどの要素になるかがつかみやすい表になっています。一方、「英語の基本」版は和訳が記されているので、この点で便利だといえます。この2枚の表をコピーして、同じ紙の上下に貼ると使い勝手がよくなるはずです。

 

【2.1.1】

<はじめに>
「COMPLETE」「英語の基本」では、第5文型を5つのパターンに分類し、また、それぞれのパターンで用いられる動詞を表にまとめました(「COMPLETE」p.188~p.189、「英語の基本」p.350~p.351参照)。まずはこれを確認してください。
伊藤先生は、第5文型で用いられる多くの動詞が、おおざっぱに2種類に絞られると指摘されています。これが「解釈教室」p.18の下のワクの中です。ここを見てください。
たしかに、パターン①で用いられる動詞の3つのグループ(「COMPLETE」p.32~p.33、「英語の基本」p.33参照)のうち、Aのものと、パターン②、④、⑤で用いられる「知覚動詞」は、伊藤先生の示す「①」にほぼあてはまるといえます。 
また、パターン①で用いられる動詞の3つのグループB、グループCと、「COMPLETE」p.189の上の表(「英語の基本」ではp.351の下の表)の「知覚動詞」以外のものは、伊藤先生の示す「②」にほぼ当てはまります。
このように、第5文型で用いられる動詞の意味は、大きく2つに分類できるのですが、Cの形に5つのパターンがあり(パターン①は、そこから更に「名詞」「形容詞」「前置詞句」に分かれます)、また、同じ動詞でもパターンごとに意味が異なることもあり、そして、同じパターンでも訳し分けが必要なこともあり(getとhaveが代表例)、第5文型はきわめて複雑な世界だといえます。
なお、第5文型に関して、まず何よりも確認しておかなくてはならないのは、「OCの部分から文が生まれる」ということです。伊藤先生は、例文2.1.1に入る前の部分で、第5文型パターン①の2つの例文を引き合いに出して、このことを述べています。
なお、「解釈教室」のp.17でもp.18でも挙げられているlickという動詞は、本来は第3文型で用いられものであり、この点において、lickが用いられた第5文型の文は、やや特殊なものだといえるのですが、これについては例文2.1.6のところで述べます。
以上をふまえたうえで、「解釈教室」p.18の例文の上の部分を読んでください。読み終えたら例文2.1.1の読解に挑みましょう。

 

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・Oが長いので、やや読みにくい。Cの中心は形容詞のsilly。これに対して修飾語のsomewhatが加わっている。
・なお、例文1.1.1のところで述べた通り、解答が「第5文型」である場合は、パターンまで答えること。

 

【2.1.2】

<設問>
Q1[L1] to discover句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] to discover句の内部の文型を答えよ。
Q3[L2] I did not know you were to be hereを訳せ。また、you以下の文型も答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 D―1
・感情を表す形容詞surprisedを修飾している。D―1の4分類があいまいである場合は、「COMPLETE」p.182~p.185、「英語の基本」p.341~p.346を再読のこと。

Q2 第5文型パターン①
・discoverの後ろは、youという名詞と、fellow guestという名詞がある。動詞の後ろに「名詞+名詞」が存在するので、第4文型か第5文型だということになる(「COMPLETE」p.42、「英語の基本」p.87参照)。
「発見する」という意味のdiscoverが、giveやsendなどのような意味を持ち、第4文型で用いられるというのはやや不自然な感じがする。そこで第5文型の可能性を疑う。実際、discoverという動詞は、第5文型パターン①で「OがCだとわかる」という意味で用いられることがあるのである。
ちなみに『ジーニアス英和辞典』には[SVO to be C]という表記がある。『コアレックス英和辞典』(旺文社)にも「+目+to be+補」「+目+補」という表記がある。なお、このto beについては「英語の基本」、「COMPLETE」、ともにp.34で扱ってある。

Q3 あなたが来る予定だったとは知りませんでした。
第1文型
・knowの後ろにはthatが省略されている。you were以下のすべてがknowのOである。
・伊藤先生の訳は、よりこなれたものになっている。be to Vは「Vすることになっている」と訳す例が実に多い。
・you以下の文構造は次の通り。              

You(S) were(丸V) to be(V) here(動修).   

wereは助動詞で、意味は「予定」。この助動詞については「英語の基本」p.54~p.55で詳述したので未読の場合は必ず参照のこと。
to beは「来る」。be動詞のこの訳については「COMPLETE」p.251、「英語の基本」p.88参照。p.88には例文もある。

<補足講義>
伊藤先生はcf.の部分で、to discover you a fellow guestにおけるOCの部分を、that節で書き換えています。discoverはthat節をOとして取ることができるので(辞書参照)、discover you a fellow guestは、discover that you were a fellow guestと表現することもできるのです。
このような「第5文型パターン①のOC部分と、that節の交換可能性」については、「解釈教室」p.18で触れられていますし、「英語の基本」p.36でも、わずかながら述べました。

 

【2.1.3】

<設問>
Q1[L1] I neverから文末までを訳せ(難)。また、この文の文型を答えよ。
Q2[L2] 文末に省略されている語句を補え。
※「the 比較級+for ~(~のために、より…) ・forは原因を表す。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照 文型は第5文型パターン①
・myselfがOでthe worseがC。第5文型パターン①だが、本文のfindは、この動詞が第5文型パターン①で用いられた場合の訳(「思う」「わかる」)を選ぶと不自然になる。伊藤先生の解説の通り、第5文型パターン①で用いられるfindは訳さないこともあるのである。本文はその例。
・またこの文は、「the 比較級+for ~」という表現と、「never A but B」がからんでいる。「never A but B」は、「not A but B(AではなくB)」(「COMPLETE」p.346で既習)の類型である。notではなくneverが用いられているので「決して/一度もAではなくB」と訳すことになる。butを「しかし」とは訳さないことに注意。

Q2 for seeing them
・共通部分なので省略されている。「COMPLETE」p.325で扱った内容。

 

<補足講義>
findは第4文型でも用いられます。次の文を見てください。

  Tom found Meg a job.(トムはメグに仕事を見つけてやった)

 「COMPLETE」p.32、「英語の基本」p.31で述べた通り、第4文型においては、動詞の後ろの2つの名詞がイコールの関係にありません。上の文では「Meg ≠ a job」なので第4文型だとわかり、辞書を引くと、第4文型としての訳(O1にO2を見つけてやる)が記載されています(なお、英和辞典に5文型の表記があるということについては「COMPLETE」p.380で述べました)。
同じ「found+名詞+名詞」でも、次の例は第5文型パターン①です。

  Tom found Meg a genius.(トムはメグを天才だと思った)

 同じ動詞でありながら、複数の文型で用いられるものが多いということは、「英語の基本」p.88の下部の「発展」で述べてあります。必ず読んでください。
例文2.1.3の「参考」の部分では、上で述べた動詞findの多様性が語られています。そこで挙げられている文について、伊藤先生は「I was a flat.が成立しない」と述べていますが、これは要するに「I=a flatではない」ということです。よって、「参考」で挙げられている文は第4文型なのです。この文の直訳は「私は自分に住居を見つけた」ですが、これは不自然なので、伊藤先生の和訳では工夫されています。

 

【2.1.4】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン④

 

【2.1.5】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] to communicate句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・Oが「名詞+前置詞句(between句)+前置詞句(of句)」で長い。
・パターン①のmakeの訳は「する」なので、文全体のおおまかな直訳は「我々の不可能が本当の接触を不可能にする」だが、これでは日本語して不自然なので、伊藤先生の訳では工夫されている。

Q2 B-1(同格)
・inabilityは「不可能であること」という意味なので、「何をすることが不可能なのか?」という疑問が生じる。「英語の基本」p.316に、the
ability to flyという表現があるが、これの類例だといえる。
・伊藤先生の解説では、inability+to communicate句の部分に、We are unable toという文が隠れているということが述べられているが、これはChapter8で扱うことと関連するので今は気にしないでよい。

 

【2.1.6】
<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L2] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>

Q1 第5文型パターン①
・pushは本来は第3文型で用いられる動詞だが、「SがOをVして、その結果、~となった」というように、Oの後ろに「~」の情報を置くことができる。これはCだと考えられる。これについては<補足講義>参照。

Q2 和訳参照
・このshoutは、shout and madeの意味。極めて特殊な文。<補足講義>参照。

 

<補足講義>
第5文型パターン①で用いられる動詞は、3種類に分けられます。「COMPLETE」p.32~p.33、「英語の基本」p.33の通りですが、このうち、グループBのものは、リストのとおりchoose,make,keep,leave,set,
pronounceなどです。
さて、これらのものは原則として、SVOで終わると不自然なものです。例えば、

  The doctor pronounced the man 

 という連なりを見た際には、「その医者は・宣言した・その男を」と読み、続きがあると予想します。「何だと宣言したのだろうか?」と思うわけです。そして、たとえば、

  The doctor pronounced the man dead.

 といったように文が完結します。pronounceはいわば、「第5文型パターン①で用いられるのが標準形である動詞」だといえます。   
ところが動詞の中には、第3文型で用いられるのが標準形であり、そこで文が終えるのが基本的な用法であるものの、補足として、そのOがどのような状態になったかを述べることが許されるものもあるのです。
たとえば、伊藤先生がこのChapterで、既に2回示されているlickという動詞ですが、これは

  The cat licked the saucer.(その猫は皿をなめた)

 というように、第3文型で用いられるのが標準だといえます。
ただ、補足として、なめた結果どうなったかを述べることもでき、その場合に、

  The cat licked the saucer clean.(その猫は皿をきれいになめた)

 などと表現することが許されるのです。
このような、「本来は第3文型で用いられるものだが、第5文型パターン①でも用いられる動詞」として、他にもpaint,dye(染める)などが挙げられます。例文を見ましょう 。

  Tom painted the door red.(トムはそのドアを赤く塗った)
Yumi dyed the dress blue.(ユミはそのドレスを青く染めた)

 そして、例文2.1.6の(a)で用いられているpushもまた、「本来は第3文型で用いられるものだが、第5文型パターン①でも用いられる動詞」なのです。
pushは、He pushed the door.というように用いるだけではなく、He pushed the door open.というようにも用いられるのです。
(b)は完全に意味不明の文だと思います。shoutは「叫ぶ」という意味の自動詞であり、第1文型で用いられるのが標準的な用法です。ところが(b)
では、shoutの後ろに文法上はOとしか思えないhimselfがあり、かつ、その後ろに形容詞のhoarseがあります。表面上は、SVOCなのです。
実は一部の自動詞は、

  「SV+X(名詞)+Y(主に形容詞)」

という型で用いられ、「SがVした結果、XがYになる」という意味を表すのです。類例を挙げます。

  The dog barked him awake.
(その犬が吠え、彼を起こした→その犬が吠えたため、彼は目がさめた)

 なお、このような例は特殊なものであり、受験参考書レベルで詳述されることはまず無いのですが、興味のある人は『意味論から見る英語の構造』(米山三明著、開拓社刊)の第3章を読んでみてください。

 

② 目的補語の形態

[イントロダクション]
繰り返し述べている通り、「COMPLETE」「英語の基本」では、第5文型を5つのパターンに分類しました。「② 目的補語の形態」では、パターン①を中心に見ましたが、ここではそれ以外のものを中心に見ていきます。
例文2.2.1の上の6行の内容は議論の余地が残ることなので、読む必要はありません。

 

【2.2.1】

<設問>
Q1[L1] 第1文の文型を答えよ。
Q2[L1] このdepartingには進行の意味が存在するか、しないか。「英語の基本」p.328~p.330で「ing形+名詞」の意味の多様性について確認したうえで答えること。
Q3[L2] bother to Vを訳せ。
Q4[L3] knowing句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q5[L3] knowing句の内側の文型を答えよ。

 

<解答・解説>
※この文の伊藤先生の解説は、to beの扱いについてややわかりにくい解説になっているので「参考」のところを読むだけでよい。

Q1 第5文型パターン③
・us以降からWe don’t bother to come …….という文が成立する。
・なお、SVOCのCが「否定語の存在するtoV句」である例は、「COMPLETE」p.360の上から3番目、「英語の基本」p.399の下のワクの上から2番目で既習。いずれも否定語がnotではなくneverであるが。
・imploreは「COMPLETE」p.192のリストに加えておくこと。

Q2 存在する
・「準備などを進めており、旅立ちつつある」という意味である。このdepartingは、「英語の基本」p.330の3つの例文、「COMPLETE」p.177の上の2つ例と同様に、進行のニュアンスがある。

Q3 わざわざVする
・「COMPLETE」p.168の上のリスト参照。

Q4 C-2
・「ので」と訳す分詞構文。

Q5 第5文型パターン①
・このto beについては、例文2.1.2のところで言及したばかりのもの。「COMPLETE」p.34、「英語の基本」p.34参照。「know O to be C」という連なりは「英語の基本」p.208の上で既習。

<補足講義>
「参考」のところに「直接目的語」という言葉が出ていますが、これは第4文型の2つ目の目的語(O2)のことです。これについては「英語の基本」p.32の中央のワクの中で述べてあります。
さて、既に述べた通り「名詞 動詞 名詞 名詞」は、第4文型と第5文型の可能性がありますが、to beは第5文型の前にしか置かれないので、これは第5文型であることを示すマークだともいえます。「参考」のところで伊藤先生が述べている「目じるし」とは、このことを意味します。

 

【2.2.2】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
※make the best of ~(十分に活用する)

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン③
・「COMPLETE」p.192のリストにenableがある。
・文全体のおおまかな直訳は「理想的な社会はすべての男女が能力を活用するのを可能にする」だが、これでは不自然なので、伊藤先生は工夫している。

 

【2.2.3】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン③
・これも「COMPLETE」p.192のリスト参照。
・直訳の型は「ほうき星の出現はOが~するのを引き起こした」だが、これではやや不自然なので、伊藤先生の訳のように工夫する。

 

【2.2.4】

<設問>
Q1[L1] Doからnothingまでを訳せ。また、この文の文型を答えよ
Q2[L2] doからはじまる文は第5文型だが、OCから生まれる文は
どのようなものか(that以下は無視してよい)。なお、discouragedは形容詞だと考える。
Q3[L2] doからはじまる文を訳せ(難)。※letは「許可」の意味ではない。
Q4[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照 第5文型パターン③
・伊藤先生の解説を読むこと。
・allowは「COMPLETE」p.192のリストにある。

Q2 You are discouraged by the sad conditions.
・「英語の基本」p.350~p.351で、第2文型の文がS+letの後ろに埋め込まれる様子を解説してある。この場合、Cの先頭がbe動詞となるが、本文も同じ。 
・注意しなくはならないのは、本文はletの意味が「許可」ではないとい
うことである。「自分が落胆するのを許可するな」はおかしい。letは実は、「OCの状態を作り出す」という意味でも用いられるのである。本文はこの例。よって本文は「自分が落胆する状態を作り出すな」→「落胆するな」となるのである。

Q3 和訳参照

Q4 B―1
・目的格の関係代名詞である。seeの目的語としてはたらく。
・sad以下の直訳は「あなたが時々まわりに見るかもしれない悲しむべき状況」だが、伊藤先生の訳ではこなれたものにしてある。なお、このmayにはほとんど重みはないので、伊藤先生の訳でも「かもしれない」とは訳されていません。訳さないmayの例は「英語の基本」p.238と、「COMPLETE」、「英語の基本」とも、≪従位接続詞の一覧表≫の後半のCの列の例文で既習(「英語の基本」p.284の上も参照)。

 

【2.2.5】

<設問>
Q1[L1] find outの訳を答えよ(本文ではfindとoutが離れて用いられている)。
Q2[L1] instead ofを訳せ。
Q3[L1] having句内部の文型は何か。
Q4[L1] havingを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 見つけ出す、探り出す、発見する
・findとfind outの違いについては、以下を参照(『フェイバリット英和辞典』<東京書籍>より)。

************
findとfind outはどちらを用いてもよい場合が多い。 
We find (out) why the accident had happened.
(我々はなぜその事故が起こったのかを突き止めた)
ただし、「なくしたものを見つけ出す」「経験によって…だとわかる」という意味ではfind outを用いることはできない。
I found the pocket notebook I had lost.
(なくした手帳をみつけた)
I found he was a good man.
(彼はいい人だと分かった)
************

Q2 ~のかわりに
・「COMPLETE」p.53のリスト参照。
・この文では、群前置詞の目的語が名詞ではなく動名詞である。「前置詞+動名詞」という連なりは非常に多いが(「英語の基本」p.312参照)、「群前置詞+動名詞」も非常に多く見られる結びつき。

Q3 第5文型パターン②
・having句においては、Oの後ろに原形の動詞があるので、having句の内側の文型は、第5文型パターン②だとわかる。第5文型パターン②のhaveの訳し方は面倒。「COMPLETE」p.191、「英語の基本」p.353~p.354を再読のこと。

Q4 ~してもらう
・Oがa parent or a teacherなので、haveは「してもらう」と訳す。

 

【2.2.6】

<はじめに>
p.25の上半分は今は読まなくて結構です。すぐに例文に入ってください。

 

<設問>
Q1[L1] finds以下の文型を答えよ。
Q2[L1] totallyはどこを修飾するか。
Q3[L1] differentはどこを修飾するか。
Q4[L2] of conductはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン④
・VO(Oはtotally different habits and standards of conductsと長い)があり、その後ろにing形の動詞が置かれている。findは知覚動詞なので、第5文型パターン④で用いられる動詞である(「英語の基本」p.351の下の表参照)。be動詞を補って文に還元してみよう。
Totally different habits and standards of conducts are prevailing.
(まったく異なった習慣や行為の規範が広まっている)
違和感のないものである。よって、第5文型パターン④だと判断する。
・第5文型パターン④について忘れかけていたら「COMPLETE」(p.194~p.195)、「英語の基本」(p.356~p.359)を必ず読むこと。

Q2 different
・totallyは形容詞修飾語としてはたらく副詞。a very beautiful girlのveryと同じ。「英語の基本」p.73参照。

Q3 habits and standards
・意味から考えて両方。「修飾語+A and B」という構造が存在する場合、
修飾語はAだけを修飾するのか、Bをも修飾するのかを考えなくてはならない。これは原則として意味のみで判断する。
・日本語でも同じ判断が必要になる。例を見よう。

************
A) その朝は、冬のすがすがしさが身に染みた。冷たい空気と水がとても心地よかった。
→「冷たい」は「空気と水」の両方を修飾する(冬は空気も水も冷たい)。
B) 彼と僕は、いわば輝く月とすっぽんだ。
→「輝く」は「月」のみを修飾する(すっぽんは輝かない)。
************

Q4 standards
・英語には日本語と異なり、「後ろからの修飾」が存在する。よって「A and B+修飾語」という構造の場合は、Bだけを修飾するのか、AとBの両方を修飾するのかを考えなくてはならない。やはり意味から判断するのが原則。
・この例ではstandardsのみを修飾すると考えるのが自然。

 

【2.2.7】

<設問>
Q1[L2] itは何を指すか。
Q2[L1] though節内部の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 主節(Poetryからnationまで)
・伊藤先生はpoetryで解釈しているが、これは文意から考えて誤りだと判断できる。
・「解釈教室」はこれだけの分量なので、一点の誤りもない、ということはなかなか難しい。いくつかの誤りがあったからといって、この本の価値が減じることはない。伊藤先生ほどの方でも誤った解釈をしてしまうという事実は、英語という言語が、日本語話者にとっていかに難しいものであるかということを改めて考えさせてくれる。
・この文の正しい全訳は次の通り。

************
歴史書の中でこのことについて書かれていることは少ないが、詩こそわが国民の最大の栄光である。
************

Q2 第5文型パターン⑤
・findは知覚動詞。Oの後ろにmentionedが存在するので、これは過去分詞形で、第5文型パターン⑤のCではないかと判断する。この考えのもとに、OCの部分を文に還元すると次のようになる。
It is mentioned in the history books.
(そのことが歴史書の中で言及される)
問題ない文である。よって第5文型パターン⑤だということになる。
・第5文型パターン⑤を忘れていたら「COMPLETE」p.195~p.199、「英語の基本」p.359~p.363)を読むこと。

 

【2.2.8】

<設問>
Q1[L1] for boysの要素は何か。
Q2[L2] his fatherからはじまる文は第5文型だが、OCから生まれるの文の文型は何か。
Q3[L2] his fatherから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 意味上の主語
・L1のit以下は、「仮主語-真主語の構文」。この真主語であるtoV句に対して、意味上の主語が加わっている。「英語の基本」p.383の上に同じ型の例文がある。

Q2 第4文型の受動態
・his fatherからはじまる文は第5文型パターン⑤。第5文型パターン⑤において、OCから生まれる文は受動態だが、その受動態の圧倒的多数は第3文型の受動態である。ところが、当然のように、第4文型の受動態や、第5文型の受動態が生まれることもある。それぞれの例を見よう。
We saw a lady handed a ring by a tall man.
(私たちは、女性が長身の男性から指輪を手渡されるのを見た)
I heard the man called John by a girl.
(私はその男性が少女からジョンと呼ばれるのを聞いた)
本文のOCから生まれる文は次のものである。

  He(S) was(be) taught(Ved) music(O2).

第4文型の受動態である。なお、第4文型の受動態について忘れていたら、「COMPLETE」p.38、「英語の基本」p.42~p.44を参照のこと。

Q3 和訳参照
・このhaveは「~させる」。「彼が音楽を教えられるということをさせない」ということは「彼に音楽を習わせない」ということ。

 

<補足講義>
この文の後半の文は過去完了形になっています。過去完了形を用いる際には、過去の基準時があります(「COMPLETE」p.227の図参照)。この文の基準時はin Father’s childhoodです。その時点を基準にして「祖父は父にそれまで習わせてこなかった」ということを述べているのです。この文の完了形に存在する意味は「経験」(あるいは「履歴」)といった言葉で表せます。「祖父は父に音楽を習わせたという履歴は無かった」、逆に父からすれば、「音楽のレッスンを受けた経験、履歴はなかった」という内容だといえます。
「参考」の部分について少し言及します。ここではまず、

  「have+人+原形、have+物+p.p.」と機械的に覚えているために     

 という記述があります(p.p.とは過去分詞形のことです)。これについて説明します。
「英語の基本」p.351のリストからわかる通り、第5文型で、Vがhaveである場合、Cは原形で始まるまとまりであることもあれば、Ving句、過去分詞形句であることもあります。つまりhaveという動詞は、パターン②、④、⑤で用いられるのです(パターン①でも用いられます)。
そして、Oが人である場合は、Cがパターン②(原形ではじまるまとまり)になることが多く、Oが物である場合は、Cがパターン⑤(過去分詞形ではじまるまとまり)になることが多いのです。そしてこの事実を受けて、少なからぬ文法書、参考書において

 「have+人+原形」「have+物+p.p.」

 と記載されていました(伊藤先生が「解釈教室」の初版を執筆されていた当時の傾向)。
これを受けて伊藤先生は、「そんな単純な問題ではない。Oが人でCが過去分詞形になることもあるし、Oが物でCが原形から始まるひとまとまりになることがある」ということを述べています。
この「参考」の、下から4行目のところに次の文があります。
I have had a very unpleasant thing happen to me.
まずはこの文の文型と和訳を考えてみてください。
現在完了形となっており、Iの次の位置に助動詞haveが存在していますが、第5文型パターン②です。文構造は次の通りです。

I(S) have(丸V) had(V) a very unpleasant thing(O) happen to me(C)

  この場合のhaveの訳はどのようなものだったでしょうか。
「英語の基本」p.353の下にある通り「~させる」「~してもらう」「~される」です。文脈に応じて訳し分けます。
ところがこの文では、どの訳も不適切です。「不愉快なことが私の身に起こらせた」「不愉快なことが私の身に起こってもらった」「不愉快なことが私の身に起こられた」、いずれもうまくいきません。
このような場合はhaveの元の意味から引っ張ります。「英語の基本」p.358の中央の太字部分で、パターン④で用いられたhaveに関して、次のように述べました。

******************
haveは、「持つ」という訳語を出発点に考えたほうがいい場合もあるのです。
******************

 またp.362の下部の太字部分で、パターン⑤で用いられたhaveに関しても、次のように述べました。

******************
haveが用いられた場合は、パターン④と同じように、「持つ」という訳語を出発点に考えたほうが良い例があります。
******************

  そして、これと同じことがパターン②にもあてはまるのです。
この文も、「とても不愉快なことが私の身に起こる(という状況を)持った」という意味だと考えれば、そこから「とても不愉快なことが私の身に起こった」と訳せます。
要するにこの文は、次の文とほとんど同じ意味なのです。
A very pleasant thing has happened to me.
わざわざIを主語にして、第5文型パターン②で表現しているので意味がつかみにくくなっているのです。
以上のことを知れば、この「参考」の部分は特に読む必要はないのですが、念のために「SとPの関係」について説明しておきます。この「参考」の中央付近で、伊藤先生は「O+Cの間のSとPの関係」と述べていますが、これは「OCの部分には文が埋め込まれている」という事実を意味します。     

 

【2.2.9】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン⑤
・「英語の基本」p.360に類例がある。本文はunderstoodに対する修飾語である前置詞句のto only a few highly educated peopleが存在するという点でCが長くなっており、やや難しい。OCから生まれる文は次の通り。
He was understood to only a few highly educated people.
・highly educated peopleの部分は、a very beautiful girlと同じ「副詞 形容詞 名詞」の連なり。
・a fewという表現については「COMPLETE」p.354参照。

 

【2.2.10】

<はじめに>
この文では、ofがやや特別な用法で用いられています。これがわからないと文全体の意味が取れないかもしれません。下にヒントとなる文を示します。
This book is of no use.(この本は訳に立たない) 
※of no use = not useful
このofは名詞を形容詞化するはたらきを持つものです。
「of 名詞」で形容詞になる場合は、上の例のように、あるいは、たとえばof much importance(=very important)などのように、大半の例で、ofと名詞の間に形容詞が存在します。

 

<設問>
Q1[L1] of句の要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 C
・前置詞句のof句が、SVOCのCである文。「第5文型パターン①で、Cが前置詞句である例」は、「COMPLETE」p.41、「英語の基本」p.78で既習。

 

<補足講義>
動詞renderは、「COMPLETE」p.32、「英語の基本」p.33のリストのBに加えるべきものです(書き込んでください)。そのリストの中のmakeとほぼ同じ意味を持ちます。
<はじめに>で述べた通り、このofは、直後の名詞を形容詞的なものにする役割があるので、of interestはinterestingと同等の意味となり、of valueはvaluableと同等の意味になります。
そしてこの文では、interestとvalueが形容詞unusualによって修飾されているので、次のような関係にあるといえます。
of unusual interest and value
= unusually interesting and valuable
本文を型通りに訳せば、「これらのすべてのことが、彼らの発言を、まれにみるほど興味深く、価値のあるものにするだろう」となりますが、伊藤先生の訳では工夫がなされています。

 

【2.2.11】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L2]  whereを1語で書き換えよ。
Q3[L2] usefulはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・OとCの間にasが置かれている。このasについては「COMPLETE」p.34参照。通常、このようなasについては、辞書に記載されている。英和辞典でdefineを引いて、asが表記されていることを確認のこと。

Q2 that
・場所に関する名詞のうち、placeとareaのみは、関係副詞のwhereのみならず関係副詞のthatによっても修飾される。「英語の基本」p.235、「COMPLETE」p.130の図参照。この図の意味が解らなければ、「COMPLETE」でいいので、形容詞節の総復習をすること。

Q3 nothing
・「1語で後ろから名詞を修飾する形容詞」は「英語の基本」p.64~p.65で既習。   

 

 
【「参考」の文】

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。


<解答・解説>
Q1 和訳参照
・伊藤先生の解説部分で、以下のものが示されている。
look on A as B(AをBとみなす)
think of A as B(AをBだと考える)
speak of A as B(AをBだと言う)
refer to A as B(AをBと呼ぶ)
これらは、動詞の後ろに1語が加わっており、正式な第5文型パターン①ではないが、それに類するものとして記憶すること。
これらのように「動詞+α」でとらえなくてはならないものがあるということについては「COMPLETE」p.373~p.374で扱った。

 

【2.2.12】

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。なお、Oである場合は、どのVのOか、Cである場合は、SVCのC、SVOCのCのいずれかも答えよ。
Q2[L1] what節を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 what自体:C(SVCのC)  what節:C(SVOCのC)
・文全体は第5文型パターン①。Cが名詞ではなく名詞節である例。
・what節の訳は「彼がなりがたっていたもの」。≪従位接続詞の一覧表≫のA―1のwhatの②の訳。
・本文のwhat節は意味がやや取りにくい。たとえば、what he saidは「彼が言ったこと」、what he hasは「彼が持っていたもの」。これらのwhatはそれぞれsaid,hasのOであり、意味がつかみやすいが、本文はwhat he had wished to beと長いので、やや意味がつかみにくい。whatはbe ~の~に当たるものである。詳しくは<補足講義>参照。

Q2 彼が(それまで)なりがっていたもの
・このbeは「なる」。beに「なる」という訳語があることについては「COMPLETE」p.166、「英語の基本」p.88で既習。
・このwhat節は過去完了形となっている。過去の基準時はcould not makeの時点。had wishedは「それまでずっと願っていた」の意味。「継続」の意味で取る。つまりこの過去完了は、「COMPLETE」p.227の2つの図の右側のもの。

 

<補足講義> 
本文のwhat節は、やや複雑な構造なので、平叙文を出発点にしてwhat節に至るプロセスをたどってみよう。

******************
He had wished to be X.(彼はXになりたがっていた)
↓ Xを尋ねる疑問詞疑問文
What had he wished to be?(彼は何になりたがっていたのか)
↓ この疑問詞疑問文を名詞節化
what he had wished to be
(訳1<疑問代名詞としての訳>:彼が何になりたがっていたのかということ)
(訳2<関係代名詞としての訳>:彼がなりたがっていたもの)

※疑問詞疑問文を名詞節にする手順を忘れていたら、「英語の基本」p.167、「COMPLETE」p.93参照。
******************

 このうち、本文では「訳2」のほうが適切なので、こちらを選びます。ちなみにこの場合のwhatが「疑問代名詞」ではなく「関係代名詞」だということは「英語の基本」p.183に記してあります。
what節がSVCのCとしてはたいている例は、「英語の基本」p.184の上から3番目にあるのですが、SVOCのCとしてはたいている例はここで初見となります。このように、「COMPLETE」と「英語の基本」を用いながら「解釈教室」を読み込むことにより、お互いがお互いの知識を補いながら、確実に英文法力、英文読解力が付いていくのです。

③ 目的補語の識別

[イントロダクション]
第5文型(SVOC)の文は、「COMPLETE」「英語の基本」で見たようなシンプルなものばかりではありません。SとVの間に修飾語が存在したり、OとCの間に修飾語が存在したりすると、理解しにくくなるものです。
SとVの間に修飾語が存在するという話はChapter1で扱っているので、ここではOとCの間に修飾語が存在する場合について検討します。
「解釈教室」p.31の下半分とp.32の上の7行は2つの用語を除いて、問題なく理解できるはずです。その用語とは、「不完全他動詞」と「完全他動詞」です。それぞれ、次のようなものです。

******************
不完全他動詞→補語が必要な他動詞。つまり第5文型で用いられる動詞。
完全他動詞→Oのみを必要とする他動詞。つまり、第3文型、第4文型で用いられる動詞。
******************

 では、まずはここに目を通してください。

     

【2.3.1】

<設問>
Q1[L1] to boast句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] boasting句の要素を答えよ。
Q3[L2] boasting句は全部で何語か。
※for lack of ~(~がないので) ・群前置詞である

 

<解答・解説>
Q1 B―1(目的格)
・前置詞aboutのOが欠けたままtoV句が終わっている。anythingを意味上、aboutの目的語として解釈する。B―1(目的格)が弱い場合は「英語の基本」p.319~p.323を必ず読むこと。

Q2 C
・SVOCのC。文全体は第5文型パターン④である。

Q3 13語
・群前置詞句のfor lack of anything to boast aboutは、boastingを修飾する。「他に自慢することがないので、(…を)自慢する」という関係。ゆえにこれもboasting句に含まれる。
・前置詞句が前から後ろの動詞を修飾しうるということについては、「英語の基本」p.76の下で述べてあるが、群前置詞句も同じ。
・「英語の基本」p.395で、「動詞修飾語からはじまる準動詞句」のモデル図を見たが、その動詞修飾語は、そこで扱った副詞のみならず、このような(群)前置詞句である場合もある。更に、副詞節である場合もある(この「③ 目的補語の識別」の中で登場する)。

 

【2.3.2】
<設問>
Q1[L1] foundを訳せ。
Q2[L2] todayを訳せ。
Q3[L3] この行では、ある語(X)の後ろに数語(Y)を補える。X、Yを答えよ。
Q4[L3] that=the (   )である。※カッコ内を本文中の語で埋めよ。
Q5[L3] このwhetherは≪従位接続詞の一覧表≫のC―0のものである。ゆえにwhether節は動詞修飾語だが、修飾先の動詞が存在しない。なぜか。

 

<解答・解説>
Q1 思う、考える
・第1文の主節(I found以下)は第5文型パターン①である。この場合のfindの訳は「COMPLETE」p.32、「英語の基本」p.33で示してある通り。

Q2 今日でも
・even todayの意味で読まなければ意味がつながらない。これは難しい。
なお、evenの意味の読み込みが必要な場合がある語の典型例は≪従位接続詞の一覧表≫のC―0のif。「英語の基本」p.239の下に①のみならず②の訳もあることに注意。また、C―3のwhenも同じ。「英語の基本」p.242参照。
・do notとfindの連なりに注意すること。Do not findはdo not thinkと同じで、「…と思わない」「…と考えない」である。これは「思考をしない」というのではなく、「…でないと思う」「…でないと考える」という意味である。意味のうえで、notが否定しているのは、findではなく、findの後ろの部分である。
日本語でも同様の現象が見られる。「僕は鈴木君が来るとは思わない」という文は「思考していない」「頭が働いていない」というのではなく、「来ない」と思っているということである。思考はしているのである。

Q3 X:whether   Y:it is
・itはthe announcer’s faceを受ける。
・「副詞節内におけるSとbe動詞の省略」である。「COMPLETE」p.330参照。
・伊藤先生はit may beの省略であると解説している。もちろんこれも正解。このmayは≪従位接続詞の一覧表≫の後半のCの列の例文の中で用いられるものと同質であり、訳さない。

Q4 face
・同一の名詞の繰り返しを避けるためにthatが用いられている例は、「COMPLETE」p.274で既習。

Q5 本来、the announcer's faceの直後にあるisが、OCの位置に埋
め込まれる際に消去されたから。詳しくは<補足講義>参照。

 

<補足講義>
第2文の、OCの部分を文に戻してみましょう。第5文型パターン①においては、OとCの間にbe動詞を置くと、文に戻るのでした(「英語の基本」p.32参照)。
戻すと次のようになります。

  The announcer's face is, whether that of a pretty young woman or that of a well-known sportsman, a help to better understanding.

 faceの後ろにisを補いました。
さて、この文全体は「SV+挿入された副詞節のwhether節+C(Cであるhelpは、to better understandingによって修飾されている)」です。whether節内に省略されているSとbe動詞を復元させて、上の文を書きなおすと、次のようになります。

  The announcer's face is, whether it is that of a pretty young woman or that of a well-known sportsman, a help to better understanding.

 Q4で述べた通り、thatはthe faceを受けます。よってwhether節の訳は、「アナウンサーの顔が、かわいい若い女性の顔であれ、有名なスポーツ選手の顔であれ」となります。
副詞節のwhether節は動詞修飾語としてはたらくので、上のwhether節は、主節の動詞であるisを修飾します。ただ本文においては、この文が第5文型のOCの部分に埋め込まれる際に、isが消えているので、whether節は「表面上は存在しないisを修飾する」ということになるのです。
なお、この文に対する伊藤先生の解説は、第1文のみを読めば結構です。

 

【2.3.3】

<設問>
Q1[L1] hundreds of peopleを訳せ。
Q2[L2] Iからはじまる文の文型は何か。
Q3[L2] the basesからrestまでを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 数百の人々
・前から訳す。「英語の基本」p.77の「発展」参照。

Q2 第5文型パターン⑤
・Cはdestroyedである。Oが「the bases+関係代名詞節」であり長いので、全体の構造が見抜きにくい。

Q3 ヨーロッパの自由がそこに拠って立ってきたと思われる基盤
・the bases以下を「①の名詞と、②の文」のペアに戻すと次のようになる(なお、先行詞と関係代名詞節の元の関係が、①の名詞と②の文であるということを忘れていたら、「英語の基本」または「COMPLETE」の関係代名詞節のところを再読すること)。
① the bases
② European(名修) freedoms(S) had(丸V) seemed to(丸V) rest(V) on the bases(前と前O→セットで動詞修飾語).

seem toはまとめて助動詞扱い(「COMPLETE」p.168、「英語の基本」p.310参照)。このrestは「休憩する」という意味ではなく、「存在する」「載っている」という意味である(restが状態動詞なので、この過去完了形は継続を表す)。よって、②の文は「ヨーロッパの自由は、その基盤の上に存在してきたように思われる」という訳になる。
これをふまえると、本文のthe basesからrestまでの部分の訳は、「ヨーロッパの自由が、その上に存在してきたように思われる基盤」となるが、たどたどしいので、「ヨーロッパの自由がそこに拠って立ってきたと思われる基盤」などとする。伊藤先生はこれとはまた違った訳にしている。

 

【2.3.4】

<設問>
Q1[L2] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
Q2[L2] causeからはじまる文は第5文型である。OCから生まれる文の文型を答えよ。
Q3[L2] asを訳せ。
Q4[L2] as節はどこを修飾するか。
※be incapable of ~(~ができない)

 

<解答・解説>
Q1 areとcause

Q2  第2文型
・中心部分がThey become incapable …である文が生まれる。ただし、本文ではTheyとbecomeの間にas節が存在しているので、この中心部分をつかみにくい。
・cause以下の大まかな内容は、「成長した時に、彼らが~できなくなるということを引き起こす」。
・なおcauseは「COMPLETE」p.192のリストにある。

Q3 時(に)  
・asの「時」という訳語については「COMPLETE」p.160、「英語の基本」p.287参照。

Q4 to become
・「成長した時に(できなく)なる」のである。このようにas節がto becomeを修飾するので、このas節もto become句の一部である。例文2.3.1で「群前置詞句からはじまるtoV句」を見たが、このto become句は「副詞節のas節から始まるtoV句」である。

 

<補足講義>
この文の主語はtoo much travelとtoo much variety of impressionの2つです。通常、主語が2つある場合は、その間にandを置くのですが、ここではカンマを用いています。これはなぜでしょうか。
仮にA and Bとすると「AとBは」という意味になり、「他はない」という含みが生じえます。たとえば、

 A) 昨日のセリーグの試合では、阪神と中日が勝った。

と言われたら、昨日のセリーグの試合は2試合だったか、またはもう1試合は引き分けだったと思うはずです。
ところが実はもう1試合あり、ヤクルトが勝っていたとしたら、A)を聞いた人は、「なんだよ、阪神と中日以外にも勝利チームがあるじゃないか」と思うはずです。
このように、日本語の「AとB」という表現や、英語のA and Bという表現は、他のものを排除しうる表現なのです。
ところが次のように聞いたら、A)とは少し印象が異なるはずです。

 B) 昨日のセリーグの試合では、阪神や中日が勝った。
C) 昨日のセリーグの試合では、阪神が勝ったり、中日が勝ったりした。

 他にも勝利チームがあった可能性が残ります。
英語ではandを用いずにカンマを用いると、B)やC)のようなニュアンスになります。
さて本文に話を戻しましょう。仮に、この世で「子供のためにならないこと」が、too much travelとtoo much variety of impressionsの2つだけだったら、本文の筆者はtravelの後をandとしたはずです。 
ところが、これらの他にも子供のためにならないことはたくさんあります。よってandを用いてしまうと、その事実に反して「この2つのみ」というニュアンスになってしまいます。それを避けるために、筆者はカンマを用いたのでしょう。
そして、伊藤先生もそれをふまえて、「あまり旅行をさせすぎることと、あまりに多様な印象をあたえることは」という訳にはしていません。「と」を用いずに、「~たり、~たり」としているのです。

 

【2.3.5】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型を答えよ。
Q2[L1] instinctivelyはどこを修飾するか。
Q3[L1] as節はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン④

Q2 noting
・「本能的に注目する」のである。<補足講義>も参照のこと。

Q3 noting
・「歩きながら注目する」のである。<補足講義>も参照のこと。

 

<補足講義>
文全体は第5文型なので、myself以下は文が成立します。パターン④なのでbe動詞(was)を補い、次の文が成立します。
I was instinctively as I walked noting the color of a leaf.
伊藤先生の解説の2行目に「myself(O)...nothing(C)の枠が決まると、解釈が変わって、instinctivelyもas...も、この枠の中で働く」とありますが、これは、「上のようにOCから成立した文の内側にある修飾語が、この文の世界を飛び越えて、他の部分との関連を持つことはない」という意味です。instinctivelyやas節が、この文の外側にあるfoundを修飾するということはないのです。
次にinstinctivelyとas節のそれぞれが、この文の内側のどこを修飾するか考えましょう。
まずinstinctivelyですが、これは副詞なので動詞を修飾しますが、修飾される動詞はwalkedではありません。なぜなら、従属節(ここではas節)の外側にあるものが、従属節の内側の動詞を修飾するということはないからです。するとnotingを修飾する以外にありえないということになります。
次にas節ですが、この文全体は、「主節の内側に、副詞節のas節が存在する」という構造です。as節の前後にカンマがないので、「COMPLETE」p.324の2例と比べると、文全体の構造がややつかみにくいはずです。
ただ、カンマやカッコでくくられていようが、そうでなかろうが、副詞節が主節の動詞を修飾するという事実は変わりません。主節の動詞はnotingです。as節はnotingを修飾するのです。

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Chapter3 that節

① 名詞節と接続詞

[イントロダクション]
「解釈教室」のp.36を開いてください。Chapter3のタイトルは「that節」です。多くのthatの用法を眺め、判別の方法を探る、というのがこのChapterの趣旨です。
さて、上で「多くの」と述べましたが、that節にはどのようなものがあるのでしょう。ここで≪従位接続詞の一覧表≫を見て、thatが全部で何か所にあるかを数えてみてください。
A-0、B-0、C-0、D-0、そして、B-1の、全部で5か所にあります。ということは、文中でthat節に接したら、これらのうちのどれかを判別しなくてはならないということになります。
更に、「so … that構文のthat」「such … that構文のthat」「強調構文のthat」「代名詞のthat」「形容詞のthat」などである可能性もあり、thatという語は実に厄介なものです。だからこそ、この「解釈教室」でも15章のうちの1章をまるごとthatに充てられているのです。
p.36~p.37の解説部分は特に読む必要はありません。

 

【3.1.1】

<はじめに>
本文L1~L2のthe necessary experience to writeは、「書くための必要な経験」と訳せます(ここから工夫して伊藤先生は「ものを書くのに必要な経験」と訳しています)。このto writeを≪準動詞句の一覧表≫のどれと考えるかは難しい問題なのですが、1周目では≪準動詞句の一覧表≫のB―1の「同格」と同類のものだと考えます。
なお、同格のtoV句に「ための」という訳語が当てられることがあるということについては「英語の基本」p.316、「COMPLETE」p.172参照で述べました。
ここでも1つ例を挙げておきます。
We must take somesteps to help them.
(我々は彼らを助けるための何らかの手段を講じなくてはならない)

 

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1]  in order to gain句の終点の語を答えよ。
Q3[L1]  in order to gain句はどこを修飾するか。
Q4[L3] itが指すものを英語で答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 A-0
・that節はimagineのOとしてはたらいている。

Q2 write 
・gainのOであるexperienceはto write句によって修飾されているので、このto write句もin order to gain句に含まれる。

Q3 travel and see
・このin order to gain句は、≪準動詞句の一覧表≫のC-1の一種なので、動詞修飾語としてはたらく。動詞修飾語としてはたらくtoV句は、前方の動詞も、後方の動詞も修飾できるのだが(「英語の基本」p.335の図、「COMPLETE」p.179の図参照)、この本文では、前方のimagineを修飾する可能性はない。なぜなら、that節の内部に存在する修飾語が、that節のワクを飛び越えて、主節のVを修飾することはないからである。このことを述べているのが、「解釈教室」p.37の、下部のワクの中の②である。その部分にある「M」は「修飾語」という意味である。ちなみに、そのMがカッコでくくられているのは、「この位置に修飾語が存在することもあれば、存在しないこともある」ということを示す。
・「英語の基本」p.156の下にある4例のように、thatの後ろに修飾語が存在せずに、すぐにSVが存在する例もあれば、本文のように、thatとSVの間に修飾語が置かれることもあるのである。そして、その修飾語は、後ろにあるV(または文全体)を修飾するのである。伊藤先生は上掲の②のところで「つまり節中の動詞にかかることになる」と述べているが、そのMは、動詞修飾語ではなく、文修飾語である可能性もあることに注意をしなくてはならない。
・本文のthat節内部の構造は、「修飾語(in order toV句) + they must A(travel) and B(see) ……」。修飾語のin order toV句は、Aであるtravelのみならず、Bであるseeをも修飾する可能性も考えなくてはならない。意味上、両方を修飾すると考えるのが自然。伊藤先生の解説では「must travelにかかる」とあるが、seeにもかかるということに注意。

Q4 in order to gain the necessary experience to write, they must travel and see the world
・itが受けるのは単語だけではない。句や節や文も受ける。但し、前文全体を受ける場合は、thisかthatを用いることが多い。

 

  
【3.1.2】     

<設問>                     
Q1[L1] nowadaysはどこを修飾するか。       
Q2[L1] when節は≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。    

 

<解答・解説>
Q1 hear
・nowadaysは、「now+a+days」が合わさった語だが、副詞である(辞書参照)。
・nowadaysがwhen節の枠の中に入り込み、talkを修飾することはできない。従属節の外側にある語が、従属節の内側を修飾するということはありえないからである。よって、when節の終わりを待ち、hearの登場を確認し、これに対して修飾させる(あるいはthey以下の文全体と修飾すると考えてもよい)。

Q2 C-3
・このwhen節もhearを修飾する。
・that節内部の構造は「副詞(nowadays)+副詞節(when節)+SV…」。
SV…の登場までが長い。待たねばならない。
・なお、伊藤先生はこのwhenを「~しても」と逆接で訳しているが、「~の時に」でも問題はない。なお、whenに逆接の意味があるということは、例文1.4.4のところで触れた。

 

<補足講義>
第1文の直訳は、「あなたはおそらく、現代では、大学に通う年頃の若い男女に話しかけた時に、あなたのことをよく聞いていないということに気づいたことがあるでしょう」となります。
本文のhave noticedは現在完了形ですが、これは「経験」の意味が感じられる例です。だからこそ「ことがある」と訳せるのです。

 

【「参考」の文】

<設問>
Q1[L1] thatの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 代名詞
・このthatの後ろには「SV…」が存在しない。よって従位接続詞だと考えることはできない。このthatは前文を指す、「そのこと」という意味の代名詞である。noticedの目的語としてはたらいている。

 

【3.1.3】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] persuadeの意味を答えよ。
Q3[L1] that節の終点の語を答えよ。
Q4[L2] to dinner句はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 第4文型の受動態
・persuadeは、第5文型パターン③で用いられている例を「英語の基本」p.355で見ているが、「第4文型でO2がthat節」という用法もある。この場合は、以下のA)のみならず、B)の意味もあることに注意。

  A) I persuaded her that she should go there.   
(私は彼女にそこに行くように説得した)   
B) I persuaded her that he was honest.    
(私は彼女に彼が正直だと信じさせた)  

 本文はB)の意味であり、文が受動態になっている。
・文全体が第4文型の受動態で、O2がthat節である例は「英語の基本」p.156の一番下にある。また、p.157にはその構造図もある(3つ目)。

Q2 信じさせる、納得させる
・文の直訳は「多くの人は~を確信させられている」だが、伊藤先生は工夫して「~と信じている人は多い」としている。

Q3 year
・このthat節は「that+if節+SV…」という構造。SV…の前にif節が置かれているので、SV…の登場までを待たねばならない。

Q4 sit
・「食事に向けて座る」と訳すと、少したどたどしいので伊藤訳のようにする。

 

② that節-名詞節

[イントロダクション]

 ①で扱ったthat節は、≪従位接続詞の一覧表≫のA―0のものでした。このうち、Oとしてはたらく例を見たのですが、A-0のthat節は、SやCや前置詞のOとしてもはたらきます。「英語の基本」p.154の上の図、「COMPLETE」p.89の図の通りです。
また、既に確認した通り、thatは≪従位接続詞の一覧表≫において、A―0のみならず他の箇所にもあります。この②では、「Oとしてはたらくthat節」も含め、更にいろいろな用法を見ていきます。

 

【3.2.1】

<設問>
Q1[L1] in句はどこを修飾するか。
Q2[L1] aからはじまる文の文型は何か。
Q3[L2] thisは何を指すか。
Q4[L3] overを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 are
・文頭の前置詞句は、後ろのSVのVを修飾する。「英語の基本」p.76下部参照。なお、後ろの文全体を修飾すると考えることも可能。

Q2 第2文型
・that節がCとしてはたらいている。

Q3 前文
・inからindividualisticまでを指す。

Q4 ~以上の

 

【3.2.2】

<設問>
Q1[L1]  the truth以下の文型を答えよ。
Q2[L2] onlyの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第2文型
・that節がCとしてはたらく。ただ、この文は「the truth(S) is(V) that節(C)」と考えるのではなく、「the truth is that」までをひとまとまりの成句(意味は「実は」)と考えてしまうのが一般的。本文の前の3行ではそのことを述べられている。

Q2 副詞
・「名詞修飾語としてはたらく副詞」である。「英語の基本」p.84参照。

 

<補足講義>
例文の下のcf.は、「比較せよ」「参照」という意味です。このcf.では、「本文と同じ内容は、このようにも表現できる」ということが指摘されています。つまり、「実はSVだ」ということを述べたい場合は、In truth , SV….と表現してもいいということが示されているのです。
ちなみに、「解釈教室」p.41の最後の5行とその次のページの上の3行では、the truth is thatと同類の成句が挙げられています。またThe fact is, …というようにthatが省略されうるということについても言及されています。なお、Cとしてはたらくthat節のthatの省略については「COMPLETE」p.326で扱ってあります。その例でもカンマが置かれています。確認してください。

 

【3.2.3】

<はじめに>
ここではまず、例文の前にある解説(p.42の4行目からの8行)を読んで下さい。  
★★★
以下の文を見て下さい。

  A) S said that S1 V1 and that S2 V2.  

 この表現において、andが2つのthat節を結んでいるということは明白です。S1 V1も、S2 V2も、ともにsaidの目的語なのです。
ところが、次の表現になると2通りの解釈がありえます。

  B)  S said that S1 V1 and S2 V2.  

  この表現の1つの解釈の可能性は、A)と同じ解釈です。ただ、2番目のthatが省略されています(従位接続詞の一覧表のA-0のthatは、頻繁に省略されるのです)。  
ところがB)には、もう1つの解釈の可能性があります。それは、andが「S said」と、「S2 V2」を結んでいるという解釈です。
この2通りの解釈のうち、どちらなのかは、意味から判断するしかありません。具体例を挙げます。それぞれの文の意味を考えてみて下さい。

  C)  Tom said that his father was dead and his mother was alive.
D)  Tom said that his father was dead and he cried.

  C)は「トムは、彼の父親が死に、母親は生きていると言った」と解釈するのが自然です。言った内容は2つです。andがその2つを結んでいるのです。his mother was aliveの部分の前には、接続詞thatが省略されています。
一方D)は、「トムは、父親が死んだと言い、そして泣いた」と解釈するのが自然です。andはTom saidとhe criedを結んでいるのです。
このように、同じ「S said that S1 V1 and S2 V2.」という表現でありながら、2通りの構造でありうるのです。そして、どちらなのかは文の意味から判断します。
そのことを指摘しているのが、伊藤先生の、例文の前の解説の最終行、 「文の内容が優先すると考えるのがよい」という言葉の意味なのです。
以上をふまえたうえで、例文の上にある、伊藤先生の8行分の解説を改めて読んで下さい。

 

<設問>
Q1[L1] enjoying句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)を補える。XとYを答えよ。
Q3[L2] that節の要素を答えよ。
Q4[L2] be indifferent to ~を訳せ。
Q5[L3] ourから文末までを訳せ。
Q6[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1  A-2
・前Oとしてはたらいているので動名詞。
・「~の才能」はgift for ~と表現する。これについては<補足講義>で詳しく述べる。

Q2 X:think  Y:that
・Oとしてはたらくthat節のthatの省略は「COMPLETE」p.326で既習。

Q3 O
・thinkのOである。仮に1つ目のthatが省略されていなければ、きれいなthat節の並列になり、2行目のthat節がOだと見抜きやすくなるのだが、Q2で扱った通り、本文では省略されている。

Q4 ~に無関心である

Q5 和訳参照
・callは、call A to Bという形で用いられると「AにBを喚起する」「AにBを引き付ける」「AにBを呼び覚ます」という意味となる。これの受動表現。themはもちろんbeautiful thingsを指す。

Q6 L1のweとall。
・同格関係にあるものは隣接しているとは限らない。「COMPLETE」p.335の2つ目のワクの中の例文参照。

 

<補足講義>
the gift for enjoying beautiful thingsの部分について補足をします。このgiftは、「能力」「才能」という意味なのですが、能力である以上、何かの能力です。何の能力かは、「for+~」(または「of+~」)を後ろに置くことによって表現されます。
1つ例文を見ましょう。

  She has a gift for music.(彼女には音楽の才能がある)

 この文では、forの後ろは名詞musicですが、「~の能力がある」という内容ではなく、「~する能力がある」という内容を表現したい場合もありえます。その場合は、forの後ろに動詞をing形にして置きます。例を見ましょう。

  She has a gift for creating beautiful rings.
(彼女には美しい指輪を創作する能力がある)

 本文も、この「gift for Ⅴing」のパターンなのです。
なお、この「前置詞+動詞のing形」という連なりについては、「英語の基本」p.312の中央で詳しく扱っています。

 

【3.2.4】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] このevenの品詞を答えよ。
Q3[L3] andは、前方にあるいずれかのSV …と、their criticism was …を結ぶ。そのSVはSome agreedか、それともyoung people wereか。
Q4[全文] この文にはどこかに「部分否定」が存在する。どの語とどの語のペアか。
※be critical of ~(~を非難[酷評]する)

 

<解答・解説>
Q1 D-0
・「sure+that節」は「COMPLETE」p.140、「英語の基本」p.248で既習。

Q2 副詞
・「英語の基本」p.84参照。なおevenは形容詞でもある。意味は「平らな」「均等な」「偶数の」など。辞書参照。

Q3 young people were
・<はじめに>で次のように述べた。

******************
「このように、同じ「S said that S1 V1 and S2 V2.」という表現でありながら、2通りの構造でありうるのですが、どちらの構造で解釈するかは、文の意味から判断するしかありません。
******************

 本文がまさにその例。文脈から判断するしかない。本文ではandの後ろにthatが存在しないものの、their criticism was …は、that節であるthat young people were …と並列で読むべき例。意味から考えて、こちらの解釈以外にありえない。

Q4 not altogether
・部分否定については「COMPLETE」p.355で既習。

 

【3.2.5】

<はじめに>
この例文3.2.5においては、例文の前に11行の解説があります。ここは、例題編の最後に解説します。
例文3.2.5の中のconvinced は、本来は過去分詞ですが、もはや辞書に「~を確信している」という意味の形容詞として記載されています。ここでも、形容詞と考えます。

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] explanationの後ろにはthatが省略されているが、これは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L2] of句はどこを修飾するか。また、このofの訳を答えよ。
Q4[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 D-0
・形容詞修飾語としてはたらくthat節。「英語の基本」p.247の下のワクの③の例。「COMPLETE」p.139の下のワクでは、これを「その他」としたが、「英語の基本」では「対象」という言葉で詳述した。「英語の基本」p.248を必ず再読のこと。

Q2 B-1
・giveのOが欠けている。よって省略されているthatは目的格の関係代名詞である。

Q3 explanationまたはgiveを修飾する。ofは「~について(の)」
・explanationからabilityまでの訳は、ofがexplanationを修飾すると考えた場合は「自分の目的と能力についての、芸術家が与えることのできる説明」となり、abilityを修飾すると考えた場合は「自分の目的と能力について、芸術家が与えることのできる説明する」となる。どちらでもよい(伊藤先生は後者)。
・いずれにしても、ofはaboutの意味。

Q4 Iとmyself
・「COMPLETE」p.335で類例(the king himself)を扱った。

 

【3.2.6】

<はじめに>
この文の上には7行の解説がありますが、例題編の最後に解説します。すぐに例文に入ります。
この文のflatteredは本来は動詞ですが、「得意になって」という意味の形容詞だと考えます。

 

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] becauseは群前置詞の一部か、それとも従位接続詞か。
Q3[L2] mostの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 D-0
・that節は、感情を表す形容詞flatteredを修飾する。このthat節は「COMPLETE」p.139の下のワク、「英語の基本」p.247の下のワクの①の例。
・伊藤先生の解説では「flattered+by ~」の例が示されています。得意になった原因が「SV」ではなく、名詞であればflatterの後ろに「by ~」を置く。

Q2 従位接続詞
・一見すると群前置詞のbecause of(「COMPLETE」p.53のリスト参照)だが、後ろにI admiredというSVが存在するので、従位接続詞だと考えを改める。つまり「because of」のまとまりで読むのではなく、「because+of all the other girls+SV…」という区切りで読む。
・このofは「COMPLETE」p.278の下から2つ目のワクで既習。文例もp.279にある。但しその例ではof句が文末にあるが、本文では、because節内の文頭にある。文頭にある前置詞句なので、動詞のadmired(あるいは後ろの文全体)を修飾する。

Q3 副詞
・このmostは「COMPLETE」p.295の下のワクの⑥の例。例文をp.296で確認のこと。
・原級に戻すとmuchとなる。このmuchはadmiredを修飾する。

 

【3.2.7】

<はじめに>
この文の上には、4行の解説があります。まずはここは読んで下さい。★★★
さて、この内容を「英語の基本」のp.247の下のワクと照らし合わせてみることにします。
伊藤先生は、that節によって修飾される形容詞を、「認識を示す語」と「意欲や感情を示す語」に分けています。「英語の基本」では、「感情」「判断」「対象」の3つです。分け方は異なりますが、ほぼ同じことを言っています。
この伊藤先生の解説部分では、法助動詞should,mightの存在について触れられています。形容詞修飾語としてはたらくthat節の内部にこれらの法助動詞が存在することがありますが、これらは訳しません。Shouldを「べき」「はずだ」、mightを「かもしれない」「してよい」などとは訳さないのです。

 

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] aを1語で書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 D-0
・「COMPLETE」p.139の下のワク、「英語の基本」p.247の下のワクの③の例。

Q2 per
・a weekは「1週間につき」の意味で解釈しなくてはならない。このweekは動詞earnedを修飾する。名詞の副詞的用法である(「英語の基本」p.83参照)。
・なおperを用いた場合は、perが前置詞なので、weekは前Oとなる。

 

【3.2.8】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] an heir to the throneを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 D-0
・これも「COMPLETE」p.139、「英語の基本」p.247の③の例。
・that節内部のshouldは訳さない。

Q2 王位継承者、王位後継者
・成句的表現。英和辞書でheirを引くと、必ずといってよいほど記載されている。
・heirの読みは、音の出る電子辞典か、ネットサイトで確認のこと。

 

【3.2.9】

<はじめに>
例文の上に5行の解説がありますが、ここは例題編の最後に解説します。

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] a slender acquaintance with the worldを訳せ。
Q3[L2] actions, not wordsを、意味を変えないまま、1語増やして書き換えよ。なおnotで始める。
Q4[L2] standard of judging …と同じ構造を持つ表現が記載されている「COMPLETE」のページを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 第4文型
・(every) manがO1で、that節がO2。文全体の直訳の型は「SはO1にO2(that節)を確信させるに違いない」だが、Q2で問われているSの部分をうまく工夫して訳し、また、文全体をも工夫したのが伊藤先生の訳。
・この文のmustは「~しなくてはならない」という意味ではなく、「~に違いない」。「COMPLETE」p.239の表参照。この意味が弱ければp.238の例文も参照のこと。

Q2 和訳参照
・直訳は「世界に関する少しの知識は」だが、ここから工夫する。
・withが、「~に関する」という意味だということを知らないと、そもそも意味がとりにくい。なおこの表現はChapter8の④で扱う「名詞構文」を知った後だと訳しやすくなる。

Q3 not words but actions
・この表現は「COMPLETE」p.346で既習。

Q4 p.338
・「名詞+同格のof+Ving句」という連なりは、「名詞+同格のtoV句」とセットにしてとらえること。そのページで述べてあるが、名詞ごとにどちらを取るかが決まっている。両方を取れるもの、両方を取れるが意味が違うものなどもあり厄介だが、まずはこの2つの型があることを記憶すること。

 

【3.2.10】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] satisfyを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 第4文型
・that節がO2としてはたらいている。

Q2 納得させる、確信させる
・satisfyという動詞の最も典型的な用例は、第3文型で「~を満たす、~を満足させる」という意味で用いるものである。ところが「第4文型で用いられ、O2がthat節」という用法もある。この場合は「O1にO2を納得させる、確信させる」という意味となる。
以下のような例文が『ジーニアス英和辞典』にある。

  She satisfied me that my watch was a little fast.  
(私の時計が少し進んでいることを彼女は私に納得させた)

 この用法がわかっていれば、本文は解釈が可能となる。
この文では、O1が「oneself」なので、「Sが自分自身に~を納得させ
る、確信させる」という意味になり、ここから「~を確かめる」という
訳が出てくる。

 

③ 名詞節+that節

[イントロダクション]
このChapterの①と②では、《従位接続詞の一覧表》のA-0、D-0の that の例を見てきましたが、この③では、Bの列のthat、つまり名詞修飾語としてはたらくthat節を見ることにします。
まずは《従位接続詞の一覧表》のBの列を見て下さい。
ここには、B-0とB-1の2箇所にthatがあります。
B-0は同格/関係副詞のthatであり、B-1は関係代名詞のthatです(「英語の基本」p.211の中央にある表も参照のこと。この2つのthatを比較しています)。
この2種類があるので、文中で名詞修飾語としてはたらくthat節に出会った場合、これがB-0とB-1のいずれなのかという問題に直面します。これを考察していくのが、この③の内容なのです。
まずは「英語の基本」p.235の表を見て下さい。
一番上の部分を見ればわかる通り、すべての名詞は、関係代名詞のthat節によって修飾されます。関係代名詞thatの具体例を確認したければ「英語の基本」のp.202~p.203、p.207、p.210を参照してください。
一方で、「何がどうする?」という疑問が生じる名詞は、同格のthatあるいは関係副詞のthatによって修飾されます。このことは「英語の基本」p.235の表の、2行目からも確認できます。例文は「英語の基本」p.194とp.199にあります。「COMPLETE」ではp.111、p.116です。 
以上から、「何がどうする?」という疑問が生じる名詞は、関係代名詞のthatによっても、同格/関係副詞の thatによっても修飾されるということになります。
すると、「何がどうする?」という疑問が生じる名詞の後ろに置かれた that節は、関係代名詞のthatなのか、同格/関係副詞のthatなのかを判別しなくてはならないということになります。
判別の仕方を考えていきましょう。次の3例を見て下さい。

  A) the news that Ken died
B) the news that I heard   
C) the news that spread very fast  

いずれも「何がどうする?」という疑問が生じる名詞であるnewsが、that節によって修飾されています。これらのthatが同格/関係副詞のthatなのか、関係代名詞のthatなのかを見抜かなくてはならないのですが、判別のためには、節の内部を見る必要があります。
同格/関係副詞のthatが形成する節と、関係代名詞のthatが形成する節では、それぞれの内部構造が異なるのです。
これについて説明しましょう。
B-0のthat、つまり同格/関係副詞のthatは、《従位接続詞の一覧表》からわかる通り、それ自体は、どの要素にもならないのです。そして、0番の行の接続詞によって形成される節は、「接続詞よりも後ろの部分の文は、完全な文である」という事実があるのでした。接続詞より後ろの部分は、文として独立させて問題ないものなのです。例文1.4.5の<はじめに>のところで述べた通りです。このことは、0番の節を形成するプロセスを復習すれば明白です。たとえば「英語の基本」p.192、「COMPLETE」p.110などで、同格のthat節を作りましたが、この際には②の文の前にthatを置いただけでした。②の文にはいっさい手を加えていないのです。ということは、thatの後ろには、完全なままの文が存在することになります。  
一方、関係代名詞のthatは、一覧表のB-1です。1の行のものは、それ自体がS、C、O、前置詞のOのいずれかとしてはたらくのです。「英語の基本」p.211の上の図で必ず確認して下さい。  
「それ自体がS、C、O、前置詞のOのいずれかとしてはたらく」ということは、別の言い方をすれば、「節の内部において、接続詞より後ろの部分に、S、C、O、前置詞のOのいずれかが欠けている」ということになります。よって、「何がどうする?」という疑問が生じる名詞の後ろに置かれたthat節が同格/関係副詞のthat節なのか、関係代名詞のthat節なのかを見抜くには、「その後ろが、完全な文であるか否か」を見極めればいいということになります。
これがわかったうえで、上のA)~C)を検討しましょう。
A)においては、thatの後ろのKen diedという部分が完全な文、独立した文です。よってthatは同格のthatだということになります。訳は「ケンが死んだというニュース」となります。that節はニュースの内容です。
B)においては、thatの後ろにおいて、動詞heardの目的語が欠けています。よってthatは目的格の関係代名詞だということになります。訳は、「私が聞いたニュース」となります。
C)においては、thatの後ろにいきなり動詞があります。主語が欠けています。よってthatは主格の関係代名詞だということになります。訳は、「とてもはやく広まったニュース」となります。  
このように、「名詞+that節」においては判別が必要なのですが、注意しなくてはならないことは、ほとんどの名詞においては、この判別は必要ないということです。
なぜなら、英語の世界に存在する、無限ともいえる数の名詞のうち,「何がどうする?」という疑問が生じる名詞は、ほんの一部だからです。
代表例を「英語の基本」のp.235の表に挙げましたが、これも含めてせいぜい数百個です。よって、文中で明らかに「何がどうする?」という疑問が生じると思われる名詞に出会った時だけ、同格/関係副詞のthatなのか、関係代名詞のthatなのかを見抜く必要があるのであり、それ以外の名詞、たとえばappleやmelonやbirdやtsuchinokoなどを修飾するthat節は、関係代名詞以外にありえないのです。判別など必要になりません。  
以上がわかれば、「解釈教室」p.47~p.48の解説が理解できるので、これより読んでほしいのですが、1点注意をしておきます。
「英語の基本」「COMPLETE」では、同格のthatは「名詞を修飾する」と考えて、形容詞節として扱いました(だからこそ《従位接続詞の一覧表》のBの列にあるのです)。ところが同格のthat節は、一般的には名詞節として扱われます。伊藤先生もp.47の最終行で、「同格名詞節」と呼んでいます。このことについては「英語の基本」p.200の上の《参考》のところに書いておいたので、まずはその部分を読み、そのうえで「解釈教室」p.47~p.48上部を読んで下さい。それを終えたら例文に入ります。

 

【3.3.1】

<設問>
Q1[L1] thatの要素を答えよ。
Q2[L1] thatを1語で書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 O2
・you give their brothersは「S+V+O1」である。O2が欠けているので、thatがO2だと判断する。  

Q2 as
・「COMPLETE」p.159、「英語の基本」p.286参照。

 

【3.3.2】

<設問>
Q1[L1] in spite of ~を訳せ。
Q2[L1] the difficultiesからcivilizationまでを訳せ。
Q3[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q4[L3] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 ~にも関わらず
・群前置詞である。「COMPLETE」p.53のリスト参照。

Q2 工業文明が直面している困難
・thatは主格の関係代名詞なので、「工業文明に立ちはだかっている困難」が直訳だが(confrontは「~に立ちはだかる」)、伊藤先生はここを工夫して、「工業文明が直面している困難」と訳している。直訳でも問題はない。

Q3 B-0
・possibilityは「英語の基本」p.235のグループ1のリストに存在する。そして、本文ではstabilizationからachievedまではS、C、O、前置詞のOの欠けがない完全な文である(文型は第3文型の受動態)。よってこのthatは同格のthatである。
・「possibility+同格のthat節」は「英語の基本」p.194と「COMPLETE」p.111にある。

Q4 B-0
・同格のthat節がandによって並置されている。war can be avoidedも第3文型の受動態。

 

【3.3.3】

<はじめに>
「英語の基本」「COMPLETE」では、多くの形容詞節、形容詞句(「形容詞句」という言葉については「英語の基本」p.348の表のBの列の上を参照のこと。前置詞句も、名詞修飾語としてはたらくものは「形容詞句」です)を見ましたが、いずれの形容詞節、形容詞句も、修飾される名詞と隣接していました。つまり形容詞節、形容詞句は、名詞の直後にありました。ところが離れることもあるのです。
次の例を見て下さい。hypothesisは「仮説」です。「英語の基本」p.235にもあります。また、B)のpaperは「論文」です。

  A) I support the hypothesis that the moon is a big stone.     
(私は、月は大きな1つの石だという仮説を支持している)
B) I support the hypothesis in Tom’s paper that the moon is a stone.(私は、月は大きな1つの石だというトムの論文の中の仮説を支持している)  

 thatの後ろは完全な文なので、これらのthatは同格のthatなのですが、B)においては、hypothesisがin Tom’s paperによって修飾されているので、修飾される名詞hypothesisと、修飾するthat節が離れています。     
次に以下の2文を見て下さい。

  C) I danced with a boy called Tom.
D) I danced with a boy with blue eyes called Tom.

 いずれの文においても、名詞修飾語としてはたらくVed句のcalled Tomが存在します。C)では、修飾されるa boyとVed句は隣接していますが、D)ではboyの直後にwith blue eyesという前置詞句があるので、a boyとVed句が離れています。  
このように「修飾される名詞と、これを修飾する節/句の分離」に気をつけながら読まなくてはならない例もあるのです。
このことをふまえたうえで<設問>に挑んでください。

 

<設問>
Q1[L1] during the Middle Agesはどこを修飾するか。
Q2[L1] theoryに対する修飾語は全部でいくつあるか。なお、theは修飾語に含めない。
Q3[L2] named句はどこを修飾するか。
Q4[L3] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 clung
・文頭の前置詞句は、後ろのSVのVを修飾する(あるいは、後ろの文全体を修飾する)。

Q2 2つ
・直後のof a Greek philosopher …という前置詞句と、L3のthat節。
・なおphilosopherが、直後のof句とnamed句の2つによって修飾されているので、L2の先頭のofからはじまる前置詞句が長い。L3のカンマは、「ここでof句がようやく終わる」ということを示している。

Q3 philosopher
・of the second century A.D.を飛び越えてphilosopherを修飾する。これは意味から明らかである。

Q4 B-0
・内部の文型はSVC。完全な文である。
・被修飾語であるtheoryと離れている。

 

<補足講義>
この文の全文訳は、「中世の間、天文学者は、地球は宇宙の固定された中心であるという、紀元2世紀のトレミーという名のギリシアの哲学者の説にしがみついていた」となりますが、伊藤先生は工夫して、「中世の間、天文学者は」を「中世の天文学者」とし、「トレミーという名のギリシアの哲学者」を「ギリシアの哲学者(名はトレミー)」としています。

 

【3.3.4】
<設問>
Q1[L1] inの訳を答えよ。
Q2[L1] thisとthat節は同格だが、これは「COMPLETE」p.334の上で示した3種類の同格のうちのどれか。

 

<解答・解説>
Q1 ~という点で
・「COMPLETE」p.90、「英語の基本」p.157で既習。

Q2 1 本来の同格
・≪従位接続詞の一覧表≫のB―0の「同格のthat節」は、形容詞節である。ところがこのthat節は、名詞thisの言い換えなので名詞節。
・この文ではまずthisで「このこと」と言い、直後にthat節で「みな1日に24時間を持っているということ」と具体的に述べている。

 

【3.3.5】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。(難) 文全体の意味もつかみにくい。takeは「取る」ではない。
※be acquainted with ~(~を知っている)

 

<解答・解説>
Q1 第3文型
・<補足講義>参照

 

<補足講義>
この文はI take it の部分で、「私はitだということを考える」という意味ですが(takeには「思う」「考える」という意味があります。辞書参照)、このitが何なのかは、その後ろのthat節が示しています。これは「形式目的語-真目的語の構文」です。
この構文の大部分のものは、文全体が第5文型パターン①です。「COMPLETE」p.363の一番上のワクの中にある2例も、「英語の基本」p.291の下から2つ目のワクの中にある2例も第5文型パターン①です。ところが、この文は第3文型です。「SVO(仮目的語)+真目的語のthat節」という構造です。類例は「英語の基本」p.291の下の「発展」にあります。その「発展」の部分に、この文を書き足しておくといいでしょう。   
このように、本文のthat節は目的語としてはたらくので、thatは《従位接続詞の一覧表》のA-0のものだということになります。   
伊藤先生の解説部分のcf.は、この「形式目的語-真目的語の構文」に関する成句です。「see to it that ~(~するようにする、~するように取り計らう)」と、まとめて記憶してしまうべきものです。  

 

【「参考」の第1文】

<設問>
Q1[L1]  thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 B-0(関係副詞)
・「the year+関係副詞のthat節」は「英語の基本」p.234、「COMPLETE」p.114で既習。

 

④ that節-副詞節

[イントロダクション]
まずは《従位接続詞の一覧表》を見て下さい。この表の中にある5種類のthatのうち、これまでにA-0、B-0、B-1、D-0の例を見てきました。  
この④では、残りのC-0の例と、「英語の基本」p.292~p.293で扱った、soやsuchとの関連でとらえるものの具体例を見ていきます(「英語の基本」p.292~p.293が未読の場合は、必ず読んでください)。
ちなみに、これらの、soや suchとの関連でとらえる構文のthat節は、内側が完全な文です。関係代名詞節にように、節の中のS、C、O、前置詞のOが欠けているということはありません。
詳しい論証は今の段階では避けますが、これらのthat節は、品詞でいえば副詞節です。だからこそ、この「④ that節―副詞節」で扱うのです。
なお、「解釈教室」p.51の下半分とp.52の上半分は、一度目は読む必要はありません。
では、3.4.1に入りましょう。

 

【3.4.1】

<設問>
Q1[L1] 本文はso … that構文だが、「soの後ろの品詞」という点からすれば、「英語の基本」p.292の中央にある3例の、どれと同じものだといえるか。
Q2[L1] before節の最後の語を答えよ。
Q3[L2] to adjust句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q4[L3] has been outdatedを訳せ。
※in their turn(今度は)……成句in turnの意味の1つに「今度は」がある。本文ではturnに所有形容詞theirが加わっているが「今度は」と訳してよい。

 

<解答・解説>
Q1 3番目
・本文のmuchは、been acceleratedを修飾する。動詞修飾語としてはたらくので副詞。「COMPLETE」p.294、p.295の下のワクの⑥の例。よってこのso … that構文は、「soの後ろの品詞が副詞のもの」であり、「英語の基本」p.292の中央の3例のうち、3番目の例と同じ種類のものだといえる。

Q2 conditions
・that節の後ろには、すぐにSVが置かれるのではなく、その前にbefore節が置かれている。beforeは≪従位接続詞の一覧表≫のC―5の一例。

Q3 B―1(関係副詞)
・名詞修飾語としてはたらくtoV句のうち、「関係副詞」があいまいであれば、「英語の基本」p.315~p.316、「COMPLETE」p.171~p.172を再読のこと。
・なお、例文1.1.1のところで以下のことを述べたが、忘れていたら確認のこと。

******************
「~は≪準動詞句の一覧表≫のどれか」という設問で、解答が「B―1」
である場合は、単に「B―1」とだけ答えるのではなく、「同格」「関係副詞」「主格」「目的格」のいずれかも答えること。
******************

Q4 時代遅れになる[なってしまう]
・このbeenはbecomeの意味。becomeは「COMPLETE」p.222の下で示した動詞の3分類のうちの「状態変化動詞」であり、「動作動詞」とともに、「出来事動詞」である(p.223の図参照)。
よってhas been outdatedは、「COMPLETE」p.226の上の図の左側の状況。「過去のある時点で状況が時代遅れとなり、その結果、今、その時代遅れの状況がある」という内容。
・be動詞が用いられた現在完了形は、be動詞が「~である」「いる/ある」という意味であることが多く、大半が「継続」の例だが(「COMPLETE」p.225の最初の2例もやはり「継続」)、だからといって「be動詞が用いられた完了形=継続」と決めつけてはならないのである。本文を「ずっと時代遅れであり続けている」という継続の意味で解釈すると明らかにおかしいので、be動詞がbecomeの意味ではないかと疑う。なお、be動詞がbecomeの意味でありえるということは「COMPLETE」p.166、「英語の基本」p.88で既習。

 

<補足講義>
adjustは「adjust A to B」という型で用いられ、「AをBに適応させる」という意味になります。本文では、Aがourselvesなので、adjust ourselves to new conditionsの訳は「自分たち自身を、新しい状況に適応させる」となり、ここから工夫して「新しい状況に順応する」と訳せます。       
cf.で示されている文は第5文型パターン③で、命令文です。permitは「COMPLETE」p.192のリストにあります。せっかくなので、そのリストのpermitのところに「解釈教室3.4.1のcf.」などと書き込んでおくといいでしょう。これに限らず、テキストにはどんどん学んだ履歴を書き込む癖をつけてください。財産になります。

 

【3.4.2】

<設問>
Q1[L1] この文にはso … that構文が存在するが、soと呼応するthatは、L1のthat、L2のthatのいずれか。そして呼応しないほうのthatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] mostを訳せ。なお、このmostは「COMPLETE」p.295のいずれにもあてはまらないものである。
Q3[L1] canは「COMPLETE」p.239の表のどの意味か。
Q4[L2] littleの品詞は何か。
※be familiar with ~(~をよく知っている、~に精通している)

 

<解答・解説>
Q1 L2が呼応する。L1のthatは≪従位接続詞の一覧表≫のB-1
・L1のthatは直後がVである。<はじめに>で述べた通り、so … that構文のthat節の内部は完全な文でなくてはならないので、このthatはsoと呼応するものではない。主格の関係代名詞である。
・L2のthatは後ろが「S+丸V+V+O」という完全な構造である。よってこちらがsoと呼応するthatである。なお確認だが、「丸V」は助動詞を表す。ここではcanを指す。

Q2 大半のこと、たいていのこと
・mostにはp.295の表のものの他にも、「大半の」「たいていの」という意味の形容詞としての用法、また「大半のこと」「たいていのこと」という意味の名詞としての用法もある。

Q3 可能性
・よってcan happenは「起こりうる」と訳せる。

Q4 名詞
・Sとしてはたらいている。「COMPLETE」p.296、p.297の表の③の例。Sとしてはたらくlittleの例文は「COMPLETE」p.353にある。上から4番目の文。

 

<補足講義>
be familiar with ~や、3.2.3で扱ったbe indifferent to ~、3.2.4で扱ったbe critical of ~ などは、いずれも「be動詞+形容詞+前置詞」のセットで他動詞のようにとらえられるものです。これについては「COMPLETE」p.373~p.374で述べました。
「解釈教室」p.53の上にある「参考」ではso … that構文のsoの性質などが述べられていますが、例題編の最後に解説します。

 

【3.4.3】

<はじめに>
本文は、「英語の基本」p.293で扱った「くっつきのsuch that構文」の変形です。まずは「英語の基本」p.293で「くっつきのsuch that構文」を復習して、そのうえで、本文においてはどのように変形しているのかを考えながら<設問>に挑んでください。

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。
Q2[L1] この行では、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)を補える。X、Yを答えよ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・Such is the pleasure you giveは、本来はThe pleasure you give is suchという語順。この部分が「S(修飾語)VC」なので、「CVS(修飾語)」の倒置になっている。「CVSの倒置」は「COMPLETE」p.318で既習。
・なお、「CVSの倒置」の多くにおいては、Sに修飾語が加わっているのだが、本文も、また「COMPLETE」の2例も同じ。
・「英語の基本」で述べてあるが、「くっつきのsuch that構文」では、和訳の際に言葉を補わなくてはならない場合があることに注意。本文でも「大きい」を補っている。
・cannotとtooの結びつきについては<補足講義>参照

Q2 X: pleasure  Y:that
・pleasureの後ろに目的格の関係代名詞thatが省略されている。「COMPLETE」p.328参照。なお、このgiveは第3文型で用いられている。

 

<補足講義>
文全体の直訳は、「あなたが与える喜びはとても大きいので、あなたは、あまりにも来すぎるということはありえない」となりますが、このままでは後半の部分が意味不明です。You cannot come too often.は、どういうことを述べているのでしょうか。
「来すぎはありえない」ということは、「いくら来ても問題ない」ということです。伊藤先生の解説では、参考として、Children cannot be taught too early.という例が挙げられています。この文は、そのまま訳せば、「子供はあまりにも早くに教育されるということはありえない」となりますが、これは要するに「早すぎるということはない」「いくら早くても問題ない」ということなのです。

 

【3.4.4】

<設問>
Q1[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 C-0
・現代英語では、thatの前にsoを置くのが普通。本文中のmayは訳さない。「英語の基本」p.237~p.238参照。

 

<補足講義>
ここでsoの必要性に関する興味深い話を1つ。「英語の基本」p.237の一番下にある英文の原稿は、最初は次のものでした。

  He worked hard that his family could live comfortably.

 つまりsoの無い、「that単独」の例だったのです。
そしてこの例文の直後に「実際には、このthatの前にsoが置かれることのほうが圧倒的に多いのです。次のページでその例を見ましょう」という流れでso thatの例文に入る、という展開にしていたのですが、CD収録の際に、ネイティブスピーカーから上の文に対して「soがない。このような文は用いない」という指摘があり、soを加えることになりました。現代英語ではsoの必要性がいかに高いかがよくわかるエピソードです。

 

【3.4.5】

<はじめに>
C―0のso that節は「目的」の意味ですが、「COMPLETE」p.313で、「結果」の意味で訳し下すパターンを扱いました。
「目的か結果か」の判別の方法は、一般的には次のようなものだと言われています。

******************
・節の中にmay,can,willなどの法助動詞が存在する→「目的」
・節の中に法助動詞が存在しない。そしてso thatの前にカンマがある「結果」
******************

 ところが、これはあくまでも一般的な傾向であり、節の中に法助動詞が存在しなくても「目的」である例も少なくないものです。これについては名著『潮田の英解講義』(潮田五郎著、代々木ライブラリー、1990年)の中で、次のように述べられています。

******************
最近は助動詞も使わない場合がある。それは口語体の場合です。昔はso thatの後にwill,can,mayという「マーク」があって識別できましたが、最近は直説法現在も使うようになっていますから、気をつけて。
******************

「直説法現在」というのは、要するに「助動詞を置かず、動詞を現在形で用いる」ということです。
そして、その具体例が3.4.5なのです。このso that節は、実は「結果」とも取れる微妙な例なのですが、「目的」だと考えたうえで設問に挑んでください。

 

<設問>
Q1[L1] definedを訳せ。
Q2[L1] mayの意味は何か。
※to the advantage of ~(~に有利なように)

 

<解答・解説>
Q1 明確な
・辞書でdefineを引くと「明確にする」という意味がある。これの受動態は「明確にされる」。ここから「明確な」という意味だと判断する。過去分詞形の動詞1語が前から名詞を修飾する例は、「英語の基本」p.332の下、「COMPLETE」p.178の上から2つ目のワクの中で既習。  

Q2 可能                        
・mayのこの意味は、例文1.1.2で既習。


<補足講義>
このso that節は、節内に助動詞はありませんが、目的の意味だと考えられます。よってL1のeach以下の直訳は、「地域社会の利益になるように(これがto the advantage of the communityの訳)、それがよりよく果たされるように(これがso that節の訳)、各人はその役割に必要な能力を養うことができる」となりますが、この訳では、代名詞であるitが先に訳されていて、「それ」が何を指すかがわかりません。よって伊藤先生の訳では先に主節を訳して「各人はその役割に必要な能力を養って」として、その後にso that節の訳を置いています。また、前置詞句のto the advantage of the communityも同様に訳し下しています。
動詞修飾語としてはたらく前置詞句を訳し下すことがあるということは、以下のような例からもわかります。
He walked to the station.(彼は歩いて駅まで行った)
直訳は「彼は駅に歩いた」ですが、やや不自然ですし、また「歩く→その結果、駅にたどりつく」という時間の流れがあるので、これを反映させて訳し下しています。本文も「各人がその役割に必要な能力を養う→その結果、地域社会の利益となる」という関係があるので、訳し下すことができるのです。 

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Chapter4 what節

① what―関係[疑問代名詞]

[イントロダクション]
ここではwhat節を扱います。まずは、《従位接続詞の一覧表》で、whatがどこにあるかを確認してください。  
A-1とA-2です。
ということは、what節は名詞節にしかならないということです。よって、文中でwhat節に遭遇したら、この節全体が、S、C、O、前置詞のOのいずれかなのかを見極める必要があるということです。  
では、what自体の要素はどれである可能性があるのでしょうか。
1の行と2の行にあるということは、S、C、O、前置詞のO、そして、名詞修飾語のいずれかになるということです。
そして、名詞修飾語としてはたらいている場合は、直後の名詞がS、C、O、前置詞のOのどれなのかということも考えなくてはなりません。このことは「COMPLETE」p.104の図から明らかです。
さらに面倒な点があります。A-1の場合、A-2の場合のいずれにおいても、whatには2通りの訳がありました(《従位接続詞の一覧表》参照)。  
A-1の1つ目の訳は「疑問代名詞」としての訳であり、2つ目の訳は、「関係代名詞」としての訳です。
A-2の1つ目の訳は「疑問形容詞」としての訳であり、2つ目の訳は「関係形容詞」としての訳でした(これらの用語については、「英語の基本」p.182中央の「発展」参照)。なお、関係形容詞のwhatは、≪従位接続詞の一覧表≫の後半を扱った後ではじめて理解できるので、「英語の基本」では、p.284下~p.285で扱いました(「COMPLETE」には扱いはありません)。
よって、what節に関しては、A-1かA-2かの見極めだけでなく、「疑問詞か関係詞か」についても考えなくてはならないのです。
以上のことを説明しているのが、「解釈教室」p.57の内容です。まずはここに目を通してください。  
★★★
最後にまとめます。
文中でwhat節に出会った場合に考えるべきことは、主に次の3つなのです。

******************
・what自体がS、C、O、前置詞のO、名詞修飾語のいずれとしてはたらいているか。名詞修飾語としてはたらいている場合は直後の名詞の要素はS、C、O、前置詞のOのどれかか。
・what節全体はS、C、O、前置詞のOのどれか。
・whatは疑問詞か、それとも関係詞か。  
******************

 では例文に入りましょう。

 

【4.1.1】

<はじめに>
イントロダクションでは、what節のいろいろな可能性について述べましたが、そもそも、whatは疑問文を導くものです。よって、文中でwhatに出会ったら「疑問文を作っているのか、それとも名詞節を形成しているのか」ということも考えなくてはなりません。
簡単な例で説明しましょう。次の2文を見てください。

  A) What did he say? 
B) What he said was true.  

 A)においては、whatの次の位置に、疑問文を作る際に用いられるdidが存在するので、疑問文ではないかと予想を立てながら読み進め、続きの「he say?」を見て、この予想が正しいとわかります。
一方、B)ではWhatの直後がheなので、名詞節ではないかと予想し、was を見た時点で、what he saidまでがひとまとまりのS、what自体はsaidのOだとわかります。  
このように、whatが文頭にある場合は、「疑問文を導いているか、名詞節を形成しているか」という問題にも直面するのです。  

 

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。
Q2[L1] whatは疑問詞か関係詞か。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:O    what節の要素:S
・what自体は、saw,heard,learnedという3つの動詞のO。このwhatは・≪従位接続詞の一覧表≫のA―1。
・伊藤先生の解説をしっかり読むこと。

Q2 関係詞
・「こと」「もの」と訳す、関係代名詞のwhatである。

 

【4.1.2】

<はじめに>
次の2文を見てください。

  A) What astonished her husband?
B) What astonished her husband was her attitude.  

 先頭の5語が同じ2文ですが、A)はhusbandの直後が「?」なので、疑問文だとわかります。意味は「何が彼女の夫を驚かせたのか」です。Sを尋ねる疑問文です。  
B)は、husbandの直後のwasを見た段階で、「whatからhusbandまでが、Sとしてはたらく名詞節だ」とわかります。このwhat節は、A)の文が名詞節になったものです。A)はSを尋ねる疑問文なので、そのままの形で疑問文になります(「英語の基本」p.167の上から2つ目のワクの中、「COMPLETE」p.94の下のワクの中参照)。  
さて、ここでA)とB)の例を挙げたのは、「whatから始まる文において、whatが疑問文を導くのか、名詞節を形成しているのかが、すぐにはわからないこともある」ということを示すためです。
例文4.1.1では、whatの直後のIを見た段階で、すぐに「whatは名詞節を形成している」とわかりました。「What I …… ?」などという形の疑問文は存在しないからです。ところが上のように、what自体がSとしてはたらいている場合(あるいは、whatが名詞修飾語で、その名詞がSとしてはたらいている場合)は、もう少し先を見なくてはならないのです。  

 

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。
Q2[L1] whatは疑問詞か関係詞か。
Q3[L1] moreの品詞は何か。
Q4[L1] elseを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:S   what節の要素:S
・wasを見るまで、whatが疑問文を導いているのか、名詞節を形成しているのかがわからない文。仮に、

  What interested me more than anything else then?

 という形であれば、文頭のwhatは疑問文を導いているということになる(訳は「当時、何が、他のどんなものよりも、私の興味をひいたのだろう?)。ところが本文では、thenの後ろにwasが存在するので、whatはSとしてはたらく名詞節を形成しているとわかる。

Q2 他の
・「英語の基本」p.84参照。このp.84については、例文3.2.2、例文3.2.4で触れた。

Q3 関係詞
・例文4.1.1と同様にこのwhatも、「何が」と訳す疑問代名詞ではなく、「……こと/もの」と訳す関係代名詞。なお、関係代名詞の場合は、疑問代名詞の場合と、節内部の訳し方が異なる。「英語の基本」p.182の下部で確認のこと。

Q4 副詞
・等級に戻すとmuchとなるが、これは動詞interestedを修飾する。「COMPLETE」p.294の表の⑥の例。

 

【4.1.3】

<設問>
Q1[L1]  asを訳せ。
Q2[L2] what節内部の文型は何か。
Q3[L2] whatは疑問代名詞か関係代名詞か。
※goes along about its business(仕事をする)
※find outは例文2.2.5で既習。

 

<解答・解説>
Q1 とき
・このasは副詞節を形成する。「とき」という訳語については、「英語の基本」p.287、「COMPLETE」p.160参照。
・as節は、if節内の動詞watchを修飾しているので、as節の終点が同時にif節の終点。

Q2 第2文型
・<補足講義>参照。

Q3 疑問代名詞
・<補足講義>参照。

 

<補足講義>
what節内において、whatの後ろがSVで、その後ろの前置詞likeにOがありません。このような文は、「英語の基本」p.109で類例を見ています。まずはp.109下部の「発展」を読んでください。 
★★★
さて、その「発展」の中に、次の文があります。

  What is money like?(お金は何のような[どのような]ものですか?)

 この文の元の平叙文は、次のものです。

  Money is like X.

 第2文型で、Cが前置詞句です。この文のXの部分を尋ねたのが、上の疑問文です。
この疑問文を名詞節にすると、what money is likeとなり、意味は「お金が何のような[どのような]ものかということ」という意味になります。
本文のwhat a bug's world is likeはこれと同じ構造なので、「虫の世界がどのようなものかということ」という意味だということになります。
このwhatは「どのような」と訳していることからもわかる通り、疑問詞です。疑問代名詞なのです。「こと・もの」と訳す関係代名詞ではありません。  
what自体の要素は、もちろん前置詞likeのOです。what節全体は、find outのOです。

 

【4.1.4】
例題編で解説します。

 

【4.1.5】

<はじめに>
本文に進む前に、前置詞betweenの用法を知ってください。betweenは前置詞である以上、目的語を取りますが、その目的語は1つだけのこともあれば、「A and B」という形で2つになることも多いのです。
それぞれの例文を示します。

  The river flows between the two countries.
(その川は2国の間を流れている)
We sailed between Yokohama and Kobe.
(我々は、横浜-神戸間を航行した)  

 なお、これらの例では、前置詞句はいずれも動詞を修飾していますが、当然、前置詞句である以上、それ以外のはたらきもあります(「英語の基本」p.81の下の表、「COMPLETE」p.47の上の表参照)。

 

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。
Q2[L1] between句の終点の語を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:O   what節の要素:前置詞のO
・what自体は動詞readのO。what節は前置詞betweenのO。L2のwhatも全く同じ。

Q2 formation
・前置詞betweenの目的語は、2つのwhat節である。よって2つ目のwhat節の終点の語であるformationが、同時にbetween句の終点となる。
・「between+what節 and what節」は、名詞distinctionを修飾しているとも考えられ(この場合の直訳は「~と~の間の区別をしなくてはならない」となる)、また、動詞makeを修飾しているとも考えられる(この場合の直訳は、「~と~の間において、区別をしなくてはならない」となる)。

 

<補足講義>
まずは本文に対する、伊藤先生の解説を読んでください。
★★★
この解説の後半では、本文のwhatを関係代名詞と考えても、疑問代名詞と考えても構わないということが述べられていますが、関係詞、疑問詞のいずれでも訳せる例があるということについては、「英語の基本」でwhyの例で述べてあります(p.186の中央部分)。同じことが、what,where,when,howにもあてはまります。≪従位接続詞の一覧表≫でいえば、A―1のwhatと、A―3のwhere,when,why,howは、①と②の訳のいずれでも訳せる例があるのです。

 

【4.1.6】

<はじめに>
このChapter4の①の最後の2文は、whatではなく、whateverに関するものです。
さて、whateverは《従位接続詞の一覧表》の何箇所にあるでしょうか。
A-1´、C-1´、A-2´、C-2´の4箇所です。
よって、文中でwhateverに出会ったら、次のことを考えなくてはならないということになります。

********************   
・whatever自体がS、C、O、前置詞のO、名詞修飾語のいずれとしてはたらいているか。名詞修飾語としてはたらいている場合は直後の名詞の要素はS、C、O、前置詞のOのどれか。
・whatever節全体はS、C、O、前置詞のO、動詞修飾語のどれか。
********************   

 なお、複合関係代名詞、複合関係形容詞のwhatever(およびwhichever)についての知識があやふやになっている場合は、まずは、「COMPLETE」p.144~p.156、「英語の基本」p.251~p.273を必ず再読してください。
さて、例文4.1.6に入る前に、まずはその前にある「解釈教室」p.59の中央のワクの中にあるwhateverが、《従位接続詞の一覧表》のどれなのかを突き止めてください。考え終わったら以下に進んでください。
★★★
このwhateverは、それ自体がlikeのOであり、whatever節全体がdoのOなので、《従位接続詞の一覧表》のA-1´のものです。文全体の訳は、「あなたは好きなことは何をしてもよい」となります。  

 

<設問>
Q1[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] isは助動詞か本動詞かを答えよ。またisを訳せ。
Q3[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 A-1´
・whatever自体の要素がis to beのSであり、whatever節の要素はcan beのSである。

Q2 助動詞  訳は「べき」
・仮にこの文の冒頭がwhatever is doneであれば、訳は「なされること」となる(A―1´のwhat節においては、whateverより後ろを先に訳す。「英語の基本」p.252の上の図参照)。本文では、このisの前に助動詞beが加わり、その直後の動詞(is)がto不定詞形(be動詞のto不定詞形はto be)になっている。この助動詞は、本文では「義務」の意味が適切。よって本文のwhatever節は「なされるべきこと」と訳す。但し、whateverにはanyの意味が含まれているので、その訳を、最終的に文全体の訳の中で出す必要があることに注意。「英語の基本」p.253の下から2つ目のワク、「COMPLETE」p.145の下のワク参照。
・受動態の文にこの助動詞beが加わると読みにくい。このことは「COMPLETE」p.351の上部で指摘してある。なお、そもそもこの「助動詞be+to不定詞形」が弱ければ、「COMPLETE」p.221と、「英語の基本」p.54~p.55を再読のこと。この助動詞については<補足講義>も論じる。

Q3 和訳参照
・直訳は「なされるべきことが何であっても……」「何であれなされるべきことは……」だが、伊藤先生は「なされる」を能動態にして訳している。このような、受動態の訳し方の工夫については「英語の基本」p.47で述べた。

 

<補足講義>
例文1.1.4の<はじめに>で、次のことを述べました。

********************   
過去分詞形(あるいはing形)は、現在形や過去形のように、述語と決めつけていいわけではない。準動詞句を形成する場合もある。
********************   

 そして、これと同じことがto不定詞形の動詞にもあてはまります。準動詞句を形成する場合と、述語となる場合があるのです(前者が圧倒的に多いのですが)。
次の2文を比べてください。

  A) My job is to wash cars.
(私の仕事は車を洗うことだ)
B) My father is to visit Kyoto tomorrow.
(私の父は明日、京都に行く予定だ)

 いずれも「X is to V ….」という並びの文ですが、文法構造が異なります。
A)のisは本動詞であり、to wash carsはひとまとまりのCです。準動詞句を形成しています。このtoV句は≪準動詞句の一覧表≫のA―1のものです。
一方、B)のisは助動詞であり、to visitが本動詞です。そしていずれも、My fatherに対する述語の部分です。
それぞれの文法構造をより詳しく記します。

********************   
My job(S) is(V) to wash cars(C).

  My father(S) is(丸V) to visit(V) Kyoto(O) tomorrow(動詞修飾語).

 ※助動詞beが加わった文の構造表記は、「英語の基本」p.55の各文を参照のこと。
********************   

 このような「X is to V ….」という並びの文において、どちらの構造なのかは、意味から判断します。
なお伊藤先生は本文のonlyを「のみ」ではなく「はじめて」と訳しています。Onlyには「やっと」「ようやく」「はじめて」といった訳語があるのです。英和辞典で確認してください。

 

【4.1.7】

<設問>
Q1[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 A-1´
・whatever自体はwantのO、whatever節全体はhadのOである。
・whatever節内部の訳は「彼女が望んだもの」。文全体は「彼女はいつも、望んだものを手に入れてきた」だが、whateverに存在するanyの意味を出して、「彼女はいつも、望んだものは何でも手に入れてきた」とする。
・「手に入れる」は出来事なので、この文は「COMPLETE」p.227の上の図のうち左のものだが、文中にalwaysがあることにより、その出来事が何度もあったのだということがわかる。「毎回、手に入れてきたという経験、履歴がある」という内容の文なのである。

 

② what節の特殊構文

[イントロダクション]

 この②の出だしの解説はかなり難しいので、より易しい例におきかえて、同じ内容を説明していきます。まずは次の文を見てください。

  He is happy.(彼は幸せだ)

 この文において、be動詞であるisは、Heとhappyをイコールの意味でつなぐ機能を担っていますが、他に何か大きな意味を持っているわけではありません。たとえば、isが現在形だからといって、「現在」という意味が強く存在するわけではありません。
ところが、次の文においてはやや事情が異なります。

  He is not the fool that he was before.
(彼は以前のような愚か者ではない)  

 これは「英語の基本」p.216にあるもので、それ自体がCとしてはたらく関係代名詞のthatが用いられた文です(ここで必ず「英語の基本」p.204~p.205の復習もしてください )。
さて、この文では「今の彼と過去の彼」を対比させているので、be動詞のisとwasに、それぞれ「現在」「過去」という意味が強く存在しています。
同様のことが、「解釈教室」p.62の6行目にある、以下の文にもあてはまります。

  Housing should not be the object of speculation which it is today.
(住宅を、現在そうであるように、投機の対象にするべきではない)

whichの先行詞はthe object (of speculation)で、itはhousing を受けます。which自体は、やはりCとしてはたらいています。この文においても、should not beとisが対立関係にあり、それぞれのbe動詞には「あるべきでない現実」「現在」といった、具体的な意味が感じられます。
さて、ここで述べたかったことは、第2文型で用いられているbe動詞には、単にSとCをイコールの関係でつなぐ機能を持つのみならず、「現在」「現実」(現在形で用いられた場合)という意味や、「過去」(過去形で用いられた場合)という意味が存在することもある、ということです(なお、現在形の動詞に「現実」という意味がありうるということについては、「COMPLETE」のp.217の図を参照してください)。
そして、what節の中においても、このことがあてはまるのです。次の文を見てください。  

  He is not what he was.

 このwhatは関係代名詞ですが、原則どおりに訳すと、what節は「彼がそうであったもの」となってしまい、ぎこちないので、wasに存在する「過去」の意味を前面に出して「過去の彼」とします。この際には「こと・もの」という訳語は消えます。  
なお、この文は、次のようにも表現できます。

  He is not what he used to be.(彼は過去の彼ではない)  

 また、次のように、数値が示される場合もあります。

  He is not what he was ten years ago.(彼は10年前の彼ではない)  

 もちろんbe動詞が現在形であれば、what X beは「現在のX」あるいは「現実のX」という意味になりえます。また、be動詞の前に法助動詞が加わっている場合は、その意味を出さなくてはなりません。たとえばwhat X should beとなると、「Xのあるべき現実→Xのあるべき姿」という意味になります。  
このようなwhat節のwhatは、あくまでも関係代名詞のwhatではあるものの、単に「こと・もの」と訳せばいいのではないという点で、やや特殊なものです。だからこそ、この②のタイトルが「what節の特殊構文」となっているのです。
ちなみに、このような場合にはwhoが用いられることも多いのですが、これについては2周目に触れます。

 

【4.2.1】

<設問>
Q1[L2]  what自体の要素と、what節全体の要素を答えよ。
Q2[L1]  the story of how …は「名詞+同格のof+wh節」だが、これと同じ連なりの文が記載されている「COMPLETE」のページを答えよ。
Q3[L1]  全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:C  what節全体の要素を:C
・what自体はareのC。what節全体はbeのC。

Q2 p.337
・「同格のof」を忘れていたら復習をすること。

Q3 和訳参照
・mustは、直後がbe動詞の場合は「~に違いない」という意味であることが多いのだが、本文では「~でなくてはならない」。mustの2つの意味を忘れていたら「COMPLETE」p.238~p.239で確認のこと。
・how節の内側の文構造は次の通り。

  how(動修) things(S) have(丸V) come to(丸V)  be(V) what they are(節全体がC)

 このbeはbecomeの意味。come toは助動詞相当表現で、「~するようになる」(「COMPLETE」p.168、「英語の基本」p.310参照)、what they areは「現在のそれら」「現在の姿」など。文脈の中では「現在のよう」という訳も可能。how節の直訳は「どのように物事が現在の姿になるようになったのかということ」だが、少し不自然なのでここから工夫する。

 

【4.2.2】

<設問>
Q1[L1]  onceの品詞を答えよ。
Q2[L1] what節全体の要素を答えよ。またこの節を訳せ。
Q3[L1] be apt to ~を訳せ。
Q4[L2] what節全体の要素を答えよ。またこの節を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 (従位)接続詞
・onceのうしろにSVがあり、カンマの後ろに再びwe areというSVがある。文全体は、「COMPLETE」p.131の最初の図、「英語の基本」p.236の下のワクの中の最初の図と同じ構造である。よってこのonceは動詞修飾語としてはたらく節を形成する従位接続詞だとわかる。≪従位接続詞の一覧表≫のC―5の一例。「COMPLETE」p.136、「英語の基本」p.245参照。

Q2 要素:O(imagineのO)  訳:世界のあるべき姿
・what X be(beが現在形の場合)にmust、should、oughtなどのような「義務」を表す法助動詞が加われば、「現実の姿」から「そうあるべき姿」に変わるということはイントロダクションで述べた。

Q3 ~しがちである
・「COMPLETE」p.185には無いが、「英語の基本」p.345には記載されている表現。

Q4 要素:前O(前置詞toのO)  訳:現実の世界
・blindは、しばしば、直後から「前置詞to+~」によって修飾される。1つ例を見よう

  He was blind to his own faults.
(彼は自分自身の欠点に盲目だった→彼は自分自身の欠点に気づいていなかった)  

 本文では、前置詞toの後ろが名詞ではなく、名詞節のwhat it isである。
・「what Ⅹ be動詞(現在形)」に「現実のX」という意味があるということについてはイントロダクションで述べた。

 

【4.2.3】

<はじめに>
p.63の下半分と、p.64の上の6行は、1周目は読む必要はありません。

 

<設問>
Q1[L2] what節の要素を答えよ。
Q2[L2] what節内部の文型を答えよ。
Q3[L2] whatは疑問詞か関係詞か。

 

<解答・解説>
Q1 前O
・前置詞againstのOである。

Q2 第5文型パターン①
・繰り返すが、第5文型はパターンまで答えること。
・what自体がOであり、the narrownessがCである。of以下はもちろんnarrownessに対する修飾語。

Q3 関係詞
・「もの」「こと」と訳す。伊藤先生は「こと」と訳しているが、「もの」でも問題ない。
・spent … in constant rebellion against ~の直訳は、「~への絶え間ない反抗の中で過ごした」だが、やや不自然なので工夫する。

 

<補足講義>
「what節の、訳し易さの違い」について触れておきます。whatを関係代名詞として「こと・もの」と訳す場合に、what節全体の文型や、what自体の要素によって、訳し易さが異なります。節の内側がSVOで、what自体がOである例、たとえばwhat she wants(彼女が望むもの/こと)やwhat he said(彼が言ったこと)などは、全体の構造がつかみやすく訳しやすいのですが、本文は内側が第5文型パターン①で、SVOCのOが前に移動してしまっており、VとCが隣接しています。形の崩れを大きく感じるパターンであり、上の2例よりも理解しにくいのです。
どのようなwhat節にも対応できるためには、やはり何よりも基本8文型の知識を盤石なものにしておかなくてはなりません。

 

【4.2.4】

<設問>
Q1[L1] what has later come to be called a “middle” nameを訳せ。
Q2[L1] what節内部の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 後に「ミドルネーム」と呼ばれるようになったもの
・伊藤先生は「もの」を「名前」と、具体的に訳している。これでももちろん問題ない。≪従位接続詞の一覧表≫のA-1のwhatの②の訳は、「もの」(あるいは「こと」)だが、その「もの」はいろいろなものでありうる。そして、その具体的なもので訳してよいことが多い。

Q2 第5文型パターン①の受動態
・構造は次の通り。

   what(S) has(丸V) later(動修) come to(丸V) be(be) called(Ved) a “middle” name(C)

 この節は、たとえばI am called Tom.(僕はトムと呼ばれている)という文と骨格は同じだが、現在完了形の助動詞hasと、助動詞相当表現come to、副詞のlaterが加わっていることもあり、また、平叙文では具体的な単語だったSがwhatに代わっていることもあり、構造がつかみにくい。
・「what is called ~」は、一種の成句として、「いわゆる~」と訳すことが多いが、本文では関係代名詞のwhatを訳す際の、原則の順序で訳す。その「原則の順序」は「英語の基本」p.182の下で図とともに述べた。

 

<補足講義>
このwhat節の内部では助動詞が連続しています。助動詞の連続があると、少し読みにくいと感じるかもしれません。「助動詞の連続」は、「英語の基本」p.51の上部、p.96の下部で扱っています。
また、「COMPLETE」のp.244~p.249で扱った「法助動詞+進行形」「法助動詞+完了形」においても、「法助動詞+be動詞」「法助動詞+have」の部分が「助動詞の連続」です。

 

【4.2.5】

<設問>
Q1[L1] that節内部の文型は何か。
Q2[L1] what自体の要素を答えよ。
Q3[L1] whatは疑問詞か、関係詞か。

 

<解答・解説>
Q1 第1文型
・what節がSで、differsがV。後ろの前置詞句はいずれも、differsを修飾する動詞修飾語である。この2つの前置詞句は「国から国へ」と訳すと不自然なので、「国ごとに」「国によって」などと訳す。

Q2 C
・SVOCのC。to beの後ろにあったXがwhatとなり、文頭に移動したもの。<補足講義>参照。
・第5文型パターン①においては、to beが置かれるか否かは動詞ごとに異なるが、believeでは置かれる率が非常に高い。「ジーニアス」にも[SVO to be C]という表記がある。
・なお、同じ第5文型パターン①で用いられる動詞でも、たとえばconsiderの場合、「ジーニアス」では[SVO (to be) C]となっている。カッコがあり、to beが存在しないこともあるという含みを持たせているが、believeの場合はto beの両端にカッコが存在しない。

Q3 関係詞
・「もの」と訳す関係代名詞である。<補足講義>参照。

 

<補足講義>
例文2.2.1の<補足講義>で、第4文型と第5文型を区別する際に、to beが「第5文型である目印」になると述べたのですが、今回のto beは、what自体の要素を特定する目印になっています。このwhat節内部においては、to beの後ろに置かれるべきCがないので、これがwhatとなって、節の先頭に移動したと考えることができるのです。
つまり、what節の根底には、次の文があるのです。

  People believe the duties of men and women to be X.
(人々は、男性および女性の義務がXであると考える)

 あとは、whatを疑問代名詞として訳すか、関係代名詞として訳すかという問題だけが残ります。それぞれの場合の訳をしましょう。

********************   
[疑問代名詞として訳した場合]
→人々が、男性および女性の義務を何であると信じるかということ
[関係代名詞として訳した場合]
→人々が、男性および女性の義務である信じているもの
********************   

 どちらが文全体の訳の中でなじむかを考えます。
後者です。本文のwhatは関係代名詞なのです。

 

【4.2.6】

<はじめに>
文の前にある9行は、イントロダクションで述べたことの延長にすぎません。ここでは以下の表現をどう訳すか、ということが問題になってます(Self-contradictoryは「自己矛盾」です)。

  Self-contradictory is what most of us are.  

 イントロダクションで述べた通り、what X beは「現在のX」あるいは「現実のX」という意味なのでした。上の文では、後者の訳を選ぶのが適切です。「自己矛盾は、現実の我々の大半である」とし、これではやや不自然なので、「自己矛盾に陥っているというのが、我々の大半の現実の姿である」とするとうまくいきます(伊藤先生はこれとは少し異なる訳にしています)。
いずれにせよ、what X beで、be動詞が現在形である場合は、「現在のX」のみならず「現実のX」という意味にもなりえるということを忘れないようにしてください。

 

<設問>
Q1[L1] childrenを後ろから修飾するまとまりの、最初の語と最後の語を答えよ。
Q2[L1] mostは「COMPLETE」p.295の下の表のどれと同じものか。
※~ in general(~全般、~一般)

 

<解答・解説>
Q1 最初の語:born   最後の語:Japan
・名詞修飾語としてはたらく2つのVed句がandによって結ばれている。bornは1語なので、厳密に言えば、「Ved句」ではなく「1語のVed」。1語のVedが後ろから名詞を修飾する例は、「英語の基本」p.332で既習。

Q2 ⑥
・mostは動詞needを修飾する。

 

【4.2.7】
例題編で解説します。

 

③ what―疑問[関係]形容詞

[イントロダクション]
whatについて、改めて、次の3点を確認してください。

********************   
(1) whatは疑問代名詞かつ、疑問形容詞である(「COMPLETE」p.73の表、「英語の基本」p.123の下の表参照)。よって、S、C、O、前置詞のO、または名詞修飾語としてはたらく。      

(2) 疑問詞には名詞節を形成する機能がある。そして、whatは疑問代名詞であり、疑問形容詞でもあるので、《従位接続詞の一覧表》の1の行にも2の行にも存在する(A-1、A-2)。

(3) 名詞節を形成している場合は、疑問詞としての意味だけではなく、関係詞の意味がある。これが《従位接続詞の一覧表》に記載されている「②」の訳である。
********************   

 伊藤先生が「解釈教室」p.69の上半分で述べていることの中心は、「whatはS、C、O、前置詞のOとしてはたらく場合のみならず、名詞修飾語としてはたらくこともあるから注意しなくてはならない」ということです。
まずはここに目を通してください。
★★★
では、what自体がS、C、O、前置詞のO、名詞修飾語のどれなのかは、どのように判断すればいいのでしょうか。
whatの後ろの部分を見ます。そして、次の基準で判断します。

********************   
・Sが欠けていたら(=whatの直後に動詞、助動詞があれば)→S
・Cが欠けていたら→C
・Oが欠けていたら→O
・前置詞のOが欠けていたら→前置詞のO
・いずれも欠けていなければ→名詞修飾語
********************   

whatが名詞修飾語としてはたらく場合は、さらに、そのwhatによって修飾されている名詞がS,C,O,前置詞のOのいずれなのかも見極めなくてはならないということも忘れないようにしてください(「COMPLETE」p.66~p.67、p.104の[2]の図参照)。

 

【4.3.1】

<設問>
Q1[L1] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。what自体が名詞修飾語である場合は、whatによって修飾される名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] whatは疑問詞か、関係詞か。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:名詞修飾語   what節全体の要素:O
whatによって修飾される名詞(clothing)の要素:O
・whatより後ろには、S、C、O、前置詞のOの欠けがない。一見するとwearのOが欠けているが、前に出ているclothingがO。
・what節全体はdecidesのO。このwhatは≪従位接続詞の一覧表≫のA-2である。

Q2 疑問詞
・「どんな」「何の」と訳して問題ない。よって疑問形容詞である。
・cf.の文は、「疑問詞は名詞節を形成する」ということを、howの例で示している。そのhow節はO1。

 

【4.3.2】

<はじめに>
この文に関しては、「COMPLETE」でも「英語の基本」で未習の事項を扱います。まずは次の文を見てください。

  A) How tall he is!(彼はなんて背が高いんだ)
B) What a handsome man he is!(彼はなんてハンサムな男なんだ)

いずれも感嘆文です。「英語の基本」第1部第3章で扱いました。「COMPLETE」でも扱いましたが、こちらでは「平叙文→感嘆文」のプロセスは見ずに、結果の文のみを扱いました(p.75参照)。
さて、「英語の基本」では、第2部第2章で、「文を名詞節にする」という作業を行いましたが、そこで行ったのは、平叙文、疑問文、感嘆文、命令文のうち、前2者のみでした(p.153の上から2つ目のワクの中参照)。ところが、感嘆文も名詞節になるのです。名詞節にするための方法は、「そのまま」です。
つまり、疑問文を名詞節にする際のような、「助動詞やbe動詞を元の位置に戻す」という作業は不要なのです。なぜなら、感嘆文を作る際に、助動詞、be動詞をSの前に出す、という作業は行なっていません(「英語の基本」p.132~p.135参照)。よって、そのような作業は不要(というよりも不能)なのです。
したがって、上の2つの文を名詞節にすると、それぞれ次のようになります。

  A’) how tall he is(彼がなんて背が高いのかということ)
B’) what a handsome man he is(彼がなんてハンサムな男なのかということ)

 さて、ここで1つ大きな問題が生じます。次の文を見てください。

  How tall is he?(彼はどれくらい背が高いですか)   

 これは疑問文ですが、この文を名詞節にするとどうなるでしょうか。もちろん、次のようになります。

  how tall he is(彼がどれくらい背が高いのかということ)  

 A’)と同じになってしまうのです。ということは、「how+形容詞/副詞」で始まる名詞節は、それが疑問文を元にしたものなのか、感嘆文を元にしたものなのかを突き止めなくてはなりません。
見極め方は、意味によるほかありません。
whatを用いた感嘆文においては、直後の名詞が単数か複数か、不可算名詞(個としてとらえられないもの。「英語の基本」p.66~p.68参照)かによって、その名詞の形が異なります。以下の3パターンがあります。

   C) What a 形容詞 名詞 S V ! …… 名詞が単数形
D) What 形容詞 名詞s S V ! …… 名詞が複数形  
E) What 形容詞 名詞 S V ! …… 名詞がそのままの形(不加算名詞はこのパターン)

  いずれのパターンも「英語の基本」p.134に存在します。まずは確認してください。そして、それぞれを名詞節にした場合も、冒頭の形はそのままです(上で述べた通り、感嘆文はそのままで名詞節になるのです)。  
ところで、疑問形容詞whatを用いた疑問文は通常、次のような形になります。

   What color do you like?(どんな色が好きですか)  

  つまり、「what+名詞」で始まるのです。これに加えて、この名詞を修飾する形容詞が存在し、「what+形容詞+名詞」で始まるパターンもあります。次のようなものです。 

  What warm color do you like?(どんな暖色が好きですか)  

 whatの直後の名詞が複数形であることもあります。
ただ、疑問詞を用いた疑問文には、「what a 形容詞 名詞」という連なりで始まるものはありません。
ということは、文中に「what a 形容詞 名詞」という連なりの名詞節があれば、それは疑問文ではなく、感嘆文が元になったものだといえます。つまり、上のC)が名詞節になったものなのです。  
一方、「what 形容詞 名詞s」や、「what 形容詞 名詞」という連なりは、疑問文でも感嘆文でも見られるので、この連なりで始まる名詞節は、それが疑問文を元にしたものなのか、感嘆文を元にしたものなのか、意味から判断するしかありません。
「解釈教室」p.69の、4.3.2の上の7行で述べられていることは、「aの存在が、感嘆文であることの判別の目印になる」ということなのです。
まずはこの7行に目を通してください。そして4.3.2に入りましょう。   

 

<設問>
Q1[L1] countryを訳せ。
Q2[L2] far from句はどこを修飾するか。
Q3[L2] what節を、名詞節になる前の文に戻せ。
Q4[L2] itは何を指すか。

 

<解答・解説>
Q1 田舎
・「国」ではない。和英辞典で「田舎」を引いてみること。

Q2 countryまたはlived
・far fromは群前置詞。意味は「~から遠く離れた[て」]。
・livedに対する修飾語だと考えた場合は、if節の訳は次のようになる。

もしまるひと冬を、商店や映画館から遠く離れて田舎ですごした経験があれば

 countryに対する修飾語だと考えた場合のif節の訳が、伊藤先生の和訳。ただ、伊藤先生は解説の部分では、for from shopsを「商店から遠く離れて」と訳しているので、この段階では、livedに対する修飾語である場合の訳を示し、最終的な和訳では、countryに対する修飾語としての訳にしている。

Q3 What a marvelous relief it is when spring comes!
・本文のwhat節は、感嘆文が名詞節になったもの。<はじめに>で述べた通り、what a marvelous reliefという連なりから、元が感嘆文だとわかる。
・伊藤先生の解説部分には、howを用いた感嘆文が名詞節になったものが組み込まれている文がある。

Q4 spring comes
・意味からこの2語だと判断する。
・itが後方にある副詞節の内部を受ける例を挙げる。

  It will be of great benefit to Tom if you review his work.
(もしあなたがトムの作品を評論すれば、それは彼にとって大きな利益になるだろう)

 文頭のItは、you review his workを受ける。 

 

【4.3.3】
<設問>
Q1[L1] what節全体の要素を答えよ。
Q2[L1] what節を、名詞節になる前の文に戻せ。

 

<解答・解説>
Q1 前置詞の目的語
・<補足講義>参照。

Q2 What a fine opportunity he has!
・これも感嘆文。

 

<補足講義>
形容詞の中には、他動詞と同じように、それだけは意味が完結せずに、名詞の情報が必要なものがありますが、その名詞を形容詞の直後に置くことはできません。まずは前置詞を置かなくてはならないのです。置かれる
前置詞は、形容詞ごとに異なります。
よって、そのような形容詞に関しては、どの前置詞が置かれるのかを記憶しなくてはならないのです。何度も述べている形容詞の語法です。
ちなみに、ある英語学の大家がこのような形容詞を「他動詞的形容詞」と呼んでいるが、非常に便利なネーミングなので、今後、このサイトでも用います。  
consciousも他動詞的形容詞であり、前置詞ofの力を借りて、後ろに名詞が置かれます。この文では、ofの後ろに名詞ではなく名詞節が置かれています。

     

【4.3.4】

<はじめに>
まずは次の4文を見てください。

  A) Which finger did he wear a ring on?
B) On which finger did he wear a ring?
C) Which station should I change trains at?
D) At which station should I change trains?

 いずれも、「英語の基本」で扱った文です。which自体の要素は名詞修飾語であり(ゆえに疑問形容詞)、その直後の名詞は、前置詞のOです。そして、B)、D)では、前置詞が文頭に出ています。なお、これらの文に関して忘れていたら、まずは「英語の基本」p.111~p.113、「COMPLETE」p.65~p.66を再読してください。
さて、B)、D)のように、前置詞が文頭にあるものを名詞節にした場合には、結果として「前置詞から始まる名詞節」が完成することになります。これについては「英語の基本」p.176で扱っているので、そこを必ず再読してください。
このような、「前置詞句から始まる名詞節」が文の中で用いられている場合は、「前置詞から名詞節が始まる」ということを見落としがちです。
以上のことが述べられているのが、例文4.3.4の上にある8行の内容です(ここではwhichではなく、whatの例で説明されています)。ここに目を通してください。それを終えたら例文に入りましょう。

 

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。what自体が名詞修飾語であれば、その名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] what節を名詞節になる前の文に戻せ。また、その文を平叙文に戻せ。whatはXに戻す。また、文頭の2語はA barbarianとする。

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:名詞修飾語    what節の要素:O
whatによって修飾される名詞(point)の要素:前O

Q2 At what point does a barbarian become a civilized man?
A barbarian becomes a civilized man at X point.
・下段の文が、元の平叙文である。Xは名詞修飾語だが、修飾される名詞のpointが前Oであり(atのO)、ゆえにXを尋ねる疑問詞疑問文は次の2つとなる。

   (1) What point does a barbarian become a civilized man at?
(2) At what point does a barbarian become a civilized man?

 このうち(2)が上掲のもの。
・本文全体は形式主語―真主語の構文。at以下のwh節が真主語。

 

【4.3.5】

<はじめに>
繰り返し述べていることですが、《従位接続詞の一覧表》のA-2のwhatは、2つの意味があります。そのうち、②の関係形容詞は、かなり弱いはずです。まずは「英語の基本」p.284の下~p.285を再読してください。
伊藤先生も、「解釈教室」p.71の最後の5行とp.72の上の3行でこれについて述べています。ここも必ず読んでください。

 

<設問>
Q1[L1] littleの品詞を答えよ。
Q2[L1] 第2文を訳せ。
Q3[L1] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 名詞
・knowのOとしてはたらいている。littleが名詞かつ形容詞かつ副詞であるということは、「COMPLETE」p.296、p.297の表参照。Oとしてはたらくlittleは「COMPLETE」p.353にある。上から3つ目の文。

Q2 和訳参照
・類例が「英語の基本」p.285にある。

Q3 what自体の要素:名詞修飾語   what節の要素:S
・≪従位接続詞の一覧表≫のA-2のwhatだが、①の訳ではなく、②の訳のものである。

 

【4.3.6】

<設問>
Q1[L1] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。
※rob A of B(AからBを奪う)

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:名詞修飾語   what節の要素:前O
・これも例文4.3.5同様、関係形容詞のwhat。やはり「英語の基本」p.285に類例がある。

 

【4.3.7】
<設問>
Q1[L1] whatever自体の要素と、whatever節の要素を答えよ。whatever自体が名詞修飾語としてはたらく場合は、whateverによって修飾されている名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 whatever自体の要素:名詞修飾語
whatever節の要素:O(offerのO)
whateverによって修飾される名詞(help)の要素:O(giveのO)
・本文ではgiveは第3文型で用いられている。

Q2 A-2´
・A-2´の訳し方(「英語の基本」p.258参照)に従うことにより、全訳は可能。

 

【4.3.8】

<設問>
Q1[L1] whatever自体の要素と、whatever節の要素を答えよ。whatever自体が名詞修飾語としてはたらく場合は、whateverによって修飾されている名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L1] whatever節内部の文型は何か。
Q4[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 whatever自体の要素:名詞修飾語  
whatever節の要素:O(tookのO)
whateverによって修飾される名詞sideの要素:S(appearのS)

Q2 A-2´

Q3 第2文型
・節内部の構造は次の通り。

  whatever(名修) side(S) in local and national politics(名修:sideを修飾) appeared(V) to him(動修) right(C)

・このwhatever節の訳は、「英語の基本」p.258の訳し方に従い、「彼にとっては正しいと思われる、地方や国の政治の側」となる。文全体を訳すには、この節をtookのOとして訳し、最後にanyの意味を加える。全文訳は、たとえば「彼は、自分にとって正しいと思われる、地方や国の政治の側ならどちらにでも、恐れずについた」などとなるが、やや不自然なので伊藤先生の訳のようにする。
・なお、この例ではwhateverによって修飾されている名詞が、後ろから更に前置詞句によって修飾されているが、「wh語によって修飾されている語が、後ろから前置詞句によっても修飾されている例」は、「英語の基本」p.110下部で登場している。「発展」なので未読の場合は読むこと。

Q4 和訳参照

 

【4.3.9】

<はじめに>
whatは《従位接続詞の一覧表》のAの列にしかありません。ということは、名詞節を形成するのみです。一方whateverは、Aの列(A-1´、A-2´)のみならず、Cの列にもあります(C-1´、C-2´)。
ということは、副詞節をも形成するということになります。よって、what節とは異なり、whatever節に接した場合は、副詞節である可能性も考慮に入れなくてはなりません。
そして、whateverが《従位接続詞の一覧表》の1´の行、2´の行にあるということは、それ自体がS、C、O、前置詞のO、または名詞修飾語としてはたらくということです。この点も常に考えなくてはなりません。繰り返し述べていることです。
以上の内容が簡潔に説明されているのが、「解釈教室」p.72の最後の行と、p.73の上の10行です。まずはここを読んでください。

 

<設問>
Q1[L1] whatever自体の要素と、whatever節の要素を答えよ。whatever自体が名詞修飾語としてはたらく場合は、whateverによって修飾されている名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
※in dispraise of ~(~を非難して)

 

<解答・解説>
Q1 whatever自体の要素:S 
whatever節全体の要素:動詞修飾語(後方のareを修飾)。

Q2[L1] C―1´
・C―1´なので、「英語の基本」p.264、「COMPLETE」p.148の表に従って訳す。whatever自体はSである。よって「何が」「どんなことが」と訳すことになる。「が」という助詞が現れることになる。

 

<補足講義>
本文のbeは「居る、存在する→暮らす」と考えれば理解しやすくなります。伊藤先生の訳は「すます」となっていますが、「電話なしで暮らす→電話なしですます」と考えられます。beに「存在」の意味があることについては、「英語の基本」p.26などで扱いました。

 

【4.3.10】
<設問>
Q1[L1] whatever自体の要素と、whatever節の要素を答えよ。whatever自体が名詞修飾語としてはたらく場合は、whateverによって修飾されている名詞の要素も答えよ。
Q2[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L2] enoughの要素を答えよ。
Q4[L2] to live句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q5[L2] being句内部の文型は何か。
Q6[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 whatever自体の要素:名詞修飾語
whatever節全体の要素:動詞修飾語(needを修飾)
whateverによって修飾されている名詞(way)の要素:O(preferのO) 

Q2 C-2´

Q3 O
・needのO。このenough「十分な量」という意味の名詞である。

Q4 B-1(目的格)
・enoughは、live on ~(~で生活する、~に頼って生活する)の、前置詞onの目的語である。目的格のtoV句で、前置詞のOであるパターンは「英語の基本」p.322、「COMPLETE」p.175で既習。

Q5 第2文型
・このbeing句の内部の構造は次の通り。

********************   
being(V) dependent(C) on the charity of others(形修)

※of othersは名詞charityを修飾するが、ここの部分もon句の一部なので、onからothersまでの全体が形容詞dependentを修飾する。
********************   

 第2文型の文がtoV句やVing句などの準動詞句になったものは、やや理解しにくくなる。「英語の基本」p.314参照。

Q6 theyとall
・「COMPLETE」p.335で既習。

 

【4.3.11】

<設問>
Q1[L2] orは何と何を結ぶか。
Q2[L2] whatever自体の要素と、whatever節の要素を答えよ。whatever自体が名詞修飾語としてはたらく場合は、whateverによって修飾されている名詞の要素も答えよ。
Q3[L2] whatever節は≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q4[L3] whatever節は全部で何語か。

 

<解答・解説>
Q1 wherever節とwhatever節
・2つの副詞節が結ばれている。

Q2 whatever自体の要素:名詞修飾語  
whatever節全体の要素:動詞修飾語(recognizeを修飾)  
whateverによって修飾される名詞(circumstances)の要素:前O(inのO) 

Q3 C―2´

Q4 7語
・whatever自体は名詞修飾語だが、修飾される名詞circumstancesは前置詞inのO。inは従位接続詞whateverの前に飛び出しているが、これも節に含まれる。ゆえに7語である。
・C―2´において、複合関係形容詞によって修飾される名詞が前置詞のOである場合は、前置詞が従位接続詞の前に飛び出すこともあるということは、「英語の基本」p.268の「発展」で述べてある。
・「複合関係形容詞によって修飾される名詞が前置詞のOである例」は、「英語の基本」p.272、「COMPLETE」p.155にある。ただ、それらの例では前置詞は従位接続詞の前に飛び出していない。これらの文を、「前置詞が飛び出した形」に書き換えると、それぞれ次のようになる。

  To whatever conclusion you come, don’t tell it to her.
The noise would annoy you, in whichever room you work.

 なお、このような「前置詞の飛び出し」は異様な感じがするかもしれないが、疑問代名詞が形成する名詞節や、関係代名詞が形成する形容詞で頻繁に見られる形である。後者の例を挙げよう。

   This is the house in which Tom lives.
That is the girl with whom I danced yesterday.

  wh語の接続詞の前に前置詞がある場合は、常に「この前置詞も従属節の一部ではないか」ということを疑わなくてはならない。

 

<補足講義>
whatever,whicheverは名詞節も副詞節も形成するので、これらが形成する節に遭遇したら、名詞節と副詞節どちらなのかを判別する必要が生じるのですが、本文に関しては大きなヒントが2つあり、実は判別が容易なものです。
1つはwhatever節の中にあるmayです。これは、副詞節の内部においてのみ現れるものです(「英語の基本」p.284の上部参照)。
またこの文ではorの前にwherever節があります。whereverは≪従位接続詞の一覧表≫のCの列にしかありません(C―3´)。つまり、副詞節しか形成しないのです。そして、orのうしろにwhatever節があるので、このwhatever節も副詞節ではないかという予想が立ちます。等位接続詞が語と語、句と句、節と節を結ぶ場合は、同じ要素のものどうしを結ぶのが原則だからです(「英語の基本」p.300~p.301参照)。

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Chapter5 倒置形

① 否定の副詞+V+S+V

[イントロダクション]
英文法のすべての分野の中で、「COMPLETE」で示した「起承転結」のうち、「起」と「承」がメイン分野だといえますが、ほぼ全ての英文を理解できるようになるためには、これらの他に、特殊な知識も扱わなくてはなりません。
この「特殊な知識」は、「COMPLETE」の「転の巻」で「特殊事項」として、扱いましたが、そのうち特に注意が必要なのが、「転の巻 第3部」の「特殊な結びつき」です(「COMPLETE」p.21参照)。
それぞれ、どのような点において「特殊な結びつき」なのかを説明します。

************************
倒置……本来の結びつき方と順序が異なる。
挿入……本来の結びつきの途中に、語句や節が入り込む。
省略……本来の結びつきに存在すべきものが無い。
同格……本来の結びつきの途中に、言い換えや内容説明の表現が存在する。
************************

 「解釈教室」では、このうちの3つがChapterとして存在します。次の通りです。

************************
倒置 → Chapter5
挿入 → Chapter15
同格 → Chapter6
************************
このChapter5では倒置を扱うのです。

 

【5.1.1】

<はじめに>
「解釈教室」p.78の上半分では、英語における語順の大切さ、そして倒置の難しさが語られています。下半分では、「COMPLETE」p.356~p.357、p.364~p.365で扱った、「否定語に関する倒置」について述べられています。いずれも難しい話ではないので、まずは目を通してほしいのですが、1点のみ注意をしておきます。伊藤先生は、p.78の下から5行目の右~その次の行にかけての部分で、次のように述べています。

************************
英国の用法では所有の意味のhaveの現在形と過去形もこれに加わる
************************

 これについて説明します。次の2文を見てください

 A) They like cats.
B) They have money.

  いずれも第3文型の文です。それぞれを真偽疑問文にしましょう。次のようになります。

 A´) Do they like cats?
B´) Do they have money?

  ごく初歩的な真偽疑問文です。ところが実は、B)の真偽疑問文としては、次の形もゆるされるのです。

 B´´) Have they money?

  つまり、haveをそのままSの前に出す形です。
一般動詞のうちhave,has,hadだけは、真偽疑問文を作る際に、助動詞と同じように、do,does,didの力を用いることなく、直接、Sの前に出すことが可能なのです(但し、イギリスの古い用法)。
そしてこのことは、「否定語+真偽疑問文の語順の倒置」の場合でも同じなのです。用いられている動詞がhave,has,hadである場合は、こららが直接Sの前に出ることもあるのです。
ではp.78を読んでください。読み終えたら例文5.1.1.に入りましょう。

 

<設問>
Q1[L1]  norを1語で書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 neither
・「COMPLETE」p.358参照

 

【5.1.2】

<設問>
Q1[L1] rarelyを1語で書き換えよ。
Q2[L1]  asを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 seldom
・「rarely=seldom」であり、「hardly=scarcely」である。「COMPLETE」p.351~p.352参照。
・seldomが文頭に出たパターンを「COMPLETE」p.357で扱ってある。

Q2 ように
・「COMPLETE」p.160、「英語の基本」p.287参照。

 

【5.1.3】

<設問>
Q1[L1] Not onceで始まる文が記載されている「COMPLETE」のページを答えよ。
Q2[L1] 文全体の文型は何か。
Q3[L1] from my earliest recollectionsを訳せ。
Q4[L1] hearing句内部の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 p.356
・上に2例ある。

Q2 第3文型
・IがS、recallがV、hearing句がO。
・VとOの間に、動詞recallに対する修飾語である前置詞句が挿入されている。「前置詞句の挿入」は、「COMPLETE」p.322の上で2例扱った。

Q3 和訳参照
・このearliestは「最も早く」ではなく「最も早くても」の意味で理解する。最上級は「さえ」「でも」の意味を読み込まなければならない例が少なくない。例を挙げる。

  The wisest man sometimes makes mistakes.
(最も賢い人でさえも、時には間違いを犯す)

Q4 第5文型パターン②
・hearingがV、motherがO、raise以下がC。raiseが原形なのでパターン②である。

 

【5.1.4】

<設問>
Q1[L1] この文を倒置される前の状態に戻せ。a nationで始めること。
Q2[L2]  thenはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 A nation never made such a stride in all the history of mankind as Japan then did.
・このneverが、in句を伴って文頭に出たうえで、真偽疑問文の語順となっている。「COMPLETE」p.356~p.357では、他の語を伴って倒置される否定語の例として、notとnoの例を見た。neverは単独で倒置される例のみを見たが(p.357の中央)、このようにneverは他の語を伴うこともある。
・なお、上の文において、didはmadeを受ける。as節はmadeを修飾する。as節の直訳は「当時の日本が成し遂げたように」だが、伊藤先生は、よりあっさりと「当時の日本ほど」としている。as節の内側が代動詞(do,does,did)である例は、「英語の基本」p.287の下から2番目で既習。
・as節はstrideを修飾すると考えることも不可能ではない。この場合は、asは関係代名詞だということになる。

Q2 Japanまたはdid
・どちらでもよい。前者なら「英語の基本」p.65中段の例。伊藤先生もこちらで訳している。

 

【5.1.5】

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

 

<設問>
Q1 和訳参照
・「はじめて」という言葉が出てくるかが勝負。もちろん「失敗してはじめて」でもよい。
・「not+until」で始まる文は「COMPLETE」p.356で既習。「はじめて」という訳語についてもそこで触れた。

 

【5.1.6】

<設問>
Q1[L1] until less than a hundred years agoを訳せ。
Q2[L2] in以下を元の語順に戻せ。
Q3[L2] このneitherの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「less than+数値」は、「COMPLETE」p.291で既習。直訳は「100年以下前まで」。ここから工夫する。

Q2 Rationalism was encouraged in neither class.
・このneitherは形容詞であり、直後の名詞を修飾している。この名詞は前Oである。このような場合は、通常、「前置詞+否定語+前O」が文頭に出る。類例を示す。

   Mary would scold me under no circumstances.
→Under no circumstances would Mary scold me.
(ゼロの状況でメアリーは私を怒る→決してメアリーは私を怒らない)

Q3 形容詞
・neitherの4用法を復習すること。「COMPLETE」p.349に3つあり、p.358に4つ目がある。

 

【5.1.7】

<はじめに>
このHPでも推薦図書として紹介している名著『英文法総覧』(開拓社刊)に、次のような文があります。

  A) Only at sunset did I leave the house.

 didがSの前に出ていることからわかる通り、この文は真偽疑問文の語順になっています。元の語順は次の通りです。

  B) I left the house only at sunset.

 onlyは前置詞句のat sunsetを修飾します(前置詞句に対する修飾語は、「COMPLETE」p.305で扱いました。onlyの例もあります)。
B)の「only+修飾される前置詞句」のセットが文頭に出て、真偽疑問文の語順になったのがA)なのです。
さて、この文にはnotやnoやneverのような否定語は見当たりません。それなのに、なぜB)の文は、A)に変形することができるのでしょうか。
実は、onlyは否定語なのです。
B)は、「私がその家を出たのは、日没後のみだ」という意味ですが、「日没後のみ」ということは「日没後まで、家を出なかった」ということです。「出なかった」と訳せることからも、onlyが否定語だということがわかります。
ちなみにこのようなonlyが用いられた文は、「~になってやっと[はじめて/ようやく]」と訳されることも多いものです。実際、A)を、著者の安井稔先生は次のように訳しています。

日没になってからやっと私はその家を離れた.

 以上をふまえたうえで、例文5.1.7に入りましょう。

 

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・やはり伊藤先生も「やっと」と訳している。

 

【5.1.8】

<設問>
Q1[L1]  onlyはどこを修飾するか。
Q2[L1]  to give句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q3[L2] regardless of ~の意味を答えよ。
Q4[L2] mayを訳せ。
Q5[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 when節
・従属節に対する修飾語は「COMPLETE」p.307で既習。そのページにonlyの例もある。本文は「only+when節」が文頭に出て、真偽疑問文の語順になったもの。

Q2 C-1
・useを修飾する。

Q3 ~に構わずに、~とは関係なく
・群前置詞。伊藤先生はregardless of rewardを「報酬のいかんを無視して」と訳しているが、もちろん「報酬(の額)に構わずに」などとしてもよい。

Q4 できる
・何度も出てきている「可能」のmay。文脈上、「推量(かもしれない)」よりも、「可能」のほうが相応しい。「こうすれば幸せになれる」という話。

Q5 weとourselves
・「COMPLETE」p.335で既習。

 

② M+V+S,etc

[イントロダクション]

 この②では、主に次の2種類の倒置を見ます。

  CVS
動詞修飾語+VS    

それぞれ、「COMPLETE」p.318、p.319で扱ったので、忘れていたらまずは復習をしてください。
なお「COMPLETE」にある「CVS」の倒置では、Cには修飾語は加わっていません。Cに修飾語が加わっている場合は、通常、この修飾語もいっしょに文頭に出ます。

 

【5.2.1】

<はじめに>
本文の前にある5行の解説部分では、「CVS」のみならず「CSV」という型も存在するということが述べられています。実は、Sが代名詞の場合は、通常は「CSV」になるのです。例文は『英文法総覧』のp.548に2つあります。ぜひ参照してください。

 

<設問>
Q1[L1]  第1文を訳せ。
Q2[L2] letsから文末までを訳せ。
※certain(ある、ある種の)

 

<解答・解説>
Q1 男性が女性に敬意を示すある種の習慣は、アメリカに特有のものだ。
・これが直訳。伊藤先生はここから少し工夫している。
・この第1文はCVSの倒置となっている文。Cにto Americaという修飾語が加わっており、3語が文頭に出ている。
・「customs by which SV」は「SがVする習慣」と訳す。byは訳さない。これについては「英語の基本」p.215の上のワク中の最終行参照。
なお、ここでbyが用いられている理由がやや不明瞭であるはずだ。たとえばthe house in which he livesという表現のinや、the girl with whom Bob dancedという表現のwithなどは、これらが用いられていることに違和感はないのだが、本文のbyはやや異様であるかもしれない。このbyは「手段」の意味である。その習慣があるからこそ、男性は女性に敬意を示すことができる。習慣という手段を通して、男性は女性に敬意を示すのである。

Q2 女性を(自分の)先に通らせる
・第5文型パターン②の表現。letは「COMPLETE」p.190、「英語の基本」p.353で既習。
・through itはprecedeを修飾するが、この文法関係に忠実に訳すと「ドアを通り抜けて自分に先行させてやる」となり、日本語として不自然になる。解答のように工夫する。

     

【5.2.2】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] このthanの品詞を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 第2文型
・CVSの倒置。例文5.2.1と同様に、ここでも「C+修飾語」が文頭に出ている。つまりmore importantという形容詞のみならず、修飾語のthan the invention of new machinesも文頭に出ているのである。

Q2 前置詞
・thanが形容詞修飾語/副詞修飾語としてはたらくまとまりを形成する従位接続詞または前置詞であるということは、「COMPLETE」p.277で既習。本文のthanの後ろはSVではなく名詞のみなので、前置詞である。

 

<補足講義>
CVSの倒置の多くにおいては、文頭のCから訳されます。本文の伊藤先生の訳においても、Cであるmore important+修飾語を、Sよりも先に訳していることを確認してください。

 

【5.2.3】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L2] oldestの後ろに1語補え。

 

<解答・解説>
Q1 第1文型
・第2文型と考えられないこともない。たとえばI am in Japan.という文は、in Japanがam(いる)を修飾すると考えるのが一般的であり、I am in trouble.(僕は困っている)は、in troubleがCだと考えるのが一般的である。ところがそれぞれを逆に考えることも可能だ。つまり前者を「僕は日本という場にいる状態だ」という意味の第2文型だと考えることも、後者を「僕は困難の中にいる」という意味の第1文型だと考えることも可能。「S be 前置詞句」という文の文型は曖昧なのである。
・本文は、文頭に出ているamong句を動詞修飾語と考えれば、「動詞修飾語+VSの倒置」であり、among句をCと考えれば「CVSの倒置」だということになる。

Q2 work
・繰り返しを避けるために省略している。「COMPLETE」p.325で既習。
・なお、省略されている語は、literatureではありえない。oldest X of themのXは、「themのうちの1つ」なので、themと同種のものでなくてはならない。ということは、themが何かがわかればXも明らかになる。ではthemはworksだろうか、それともliteratureだろうか。literatureは不可算名詞なので、複数概念であるthemがこの語を指すはすがない。つまりthemはworksなのである。よってXはworkだということになる。
・名詞の単数、複数、可算、不可算については、「英語の基本」p.p.65~p.72の「発展」で詳述した。未読の場合は必ず読むこと。

 

<補足講義>
前置詞amongは「~の間に」という意味ですが、X is among Y.という型の文においては、 「XはYのうちの1つである」と訳せることが多いものです。
なお、「CVS」のみならず、「動詞修飾語+VS」の文においても、「先頭からの訳」になることが多く見られます。この文に対する伊藤先生の訳も、「Sは…の1つである」ではなく、「…の1つに、Sがある」という訳になっていることを確認してください。

 

【5.2.4】

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。
Q2[L2] from betweenは(   )前置詞である。カッコの中に漢字2文字を入れよ。
Q3[L2] marking句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
※highway(公道、幹線道路) mark(示す)

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・この文も、先頭の動詞修飾語から訳したほうがすんなりいく。つまり「~の地点に、Sがあった」がおおまかな訳。
・Sの直後のmarking句は名詞修飾語なので、a stone post以下は「~を示している石の道標」とするのが原則。ただ、postの後ろにカンマがあり、一区切りが入っているので、その点を尊重して訳し下してもよい。「カンマ+名詞修飾語」の訳し方の柔軟性については、「COMPLETE」p.323~p.324において形容詞節の例で述べたが、同じことはVing句やVed句などの形容詞句にもあてはまる。伊藤先生は訳し下している。
・a quarter of a mileは、quarterが数量に関するものなので、前から訳す。「英語の基本」p.87の「発展」で扱った内容。

Q2 二重前置詞
・「英語の基本」p.79~p.80で既習。「発展」なので未読の場合は読むこと。

Q3 B-2
・Q1のところで解説した通り、名詞修飾語としてはたらく。

 

【5.2.5】

<設問>
Q1[L1]  in以下を、倒置される前の語順に戻せ。
Q2[L1]  a little girl with a ribbon on her hairを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 a little girl with a ribbon on her hair came in
・「動詞修飾語+VS」の倒置だが、動詞修飾語が副詞のin1語であり、少し理解しにくい(inは前置詞のみならず、副詞でもある)。類例は「COMPLETE」p.319の上から2番目の文。また本文の前にある4行の解説部分においても、類例が示されている。この文の元の形は次の通り。

  The man and his wife rushed out.

Q2 和訳参照
・付帯状況のwithで、with以下が名詞修飾語であるパターン。「英語の基本」p.377で既習。

 

【5.2.6】
<設問>
Q1[L1] 文全体の文型を答えよ。
Q2[L1] hillの要素を答えよ。
Q3[L2] stretching句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 第1文型
・「動詞修飾語+VS」の倒置。at the foot ofは、まとめて1つの群前置詞と考えてよい(意味は「~のふもとに」)。すると、この文は「COMPLETE」p.319の中央のワク内の、一番下の例文と同じ構造の文だということになる。

Q2 名詞修飾語
・countryを修飾する。名詞の形容詞的用法。「英語の基本」p.83参照。「COMPLETE」ではp.48で扱った。
・countryには「土地」「地域」という意味もある。

Q3 B-2
・句の前にカンマがあることを尊重して、例文5.2.4と同じように訳し下すことも可能(伊藤先生は、原則通りに訳し上げている)。訳し下すと、全文訳は次のようになる。

  山地のふもとに北部の大平原があり、2000マイルにわたってひろがっている。

 

<補足講義>
伊藤先生の解説ではtwo thousand milesを「副詞的目的格」と述べています。これについては例文1.1.3の<補足講義>のところで少し述べましたが、要するに「英語の基本」p.83でいう「名詞の副詞的用法」のことなのです。milesは名詞でありながら、動詞のstretchingを修飾しています。
なお、名詞の副詞的用法においては、通常、その名詞の前に修飾語が存在するということを「COMPLETE」p.49で述べました。この例でも名詞milesは、two thousandによって修飾されています。
stretching句は《準動詞句の一覧表》のB-2ですが、このstretchは「広がっている」という意味の状態動詞なので、関係代名詞を用いて書き換える場合は進行形にはなりません。これについて忘れていたら、「英語の基本」p.326で確認してください。

 

【5.2.7】

<設問>
Q1[L1] humanの要素を答えよ。
Q2[L3] whether節の訳を答えよ。
Q3[L3] この行で省略可能な語を2語答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 名詞修飾語
・resourcesを修飾する。humanは原則として形容詞。humanを用いて「人間」を表すのならhuman being(s)とするのが基本。

Q2 S
・Sとしてはたらくので、このwhetherは≪従位接続詞の一覧表≫のA-0。
・この文も「動詞修飾語+VS」の倒置の例。文全体は「~かどうかは、このバランスの上によりかかって存在している」という意味であり、抽象的な意味ではあるが、場に関する話だといえる。よってこの文においても、「COMPLETE」p.319の上のワクの中の2つの条件が満たされているといえる。ゆえに倒置になっている。

Q3 or not
・whether節の内部のor notは「ない」と訳す必要は特にない。伊藤先生も「存続しうるか、しえないかは」とは訳していない。つまりこのor notは重みのないものであり、省略が可能だといえる。このor notについては、「英語の基本」p.161の中央部分で扱った。

 

<補足講義>
第1文は、「There be動詞 S.」のbe動詞の前に法助動詞が加わっている文です。このような文は慣れるまでにやや時間がかかります。また、自ら生み出せる人は少ないようです。

  There will be S.(Sがある/いるだろう)
There may be S.(Sがある/いるかもしれない)
There should be S.(Sがある/いるべきだ)
There must be S.(Sがある/いるにちがいない[Sが(い)なくてはならない)

といった表現に慣れてください。

 

【5.2.8】

<はじめに>
この文を理解するには、次の3つの知識が必要になります。

************************
1.  「動詞修飾語+VS」においては、「COMPLETE」p.319の上のワクの条件が片方しか満たされないことや、1つも満たされないことがある。
2.  「動詞修飾語+be Ⅴed S」という型の文も存在しうる。つまり、この倒置においては、受動態の文であるパターンもある。
3.  元の文に助動詞(丸V)が存在する文を、この倒置にする際には、助動詞もSの前に出す。その結果、「動詞修飾語+丸V+V[be Ved] S」という構造の文が完成する。
************************

 

<設問>
Q1[L1] 文全体を倒置される前のものに戻せ。なお、more or less accuratelyの部分は削除して解答を作ること。
Q2[L1] 文全体の文型を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 The general requirements of the reading public can be determined from a study of the productions of the various presses of different countries.
・この文のおおまかな構造は次の通りである。

************************
S(Theからpublicまで)+丸V+be Ved+動詞修飾語(fromから文末まで)
************************

 そして、動詞修飾語が文頭に出て、かつ、述語全体がSの前に出ている。その結果、「動詞修飾語+丸V+be Ved+S」という構造となっている。しっかり音読・筆写をして、この文のリズムにも慣れること。
・なお、この文では「COMPLETE」p.319の上のワクの2つの条件は、いずれも満たされていない。

Q2 第3文型の受動態

 

【5.2.9】
例題編で解説します。

 

③ O+S+V

[イントロダクション]
この③では、目的語が文頭に出る倒置を見ます。「COMPLETE」では、p.318の下半分で最もシンプルなパターンを扱っています。まずはここを復習してください。

 

【5.3.1】

<はじめに>
「解釈教室」p.87の最後の3行と、その次のページの上半分にある解説部分は問題なく理解できるはずです。目を通してください。

<設問>
Q1[L1] powerの要素を答えよ。
Q2[L1] greatestの後ろに1語を補え。
Q3[L1] このknown句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。またknown句は全部で何語か。

 

<解答・解説>
Q1 O
・holdsのOとしてはたらくpowerと、これの言い換え部分(theからearthまで)が文頭に出ている。

Q2 power
・共通部分の省略。「COMPLETE」p.325参照。文頭のpowerと、その後ろにあるダッシュの内側は同格。
・ダッシュの内側の直訳は「地上でかつて知られた中でもっとも大きな力」。

Q3 B―2  全部で4語
・known句はgreatest (power)を修飾。副詞everは「今まで」「これまで」という意味でknownを修飾するので、Ved句の先頭は動詞ではなく副詞である。「英語の基本」p.395~p.396参照。

 

【5.3.2】

<設問>
Q1[L2] qualityの要素を答えよ。
Q2[L2] thatの品詞を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 O 
・これもOSVの倒置だが、Oであるqualityの前後に修飾語が加わり「修飾語+O+修飾語」が文頭に出ている。

Q2 形容詞
・「その」という意味の指示形容詞である。なお「指示形容詞」という言葉については「英語の基本」p.71で詳述した。

 

【5.3.3】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・「OSVC」の倒置となっている。Oが文頭に出る倒置には、「OSV」のみならず、このパターンもある。この文の直訳は「私たちはこのような言語研究を言語学と呼ぶ」だが、伊藤先生は文頭に出ているOから訳している。そして「呼ぶ」を「呼ばれている」としている。受動態の文を能動態で訳すことはこれまでにあったが、このように、逆に能動態の文を受動態で訳すこともあるのである。
・なお、「CVS」「動詞修飾語+VS」においては、「文頭からの訳」になることがあるということを例文5.2.2の<補足講義>と例文5.2.3の<補足講義>で述べたが、Oが文頭に出た倒置でも、文頭から訳すことがある。本文においても伊藤先生は文頭のthis study of languagesから訳している。
・伊藤先生の解説部分では、倒置された文のあいまいさについて述べられている。目を通すこと。

 

【5.3.4】

<設問>
Q1[L1] whether節の要素を答えよ。
Q2[L1] that節の要素を答えよ。
Q3[L2] itは何を指すか。
Q4[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。
※be worthy of ~(~に値する)

 

<解答・解説>
Q1 O
・OSVの倒置。Oとしてはたらく名詞節が文頭に移動している。「COMPLETE」p.318には、what節の例がある。

Q2 O
・これも同じく「OSV」で、Oが名詞節。

Q3 liberty
・fateでは意味が通らない。

Q4 weとourselves
・離れている。「COMPLETE」p.335参照。

 

【5.3.5】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] lastingという語は、動詞last(続く)がing形になったものだが、進行の意味があるか、それともないか。
Q3[全体] この文には、和訳に反映されない語が1つある。どれか。本文と和訳を見比べつつ考えること。なおaとhaveは解答から除外する。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・OSVCの倒置。Oが関係代名詞節によって修飾されており、この節も文頭に出ている。Oだけが出るものよりも、当然、理解しにくくなる。

Q2 ない
・「今、まさに続いている」という意味ではない。ちなみに、この語は形容詞として辞書化されている。
・動詞のing形による、前からの名詞修飾に関する知識があいまいになっていたら、改めて「英語の基本」p.327の下からp.330までを読むこと。

Q3 those
・関係詞の先行詞を修飾する指示形容詞のthat,thoseは、通常は訳さない。伊藤先生の和訳も「それらの」とはなっていない。

 

【5.3.6】

<設問>
Q1[L1] Someからforgetまでを、倒置される前の語順に戻せ。
Q2[L2] shallの訳を答えよ。
Q3[L2] havingは助動詞か本動詞か。

 

<解答・解説>
Q1 I shall never forget some of the things he said to me.
・thingsの後ろには、目的格の関係代名詞thatが省略されている。この「some of the things+関係代名詞節」が文頭に出たのが本文。

Q2 ~するつもりだ
・意志を表す。「COMPLETE」p.241参照。

Q3 助動詞
・having said themは完了形がVing句になったもの。「COMPLETE」p.231の上のワクの中に、この形がある。完了形のhaveは助動詞である。
・なお、このhaving said themは、「COMPLETE」p.234の①の例だとも③の例だとも考えられる。つまり、現在完了形に相当するものだとも考えられるし、また、単に「現在から過去へのズレ」を表すだけだとも考えらえる。このように、「to have Ⅴ(過去分詞形)」と「having Ⅴ(過去分詞形)」は、意味があいまいな例も多いのである。ただ、「現在完了」も「過去」も、現代日本語では「た」を用いるので(「COMPLETE」p.223参照)、「た」と訳せばよい。
・なお、「COMPLETE」のその部分の内容、つまり準動詞句に変化した完了形の知識について忘れかけていたら、「COMPLETE」p.230の下からp.234を読むこと。ここ少しややこしい部分。

 

【5.3.7】

<はじめに>
「解釈教室」p.90の上半分では、次の2つのことが述べられています。

************************
・「OSV」の倒置の中には、準動詞句の内側にあるOが文頭に出るパターンもある。
・OはOでも動詞のOではなく、前置詞のOが前に出るパターンもある。
************************

 以上をふまえたうえで、その部分を読み、例文に入っていきましょう。

 

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。
Q2[L2] to go句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:O    what節の要素:前置詞のO
・それぞれbegunのO、withのO。
・本文は「OSV」ならぬ「前O+SV…+前置詞」の倒置。この倒置が起こっている場合の大半は、述語が句動詞(動詞+αで、まとまりの動詞として処理するもの。「COMPLETE」p.373の上の3例のようなもの)である。本文でも、述語はgo on with ~は「~を続ける」という意味の句動詞。

Q2 D―1
・「be prepared to」でまとめてとらえる。この表現は、「COMPLETE」p.185、「英語の基本」p.345のリストに書き加えておくこと。

 

【5.3.8】
例題編で解説します。

 

④ 特殊構文の倒置形

[イントロダクション]
「英語の基本」において、「本来はbe動詞が置かれる位置に、一般動詞が置かれる」という話を2箇所で扱いました(「COMPLETE」では1箇所)。どの箇所だったかを思い出してみてください。
第2文型と受動態です。それぞれp.35とp.47~p.48で確認してください。
さて、第2文型、受動態のみならず、「There be動詞 名詞.」においても、be動詞の位置に一般動詞が置かれることがあります。置かれる動詞は、主に「存在」「出現」「往来」に関するものです。例を示しましょう。

    There stands a building on the hill.
(その丘の上にビルが建っている)
There came a ship!(船が来た!)

  さて、このような文を「解釈教室」では「倒置」の例として説明していますが、上のように

************************
「There be動詞 名詞.」のbe動詞の位置に一般動詞が置かれ、「There 一般動詞 名詞.」という型になることがある。
************************

 というとらえ方のほうがスッキリと理解できます。
加えて、次のことも知ってください。

************************
述語の位置に受動表現が置かれた「There be  Ved 名詞.」という型もある。
************************

 例文5.4.1の上の解説を読む必要はありません。

 

【5.4.1】

<設問>
Q1[L1] 文頭からbeliefまでを訳せ。なお、grow upは句動詞である。この文における意味は「生じて大きくなる」。
Q2[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
※one another(お互い)  
according to ~(~に応じて、~に従って)…「COMPLETE」p.53で既習。

 

<解答・解説>
Q1 (その)数世紀の間にゆっくりと信条が生まれて大きくなった。
・「there be動詞 名詞」の、be動詞の位置に、出現の意味を持つ句動詞のgrew upが入り込んでいる。

Q2 B-0
・beliefは「COMPLETE」p.130、「英語の基本」p.235のリストにある。そして、本文のthatの後ろは「SVO+動詞修飾語(accordingからjusticeまでの群前置詞句は、treatを修飾する)」であり、完全な文である。よってthatは同格。

 

【5.4.2】

<設問>
Q1[L1] Thereからgulfまでを訳せ。
Q2[L2] mineを2語で書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 今や我々にはへだたりが明らかになった。
・イントロダクションで述べた「There be動詞  Ved 名詞.」のパターン。この場合もやはり、用いられる述語は「存在」「出現」「往来」に関するもの。本文のwas revealed(「明るみになった」という「出現」の意味。直訳は「明らかにされた」)も、「これまで隠されていたものが出現した」という意味である。

Q2 my generation

 

【5.4.3】
<はじめに>
例文5.2.7の<補足講義>で、「There be S.」のbe動詞の前に法助動詞が加わっている文について、「慣れるまでにやや時間がかかり、また、自ら生み出せる人は少ない」という旨のことを述べましたが、法助動詞のみならず、実質的に助動詞として扱ってよいhave to(「COMPLETE」p.243参照)や、be going to(「COMPLETE」p.252参照)も、同じようにbe動詞の前に加わります。つまり、以下のような型の文もあるのです。

There have to be X.
There is going to be X.

  このことをふまえたうえで、設問に入りましょう。

 

<設問>
Q1[L1] thereから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 戦争になりそうだ。
・このbe going toの意味は「~だろう」。be going toが持つ3つの意味については、「COMPLETE」p.252の中央のワクの中で確認すること。

 

【5.4.4】

<はじめに>
実質的には助動詞だと考えてよいものの代表例として、have toやbe going toの他にも「be 形容詞 to」がありました。「COMPLETE」p.184~p.185、「英語の基本」p.344~p.345で扱ったものです。忘れていたら、まずはここを復習してください。
そしてこれらの表現も、「There be動詞 S.」のbe動詞の前に加わります。

 

<設問>
Q1[L2] thereから文末までを訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「there be 名詞」のbeの前に、助動詞に準ずるbe bound toが加わった文。be bound toは、「COMPLETE」p.185、「英語の基本」p.345にある。
本文では「きっと~する」から一歩進めて、「当然」と訳されている。

 

【5.4.5】

<はじめに>
まずは次の文を見てください。この例文の前にある、11行の解説の冒頭で示されている文です。

  “You must go to bed now.” “So I must and so must you.”

  第2文の後半のso must youという表現は、「COMPLETE」p.320で扱った「so+真偽疑問文の語順」の一例です(この内容を忘れていたら再読してください)。前半のSo I mustは未習ですので、特にこちらに対する説明に注意しながら、この11行の解説部分を読んでください。

 

<設問>
Q1[L1] Soから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・So am I.ではなくSo I am.であることに注意。So am I.は、「COMPLETE」p.320に存在する。

 

【5.4.6】

<設問>
Q1[L1] 第1文の文型は何か。
Q2[L2] 第2文を訳せ。
Q3[L2] to take句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 第2文型
・群前置詞句のdue to句がSVCのCである文は、「COMPLETE」p.53で既習。

Q2 和訳参照
・ポイントは2つ。1つは挿入されているtoV句を飛び越えて、Soとisをつないで「So is ~.」という形を見抜き、これを「~もだ」と解釈できるかという点。もう1つは、挿入されているtoV句が≪準動詞句の一覧表≫のC-1であり、「たら」「れば」の意味だと突き止められるかという点。C-1のこの意味は、多くの人が苦手としている。「英語の基本」で解説した部分(p.336)を読んでおくこと。本文においては、ただでさえ馴染みの薄い「たら」「れば」の意味のtoV句が、「特殊な結びつき」の1つである挿入の形式になっているのでいっそう難しい。
・なお、動詞修飾語としてはたらく副詞節が挿入される例は「COMPLETE」p.324で扱ったが、動詞修飾語としてはたらく副詞句(この言葉については≪準動詞句の一覧表≫の、Cの列の最上段参照。また<補足講義>でも説明する)もまた、このように挿入の形式となる。本文はその例。

Q3 C-1

 

<補足講義>
例文3.3.3の<はじめに>のところで、「形容詞句」という言葉について説明しました。形容詞句とは、主に≪準動詞句の一覧表≫のBの列のものと、名詞修飾語としてはたらく前置詞句のことですが、同様に「副詞句」とは、≪準動詞句の一覧表≫のCの列のものと、動詞修飾語としてはたらく前置詞句です。
なお、形容詞修飾語としてはたらく言葉も副詞なので、≪準動詞句の一覧表≫のDの列のものや、形容詞修飾語としてはたらく前置詞句も副詞句です。
さらに、副詞修飾語としてはたらく言葉も副詞なので、副詞修飾語としてはたらく前置詞句も副詞句だということになります。
「副詞が副詞を修飾する」ということについて忘れていたら「英語の基本」p.77、「COMPLETE」p.46を参照してください。また、「副詞修飾語としてはたらく前置詞句」を忘れていたら「英語の基本」p.77、「COMPLETE」p.46で復習してください。

 

【5.4.7】

<はじめに>
例文5.4.5の前にある解説部分で述べられている通り、「So+前文の繰り返し」は、「その通りだ」という意味ですが、単に繰り返されるのではなく、述語部分に法助動詞が加わることがあります。もちろん文の意味は、その法助動詞の意味が加わったものになります。

 

<設問>
Q1[L1] 第2文を訳せ。
Q2[L1] beの後ろに省略されている語を補え。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・oughtは「COMPLETE」p.242で扱った。「べき」「はず」という意味だが、「べき」には「当然」のニュアンスもある。ゆえに伊藤先生は、本文のoughtを「当然」と訳している。

Q2 discontented
・共通部分の省略。「COMPLETE」p.325参照。

 

<補足講義>
文頭のtodayは、is(または文全体)を修飾する。よって第1文の直訳は「現代(こんにち)、青年は不満を抱いている」となる。これが最も無難な和訳である。ところが伊藤先生は、todayをyouthに対する修飾語として訳している。このように、修飾先を変更して訳すこともあるのである。

 

【5.4.8】

<はじめに>
この5.4.8も倒置の文ですが、「COMPLETE」では扱っていないパターンです。ある構文の前半が倒置になったものなのですが、その構文は「COMPLETE」でも「英語の基本」でも扱っています。その構文が何なのか、そして元の形がどのようなものかを考えながら読んでみてください。

 

<設問>
Q1[L1] Soからstudyまでを元の語順に戻せ。

 

<解答・解説>
Q1 He studied so hard
・so … that構文(「英語の基本」p.292、「COMPLETE」p.363参照)においては、「so …」が文頭に出て、真偽疑問文の語順になることがある。このパターンは初見だが、「soの後ろに真偽疑問文の語順が続くもの」は「COMPLETE」p.320で扱っており、その点、類似のものを扱っているといえる。

 

【5.4.9】
例題編で解説します。

 

【5.4.10】
例題編で解説します。

 

【5.4.11】

<はじめに>
「解釈教室」p.96の中央のワクの中に、仮定法に関する「省略+倒置」の3パターンがあります。いずれも「COMPLETE」p.328~p.329で扱ったものです。そこを復習したうえで、「解釈教室」のそのワクの中も目を通し、例文に入って行きましょう。

 

<設問>
Q1[L1] were it not forを倒置される前の文に戻せ。

<解答・解説>
Q1 if it were not for
・この表現は「COMPLETE」p.264で既習。

 

【5.4.12】

<設問>
Q1[L1] to doは≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] evenからyearsまでを訳せ。
Q3[L2] evenからyearsまではどこを修飾するか。
Q4[L2] until節はどこを修飾するか。
Q5[L3] that節の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 C―1
・「way+これを修飾するtoV句」は、「英語の基本」p.316、「COMPLETE」p.172で既習だが、本文ではそう解釈すると、和訳が「一つのことをするための何千もの方法」となり、やや不自然。このtoV句はtriesを修飾すると考える。
・なお、このaは「1」という意味をはっきり出して、「一つの」の訳すとよい。これによりthousandsという語との対比がはっきりして、よりわかりやすい和訳となる。

Q2 たとえ10年かかっても
・If … shouldという表現は、「COMPLETE」p.260で扱ったが、このshouldは、if節の内部のみならず、even if節の中にも現れうる(even ifについては「COMPLETE」p.135、「英語の基本」p.245で既習)。そして、
even if節の内部にshouldが存在する場合も、「ifの省略+shouldの文頭への移動」は起こり得るのである。ただ、evenは消えないので、先頭は「even should」となる。本文はこの形。
・なお、このshouldを「万一」と訳出してもよいということは、「COMPLETE」p.260で述べてある。

Q3 quits
・「たとえ10年かかっても、やめない」という意味関係。

Q4 quits
・文全体は「主節(Vが2つ。triesとquits)+副詞節1+副詞節2」という構造。2つの副詞節はいずれも主節の2つ目のVを修飾する。副詞節2のほうが長いので、伊藤先生はこちらを先に和訳している。和訳の際には、常に次のことを頭に入れておくこと。

************************
1つの被修飾語に対して複数の修飾語が存在する場合、長いほうを先に和訳するのが原則。
************************

Q5 O
・provedのO。VとOの間に動詞修飾語のconclusivelyが存在する。このような「VとOとしてはたらく節の間に修飾語が存在する文」は、「COMPLETE」、「英語の基本」ともに例がない。

 

【5.4.13】

<設問>
Q1[L1] many a ~を訳せ。
Q2[L1] had以下を1語増やして書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 多くの~
・伊藤先生の解説も読むこと。単数扱いだということに注意。

Q2 if he had not possessed a knife or a gun
・仮定法過去完了における倒置。

 

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Chapter6 同格構文

① H+A

[イントロダクション]
文中で名詞を見たら、原則として、これをS、C、O、前Oのいずれかだと考えます。例外は、名詞修飾語、動詞修飾語としてはたらく場合(「英語の基本」p.83、「COMPLETE」p.48参照)、また、動名詞や分詞構文の意味上の主語としてはたらく場合(「英語の基本」p.383~p.385、「COMPLETE」p.206~p.208参照)です。
他にも例外があります。代表的なものが同格語である場合です。
この「同格語」という言葉は「主要語」と対比させて、「COMPLETE」p.334で紹介しました。忘れていたらまずは再読してください。 
それを終えたら、「解釈教室」のp.100の全てと、p.101の1行目を読んでください。
★★★
さて、p.101の2行目からの6行のところで述べられている内容は、主に2つのことです。
1つは、このChapterで扱う「同格」は、「COMPLETE」p.334の上で示した3種類の同格のうち、「1 本来の同格」のみだということです(実際には「3 その他の同格」の類例も扱われています。但し「2 広い意味での同格」は扱われていません)。
もう1つは、この章では、同格に関する2つの記号を用いるということです。主要語をHという記号で表し、同格語はAという記号で表すのです。

 

【6.1.1】

<設問>
Q1[L1] この文のSの部分は、伊藤先生以外の訳として、たとえばどのようなものが考えられるか。

 

<解答・解説>
Q1 アングル博士(アブラハム・リンカーンについての著名な権威)
・「COMPLETE」p.334にある2つの例文のうち、最初の例では「同格語→主要語」の順序で訳し、2番目の例では、逆に「主要語→同格語」の順序で訳している。同格関係にあるものを訳す際は、訳の順序はかなり自由度が高い。どちらから訳してもよいものが多いのである。
・なお、伊藤先生の語順のままで「権威」の後に「である」を置いて、「アブラハム・リンカーンについての著名な権威であるアングル博士」と訳すのも可。とにかく、「主要語+同格語」の訳は色々なものがありうるのである。

 

【6.1.2】

<設問>
Q1[L2] animalの要素を答えよ。
Q2[L3] tailの要素を答えよ。

<解答・解説>
Q1 前置詞の目的語
・animalはglowwormの同格語である。glowwormは前置詞thanのOである。ゆえにanimalも同じく前O。「本来の同格」においては、同格関係にある2つのものの要素は同じなのであった。「COMPLETE」p.335の上部で述べた。
・thanが従位接続詞または前置詞であるということは、例文5.2.2で扱った。本文のthanの後ろはSVではないので、thanは前置詞。

Q2 名詞修飾語
・名詞の形容詞的用法である。endを修飾している。

 

【6.1.3】

<設問>
Q1[L1] この文の述語は「法助動詞+完了形」だが、これは「COMPLETE」p.249の一番下のワクの中の①か②か。①ならそのうちの3つのどれか。②なら大過去に類するものか、それとも「現在から過去へのズレ」を表すものか。
Q2[L1] calledは過去形か過去分詞形か。
Q3[L1] 2つ目のlandの要素を答えよ。
Q4[L2] ofの目的語を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 ①で現在完了に相当するもの
・「法助動詞+完了形」は、「過去への推量を表す」とのみ記載されている書物が多く、大半の学習者は「現在から過去へのズレ」を表す用法だけに馴染んでいるのだが、そもそもは完了形に法助動詞が加わったものである以上、完了形本来の意味がある例も、当然のように存在する。
・本文は、「過去のある時点で聞いたかもしれません」ということを推量しているのではなく(仮にその例であれば、通常は、過去の時点を表す言葉が置かれる。このことは「COMPLETE」p.248の下のワクの中参照)、現在完了本来の意味、特に「経験」の意味が感じられる例。その内容に対して、mayで推量を加えている。「COMPLETE」p.245の最初の例文が類例。

Q2 過去分詞形
・called ItalyがVed句であり、landを修飾する。

Q3 前置詞の目的語
・1つ目のlandと同格。1つ目のlandが前置詞の目的語であるから、これも同じく前O。

Q4 (golden) sunshineと、(warm, soft) air。
・warmとsoftの2語が、airを修飾することに注意。よってwarm and soft airと表記してもよいが、こうするとwarmの直前にandがあるため、「andの連発」になってしまい、sunshineとairの並列関係が見抜きにくくなる。この理由もあり、カンマを用いている。

 

                     
【6.1.4】

<設問>
Q1[L2] attemptの要素を答えよ。
Q2[L2] to interpret句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
※in abundance(豊富に、裕福に、ありあまるほどに)

 

<解答・解説>
Q1 O
・lacksのOであるqualityと同格なので、これもO。

Q2 B-1(同格)
・attemptからは「どうしようという試み?」という疑問が生じる。なお「同格のtoⅤ句」を忘れかけていたら、「COMPLETE」及び「英語の基本」のtoV句の形容詞的用法の部分を読み復習すること。

 

<補足講義>
この文では、主要語が2つの関係代名詞節によって修飾されており、主要語と同格語が遠く離れています。よって、同格関係が見抜きにくいのです。
なお、andによって2つの関係代名詞節が結ばれている例は「英語の基本」p.301にあります。

 

【6.1.5】

<設問>
Q1[L1] 1行目の文を訳せ
Q2[L2] philosopherの要素を答えよ。
Q3[L3] manの要素を答えよ。
Q4[L4] the wisest man who ever livedを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・not A but Bは、「COMPLETE」p.346で既習。

Q2 前置詞の目的語
・Socratesと同格なので、前置詞ofのOである。

Q3 前置詞の目的語
・これもSocratesと同格。本文は、1つの主要語に対して2つの同格語が存在するのである。

Q4 これまでで最も賢い人
・直訳は「これまでに生きた中で最も賢い人」。<補足講義>参照。

 

<補足講義>
「COMPLETE」p.278の下から2番目のワクの中で、最上級の直後に加わる表現をまとめてありますが、そこに「that SV(SがVした中で)」があります。このthatは、実は目的格の関係代名詞なのですが、that以外のwhich,whoが用いられることもあります。
また、目的格ではなく主格の関係代名詞節、つまり「that/which/who V」という形のものが加わることもあるのです。そして本文がその例です。
伊藤先生は「かつてないほどの賢者」と訳していますが、あくまでも最上級なので、上で示した訳の方が適切だといえます。
なお「参考」のところには、本文と同様に「主要語1つ、同格語2つ」の例が示されていますが、これは主要語が複数形である例です。

 

【6.1.6】

 <はじめに>
まずは次の文を見てください。

  A) ヒロシ、俺は眠いのだよ。静かにしておくれ。
B) ヒロシ、君こそが我が社のエースだ。
C) ヒロシ、あいつこそが我が社のエースだ。

 それぞれの「ヒロシ」は文法上、どの要素だと考えればいいでしょうか。
A)の「ヒロシ」は呼びかけの部分なので、間投詞の「おい」「ねぇ」と同じように、どの要素にもならないものだと考えられます(間投詞については「英語の基本」p.81参照)。
B)の「ヒロシ」も呼び掛けですが、「ヒロシ」と「君」はイコールの関係です。よって、この2つが同格関係にあると考えることもできます。こう考えると、「ヒロシ」は「君」と同じく、主語であるということになります。ただ、同じ呼びかけの言葉でありながら、A)ではどの要素にもならず、B)では主語だと考えるのは、奇妙だともいえます。B)はそのような文法上の曖昧さを含んだ文なのです。
C)のヒロシは呼び掛けではありません。そして、「あいつ」とイコールの関係にあります。よって、この2つを同格関係だと判断し、「ヒロシ」は主語だと考えられます。   
ただ、直接呼びかけているわけではないものの、一種の呼び掛けだと考え、C)の「ヒロシ」も、A)の「ヒロシ」と同じように、要素にならないものだと考えることも可能です。
このように、B)、C)の「ヒロシ」とその後ろの名詞の関係は、処理が難しいものです。純粋な同格関係からはややズレるものなのです。
さて、類例が英語にもあります。まずは「解釈教室」p.102の下の7行を読んでください。
★★★
「解釈教室」p.102の下から4行目にある文における、Charles Dickensとheの関係が、まさに、C)の「ヒロシ」と「あいつ」の関係と同じなのです。
また、「解釈教室」p.103の1行目の文のように、「名詞と名詞」ではなく、「名詞と所有形容詞(代名詞の所有格)」がこのような関係にある場合もあります。p.103の上の3行にも目を通してください。そのうえで例文に入っていきましょう。

<設問>
Q1[L2] restの意味を答えよ。
Q2[全文] この文ではどこかに同格関係がある。どことどこか。
Q3[全2] whatの要素を答えよ。
※L1のraceは、本文では「カーレース」の「レース」のような「競走」という意味ではない。辞書を参照のこと。

 

<解答・解説>
Q1 残り
・「休憩」ではない。

Q2 
・the rest (of us)とwe

Q3 C
・whatをXとして平叙文に戻すと、We are X.となる。

 

【6.1.7】

<設問>
Q1[L1] He that ~は「~な人」という意味だが、その「人」が複数形である場合はどのような表現になるか。先頭の語を代名詞、2番目の語を関係代名詞としたままで答えよ。
Q2[全文] この文には同格関係が1カ所ある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 those who ~
・なお、単数の場合はhe thatではなくhe whoという表現もある。

Q2 He(+that節)と、him

 

【6.1.8】

<設問>
Q1[L1] goodはhealthのみを修飾するか、それともhealthとphysiqueの両方を修飾するか。
Q2[L1] to help句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q3[L1] to help句はdesireのみを修飾するか。それともcheerfulnessとdesireの両方を修飾するか。
Q4[全文] この文には同格関係が1カ所ある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 両方を修飾する。
・「修飾語 A and B」という構造においては、修飾語はAのみを修飾する場合もあれば、AとBの両方を修飾することもある。どちらなのかは主に意味から判断するのだった。この例では両方だと判断できる。「良い健康状態」と「体つき」が幸福と繁栄を作り上げる、というのは不自然。「良い健康状態」と「良い体つき」でなくてはならない。

Q2 B-1(同格)
・desire+toV句は、例文1.2.2で既習。

Q3 desireのみ
・「A and B+修飾語」という構造においてはは、修飾語がBのみを修飾するのか、AとBの両方を修飾するのかを考えなくてはならない。本文では意味から、Bのみを修飾するということが判断できる。

Q4 Goodからothersまでの全てと、all
・1行目には多くの名詞があり、またandが2つあり、名詞どうしの関係がつかみにくいかもしれない。4つは「AとB+CとD」という関係にある。本文では、+の部分がカンマなので読みにくい。日本語の例で同じような文を見てみよう。

 「国立の東大と京大、私立の早稲田と慶応、すべてが文学部を持つ」

 この文であれば「東大と京大のペア+早稲田と慶応のペア」とわかるが、本文では「修飾語 A and B カンマ C and D 修飾語」という構造なので、やや関係がつかみにくい。
・なお、この6.1.8の「参考」の部分にある例文は、1周目は飛ばす。

 

② A=代名詞、etc.

[イントロダクション]
同格関係の最もスタンダードなものは、「名詞1+名詞2」であり、2つの名詞は通常、隣接するのですが、同格語(つまり「名詞2」)が代名詞の場合は、位置の自由度が高くなります。このことが述べられているのが、「解釈教室」p.106の下半分の解説部分です。ここに目を通してください。
★★★
類例は「COMPLETE」p.335の上から2つ目のワクの中にあります。

 

【6.2.1】
例題編で解説します。

 

【6.2.2】
<設問>
Q1[L1] eachの要素を答えよ。
Q2[L1] to his own viewの要素を答えよ。
Q3[L1] as toは群前置詞だが(「COMPLETE」p.53参照)、as to句の終点の語はどれか。またas to句の要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 S
・individualsと同格なので主語である。

Q2 名詞修飾語
・rightを修飾する。an equal right to his own viewの直訳は「自分の意見に対する平等の権利」。

Q3 as to句の最後の語:wants  
as to句の要素:名詞修飾語
・群前置詞as toの目的語であるthe sortはof worldによって修飾されており、またworldは関係代名詞節の(that) he wantsによって修飾されているので(thatは省略されている)、最後のwantsまでがas to句。
・そしてこの句は、名詞viewを修飾する。「COMPLETE」p.52~p.53の例文においては、群前置詞句は、動詞修飾語またはCとしてはたらいているが、群前置詞句が前置詞句に同等のものである以上、当然、名詞修飾語としてはたらくこともある。
・全文の直訳は、「個人はそれぞれ、自分が望む世界の種類についての意見に対する平等の権利がある」だが、これではぎこちないので伊藤先生は工夫している。

 

【6.2.3】

<設問>
Q1[L1] noneの品詞を答えよ。
Q2[L1] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。
※shall(~だろう)……「COMPLETE」p.241には記されていない「推量」の意味。本文を「COMPLETE」p.241に書き写すこと。
※poor Tom(かわいそうなトム)……poorには「かわいそうな~」「哀れな~」という意味もあることに注意。辞書参照。

 

<解答・解説>
Q1 名詞
・noneはnobody,no one,nothingと同様に名詞である。「COMPLETE」p.350で既習。本文のnone (of us)はweと同格である。

Q2 X:sure    Y:that
・形容詞修飾語としてはたらくthat節のthatは、大半のものが省略される(「COMPLETE」p.328参照)。
・「sure+that節」は「COMPLETE」p.140、「英語の基本」p.248で既習。

 

【6.2.4】

<設問>
Q1[L1] althoughの品詞を答えよ。
Q2[L1] he以下の文型を答えよ。
Q3[L2] the Englishを訳せ。
※be fond of ~(~を好む)

 

<解答・解説>
Q1 (従位)接続詞
・≪従位接続詞の一覧表≫のC―5の一例。「COMPLETE」p.135、「英語の基本」p.245参照。
・主節の(The new) kingとhimselfは同格。

Q2 第5文型パターン②
・否定文なので「許可しなかった」という内容。Cはhunt1語。第5文型パターン②を忘れかけていたら、「英語の基本」、「COMPLETE」の該当部分を再読すること。

Q3 イギリス人(たち)
・「Japanese people = the Japanese」、「English people = the English」。theの用法の中には、このように、全体をまとめるものもある。the Giantsやthe Tigersのtheなどもこの用法の一例。「私はタイガースが大好きです」を英訳すると、I love Tigers.ではなくI love the Tigers.となる。theが要ることに注意。

 

【6.2.5】

<設問>
Q1[L1] このoutsideの品詞は何か。
Q2[L2] littleはどこを修飾するか。
Q3[L2] beyondを1語で書き換えよ。(難)
Q4[L2] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。
Q5[L2] whatは疑問代名詞か、関係代名詞か。

 

<解答・解説>
Q1 前置詞
・この前置詞の目的語はthe very large cities。この前置詞句はanywhereを修飾する。anywhereはlivedを修飾する。
・if節の直訳は「大都市の外にあるどこかに住んでいたら」。伊藤先生の訳はここから工夫したもの。
・なおoutside及びinsideは、形容詞、名詞、前置詞、副詞である。辞書で確認すること。

Q2 experience
・「little musical」のまとまりでとらえないこと。littleもmusicalもexperienceを修飾する。間にandもカンマもない連続する2つの形容詞が名詞を修飾する例は頻繁に見られる。つまり「形容詞(名詞修飾語) 形容詞(名詞修飾語) 名詞」という構造はよく見られるものなのである。例えばbeautiful long hair(美しく長い髪)やdangerous liquid chemicals(危険な液体の化学製品)など。

Q3 except
・beyondは、もともとは「~を越えて」という意味だが、「~を越えて→
~の範囲を越えて→~以外には」となる。
・exceptは「英語の基本」p.157、p.358、「COMPLETE」p.166で既習の語。

Q4 what自体の要素:O  what節の要素:前置詞のO
・一見するとyourselfがmadeのOである。ところが「自分自身を作る」は意味のうえで不適切である。yourselfはyouと同格のものだと判断する。そしてwhatがmadeのOとなる。
・前置詞beyondの直後にあるので、what節全体はこの前置詞のO。

Q5 関係代名詞
・what節の直訳は「自分自身でなすもの」。本文においてなすことは「演奏すること」なので、それをふまえて「自分自身で演奏するもの」と訳せる。よってbeyondから文末までの直訳は「自分自身で演奏するもの以外」となる。伊藤先生はここから少し工夫している。

 

【6.2.6】

<はじめに>
まずは次の文を見てください。

  We are all equal in this, that we all have twenty-four hours in the day.

  これは、例文3.3.4です。この文おいては、that節が同格語でしたが、このthat節は、≪従位接続詞の一覧表≫のB―0のthat節ではなく、名詞節なのでした(忘れていたら復習をしてください)。
そして、名詞節のみならず、名詞句(この言葉については≪準動詞句の一覧表≫の最上段参照)もまた、同格語になりえます。
このことを頭に入れたうえで、例文6.2.6に進みましょう。

 

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] to enslave a cat句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
※the most powerful(最も力のある人)……「the+形容詞」には「~な人」という意味がある。

 

<解答・解説>
Q1 B―1
・目的格の関係代名詞。doのOとしてはたらく。Thatとdoが離れているので、やや関係がつかみにくい。

Q2 A-1
・one thing(1つのこと)と、to enslave a cat(猫を思いのままにすること)は同格。「~こと」という名詞どうしの、本来の同格。よってこのtoV句はA-1、つまり名詞的用法である。

 

【6.2.7】

<設問>
Q1[L1] 文頭からL2のpeoplesまでの部分の文型は何か。
Q2[L2] primitive peoplesを訳せ。
Q3[L3] themは何を指すか。
Q4[L2] giveから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 第3文型
・他動詞doと、これのOであるwhat節の間にdoを修飾する前置詞句(for small children)が存在するので少し読みにくい。
・この前置詞句をpeoplesの後ろに置くと、被修飾語であるdoとの距離があまりに離れる。ゆえにこの位置に置いてある。

Q2 未開の民族(たち)
・加算名詞のpeopleは「人々」ではなく「国民」「民族」の意味。辞書参照。

Q3 (their) fears
・identifyは、identify A with Bという型で用いられる(意味は「AとBを同一視する」「AをBで確認/識別する」)。本文では、toV句内の前置詞の目的語が欠けている。withの目的語が欠けているのである。よって、このtoV句は目的格であり、toV句の直前の名詞namesが、withのOだということになる(この解説の意味がわからない場合は、「英語の基本」と「COMPLETE」のtoV句の形容詞的用法の、「目的格」のところを再読すること)。するとthemはnamesではなく、その前のtheir fearsだということになる。

Q4 彼らの恐怖に、それを認識するための名前を与える
・names to identify them withの部分の訳し方が難しい。まずはthemを具体的にtheir fearsに書き換えよう。次のようになる。
names to identify their fears with
さて、a work to doには「do a work」という関係が隠れており、a story to tell himには「tell him a story」という関係が隠れおり、a man to dance withには「dance with a man」という関係が隠れている。この関係がわかるからこそ、a work to doの意味がわかり、a story to tell youの意味わかり、a man to dance withの意味がわかる。「仕事をする→するべき仕事」「彼に話を告げる→告げるべき話」「男と踊る→いっしょに踊れる[踊るべき]男」というように、意味がつかめるのだ。
・上の表現に隠れているのは次の関係である。
identify their fears with names
この表現の意味を考えよう。上述の通り、identify A with Bは、「AとBを同一視する」「AをBで確認/識別する」という意味である。よって上の表現は「恐怖を名前で識別する」という意味になる。「恐怖を名前で識別する」ということはどういうことだろうか。物体であれ、心の中のものであれ、それに名前をつけておけば、「ああ、あれね」と認識できる。他のものとの識別ができる。恐ろしいという気持ちに名前を与えれば、それをそれとしてとらえることができるのだ。
・以上から、names to identify them withは「それら(恐怖)を認識することができる名前」という意味になる。なお、目的格のtoV句を訳す際に「ことができる」という言葉が現れうるということについては「英語の基本」p.322参照。
・なお、伊藤先生は、解説部分で、what節とgiveが同格関係にあると述べているが、what節とgive以下の全てが同格関係にあると考えたほうがいいだろう。

 

【6.2.8】
<はじめに>
まずは次の2文を見て、「COMPLETE」のどこで扱ったものかを思い出してみてください。

  Meg has a question of where Bob lives.
Do you have any information of when the tower was built?

 これらは「COMPLETE」p.377にある例文です。ofは「同格のof」です。
同格のofは、「COMPLETE」p.336の表に3種類のものがありますが、このうち、上のようにwh節の前にあるものはしばしば省略されます。
このことをふまえたうえで、例文に入っていきましょう。

 

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・whether節をquestionに対する修飾語として訳せるかが勝負。questionの後ろにofを補えれば、その訳し方が可能になる。

 

【6.2.9】
<設問>
Q1  全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「動詞修飾語+VS」の倒置。questionの後ろには同格のofが省略されている。
・なお、この文は「COMPLETE」p.319の上のワクの中の条件のうち、2つ目のもののみが満たされている。例文5.2.8の<はじめに>で、次のように述べた。

******************
1.  「動詞修飾語+VS」においては、「COMPLETE」p.319の上のワクの条件が片方しか満たされないことや、1つも満たされないことがある。
******************

 この例文6.2.9は「片方しか満たされない」例。

 

③ H=不定詞、what節、etc.

[イントロダクション]
ここまでの同格においては、主要語はすべて語でした。ところが、句や節が主要語であることもあります。これについて見ていくのがこの③です。
「解釈教室」p.110の中央から始まる、7行の解説に目を通してください。

 

【6.3.1】

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。
※at length(ついに、とうとう)

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「COMPLETE」p.323で述べた通り、挿入の形になっていても、関係代名詞節はあくまで形容詞節であり、訳し上げるのが原則だが、この文はwhich節とabsenceの同格関係をつかみやすい訳にするために、訳し下したほうがよい。伊藤先生も訳し出している。
・ちなみに訳し上げると次のようになる。

******************
寒い夜を5晩も帰って来なかったうちの小猫ミン―こんなことは初めてだが―が、とうとう今朝の夜明けに戻ってきた。
******************

 これでも間違いではないが、やはり訳し下したほうが意味がつかみやすい。
・本文においてはwhichからnightsまでと、(her first) absenceが同格。「COMPLETE」p.339のワクの中の2番目で、「文全体と語の同格」を扱ったが(ジュリーの文)、本文は「節と語の同格」。ほぼ同種のものだといえる。

 

【6.3.2】

<設問>
Q1[L1] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 saidとfell
・文全体のおおまかな構造は「SV1 … and V2 …」。そしてSV1…の後ろに、Ⅴ1…と同格となる「a duty+which節」が置かれている。この同格関係は「文の述語以下の部分と、名詞(+修飾語」」。主語が含まれないという点で「文と名詞」の同格とは異質だが、ほぼ同種のもの。
・伊藤先生の訳では、a duty+which節をまず訳し、その後に文頭のI said my prayersを訳し、次にand in a little time fell …を訳している。こうすれば、V1とV2のつながりが明確になる。ただ、次のような訳でもいいだろう。

******************
私はお祈りをとなえて(それまで怠ることが多かったのだが)、すぐ本当に元気を回復させてくれる眠りに落ちた。
******************

 

【6.3.3】

<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 what自体の要素:O   what節の要素:O2
・what自体はneedのO、what節はgivesのO2。
・本文では、what節と名詞a means(+修飾語)が同格関係にある。例文6.3.1と同様に、「節と名詞」の同格。
・「means of Ving」という連なりは、広い意味での同格。「COMPLETE」p.338の下から2つ目のワクの中のものの類例。
・文全体のおおまかな直訳は「日本についてのいくらかの知識は…に~を与える」だが、やや不自然なので伊藤先生の訳では工夫されている。

 

④ 副詞的目的格

[イントロダクション]
「Chapter6 同格構文 ①H+A」のイントロダクションで、次のように述べました。

******************
文中で名詞を見たら、原則として、これをS、C、O、前Oのいずれかだと考えます。例外は、名詞修飾語、動詞修飾語としてはたらく場合(「英語の基本」p.83、「COMPLETE」p.48参照)、また、動名詞や分詞構文の意味上の主語としてはたらく場合(「英語の基本」p.383~p.385、「COMPLETE」p.206~p.208参照)です。
他にも例外があります。代表的なものが同格語である場合です。
******************

 この「④ 副詞的目的格」では、上の「動詞修飾語としてはたらく場合」を見ていきます。そして、「名詞の副詞的用法」(この言葉については、「英語の基本」p.83参照)には、動詞を修飾する用法のみならず、形容詞や副詞を修飾する用法や、用法を修飾する場合もあるということを見ていきます。
例文に入る前に、「解釈教室」p.112の下半分と、p.113の上の5行を読んでください。
なお、伊藤先生は「名詞の副詞的用法」ではなく、「副詞的目的格」という言葉を使っています。やや難しい用語ですが、この言葉もぜひ知ってください。

 

【6.4.1】

<設問>
Q1[L1] 文頭からbrokeまでを訳せ。
Q2[L2] head over heelsの訳と、全体の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「進行形 (カンマ) when節」は訳し下すのが原則。「COMPLETE」p.312で既習。

Q2 まっさかさまに    動詞修飾語
・「名詞 前置詞 名詞」という品詞構成の成句。名詞を中心とした成句だが、動詞修飾語としてはたらく。名詞の副詞的用法。「方法」(あるいは「様態」)を表す名詞が動詞修飾語としてはたらきうるということは、「英語の基本」p.83参照。

 

【6.4.2】

<設問>
Q1[L1] (both) sidesの要素を答えよ。
Q2[L2] (one) sideの要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 動詞修飾語
・are(である)を修飾する。これも動詞の副詞的用法。場所に関する名詞も動詞修飾語としてはたらきうる。

Q2 動詞修飾語
・goを修飾する。上に同じ。

 

【6.4.3】
<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・fashionは「やり方」という意味。本文では動詞修飾語としてはたらいている。「英語の基本」p.83のHe did it this way.という文の類例。
・英和辞典でfashionを引き、この意味を確認すること。また、例として挙げられている句や文を「解釈教室」に写すこと。

 

<補足講義>
まずは次の4文を見てください。

   A)  They can have everything their own way.
A´) They can have everything in their own way.
B)  We did it sailor fashion.
B´) We did it in sailor fashion.

 A)とA´)は、「解釈教室」p.112の下のワクの中にある文です。B)は、ここで扱っている文で、B´)は、fashionの前にinを加えたものです。
試みに、この4文を2人のネイティブスピーカーに見せてみました(いずれも英国人)。そして「それぞれのペアでどちらが自然ですか」と尋ねてみたところ、2人とも、inの無いA)、B)のほうが自然だとの答えでした。
多くの日本語話者は、「様態」を意味するwayやfashionを前置詞なしの「むきだし」で用いることに違和感を覚えるはずですが、ネイティブにとっては、A)もB)も、まったく自然な文なのです。

 

【6.4.4】

<はじめに>
「名詞の副詞的用法」には、「動詞修飾語」としてはたらくもの(「英語の基本」p.83、「COMPLETE」p.49で既習)のみならず、「形容詞修飾語」や「副詞修飾語」としてはたらくものもあります。形容詞修飾語も副詞修飾語も副詞ので、このようなものも「名詞の副詞的用法」だといえるのです。
その典型的な例が、比較級の形容詞、副詞を修飾する言葉です。例文を見ましょう。  

Tom is two years older than me.
I can run three times faster than you.
My wife is a little taller than my daughter.

 これらの文では、名詞の(two) years、名詞の(three) times、名詞(a) littleは、それぞれ形容詞のolder、副詞のfaster、形容詞のtallerを修飾しています。
なお、これらの類例(比較級に対する修飾語が加わった文)は、「COMPLETE」p.285~p.286で扱いました。

 

<設問>
Q1[L1] diamondの要素と訳を答えよ。

<解答・解説>
Q1 形容詞修飾語  ダイアモンドのように
・名詞diamondが、形容詞brightを修飾している。一部の名詞は「~のように」という意味で形容詞を修飾しうるのである。伊藤先生が挙げている類例も見ること。

 

【6.4.5】

<設問>
Q1[L2] a shadeを訳せ。辞書を参照すること。
※if anything(どちらかといえば)

 

<解答・解説>
Q1 少し
・a littleの意味。betterを修飾する。

 

【6.4.6】

<設問>
Q1[L1] a heapを訳せ。辞書を参照すること。
Q2[L1] likeの品詞を答えよ。
※better off(① 裕福な、豊かな ② 順調な、うまくいっている)

 

<解答・解説>
Q1 はるかに
・a heapはmuchと同義。「much+比較級」は「COMPLETE」p.286で既習(最初の文)。

Q2 前置詞
・前置詞句のlike youは名詞foolを修飾する。
・この文に対する伊藤先生の解説は、例題編の最後に解説します。

 

【6.4.7】

<設問>
Q1[L1] claimを訳せ。
Q2[L1] yoursを2語で書き換えよ。
※every bit(どの点から見ても、まったく)

 

<解答・解説>
Q1 主張
・claimには日本語の「クレーム」の意味はない。和英辞典で「クレーム」を引いてみること。

Q2 your claim

・類題を例文5.4.2のQ2で扱った。

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Chapter7 It ... that ...

① It+V+that 

[イントロダクション]
まずは次の文を見てください。形式主語-真主語の構文です。

  It is true that he is rich.

これは、本来はThat he is rich is true.という姿でしたが、これが変形したものです(詳しくは「COMPLETE」p.362、「英語の基本」p.290参照)。
一方、次の文は強調構文です。

  It is a pen that Ken bought at the store.  

 元はKen bought a pen at the store.という形でした。これが変形したものです(詳しくは「英語の基本」p.294~p.296、「COMPLETE」p.365~p.366を参照して下さい)。
さて、It … that SV.という型を持つ文の中には、形式主語-真主語の構文や強調構文のように、本来の姿に還元することを考えず、全体をひとまとまりの成句として処理するべきものがあります。
以下が代表例です。

******************
It may/might be that ~ .(~かもしれない)
It will/would be that ~ .(~だろう)
It must be that ~ .(~にちがいない)
It cannot/couldn’t be that ~ .(~のはずがない)
It seems that ~.(~のようだ)
It appears that ~.(~のようだ)
It happens that ~.(たまたま~)
It chances that ~.(たまたま~)
It turns out that ~.(~ということが判明する)
It occurs to X that ~.(Xに~ということが思い浮かぶ)
It follows that ~.(~だということになる)
It is simply/just that ~.(単に~だということだ)
******************

 このChapter7では、これらの例外的なものを最初に①で扱い、その後、②で形式主語-真主語の構文を、③で強調構文を見ていきます。
まずは、「解釈教室」p.117の、冒頭の16行を読んで下さい。これを読み終えたら例文7.1.1に入りましょう。

 

【7.1.1】
<設問>
Q1[L1]  itから文末までを訳せ。
Q2[L1]  he will make you worseの文型を答えよ。
Q3[L1]  worseの後ろにはどのような内容が省略されているか。日本語で答えよ。
※be honest with ~(~に対して正直な)

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・イントロダクションで示したIt may be that ~ .が用いられた文。
・instead ofは群前置詞。「COMPLETE」p.53のリストにある。本文では後ろが動名詞。「instead of+動名詞」という連なりは例文2.2.5で既出。

Q2 第5文型パターン①
・直訳は「彼(医者)はあなたをより悪くする」だが、不自然なので工夫する。なお、これは一般論であり、一般論のyouは訳さない。「COMPLETE」p.160参照。

Q3 「今より」「現状より」
・比較級のthan以下が明白な場合は省略される。「COMPLETE」p.283参照。

 

【7.1.2】
例題編で解説します。

 

【7.1.3】
<設問>
Q1[L1] happensを1語で書き換えよ。
Q2[L2] about this timeを訳せ。
※as a rule(概して、原則として、ふつうは)

 

<解答・解説>
Q1  chances
・イントロダクション参照。

Q2 今ごろ
・「ごろ」と訳すaboutの例を他にも挙げておく。

  I got up about seven.(7時ごろに起きた)

 

【7.1.4】
<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・イントロダクションでIt turns out that ~.(~ということが判明する)を既習。あてはめればよいだけ。

 

【7.1.5】

<はじめに>
本文の上にある5行の内容は問題なく理解できます。読んでください。そしてイントロダクションで示さなかったIt dawned on Ⅹ that ~.という表現もぜひおぼえてください。

 

<設問>
Q1[L1] namedは過去形か、過去分詞形か。        
Q2[L1] if節の文型は何か。                  
Q3[L3] mightの意味を答えよ。               
Q4[全文] どこかに同格関係がある。どことどこか。(難)
※over and over again(繰り返し)

 

<解答・解説>
Q1 過去分詞形
・named John Gutenbergのまとまりが、a manを修飾する。≪準動詞句の一覧表≫のB―3のVed句。
・本文全体の構造は、イントロダクションで示したIt occurs to X that ~.(Xに~ということが思い浮かぶ)。XにVed句が加わっており、また、that節の中にif節が存在するので文全体が長くなっている。

Q2 第5文型パターン①の受動態
・第5文型は受動態の場合もパターンまで答えること。
・構造を示す。

   the letters of a text(S) could(丸V) be(be) made(Ved) each one(lettersと同格なのでS) separate(C)

Q3 可能(~できる)
・mayに可能の意味があるということこれまでに何度も述べてきたが、その過去形であるmightにも当然、この意味はある。
・過去の文脈の中で用いられているmightなので、このmightには「丁寧・控えめ」の意味はない。「COMPLETE」p.239下~p.241上参照。

Q4 the letters (of a text) とeach one
・同格語が主要語と離れうるということは、例文3.2.3で既習。

 

【7.1.6】

<はじめに>
本文の前の6行は特に読む必要はありません。

 

<設問>
Q1[L1] undertake to Ⅴを訳せ。
Q2[L2] itから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 Vすることを企てる、Vしようとする
・他に「Vすることを請け合う[約束する])という意味もある。例を挙げる。

   The carpenter undertook to repair the window by Saturday.
(大工は窓を土曜日までに修理することを請け負った[約束した])

Q2 和訳参照
・大まかな文の型は、イントロダクションで示したIt follows that ~.(~だということになる)にwouldが加わっただけのもの。
・主語にnoが加わっている。「無の~が」と訳すと不自然になるので工夫が必要。「COMPLETE」p.347で既習。
・文中のeverは否定語の強調のために置かれている。和訳が「決してない」となっているのはそのため。

 

② It(形式主義) ... 名詞節

[イントロダクション]
まずは次の文を見て下さい。

  He is innocent.(彼は無実である)

 この平叙文を「彼が無実であるということ」という意味の名詞節にしましょう。どうすればいいでしょうか。
もちろん、外側からthatを加えて、that he is innocentとします。「英語の基本」p.153 ~p.155で扱った内容です。もちろんこのthatは≪従位接続詞の一覧表≫のA―0のものです。
次に、以下の文を見て下さい。

That he is innocent is certain.(彼が無実であるということは明らかだ)

 上で作った名詞節を、Sとして用いた文です。  
さらに、これを「形式主語-真主語の構文」にしましょう。次のようになります(「英語の基本」p.210参照、「COMPLETE」p.362参照)。 

  It is certain that he is innocent.  

 以上、that節を用いた「形式主語-真主語の構文」が成立するプロセスを確認しましたが、これに関して注意すべきこととして、伊藤先生は3つのことを挙げています。ここで「解釈教室」のp.121の下4行と、p.122の上半分を読んで下さい。
★★★
さて、p.122のワクの中のそれぞれについて説明します。
まず①ですが、上でHe is innocent.という文をthat節にする際には、外側からthatを加えただけです。元の文には手を加えていないのです。
ということは、that節の内側には完全な文が存在しているということです。
これが①の「独立した一文になれる構成」の意味です。ここまで何度か述べてきた通り、≪従位接続詞の一覧表≫の0の行にある従位接続詞の後ろには、何の欠けもない完全な文があるのです。この①を知っておくことは、後に、強調構文との判別の際に役立ちます。  

 
 次に②ですが、同じ「形式主語-真主語の構文」でも、itとthatの間の部分のバリエーションが豊かだということが述べられています。
 「英語の基本」のp.210で見た例文では、Itとthatの間は、すべて「be動詞+形容詞または名詞」でした。つまり、伊藤先生が3つ挙げているうちの、(c)の例のみしか登場していないのですが、「COMPLETE」p.356には(b)の例があり(最初の文)、さらに(a)のようなものもあるのです。  
 ③については、実際にこれより見ていく例文の中で確認することにしましょう。

 

【7.2.1】

<設問>
Q1[L1] an intense love for meを訳せ。
Q2[L2] (1) X add Y to Z.と、(2) X add to Y.のそれぞれの訳を答えよ。また、(A) X adds now to my grief and remorse.を訳せ。
Q3[L2]  thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q4[L3]  to see句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 私に対する強烈な愛
・forは「対する」の意味。伊藤先生の訳は工夫されている。

Q2 (1) X add Y to Z.(XがYにZを加える)
(2) X add to Y.(XがYを増す)
(A) X adds now to my grief and remorse.(今、Xが私の悲しみと後悔を増す<→深める>)
・(A)は一見すると(1)の例だが、このnowは動詞修飾語としてはたらく副詞なので、(2)の例である。

Q3 A-0
・形式主語-真主語の構文の、真主語である。

Q4 C―1
・「会うために行く」。ただ和訳として「会いに行く」のほうが自然。和訳の際に「ため」を切ることもあるということは、「英語の基本」p.335の下で述べてある。

 

【7.2.2】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L1] that節の終点の語を答えよ。
Q4[L3] when節内部の文型は何か。
Q5[L3] theyはchildrenを受けるか、parentsを受けるか。
Q6[L3] to remain句内部の文型は何か。
Q7[L4] itは何を指すか。
※care for ~(~の世話をする、~の面倒をみる)

 

<解答・解説>
Q1 第2文型
・一見すると、「① It+V+that」イントロダクションで紹介したIt seems that ~.(~のようだ)という型の文のようだが、seemの後ろに形容詞logicalが存在するので異なるものだと判断する。
・本文の「元の姿」はIt is logical that ~.という第2文型の文(もちろんこれは、形式主語-真主語の構文)。このisの前に法助動詞のwouldが加わり、isの位置に一般動詞のseemが置かれているのが本文。第2文型において、be動詞ではなく一般度が用いられうるという話は、「英語の基本」p.35、「COMPLETE」p.43で既習。

Q2 A-0
・上述の通り、形式主語-真主語の構文の真主語である。

Q3 it
・文末までのすべてがthat節。
・that節内部は、以下の事実が重なっている。

 「〝that SV″というシンプルな構造ではなく、SVの前にまずはifSVが置かれており、〝that ifSV+SV(主節)″という構造になっている」
「ifSVのVがwhen節(when they are not yet …)によって修飾されている」
「主節のVが後ろからwhen節(when they are no longer)によって修飾されている」

 このように、that節は、シンプルな「thatSV」ではなく、全部で4つのSVが存在するのである。

Q4 第5文型パターン③の受動態
・permitは「COMPLETE」p.192のリストにある。第5文型パターン③の受動態は、「COMPLETE」p.200~p.201、「英語の基本」p.364で扱った。

Q5 parents
・文の内容から、parentsだと決まる。

Q6 第1文型
・remainは、第1文型と第2文型で用いられる。後者は「COMPLETE」p.43、「英語の基本」p.35に例文がある。前者は初見かもしれない。辞書で確認すること。

Q7 labor market

 

【7.2.3】
<設問>
Q1[L1] 文全体の文型を答えよ。
Q2[L2] wideningには進行の意味があるか、それともないか。

 

<解答・解説>
Q1 第3文型の受動態
・It is harldly expected that ~.という第3文型の受動態の文に、助動詞のisが加わった文。isが加わることにより、元の文のisがto beに変化した。類例は「英語の基本」p.55の下から2番目の文。否定語が存在するという点も同じ。その文の要素表記を参照すること。本文と構造が全く同じである(もちろん、本文は形式主語―真主語の構文であり、この点は異なる)。
・助動詞が加わっても文型は変わらないので、解答は「第3文型の受動態」ということになる。
・hardlyは「COMPLETE」p.352で既習。

Q2 ある 
・widenの意味は「広げる」または「広がる」であり、このwideningは、「広がる」の進行形の意味。つまり「広がりつつある」という意味である。
・本文に対する伊藤先生の解説は読まないでよい。

 

【「参考」の文】

<設問>
Q1[L1] asの品詞を答えよ。
Q2[L2] A outside of Bを訳せ。A、Bはいずれも名詞とする。
Q3[L3] that節の要素を答えよ。
Q4[L4] doubtを3語で書き換えよ。縮約形は用いないこと。
※make good(達成する)

 

<解答・解説>
Q1 前置詞
・後ろがSVではないので接続詞ではない。「~として」という意味。

Q2 Bの外の[にある/にいる]A
・outside of ~は、群前置詞としてとらえてもよいし、また、二重前置詞ととらえてもよい。「~の外の/で」と訳す。辞書にこの句が記載されているはずである。参照のこと。

Q3 O
・it was uttered that の部分は形式主語-真主語の構文ではない。仮にそう解釈すると、believedのOはwhen節だということになり、文全体が意味不明になる。またwhen節の内側の形式主語-真主語の構文だと解釈した部分の内容もおかしなものになる。
・itはThe Declaration of Independenceを指す。そしてthat節はbelievedのOである。when節は主節の内側に挿入された副詞節。when節の両端に挿入のマークであるカンマやダッシュやカッコがないので、believedと、これのOであるthat節の関係が見抜きにくくなっている。なお副詞節が挿入されており、両端にカンマ、カッコがある例はCOMPLETEのp.324で既習。

Q4 do not think
・同じ「疑う」でもsuspectとは正反対。以下参照。

******************
I doubt that ~. = I don’t think that ~.
I susupect that ~. = I think that ~.
******************

suspectは同じ「疑う」でも「疑いの気持ちで~だと思う」。

 

【7.2.4】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] have exercised so great an influenceを訳せ。
※文中のshouldについては、「解釈教室」p.122の上のワクの中の③参照。。

 

<解答・解説>
Q1 A-0
・文全体は形式主語-真主語の構文

Q2 和訳参照
・この文では、動詞exerciseに対する訳は、やはり「及ぼす」が最良だろう。
・なお、so great an influenceという語順については2週目で述べる。

 

<補足講義>
伊藤先生の解説では、本文のshould have Ⅴについての解説が述べられていますが、少しわかりにくいので、例を変えて説明します。
まずは次の文をみてください。

  You shouldn’t have delivered a speech at the party.
(そのパーティーで、君はスピーチをするべきではなかった)

 これは「COMPLETE」p.248の文です。この文のhave deliveredの部分は、完了形本来の意味を持つのではなく、「現在から過去のズレ」を表すものでした。
さて、本文も同じ「should have 過去分詞形」です。本文ではshouldは、「ほとんど意味のないshould」ですが(伊藤先生がp.122のワクの中の(3)で述べている通り「訳すときには無視してよい」ものです)、後ろのhave exercisedが「過去へのズレ」を表すという点は同じなのです。

 

【7.2.5】
<設問>
Q1[L1] that節に対する仮主語は、いずれのitか。あるいは両方か。
Q2[L2] same以下は「same+名詞+as節」だが、このas節(これはⅩとする)と、「英語の基本」p.286、「COMPLETE」p.159の「same+名詞+as節」のas節(これをYとする)では、節中の「文の完全性」が異なる。どう異なるか。
※look on ~ with …(~を…の目で見る)

 

<解答・解説>
Q1 両方
・このような表現は理解はできるが生み出すことは難しいと思う。ぜひこの文の冒頭を暗記されたし。

Q2 Xは完全な文だが(要素の欠けがないが)、YではOが欠けている。
・「same+名詞+as節」のas節においては、本文のように、SやO、前Oの欠けがないパターンがある。このようなものは「asは関係代名詞節である」という説明が不可能となる。as節の未習のパターンである。
・このようにas節はあまりにも多くのパターンがあるからこそ、asは≪従位接続詞の一覧表≫の中にあてはめて考えるのは困難なのである。
・the same degree of affectionの直訳は「同じ程度の愛情」。degreeは「程度」であり、量に関する言葉なので、前から訳す。「英語の基本」p.77の「発展」参照。
・cf.の文は、一つの仮主語に対して2つの真主語が存在する文。

 

【7.2.6】

<設問>
Q1[L1] howから文末までを訳せ。
Q2[L2] that節内部の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・allは「全ての人」という意味の名詞。
・how節は、疑問文が名詞節になったものと考えることも不可能ではないが、感嘆文が名詞節になったものだと考えたほうが意味上、しっくりくる。
・感嘆文の名詞節が完成するプロセスを、平叙文を出発点にして、順を追って説明する。

******************
[スタートの文(平叙文)]
It is necessary that someone should be in command.
(誰かが指揮をしていることは必要だ)
↓感嘆文化<作るプロセスは「英語の基本」p.312参照>
How necessary it is that someone should be in command!
(誰かが指揮をしていることはなんと必要なことか!)
↓名詞節化(そのままでよい〔例文4.3.2の<はじめに>参照〕
how necessary it is that someone should be in command
(誰かが指揮をしていることはなんと必要かということ)
******************

Q2 第2文型
・前置詞句がCである。直訳は「誰かが指揮状態にいる」だが、そこから「誰かが指揮している」としてよい。伊藤先生は更に進めた訳にしている。

 

【7.2.7】
<はじめに>
本文の前にある5行は読む必要はありません。

 

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] that節の要素を答えよ。
Q3[L1] 全文を訳せ。
※at the outset(最初は[に])

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン②
・OCからはIt is acknowledged that ~ .という、第3文型の受動態が生まれる。
・「英語の基本」p.350~p.351で、第2文型の文がS+letの後ろに埋め込まれる様子を解説してある。この場合、Cの先頭がbeとなるのだった。例文2.2.4でも扱った内容である。
さて、S+letの後に受動態の文を埋め込む場合も、同様にCがbeで始まることになる。
具体例を見よう。以下のA)の後ろに、B)の文を埋め込むことを考える。

  A) My husband didn't let(夫は許さなかった)

  B) Meg was touched by the sick person.[第3文型の受動態の文]   
(メグはがその病人から触られた)

B)を組み込んで、「夫はメグがその病人から触られるのを許さなかった」という内容の文を作りたい。
まずはMegをOの位置に置く。これは問題ない。
問題は、その後の処理である。仮にletが第5文型パターン⑤で用いられる動詞なら、wasは切り取り、過去分詞形のtouched以下をCの位置に置けばいいということになる。つまり、次の文が完成する。

  My husband didn't let Meg touched by the sick person.

ところが、letはパターン⑤で用いられない。「COMPLETE」p.189の上の表、「英語の基本」p.351の下の表から明らかである。よって、上の文は正しいものではない。wasは残さなくてはならないのである。パターン②なので、原形にして残す。その結果、次の文が完成する。

  My husband didn't let Meg be touched by the sick person.

 ここで本文に戻る。本文のlet以下は、次の合成の結果、生まれた文である(なお、本文は命令文なので、letの主語はない)。

 

  A) let(許せ)

  B) It is acknowledged that ….
・第3文型の受動態の文(形式主語―真主語の構文)。

埋め込まれる文が第3文型の受動態であるという点は同じなのだが、その文が形式主語-真主語の構文であるという点が難しい。
・なお、「命令文で、動詞がletで、OCに受動態が埋め込まれている文」は、例文2.2.4の解説のcf.のところにある。次の文である。

Don’t let yourself be fooled.

  OCから生まれる文は、You are fooled.(あなたが騙される)である。このletは「OCの状態を作り出す」という意味なので、「自分が騙される状態を作り出すな→騙されるな」となる。要するにDon’t be foolded.と表現するのとほとんど同じ内容の文である。
・本文に対する伊藤先生の解説は読まないでよい。

Q2 S
・形式主語―真主語の構文の真主語である。

Q3 和訳参照
・「認められることを許せ」という直訳から「認めてほしい」までうまく持っていけるかが勝負。

 

【7.2.8】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] 文全体を訳せ。
※ascribe A to B(Aの原因をBだと考える、AがBにあると考える)
put up with ~(~に耐える)

 

<解答・解説>
Q1 第3文型
・形式目的語―真目的語の構文で、全体が第3文型であるという点は、「英語の基本」p.291の最下部の枠内の文と同じだが、本文は動詞がascribeであり、この後ろにto my forbearanceという前置詞句が続くという点が異なる。

Q2 和訳参照
・直訳の大まかな型は「あなたはit(=that以下)の原因を、私の寛容さにあると考えなくてはならない」。ここから工夫する。

                                                          
【7.2.9】

<設問>
Q1[L1] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] that節の内側の文型は何か。
Q3[L2] whetherは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン③
・teachは「COMPLETE」p.192のリストにある。

Q2 第1文型
・matterは「重大である、問題となる」という意味の自動詞。

Q3 A-0
・whether節はitの真主語。形式主語-真主語の構文の真主語になれる従属節は、that節だけではない。wh節も可能なのである。「英語の基本」p.291、「COMPLETE」p.362参照。

 

【7.2.10】

<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。
Q2[L1] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。    


<解答・解説>                  
Q1 和訳参照                      
・全体の大きな構造は、「① It+V+tha」のイントロダクションで示したIt seems that SV ~.である(このseemの前に法助動詞のmayが加わっている)。そして、SV ~の部分が形式主語-真主語の構文である。what節が真主語。

Q2 what自体の要素:C   what節の要素:S

 

③ 強調構文

[イントロダクション]
形式主語-真主語の構文に類似のものとして、強調構文があります。ともに「It be動詞 ~ that …」という構造を持ちます。 すると、この2種類の構文をどう区別すればいいのかという問題が発生します。
判別の手がかりは、「~」の部分に置かれるものが何であるか、ということと、「…」の部分の構造です。それぞれについて説明します。
さて、そもそも強調構文で強調されるものは、どのようなものだったでしょうか。「COMPLETE」p.365、「英語の基本」p.294で述べたことですが、S、O、動詞修飾語、前Oが強調されます。品詞でいえば、名詞か副詞、前置詞句、副詞節が強調されるのです。形容詞が強調構文で強調されることはありません。
一方、形式主語-真主語の構文が、「It be動詞 ~ that … 」という形の場合、「~」の部分は、過去分詞形の動詞か、名詞か形容詞です(「解釈教室」p.122の上のワクの中の②の(b)と、②の(c)参照)。
以上から、両者の判別に関して、次のことが明らかになります。

************************
① 「~」の部分が形容詞である場合 → 形式主語-真主語の構文
② 「~」の部分が動詞修飾語としてはたらくもの(副詞や前置詞句や副詞節など)である場合 → 強調構文
③ 「~」の部分が名詞である場合 → 両方の可能性がある。
************************

 すると、③の場合にどのように判別をすればいいのかということが問題になります。
この場合は、thatの後ろの「…」の部分を見ます。
「② It(形式主義) ... 名詞節」のイントロダクションで述べたように、形式主語-真主語の構文においては、that節の内側には完全な文があります。何の欠けもないのです。
一方、名詞を強調している強調構文は、強調されたものが前に出ている以上、thatの後ろに「名詞の欠け」があります。具体例で説明しましょう。 以下は、「英語の基本」p.296にある文です。

  It was Bob that bought the car.
It is Bismarck that Yumi loves.

 最初の例では、thatの後ろがいきなり動詞です。Sが欠けているのです。
2番目の例では、thatの後ろはSVですが、loveのOが欠けています。
以上のように、「It be動詞 名詞 that …」という構造の文は、「…」の部分の構造をしっかり見極め、判別しなくてはならないのです。
このことが書かれているのが、「解釈教室」p.128の下半分と、p.129の上のワクの中なのです。この部分を読んでください。なお、p.129のワクの中の1行目の「p.p. 」とは、過去分詞形の動詞を示します。

 

【7.3.1】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q2[L2] butを1語で書き換えよ。
Q3[L2] ownの後ろに1語を補え。
Q4[L1] 全文を訳せ。
※prevent A from B(AからBを妨げる)

 

<解答・解説>
Q1 どれでもない
・thatの直後がVである。名詞(S)が欠けている。よってこのthatは≪従位接続詞の一覧表≫の中にあるものではなく、強調構文のthat。
・このwantは動詞ではなく名詞。

Q2 except
・前置詞のbut=except。「英語の基本」p.308参照。

Q3 view
・共通部分の省略。これについては繰り返し扱っている。

Q4 和訳参照
・強調構文は、強調される部分を最後に訳出し、その前に「のは」という言葉を添えるのが基本。本文の伊藤先生の訳でもそのようになっている。
・本文は「prevent A from B」のBが動名詞であり、また、その内側にviewの省略があり、やや難しい。文全体の直訳は「人間を、自分の観点以外のどんな観点からも見るのを妨げているのは、想像力の不足である」だが、ここから工夫する。

 

【7.3.2】
<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q2[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。

 

<解答・解説>
Q1 B-1
・readのOが欠けているので、この文は、Oを強調する強調構文だと判断する。ところが、読み進めるとさらにもう1つthatに出会う。その後ろは「丸V V …」であり、Sが欠けている。この「that 丸V V …」の部分を、amusement,pleasureに対する主格の関係代名詞節だと考えるのは意味上不自然なので、このthatが強調構文のthatだと判断する。
・すると逆に、1行目のthatは強調構文のthatである可能性がなくなり、目的格の関係代名詞だと判断を切り替える。
・この文は、強調構文で強調されているものが、関係代名詞節によって修飾されているという構造なのである。おおまかなイメージ図を示す。「関代」は「関係代名詞」を表す。

 

********************

 It be動詞 <名詞+目的格の関代のthat節>  that 丸V V ….
※< >の内側が強調されている部分

********************

Q2 どれでもない
・こちらのthatは上述の通り、強調構文のthat。

 

【7.3.3】
<はじめに>
この文では、worthという語が登場します。この語は《準動詞句の一覧表》のD-2で扱いました。まずは「COMPLETE」のp.186、または「英語の基本」p.346~p.347を再読して下さい。
ただ、本文のworthは、これとは異なる用法です。以下の型で記憶して下さい。

  It is worth while to V.(Vすることは価値がある)

 さて、この7.3.3の本題は、「強調構文で、強調されている部分を尋ねる疑問文と、その名詞節化」です。
これについて説明します。まずは次の文を見て下さい。

  (α) It is books that makes me happy.(私を幸せにするのは本だ)

 この文は、Sが強調された強調構文ですが、強調されているbooksの部分を尋ねたいとします。どうすればいいでしょうか。
強調構文で強調されている部分を尋ねる方法は、以下の通りです。

********************
① 尋ねたい部分を疑問詞に換える(強調されている部分が人ならwho、物ならwhat、人でも物でも限られた範囲からの選択ならwhich、場所ならwhere、時ならwhen、理由ならwhy、方法ならhow)。
② 疑問詞を文頭に出す。
③ be動詞をitの前に出す。
********************

 よって(α)の、booksの部分を尋ねる疑問文は、次のようになります。

  What is it that makes me happy?
(私を幸せにするのは何だろう?)

 そして、この疑問文を名詞節にすると、次のようになります。

  what it is that makes me happy
(私を幸せにするのは何なのかということ)

 以上をふまえたうえで、7.3.3.の設問に挑んで下さい。

 

<設問>
Q1[L1] whatからhappyまでを、疑問詞疑問文に戻せ。また、この疑問詞疑問文を訳せ。加えて、whatの要素を答えよ。さらに、その疑問詞疑問文を平叙文に戻せ。その際にはwhatはXとする。最後に、その平叙文
を訳出せよ。
Q2[L2] happyとwhatの間に1語を補うことができる。何か。

 

<解答・解説>
Q1 What is it that makes people happy?
人々を幸せにするものは何か。
whatの要素:S
It is X that makes people happy.
人々を幸せにするのはXだ。
・戻った疑問詞疑問文は、<はじめに>で解説した「強調構文で強調されている部分を尋ねる疑問文」。
・疑問詞疑問文を元に戻した平叙文は、Sを強調する強調構文。この文を強調される前の状態に戻すと次のようになる。
X makes people happy.(Ⅹが人々を幸せにする)
・ちなみに、この文を出発点にして、本文の表現まで辿り着く経路は次の通り。

********************
X makes people happy.(Ⅹが人々を幸せにする)
↓ Xを強調する強調構文にする
It is X that makes people happy.
↓ Xを尋ねる疑問文にする
What is it that makes people happy?(人々を幸せにするものは何か)
↓ 名詞節にする
what it is that makes people happy(人々を幸せにするものは何かということ)
********************

このように、本文の表現は、4段階の変形を経たものなので、一筋縄ではいかないのである。

Q2 and
・L1のwhat節も、L2のwhat節も、ともにconsiderのO。よって、この2つをandでつなぐことができる。happyの直後のカンマはandの代用だと考えることも可能。カンマがandの代用たりえるということについては、「英語の基本」p.302の上部参照。

 

【7.3.4】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q2[L2] allの直後に省略されている語を答えよ。
Q3[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。

<解答・解説>
Q1 どれでもない。
・強調構文のthat。この③の[イントロダクション]で、次のように述べた

********************
② 「~」の部分が動詞修飾語としてはたらくもの(副詞や前置詞句や副詞節など)である場合 → 強調構文
********************

 in self-sacrificeは「前置詞句」であり、まさにこの②の例。
・前置詞句が強調されている強調構文は、「英語の基本」p.296、「COMPLETE」p.366で既習。

Q2 that
・目的格の関係代名詞。hasのOとしてはたらく。all he hasは「人が持っている全て(のもの)」。heはa manを受ける。

Q3 どれでもない。
・強調構文のthat。これも「It be動詞 前置詞句 that」という構造の文。ただ、第1文とは異なり、前置詞inのOが動名詞であり、動名詞の中に関係代名詞節があるので、前置詞句の部分が複雑であり長い。thatまで待てるかが勝負。
・なお、この7.3.4は、強調構文の2通りの訳し方を復習するのに絶好の文である。「英語の基本」p.294で述べた通り、強調構文の訳し方は2通りだった。「…のは~だ」という訳(こちらが基本)と、「…こそが~だ」という訳である。本文においては、伊藤先生は、第1文を前者の訳し方で訳し、第2文を後者の訳し方で訳している。確認のこと。

 

【7.3.5】

<設問>
Q1[L1] It was not until S1 V1 that S2 V2.を訳せ。
Q2[L1] farとacross the lakeは「副詞+前置詞句」だが、この2つは(  )関係にある。 ※カッコの中に漢字2文字を入れよ。
Q3[L2] andは何と何を結ぶか。それぞれの最初の2語と最後の1語を答えよ。
Q4[L2] the darkening waters were stillを訳せ。
Q5[L3] we rose reluctantly to put dishes in the basketを訳せ。
Q6[L3] startはroseと並列か、それともputと並列か。

 

<解答・解説>
Q1 S1 V1してはじめてS2 V2する。

Q2 同格
・まずはfarと言い、次に、より具体的にacross the lakeと述べている。
この「副詞と前置詞句の同格関係」は、「COMPLETE」p.339で既習。1つ
目の英文である。
・伊藤先生はこの部分を「湖の上に遠くまで」と訳しているが、「遠く湖を越えて」のほうがよい。

Q3 the forest~lakeと、the darkening~still
・until節の中の、2つのSVを結ぶ。

Q4 暗さをます水が静かになった
・このstillは形容詞で、「静かな」という意味。wereは「なる」と訳さないと不自然になる。この訳し方については、「COMPLETE」p.166、「英語の基本」p.88で既習。  
・darkening waterは、「ing形+名詞」。darkenは「暗くなる」「黒ずむ」という意味。よってdarkening waterは、「暗くなりつつある水」となる。「英語の基本」のp.327~p.330で、「ing形+名詞」においては、ing形の動詞は、進行の意味ではない例も多いということを述べたのだが、これは進行の意味である。

Q5 和訳参照
・家に帰るために立ち上がったのだから、to put句は≪準動詞句の一覧表≫のC-1だと考えられなくもないが、「目的」の意識は、強くは感じられないので、訳し下したほうがよい。つまりこのtoV句は、「COMPLETE」p.315の例だと考えたほうが適切である。

Q6 put
・roseと並列なら、過去形でなければならない。to put  … and (to) startという関係で読む。

 

【7.3.6】
<はじめに>
例文に入る前に、その上にある記述について解説します。
not A but Bという表現があります。これは、「AではなくてB」という意味です(「COMPLETE」p.346参照)。この表現は、強調構文とからむことがあるのですが、からんだ場合に複雑な問題が生じます。まずは、次の文を見てください。

  P likes not A but B.(PはAではなくBが好きだ)

 この文の目的語の部分を強調構文で強調することを考えましょう。not A but B全体が Oなので、「英語の基本」p.294、「COMPLETE」p.365の手順に従って完成させると、次のようになります。

  It is not A but B that P likes.(Pが好きなのはAでなくてBだ)

ところが、以下の形もありえるのです。これは、どのような過程を経て完成したものか考えてみてください。

  It is not A that P likes but B.  

 これはOのうち、not Aの部分だけを、It is thatで挟んで前に出したものです。
次に、not A but Bの表現が、動詞修飾語とからんでいる例を見ましょう。まずは以下の文を見てください。

  P lives not in A but in B.(PはAではなくBに住んでいる)  

notの後ろにあるin Aも、butの後ろにあるin Bも、liveを修飾する動詞修飾語です。
さて、この動詞修飾語の部分を、強調構文で強調しましょう。次のようになります。

  It is not in A but in B that P lives.
(Pが住んでいるのはAではなくBだ)  

 これは、動詞修飾語の部分全体を、It isとthatで挟んで文頭に出した例です。ところが、次のような文もあるのです。

  It is not in A that P lives but in B.

やはり、Aに関連するnot in Aだけを挟んで前に出したものです。 
最後に主語の例を見ます。これは少し面倒になります。まずは次の文を見てください。

  Not A but B is P.(AではなくBがPだ)  

 さて、この文のSを強調する強調構文を作りましょう。次のようになります。

  It is not A but B that is P.
(PであるのはAではなくBだ)

 これは主語全体をIt isとthatで挟んだものです(なお、主語を強調する場合は、「前への移動」はなく、「手順1」のみで終わるのでした)。  
さて、ここでも「もう1つのパターン」があるのですが、これは、それまでの例(Oや動詞修飾語を強調する例)とは異なり、「but Bを文末に移動させる」というプロセスが必要になります。
つまり、完成する表現は次のようになるのです。

  It is not A that is P but B.  

 これは、まず、主語であるnot A but Bのうち、not AだけをIt isとthatで挟むことにより、It is not A that but B is P.とし、そのうえでbut Bを文末に移動させたものなのです。
ここまでに知ったことをまとめます。

********************
・not A but Bという表現がある。
・この表現が含まれる部分を強調構文で強調する際には、AとBをまとめて強調するものと、Aだけを強調するものの2パターンがある。
・Sを強調する際に、Aだけを強調したい場合は、but Bを文末に移動させるというプロセスが必要である。
********************

 なお、この【7.3.6】の上にある伊藤先生の6行の解説は、ここで扱ったうちの「Sのパターン」のみであり、しかもかなり簡潔な解説となっています。よって、どのパターンにも対応できるように、ここではじっくり解説しました。

 

<設問>
Q1[L1] 強調されている部分は、SかOか動詞修飾語か。また、Aのみを挟んでいるパターンか、AとBの両方をはさんでいるパターンかも答えよ。
Q2[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 S
AとBの両方をまとめて挟んでいる。
・thatの直後が動詞のmakesなので、Sを強調しているものだとわかる。
・but Bを文末に移動させていないので、難しくはないはずだ。AとBに当たるものがそれぞれwhat節であるという点のみがやや面倒。
・なお、このwhat節はいずれも《従位接続詞の一覧表のA-1の、②の訳のものである。 

 

【7.3.7】

<設問>
Q1[L1] 強調されている部分は、SかOか動詞修飾語か。また、Aのみを挟んでいるパターンか、AとBの両方をはさんでいるパターンかも答えよ。
Q2[L1] 文全体の文型を答えよ。
Q3[L1] asの訳と、as節が修飾する部分を答えよ。
Q4[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>

Q1 動詞修飾語  Aのみを挟んでいるパターン
・It is not by prayer thatの部分から、強調されているのは、動詞修飾語としてはたらくby prayerだということと、「but ~」が置かれないままthatが登場するので、文末にbut ~があるのだろうということを予想しながら進める。すると、you cause things to go as you wishの後ろにby ~が登場する。予想が当たった。

Q2 第5文型パターン③
・「COMPLETE」p.192のリストにcauseがある。

Q3 通りに/ように   go
・「COMPLETE」p.160参照。

Q4 和訳参照
・not by prayerは「祈りによってではなく」。文末の「by ~」は、最初の「by ~」とは異なり、前Oが名詞ではなく動名詞である(「前置詞+動名詞」の例は、「英語の基本」p.312で4例、「COMPLETE」p.170で2例扱っている)。by acquiring a knowledge of natural lawsの部分の訳は、「自然法則の知識を得ることによって」となる。
・なお、伊藤先生の解説部分では、この【7.3.7】の文が、強調構文になる前の段階の文が記載されているが、途中が略されている。略さず全部を書くと、次のようになる。

  You cause things to go as you wish not by prayer but by
acquiring a knowledge of natural laws.

 この文のnot by prayersの部分のみを、It isとthatで挟んだうえで文頭に出したのが7.3.7なのである。
・強調構文と「not A but B」とのからみについての話は、この7.3.7で終える。

 

【7.3.8】

<設問>
Q1[L1] L1のfittest、L2のbravest,noblest、L4のbest
の後ろには、どのような語が省略されていると考えられるか。同一の語を答えよ。
Q2[L2] 1つ目のwhoは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q3[L2] 2つ目のwhoは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q4[L4] whoは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。

 

<解答・解説>
Q1 people/persons
・日本語でも「彼は常に弱きを助け、強きをくじく」というように、形容詞の連体形で止め、後ろの名詞を述べない(つまり、「弱き者」「強き者」とは述べない)用法がある。

Q2 どれでもない
・強調構文のwhoである。whoを主格の関係代名詞だと判断すると、意味不明な解釈になる。強調構文において、thatではなくwhoやwhichなどのwh語が用いられることを思い出し(「英語の基本」p.297参照)、itから始まる文を強調構文だと判断する。すると、「生き残るのは、最も(生存に)適した者だ」と解釈できる。Sを強調する強調構文である。

Q3 B-1
・これは主格の関係代名詞。代名詞のweが先行詞であり、少し違和感があるかもしれないが、those who ~(~な人)、he who ~(~な人<こちらは単数>)、those which ~(~なもの)、that which(~なもの<こちらは単数>)のように、他にも「代名詞+関係代名詞節」は見られる。

Q4 どれでもない
・whoを主格の関係代名詞だと判断すると、意味不明な解釈になる。またitが受けるものも不明である。よって、Sを強調する強調構文だと判断する。
・繰り返すが、この文に存在する強調構文は、いずれもwhoの直後が動詞なので、Sを強調するものである。類例は「英語の基本」p.297の1つ目の文である。また併せて、「Sを強調する場合は強調構文にするための手順が1つだけだ」ということも確認すること。

 

【7.3.8 参考】

<設問>
Q1[L1] whoは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるはどれでもないか。

 

<解答・解説>
Q1 A-1
・形式主語-真主語の構文。whoは「誰が」という意味の疑問詞。形式主語-真主語の構文の真主語になるのは、that節やtoV句だけではない。疑問詞からはじまる名詞節も真主語となる。「COMPLETE」p.362、「英語の基本」p.290で確認のこと。

 

【7.3.9】
例題編で解説します。

 

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Chapter8 意味上の主語

① S´+to不定詞

[イントロダクション]
「解釈教室」p.138の下半分とp.139の上半分では、「英語の基本」p.400の下半分~p.401で述べたのと同じことが指摘されています。ここに改めて目を通してください。
なおtoV句に対する、意味上の主語という知識自体を忘れかけていたら、「英語の基本」p.382~p.383、「COMPLETE」p.205~p.206を復習してください。

 

【8.1.1】  
<設問>
Q1[L1] for thoseの要素を答えよ。
Q2[L1] thoseを1語で書き換えよ。
Q3[L2] to refuse句の要素を答えよ。
Q4[L4] to themの要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 意味上の主語

Q2 people,persons,men

Q3 S
・文全体が形式主語-真主語の構文で、このtoV句は真主語である。

Q4 形容詞修飾語
・unequalを修飾する。

 

【8.1.2】
<設問>
Q1[L1]  to be句の要素と、終点の語を答えよ。

<解答・解説>
Q1 要素:C  終点の語:comes
・文全体はSVC。CがtoV句。
・when節はbeを修飾する。よって、toV句に含まれる。
・for a manはもちろん意味上の主語。

 

【8.1.3】
<設問>
Q1[L1] to do句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] この行には、削除しても文の意味がほぼ失われない語が1つある。どれか。

 

<解答・解説>
Q1 B-1(同格)
・opportunitiesを修飾する。for句はもちろん意味上の主語。
・outsideは名詞、形容詞、副詞、前置詞だが、前置詞の場合、ofが添えられて群前置詞となる場合もある。
・outside of ~は、物理的な範囲の「~の外に(の)」という意味もあるが、「~以外の」という意味もある。本文はこちら。outside of句は(useful) thingsを修飾する。ただ、訳の際には「~のほかの」とするより、伊藤先生のように「~のほかに」としたほうが自然になる。
・なお、outside ofの反意語として、inside ofという群前置詞も存在する。

 

【8.1.4】
<設問>
Q1[L3]  to drink句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

<解答・解説>
Q1 C-1
・drinkを自動詞として用いている。伊藤先生もこのtoV句は「副詞的用法」と解説しているが、和訳の際には形容詞的用法のようにwaterに対して修飾させている。
・cf.で示されている文のto enterも同じく副詞的用法。

 

【8.1.5】
<設問>
Q1[L1]  to get句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L3] Rugger is complicated to follow.と同じ構造を持つ文が記載されている「英語の基本」あるいは「COMPLETE」のページを答えよ。

<解答・解説>
Q1 D-1
・形容詞修飾語としてはたらくtoV句の4番目のパターン。「COMPLETE」p.185にbe anxious toがある。このような「熟語パターン」のtoV句にも、意味上の主語は加わりうるのだ。「COMPLETE」p.205に、この文を書き加えよ。

Q2 「英語の基本」→p.343  「COMPLETE」→p.184
・形容詞修飾語としてはたらくtoV句の3番目のパターン。toV句のOが欠けており、文の主語をこの欠けた目的語として解釈する。これが比較級とからみ、意味上の主語が加わったのが(b)の文。
・この文を、2文に戻すと次のようになる。

 ① Rugger is complicated for onlookers to follow.
② Soccer is complicated for onlookers to follow.

  比較対象語はruggerとsoccer。比較の基準となる語はcomplicated。この2文を「COMPLETE」p.275の手順に従って1文として、共通部分をカットしたのが(b)の文である。

 

【8.1.6】
<設問>
Q1[L1] starsから文末までを訳せ。ただし、in the skyの部分はカットすること。

 

<解答・解説>
Q1 あまりにも遠く離れていてどんな器具でも発見できない星
・too ~ to構文に意味上の主語が加わっている。
・このtoo ~ to構文は、detectの目的語が欠けているので、「英語の基本」p.373の下で述べてある「特殊な読み方が必要になる」パターン。
・この文では、too ~ to構文の~の部分に、far awayという2語があるので少し読みにくいかもしれないが、far awayは「遠く離れている」とそのまま解釈すればいいので、tooとtoの内側に入り込んでも対応できるはずだ。
・伊藤先生は「どんな器具でも」とせずに「どんな器具を用いても」としている。動詞の「用いる」を補っているわけだ。

 

② S´+分詞、etc.

[イントロダクション]
ここでは主に、分詞構文に関する話をしていきます。さて、「英語の基本」p.337、「COMPLETE」p.181を見ればわかる通り、分詞構文は、SVの前後に置かれます。そして、全体がひとまとまりの動詞修飾語なので、SVの後ろに置かれた場合は、Vに対して訳し上げます。
ところが、「SV+分詞構文」という構造において(つまり、分詞構文がSVの後ろに置かれている場合)、分詞構文を訳し下すこともあるのです。これについては「COMPLETE」p.316で扱いました。  
さて、このような「訳し下す分詞構文」において、次のように、意味上の主語が加わることもあります。

  The man shot a while bear, blood running on the ice.
(その男は白熊を撃ち、血が氷の上に流れた)

 以上をふまえたうえで、「解釈教室」p.143を読んでください。

 

【8.2.1】
<設問>
Q1[L1] the mostから文末までを訳せ。
Q2[L3] wayの後ろに省略されているthatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・本文全体は「SV…+意味上の主語+訳し下す分詞構文」という構造。

Q2 B-0
・Oの欠けがないので、thatは目的格の関係代名詞のはずがない。関係副詞のthatである。関係副詞のthatの省略については、「COMPLETE」p.326~p.327参照。

 

【8.2.2】
<設問>
Q1[L1] step by stepを訳せ。
Q2[L1] each new point that is reachedを訳せ。
Q3[L1] pointの要素を答えよ。
Q4[L2] forming句は訳し上げるか訳し下すか。

 

<解答・解説>
Q1 一歩一歩、着実に

Q2 和訳参照
・「着かれる点」は変。「到達」という言葉が出せるかが勝負。

Q3 意味上の主語

Q4 訳し下す
・本文全体の構造は、前問と同じ。

 

【8.2.3】
<設問>
Q1[1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・2つのダッシュ(-)は、挿入の目印でだが、まずは、この挿入部分を除外して考える。文頭は前置詞句。前置詞句はSになりえないので、主語を探す。2行目のproportionでようやく名詞が登場し、これがSだということになる。
can be called literatureは、第5文型パターン①の受動態の文に、助動詞が加わったものである。
さて、挿入された部分だが、「much of itがSで、producedがV」だと考えようとしても、producedのOがなく、また、この部分だけ過去の話だというのも不自然だ。この部分は、「英語の基本」p.385の上の2つの例文、「COMPLETE」p.208の例文と同じように、「意味上の主語+Ⅴed句の分詞構文」だと判断する。つまり、「much of itがproduceされた」という関係で理解するのである。
なお分詞構文は、原則として動詞修飾語だが、この「意味上の主語+分詞構文」は、特定の動詞を修飾しているとは言い難い。他の部分との関係を特に明示することなく、言いたい内容のみを補足的に述べていると考えられる。このように挿入された部分というのは、他の部分とは特定の文法上関係を持たないものである例が多いのである。このようなものは、そのまま「~なのだが」といった言葉でつないで訳したり、単にカッコでくくったりするような訳出方法で構わない。この文の挿入部分も、そのような例なので、次のように訳せばよい。

******************** 
この大量の読み物-そのうちの多くは、一時的な目的のために、急いで書かれたものなのだが-の中で、ごくわずかのもののみが文学と呼ばれうる。
********************

あるいは

********************
この大量の読み物(そのうちの多くは、一時的な目的のために、急いで書かれたものである)の中で、ごくわずかのもののみが文学と呼ばれうる。
********************

 伊藤先生は、挿入部分を「読み物」に対する名詞修飾語として訳されているが、上の2つの訳のほうが無理がない。

 

【8.2.4】
<設問>
Q1[L1] 仮に文がthat nightで終わったとする。この場合、この文と同じ構造を持つ文が記載されている「英語の基本」のページを答えよ。なお、too ~ to構文のページではない。exhaustedは形容詞だと考える。
Q2[L2] my mindの要素を答えよ。
Q3[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 p.369
・「文+形容詞のexhaustedを中心とするまとまり」という構造が見抜けるかが勝負である。この「形容詞からはじまるまとまり」は、「英語の基本」p.369の解説の通り、分詞構文である。
・exhaustedはtoo ~ to構文とからんでいるので、まとまりの先頭は形容詞ではなく副詞のtooであり、また、形容詞のまとまりが文の前ではなく後ろにあるという点では異なるが、紛れもなく、「英語の基本」p.369の文と同じパターンである。

Q2 意味上の主語
・文全体は、「文+形容詞からはじまる分詞構文+形容詞から始まる分詞構文」という構造。この大きな構造が見抜けるかということと、2つ目の分詞構文に対して、意味上の主語(my mind)が加わっていることが見抜けるかという2点が読解の勝負所。
・なお、「文+意味上の主語+形容詞から始まる分詞構文」のシンプルな例文として、「参考」のところにShe lookedではじまる文が記載されている。

Q3 和訳参照
・I fell asleepの後ろにある2つのかたまりを、いずれも分詞構文だと見抜けて、訳し上げられるかが勝負。

 

【8.2.5】
<設問>
Q1[L1]  Sound sleep sent me freshの文型を答えよ。
Q2[L2] no more thanを1語で書き換えよ。
Q3[全文] 全文を訳せ。なお、この文には、「英語の基本」「COMPLETE」で扱っていないパターンが含まれるが、8.2.4の応用としてとらえることができなくもない。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・「名詞 動詞 名詞 形容詞」という連なりなので、第5文型パターン①だということになる(「英語の基本」p.87、「COMPLETE」p.42参照)。英和辞典でsendを引くと、第5文型パターン①としての用法が記載されている。「~を…にする」という意味である。「COMPLETE」p.32の下にあるリストにB)に書き加えておくといいだろう。

Q2 only

Q3 和訳参照
・Soundからmorningまでは、「毎朝、ぐっすりした眠りが、私を、戦いに向けてフレッシュにした」という内容だが、訳出の際には工夫が必要。
・my breakfast以下が難しい。「英語の基本」p.369でも述べている通り、第2文型のCは、形容詞ではなく名詞や前置詞句である場合もある。すると、分詞構文の内側が第2文型で、Cが名詞である場合は、分詞構文からbeingが落ちると、「名詞から始まる分詞構文」が生まれることになる。    
・本文が、まさにこのパターンである。a slice of breadという名詞の部分が分詞構文なのである。ただ、この名詞は、onlyの意味を持つno more thanによって修飾されているので、no more thanの部分も分詞構文に含まれる。
・さらに、この分詞構文には意味上の主語のmy breakfastが加わっている。この文のmy breakfast以下は、次のものが元の形だと考えることができるのである(なお、sometimesはbeingを修飾すると考えられる)。

  my breakfast, sometimes, being no more than a slice of bread

 この部分は、1行目のsentに対して修飾させる。訳語は「~だが」がいいだろう。分詞構文が逆接の意味になることは少ないということを、「英語の基本」p.339で述べたが、ここはその珍しい例である。

 

【8.2.6】
<設問>
Q1[L1] whileからL3のindependenceまでを訳せ。
・なお、この文には、「英語の基本」と「COMPLETE」で扱っていないパターンが含まれるが、8.2.4、8.2.5の応用としてとらえることができなくもない。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・whileは、《従位接続詞の一覧表》のC-5。
・to open up American continentは、《準動詞句の一覧表》のC-1である。cooperatingを修飾する。
・all with the common dreamの部分は、「意味上の主語+前置詞句から始まる分詞構文」である。8.2.5で述べた通り、「形容詞から始まる分詞構文」は、第2文型が分詞構文になったものからbeingが落ちたものだったが、第2文型のCは前置詞句であることもあるので(「英語の基本」p.78、「COMPLETE」p.40参照)、「前置詞句からはじまる分詞構文」も存在しうるということになる。allからindependenceまでは、次の形に戻すことができる。allは、この分詞構文の意味上の主語である。

  all being with the common dream of personal freedom and independence

 なお、with句が第2文型の補語である例は、「英語の基本」でも「COMPLETE」でも登場していないが、without句の例は、「COMPLETE」p.40にある。I am without money.(私にはお金がない)という文である。
・さて、allからindependenceまでの分詞構文は、挿入されているが、これは原則通りの動詞修飾語として、「~て」という訳語で、cooperatingに修飾させる。
・伊藤先生の解説部分では、「意味上の主語+前置詞句から始まる分詞構文」の例がもう1つ示されている。 
・cf.の部分では、「all with the common dream....は、All had the common dream....という意味内容を持つ」ということが示されている。

 

【8.2.7】
<設問>
Q1[L1] 文頭からseenまでを訳せ。
Q2[L1] on its wall is a pictureを訳せ。
Q3[L2] inはどのような意味か。
Q4[L2] withから始まる付帯状況のまとまりの終点はどこか。
Q5[L2] 付帯状況は、どの語を修飾するか。
Q6[L3] paintedは過去形か過去分詞形か。過去分詞形なら、paintedからはじまるまとまりは《準動詞句の一覧表》のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・mayはcanの意味。

Q2 壁には絵がある。
・「動詞修飾語+VS」の倒置。「COMPLETE」p.319参照。

Q3 ~を着た
・inには「着用状態」の意味がある。a girl in new shoesは「新しい靴は履いた女の子」となる。

Q4 shoulders

Q5 (the) boy
・この付帯状況からは、次の文が生まれる。

  His brown hair was hanging over his shoulders.
(彼の茶色の髪が、彼の肩に垂れ下っていた)

 この文は、boyに関する描写であり、付帯状況はboyを修飾する。よって、a picture からshouldersまでの訳は、「青い服を着て、茶色の髪が肩まで垂れ下っている少年」となる。
・「名詞修飾語としてはたらく付帯状況」は、「英語の基本」p.377で既習。付帯状況全般を忘れかけていたら、「COMPLETE」p.370~p.371、「英語の基本」p.373~p.377で復習のこと。

Q6 過去分詞形   B-3
・paintedは、これに対応する主語がない。しかも「by ~」があるので、受動内容だとわかる。このpainted句は、1行目のa pictureを修飾する。つまり、「父によって描かれた絵」である。
・このpainted句を名詞修飾語のまま訳すと読みにくい和訳になるので、伊藤先生は訳し下している。このほうがいいだろう。

 

【8.2.8】
<設問>
Q1[L1] withから始まる付帯状況のまとまりの終点はどこか。  
Q2[L1] この付帯状況はどの語を修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 mind
・この付帯状況から生まれる文は、伊藤先生の解説の通り。

Q2 closed
・ちなみに、動詞修飾語としてはたらく付帯状況が文頭に存在する形は、「英語の基本」にも「COMPLETE」にも登場していないが、珍しいものではない。

 

【8.2.9】
<設問>
Q1[L1] asからskyまでを訳せ。
Q2[L2] wellを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・asは「時」。as節の内側は「SV+付帯状況」で、この付帯状況はVを修飾する。
・なおwanderは、しばしばwander about ~(~をうろつく、歩き回る)という形で用いられる。辞書で確認のこと。

Q2 井戸

 

【8.2.10】
<設問>
Q1[L1]heから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
和訳参照
・he found himself aloneは、第5文型パターン①で、型どおりに訳せば「彼は自分自身が孤独だとわかった」だが、findの訳語はほとんど捨てて、「彼はひとりぼっちになった」と訳せる。これについては、2.1.3で既習。確認せよ。
・with以下が付帯状況で、「with 名詞 形容詞」のパターン。「COMPLETE」には無いが、「英語の基本」p.375の下に2つある。名詞以下から生まれる文は、もちろん以下の通り。

  His future was dependent on his own effort.
(彼の将来は、彼自身の努力にかかっていた)

 この付帯状況は、前半部分に対して訳し上げて、「彼の将来は、彼自身の努力にかかっていた状態で、ひとりぼっちだった」としても間違いとはいえないが、本文では、「彼はひとりぼっちだ」という事実と、「彼の将来は、彼自身の努力にかかっていた」という事実が、順に羅列されている文だと考えることもできる。よって、with以下は伊藤先生のように訳し下してもいいのである。

 

【8.2.11】
<設問>
Q1[L1] drive awayを訳せ。
Q2[L1] withから文末までを訳せ。
Q3[L2] このmerelyは(     )詞を修飾する(     )詞である。
Q4[L3] oneは何を指すか。
※ at the disposal of ~(~の思うがままだ)。群前置詞。

 

<解答・解説>
Q1 追い払う
・drive away X(あるいはdrive X away)は、「Xを追い払う」。

Q2 和訳参照
・「英語の基本」において、付帯状況は、以下の4つのパターンを示した。

  1 with 名詞 Ving …
2 with 名詞 Ved …
3 with 名詞 形容詞 …
4 with 名詞 前置詞句 

「4」の「前置詞句」はもちろん「前置詞+名詞」を意味するが、「群前置詞+名詞」である場合もある。このことがわかれば、本文の読解は易しい。
・withからengineersまでが付帯状況である。energyの後ろにbe動詞を補うと、次の文が生まれる。

  Nuclear energy is at the disposal of engineers.
(核エネルギーは、技術者の思いのままだ→核エネルギーは、技術者が思いのままに操れる)

 この付帯状況は、appearsを修飾する。「~ので」という訳語でつなごう。するとL1のwith以下は、「しかし、核エネルギーが、技術者の思いのままに操れる状態にあるので、問題は、単に細部のものにすぎないように思われる」となる。伊藤先生はここからかなり工夫している。
・なお、このappears to be以下の文法構造は、実は二通りの解析ができるのだが、ここではappear toでひとまとまりの助動詞だと考える(「英語の基本」p.310、p.168参照)。

Q3 ( 名 )詞を修飾する( 副 )詞
・「英語の基本」p.84参照。

Q4 problem
・なお、at the disposal of ~は、at ~'s disposalとも表現できる。このことが、 伊藤先生の解説のcf.のところで示されている。

 

【8.2.12】
<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。
※live on ~(~に頼って生活する)

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・この文のpricesは「値段」ではなく「物価」。
・繰り返すが、「英語の基本」で示した付帯状況は、以下の4つのパターンがあるのだった。

  1 with 名詞 Ving …
2 with 名詞 Ved …
3 with 名詞 形容詞…
4 with 名詞 前置詞句 

「3」のパターンにおいては、名詞と形容詞の間にbe動詞を補うと、名詞以下からは第2文型の文が生まれるだった(「英語の基本」p.375の下にある2例の解説で確認せよ)。もちろん、名詞がSになり、形容詞がCとなる。
さて、第2文型において、Cとなるメインの品詞は、言うまでもなく、形容詞と名詞だ。よって、上の「3」の、形容詞の部分が名詞である付帯状況が存在していてもおかしくないはずだ。事実、存在する。それが本文のwith以下である。この表現は、「with 名詞 名詞節」となっており、名詞の直後にbe動詞を補うと、以下の文が得られる。

  Prices are what they are.

 このwhat they areは「現在のそれら(=物価)」。よって、この文の訳は、「物価が現在の物価である」となる。
・この付帯状況は、liveに対して修飾させる。すると、本文全体の訳は、「物価が現在の物価では、私は私の給料に頼って生きていくことはできない」となるが、ここから工夫して、伊藤先生の訳のようにする。

 

③ S´+動名詞

[イントロダクション]
ここは動名詞に対する意味上の主語の付加、という話が中心になります。これは「COMPLETE」p.206と「英語の基本」p.383下~p.384で扱いました。動名詞に対してどのように意味上の主語を付加するかを忘れていたら、まずはここを復習してください。

 

【8.3.1】
<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・satisfyには「~を満足させる」という意味のみならず、satisfy A that SVという型で用いられ、「AにSVだと納得させる」(Aがoneselfの場合は、「確かめる」という訳にもなる)という意味もある(例文:3.2.10参照)。そして、納得させる、確認する内容が文ではなく、名詞である場合は、次のような語法になる。

satisfy A about/of B(AにBのことについて納得させる)
※Aがoneselfの場合:Bのことを確かめる

 1つ例を挙げておこう。

  Yumi satisfied herself of his honesty.
(ユミが彼の正直さを確かめた=ユミは彼が正直であることを確かめた)

 なお、この文は、次のようにも表現できる。

  Yumi satisfied herself that he was honest.

さて、本文では、satisfyは、satisfy A about Bという型で用いられている。そして、Aがmyselfであり、Bがbeingから始まる動名詞だが、ここに意味上の主語のtheirが加わっている。よって、伊藤先生の訳のようになる(直訳は「応じることができることについて」だが、工夫して「応じることができるかどうか」としている)。
なおcf.では、この文も、about以下をthat節で書き換えられることが示されている。
meetには「会う」だけでなく、「満たす」「応じる」という意味もあるこということに注意。

 

【8.3.2】
<設問>
Q1[L1] havingから始まるまとまりの終点はどこか。また、このまとまり全体の要素は何か

<解答・解説>
Q1 universe  前置詞のO
・having uncovered …の部分は、「完了形がVing句になったもの」である。このVing句は、前置詞ofのOとしてはたらく動名詞であり、ここに意味上の主語man'sが加わっている。
・さて、「完了形がVing句になったもの」は、その完了形が、現在完了形に相当するものである場合と、過去完了形に相当するものである場合がある。また「過去へのズレを表すもの」(「COMPLETE」p.234の下のワクの中参照)。この文は、述語が過去形のwasであることからわかるように、話の舞台が過去なので、having uncoveredは過去完了形に相当するもの、または大過去に相当するもののどちらかだということになるが、過去完了に相当するものと考えていいだろう。
・よってman’s(意味上の主語)からuniverseまでを、あえて文に戻すと、次のようになる。

  Man had uncovered one of … universe.

 過去完了形の文に戻るのである。

 

【8.3.3】
<設問>
Q1[L1] thatは何を受けるか。
Q2[L1] a childの要素を答えよ。
Q3[L2] learning句の要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 incident

Q2 意味上の主語
・「of→前置詞、a child→前置詞の目的語」と読むと、後ろのlearning句が浮いてしまう。learning句が前置詞の目的語なのである。

Q3 前置詞の目的語
・さて、8.3.3の下には「参考」があるが、これは最初の3行がわかりにくく、「参考」全体の内容がつかみにくいので、ここで別の例を挙げて説明する。次の2つの文を見よ。          

  A This is a picture of an animal living in Brazil.  
(これは、ブラジルに生息している動物の写真だ)
B This is a proof of your son touching my picture.
(これが、あなたの息子が私の絵に触った証拠だ)

・AにもBにも、「前置詞+名詞+Ving句」という連なりがあるが、Aにおいては 、前置詞のOは名詞an animalである。そしてこの名詞に対して、名詞修飾語としてはたらくVing句が加わっているという構造である。
・一方、Bにおいては、前置詞のOはVing句のtouching my pictureで ある。その前の名詞は、Ving句の意味上の主語である。そして、上のBに相当する例として、例文:8.3.3について言及し、Aに相当する例として、「参考」の6行目で、2行の文が挙げられている。この文のfree land+lying just west of the settled regionsの部分は、「前置詞のOとしてはたらく名詞+その名詞を修飾するVing句」なのである。
・「前置詞+名詞+Ving句」に接した際に、上のA、Bいずれのパターンとして解釈するかは、何よりも意味によって決めるが、中には、上のA、Bいずれのパターンとも考えられるものがある。その例が、伊藤先生が「参考」の最後に挙げている、The recordから始まる文なのである。以上をふまえたうえで、「参考」を読むこと。


 

④ 名詞構文

 

[イントロダクション]

 

 まずは次の文を見てください。

  トムが死んだ。

 この文の「死んだ」の部分を名詞化すると、「死」となります。
さて、動詞を名詞化すると、「トムが」をそのまま残すわけにはいきません。「トムが死」は不適切な表現です。そこで「トムの死」とすれば、自然な表現になります。
このように、日本語では、動詞が名詞化されたものに対して、主体を加える際には、「~の」という形を用いるのが一般的なのです。
では、英語ではどうなるでしょうか。次の文を見てください。

Tom died.

 これは「名詞+動詞」からなる文ですが、まずは動詞のdiedを名詞化しましょう。deathとなります。
さて、ここにTomを「トムの」という意味で付加したい。Tomはどのような形にすればいいのでしょうか。
次の2つの形がありえます。

  Tom's death(トムの死)
death of Tom(トムの死)

 次に以下の文を見てください。

  Tom discovered the treasure.(トムがその宝を発見した)

 今度は第3文型です。これを名詞化することを考えます。
まずは、動詞部分を名詞化します。discoveryとなります。
さて、この文にはOがあるので、「名詞化したdiscoveryと、Oであるthe treasureをどうつなぐか」という問題も生じます。次のようにします。

  discovery of the treasure

 つまり、Oの前にofを置くのです。SのTomは、すでに述べた通りTom'sにするか、あるいは、of Tomとしますが、treasureの前にofがあるので、of Tomとすると、「of  ~」が連続してしまい、不自然な表現となってしまいます。そこで、次のようにすると、もっとも自然な表現になります。

  Tom's discovery of the treasure

 このように、SVOのVを名詞化した表現では、「A's 名詞 of B」という形になるの ですが、この場合は、Sを示す方法として、次のようなものもあります。

  discovery of the treasure by Tom

 つまり、by ~という形で示すのです。
ここまでをまとめると、次のようになります。

  ・S → 所有格、of ~、by ~で示される。
・O → of ~で示される。

 

 さて、実はOを示す方法がもう1つあります。次の表現を見てください。

discover him

 この文は、ここまでに知った内容から、次のように名詞化できます。

discovery of him 

 ところが、次のような表現も可能なのです。

  his discovery

 つまり、Oを所有格にして、名詞の前に置くのです。これはかなり違和感があるかもしれませんが、名詞の前に存在するものが、意味のうえで目的語でありうるということは、日本語からも理解できます。以下の文を見てください。

  A おまえの援助のおかげで、俺は救われた。
B 俺は忙しいから、おまえの援助に割く時間はない。

 いずれの文にも「おまえの援助」という表現がありますが、Aは「おまえが援助してくれた」のです。「おまえ」は意味の上で主語です。一方、Bは、「おまえを援助できない」のです。「おまえ」は意味の上で目的語です。
同様に、英語でも「A's X(Xは名詞化された動詞)」は、「AがXすること」である意味である場合と、「Aを/にXすること」である場合があるのです。
以上をまとめましょう。

  ・S → 所有格、of ~、by ~で示される。
・O → of ~、所有格で示される。

 なお、Oを示す際には、of以外の前置詞が用いられる場合もありますが、具体例は、この「④ 名詞構文」の中で見ていきます。
さて、ここまでは「文の動詞を名詞化した際に、その前後にあるSやOはどのような形になるか」という話でしたが、今度は形容詞の名詞化を扱います。次の文を見てください。

  Yumi is beautiful.

 この文の形容詞を名詞化すると、beautyとなります。そのうえで、Yumiという情報をどう加えるかという問題が生じますが、いずれかの形となります。

  Yumi's beauty(ユミの美しさ、ユミが美しいこと)
beautiy of Yumi(       〃       )

 主語は、やはり所有格か「of ~」で示されるのです。
ここで見たような表現を「名詞構文」といいます。
以上がわかれば、「解釈教室」p.156の上半分が理解できます。ここに目を通したうえ で、例文:8.4.1に入っていきましょう。

 

【8.4.1】

<設問>
Q1[L1] her son's deathを動詞表現に戻せ。なお、動詞の形は文脈に合わせて、過去形を用いること。

 

 <解答・解説>
Q1 Her son died.
・news ofのofは「同格のof」。COMPLETEのp.338に類例がある。

 

【8.4.2】

<設問>
Q1[L1] the truth of the proverbを動詞表現に戻せ。

 

 <解答・解説>
Q1 The proverb is true.
・truthは、形容詞起源の名詞なので、形容詞に戻すと、be動詞が現れることになる。
・本文の訳は、「私はそのことわざの真実性を身をもって知った」と訳してもいいし、また、上のように文に戻せることを考慮して、伊藤先生の訳のようにしてもよい。

 

【8.4.3】

<設問>
Q1[L1] refusal to work by a body of employeesを文に戻すとどうなるか。
Q2[L1] bodyを訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 A body of employees refuses to work.
・元の動詞の後ろに、目的語としてはたらくtoV句がある表現を名詞構文にする場合は、そのtoV句は、名詞化した動詞の後ろにそのまま置かれることになる。このtoV句はもはや目的語ではなく、名詞修飾語である。より具体的には、「形容詞的用法のうちの、同格のtoV句」となる。逆に言えば、同格のtoV句の多くのものは、本来は、動詞の目的語だと考えられるものなのである。例を挙げる。

 ****************************
intend to V(Vすることを意図する) 

intention to V(Vしようとする意図)
※このtoV句は「同格」と説明されるが、元をたどれば、上のOである。

 

   propose to V(Vすることを提案する) 

proposal to V(Vすることの提案) 
※    同上

 ****************************

・refusal to work by a body of employeesは、上記の通り、文表現に戻せるので、伊藤先生のような、文としての訳が可能。もちろん、「従業員の集団による就労の拒否」という名詞のままの訳も可。

Q2 集団、団体

 

【8.4.4】

<設問>
Q1[L1] her protectionは、「彼女が保護する」なのか、「彼女を保護する」なのか。

 

 <解答・解説>
Q1 「彼女を保護する」
・responsibleは、「他動詞的形容詞」である(これについては【4.3.3】
の<補足講義>参照)。後ろにfor+名詞が置かれる。この文は、型通りに訳すと、「私は彼女の保護に責任がある」だが、自分が責任を負っているのだから、「彼女の保護」は、もちろん「彼女を保護する」となる。伊藤先生のように訳すと、私と彼女の関係がはっきりする。
・伊藤先生は、目的語を所有格で示すことの危険性について指摘されている。

 

【8.4.5】

<設問>
Q1[L1] ofは主格か、目的格か。

 <解答・解説>
Q1 目的格
・withdrawalは、動詞withdrawの名詞形である。withdrawは目的語が必 要な語なので、ofは目的格。伊藤先生がcf.で示されている通り、withdrawal of that expressionは、withdraw that expressionに戻る。 仮に「expressionがwithdrawする」と考えると意味が通らないし、「何をwithdrawするのか?」という疑問が残ってしまう。
・withdrawal of that expressionは、「その表現の撤回」と訳してもい いし、戻した動詞表現をふまえて、伊藤先生のように訳すこともできる。

 

【8.4.6】

<設問>
Q1[全文] どの部分が名詞構文か。そして、どのような動詞表現に戻るか。
※the beautifulは、beautiful thingsの意味である。

 

 <解答・解説>
Q1 love for the beautifulの部分
love the beautifulに戻る
・loveは 動詞と名詞が同じ形なので、loveの部分に変化は起こらない。 love the beautifulを名詞構文にする際には、もちろんofを用いて、love of the beautifulとすることもできるが、ここではforを用いている。forには「~対する」という意味があるので、「V+O」を名詞構文にする際に、forも用いて意味上、問題ない場合は用いられることがあるのである。 
・love for the beautifulは、「美しいものに対する愛」と訳してもよい し、伊藤先生のように、動詞表現としての訳を選んでもかまわない。
・in varying degreesは、「さまざまな程度に」だが、これをふまえた伊藤先生の訳は実にうまい。

 

【8.4.7】
<設問>
Q1[全文] どの部分が名詞構文か。そして、どのような動詞表現に戻るか。


<解答・解説>
Q1 attempt at English compositionの部分
     attempt English compositionに戻る。
・loveと同様に、attemptも、動詞と名詞が同形である。この例では、名詞構文にする際の前置詞として、atが用いられている。自分で名詞構文を作る際には、「どの名詞に、どの前置詞を用いてよいか」という問題に直面することになるが、英和辞典が、この問題の解決に大いに貢献してくれる。たとえば小学館の『プログレッシブ英和中辞典』で名詞のattemptを引くと、atの記載がある。手持ちの辞典で確認されたし。
・ここで、以下のものをみてほしい。[イントロダクション]で示したものである。 

****************************
  ・S → 所有格、of ~、by ~で示される。
  ・O → of ~、所有格で示される。
****************************

 この8.4.6と、1つ前の8.4.5において、of以外の前置詞で目的語が示されることがあるということを知った。この情報を加えると、次のようになる。

****************************
  ・S → 所有格、of ~、by ~で示される。
  ・O → of ~、of以外の前置詞、所有格で示される。
****************************

・さて、これをふまえて、「名詞構文における判別の必要性」について指 摘しておく。上の通り、Sのところにも、Oのところにも「所有格」がある。ということは、「所有格+名詞」は、その所有格が、意味のうえで名詞のSである場合も、Oである場合もあるということになる。同様に、「of ~」もSとOの両方のところにあるので、「名詞+of ~」は、「~」がSである場合も、Oである場合もある。すると、これらの形に遭遇した際には、「Sなのか、Oなのか」を判別しなくてはならないということになる。
 例文:8.4.7の下の「参考」において、最初の2行でこの問題について 触れられており、その下の(イ)(ロ)(ハ)で、解決策が示されている。このうち、(イ)と(ロ)について説明しよう。
 まず(イ)。自動詞は目的語を取らない。よって、「所有格+自動詞が 名詞化したもの」、「自動詞が名詞化したもの+of ~」においては、所有格や「~」は、自動的にSだと決まる。具体例で説明する。

  A:Bob's death
  B:death of Bob

 deathは自動詞dieの名詞形である。dieは「~を死ぬ」という意味で使 われたりはしないので、AのBob'sも、BのBobも主体だとわかる。つまり「ボブが死んだ」のだ。
 (ロ)で述べられているのは、「所有格+名詞」、「名詞+of ~」にお いて、所有格の語や「~」が人に関するものである場合は、これが主体(S)である場合が多く、物事に関するものであれば、客体(O)である場合が多いということだ。
 「解釈教室」p.158の2行目以降で述べられていることは、「所有格+ 名詞」、「名詞+of ~」の、所有格と「~」の部分は、SまたはOの意味であるだけでなく、他にもいろいろな意味でありうるということである。
 よって英文読解の際には、より広い判別が必要になる。それほど、「A's B」「B of A」という表現が持つ意味の範囲は広いということなのだ。    
 このことは、日本語の「甲の乙」という表現が持つ意味の広さを考えて もわかる。たとえば「太郎の絵」は、「太郎が描いた絵」と「太郎を描いた絵」という意味のみならず、「太郎が所有している絵」という意味でもありえる。「神の国」は、「神が住んでいる国」「神に守られた国」「神懸かったほどの素晴らしい国」といった意味などに解釈できるのある。

 

【8.4.8】

<はじめに>
ここには、例文の前に7行の解説があります。まずは次の表現を見てください。

   A's 名詞 of B 

  この④のこれまでの話から、上の形の名詞構文は、理論上は、次の2つの意味でありえるとわかります。

   AがBを…すること(A'sをSで解釈、of BをOで解釈)
AをBが…すること(A'sをOで解釈、of BをSで解釈)

  ところが、実際には前者の意味でしかありえないというのが、英文法の約束事です。これについては、「そのように決まっている」と記憶するしかないのです。
以上をふまえたうえで、その7行を読んでください。

 

 <設問>
Q1[全文]  どの部分が名詞構文か。そして、どのような動詞表現に戻るか。
Q2[全文]  全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 their love of peopleの部分
They love people.に戻る。
・<はじめに>で述べた通り、People love them.という意味で解釈してはならないのである。

 Q2 和訳参照
・be distinguished byの部分を「際立っている」という意味で取れるか がポイント。多くの辞書においては、この意味について、「通常、受動で使われる」と記載されている。

 

【8.4.9】

<はじめに>
例文の前に8行の解説がある。この内容について説明する。まずは以下 を見よ。

   ・S → 所有格、of ~、by ~で示される。
・O → of ~、of以外の前置詞、所有格で示される。

  Sの示し方にも、Oの示し方にもそれぞれ数種類があるので、これを掛 け合わせれば、多くのバリエーションの名詞構文が生まれることになる。 すると、名詞構文の意味を取るのが難しいと感じるかも知れないが、所有格と「of ~」の判別の仕方はすでに指摘したし、また、消去法で決定されることも多いのだ。具体例で説明しよう。以下の表現を見よ。

   his love for his daughter

 この表現のhis loveの部分は、「彼が愛する」という意味と、「彼を愛 する」という意味の2つになりえるので紛らわしいといえる。
ところが、その後ろがfor his daughterである。forはOを示すもので あって、Sを示すことができない。his daughterはOだ。すると消去法で、hisはSだと決まる。   
伊藤先生は、このような考え方について、「用法の広いほうはそのあと あいている位置(この場合はS)に入ると考えさえすれば、誤解の恐れはない」という、やや難しい表現で解説している。これは要するに、次の旨のことを述べている。

 ****************************
所有格やof ~のような、SともOとも考えられるものに関しては、まずは他の部分を特定して、他の部分がSなら、消去法でOになるし、他の部分がOなら、消去法でSになる。そのように考えていけば問題ない。
****************************

  以上をふまえたうえで、この8行の解説部分を読まれよ。

 

 <設問>
Q1[L1] どの部分が名詞構文か。そして、どのような動詞表現に戻
るか。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 government of one nationality by anotherの部分
Another governs one nationality.に戻る。
・government of one nationalityの部分だけを見ると、「nationalityがgovernする」という考えも可能だし、「nationalityをgovernする」 という考えも可能だ。繰り返し述べていることだが、「of ~」の「~」 は、意味上のSでもOでもありうるからだ。
ところが、その後ろにby anotherが存在するのを見て、こちらがSだと わかるので、nationalityは、消去法でOだとわかる。
・なおこの文のCは、of the natureという「of+名詞」だが、このofは  名詞を形容詞化する用法(類例として「of no use=no useful」「of great importance=greatly important」など)。よって、of the nature of slaveryは「隷属の性質的な」ということである。ただ、これはあまりにもお粗末な日本語なので、「隷属の性質を帯びた」と訳す。

 Q2 和訳参照

 

【8.4.10】

<設問>
Q1[全文] どの部分が名詞構文か。そして、どのような動詞表現に戻るか。

 <解答・解説>
Q1 the love of the parents for their childrenの部分
The parents love their children.に戻る。
・the love of the parentsの部分までを見ると、「親が愛する」なのか、「親を愛する 」なのかわからないが、for their childrenを見て、こちらがOだとわかるので、of the parentsは消去法でSだとわかる。つまり「親からの、子への愛」なのだ。

  最後に、例文:8.4.5の後ろにある「参考」の部分の解説をする。この部分はややわかりにくいので、別の例を挙げて説明する。まずは次の表現を見よ。

   X:eat an apple

 もちろん「リンゴを食べる」という意味だが、この内容を名詞化して、「リンゴを食べること」という意味にしたいとしよう。どうすればいいだろうか。
最も単純なのは、全体をtoV句(名詞的用法)にすることと、Ving句(動名詞)にすることだ。

to eat an apple
eating an apple

 では、Xを名詞構文にすることは可能だろうか。
withdrawにはwithdrawalという名詞形があり、refuseにはrefusalと いう名詞形がある。動詞がこのように名詞形を持つものは、名詞構文にできる。
また、loveやattemptは動詞と名詞が同形なので、動詞をそのままの形 で用いることにより、名詞構文にすることができる。
ところが動詞eatは、「食べること」という意味の名詞形を持たない。 すると、名詞構文にすることは不可能のようだが、実は方法がある。
それは、eatをeatingという名詞にするということだ。swimをing形に したswimmingが「泳ぐこと」という意味の名詞であるのと同じように、 eatingは「食べること」という意味の名詞だ。名詞形があるのなら、あとは規則通りに名詞構文にできる。次のようになる。

eating of an apple

 ただ、この形においては、、通常先頭にtheを置く。つまり、

   the eating of an apple

 となる。
この「the+動詞のing形+of+名詞」という形は、頻繁に見られる。そして、実は例文:8.3.2で見たばかりなのだ。確認されよ。

 

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Chapter9 関係詞

① 主格の関係詞

[イントロダクション]

 Chapter9はで扱う内容は、大半が、《従位接続詞の一覧表》の Bの列に関するものです。つまり形容詞節を扱うのです。
「解釈教室」p.162の序文も、これに関するものです。なお、この部分には、「2文を結ぶ練習」という記述がありますが、「英語の基本」「COMPLETE」においては、Bの列の関係詞は、「文と文のペア」ではなく、「名詞と文のペア」をもとに話を進めたのでした。「解釈教室」p.162に関しては、軽く眺める程度で十分です。

 

【9.1.1】

<設問>
Q1[L1] with句の終点の語を答えよ。また、このwith句はどこを修飾するか。

 <解答・解説>
Q1 I    sayを修飾する。
・thanは従位接続詞。then  I のまとまりがgreaterを修飾している。thanが従位接続詞だということについては、COMPLETEのp.277で述べ、構造も示した。withからIまでの構造は次の通り。

 ****************************

  with<前> greater<名修> right<前О>  than I<形修>
→全体は「私より大きな権利で」という意味でsayを修飾

 ****************************

・この文は、主格の関係代名詞whoと、これに対する述語であるcan say間に前置詞句が存在するという構造。「主語と述語が修飾語の存在により分断される」というだけでも厄介だが、本文ではその修飾語が、「than節の加わった前置詞句である」という点で、前置詞句の終点が見抜きにくい。一見するとI can sayのところが「主語―述語」に見えてしまう。

 

【9.1.2】

<設問>
Q1[L1]  thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q1[L1]  by traditionとby the daily life in each communityの、文法上の関係を答えよ。

 

 <解答・解説>
Q1 B-1
・主格の関係代名詞である。述語部分はis provided。これも主語と述語の間に、述語を修飾する修飾語が存在するという構造。
・provideの主な語法は次の通り。

 ****************************

(1) A provide B with C.(AがBにCを与える)
(2) A provide C for B.(AがBにCを与える)
(1)の受動態はB is provided with C by A.
(2)の受動態はC is provided for B by A.
受動態では、providedより後ろの部分が省略されることも多い。

  ※Aは供給者。Bは供給される側の人。Cは供給されるもの。

 ****************************

本文はL1からL2にかけての部分で(1)が用いられており、L2のthat以下は(2)の受動態が用いられている。thatの先行詞はthe common backgroundなので、that以下の主な具体的内容はThe common back ground is provided.ということ。供給されるものが主語だということは、(2)の受け身だということになる。この文は、provideの2つの用法を知っており、また、それぞれが受動態になっても対応できなくてはならない(しかもprovidedより後ろの省略を見抜きながら)という点でも難しい。

 Q2 同格関係
・by the daily life in each communityはby traditionの言い換え。いずれもis providedを修飾する。よって「動詞修飾語と動詞修飾語の同格」だということになる(品詞でいえば前置詞句と前置詞句の同格)。「COMPLETE」p.339でも類例を扱ってある。確認のこと。

 

【9.1.3】

<設問>
Q1[L2]  whichの要素を答えよ。
Q2[L2]  この行では、ある語(X)の後ろに2語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。
※ multiplication table(九九の表)

 

 <解答・解説>
Q1 S
・主格の関係代名詞である。Vはsays.

Q2 X:once    Y: something/it is
・which以下を、①、②の関係に戻すと次のようになる。

① something
② Something once learned stays with you through life.

・once learnedの部分が一見したところ意味不明だが、onceが≪従位接続詞の一覧表≫のC-5にあったことを思い出す(「英語の基本」p.245、「COMPLETE」p.136参照)。そして動詞修飾語としてはたらく副詞節の内側においては、「S+be動詞」の省略がありうるということも思い出す(「COMPLETE」p.330参照)。以上からonceの後ろにsomething(あるいはit) isが省略されていることに気づけるかが勝負。
・このonce節は、主節のS(something)とV(stays)の間に挿入されているので、いっそう副詞節だと気づきにくい。しかも挿入の目印であるカンマやダッシュがない。仮に次のように表記されていたら、この文はもう少し読みやすいだろう。

   something which, once learned, stays with you through life.

 

【9.1.4】

<設問>
Q1[L1] peopleから文末までを訳せ。
Q2[L1] when節はどこを修飾するか。
Q3[L2] onlyはどこを修飾するか。
※quite a number of ~(多くの~)

 

 <解答・解説>
Q1 和訳参照
・filled me with positive loathingの直訳は「私を積極的な嫌悪で埋めた」だが、これは不自然。工夫が必要。伊藤先生の訳は上手い。

 Q2 filled
・前問9.1.3と同様に、主格の関係代名詞と述語の間に副詞節の挿入が見られるが、本文は次の点において、前問よりもはるかに理解しやすい。
・挿入の目印たるカンマがある。
・従位接続詞がなじみ深いwhenである。
・副詞節の内側に省略もない。

Q3 by sight or repute
・前置詞句に対する修飾。前置詞句に対する修飾語は「COMPLETE」p.305で既習。

 

【9.1.5】

<はじめに>
次のペアを見てください。

  ① the man(男性)
② Ken thinks that Mary respects the man.
(ケンはメアリーがその男性を尊敬していると思っている)

  ①の名詞が②の文の中にあります。このペアの②を①に対する修飾語にして、「ケンが、メアリーが尊敬していると思っている男性」という意味を持つ表現を作ることを考えましょう。
①の名詞は、②の文の中で、that節の内側にあります。このような場合に②の文を形容詞節にする際には、①の名詞がthat節の内側でどの要素としてはたらくかを見極めて、それに応じた手順に従います。上のペアでは、①の名詞は②のthat節の内側でOとしてはたらいているので、目的格の関係代名詞節を作る手順(確認したい場合は、たとえば「COMPLETE」ではp.120参照)に従います。なお、この際にthatは消去します。
完成する形容詞節は次のようになります。
who/whom Ken thinks Mary loves
そしてこれを①の後ろに置けば、求められる意味の表現が完成します。
the man who/whom Ken thinks Mary respects
(ケンが、メアリーが尊敬していると思っている男性)
他の要素である場合も同じように考えられます。つまり、たとえば①の名詞が②の文のthat節の中で、前置詞のОとしてはたらく場合は、「COMPLETE」p.120の手順に従い、名詞修飾語としてはたらく場合はp.124の手順に従います。ところが、that節の内部でSとしてはたらく場合だけは注意が必要になります。
以下のペアを見てください。

  ① the doctor(医師)
② I believe that the doctor will help my daughter.
(私はその医師が娘を助けてくれると信じている)

  このペアの②を①に対する修飾語にすることを考えましょう。つまり、次の意味を持つ表現を作りたいのです。
私が娘を助けてくれるだろうと信じている医師
①の名詞は、②の文のthat節において、Sとしてはたらいています。すると、主格の関係代名詞節を作る手順(「COMPLETE」p.117の手順)に従って形容詞節にする、ということになりそうです。つまり「②の中にある①の名詞を、that,who,whichに代える」という手順です。
ところがここでは手順が異なるのです。手順は次の2つになります。

  手順1 ②の中にある①の名詞を、who,that,whichに代える。
手順2 that,who,whichを文頭に出す。
※ that節のthatは必ず消去する。

  手順2が必要になるのです。Sでありながら前に出さなければならないという点において、これまでの知識の範囲を超えているものだといえます。なお、ここでもthat節のthatを必ず消すということも忘れないようにしてください。
この手順を上のペアにあてはめると、次の形容詞節が完成します。
who I believe will help my daughter
そしてこれらを①の名詞の後ろに置けば、求められる意味の表現が完成します。
the doctor who I believe will help my daughter
(私が娘を助けてくれるだろうと信じている医師)
believe will helpというような述語の連続は慣れるまでに時間がかかるものです。
なお、同様のことは疑問詞疑問文を作る際にもあてはまります。次の文を見てください。
Meg thinks that Tom painted the picture.
(メグはトムがその絵を描いたと思っている)
Tomの部分を尋ねる文を作りましょう。
Tomは、that節の中で主語としてはたらいています。主語を尋ねる疑問文を作るための手順は「尋ねたい部分を疑問詞に代えて終わり」でした。
「COMPLETE」p.58~p.59で扱ったことです。
ところが、上のようにthat節の内部に主語がある場合は、次の3つの手順が必要になります。なお、ここでもthat節のthatは消去します。

  手順1 尋ねたい部分をwho,what,whichに代える。  
手順2 who,what,whichを文頭に移動させる。   
手順3 be動詞または助動詞をSの前に出す。  

  よって、完成する文は次のようになります。
Who does Meg thinks painted the picture?
(メグは誰がその絵を描いたと思っているのか)
以上をふまえたうえで、設問に入りましょう。

 

 <設問>
Q1[L1] peopleからcrimeまでを①、②の関係に戻せ。なお、この際には1語を補うこと。
※plenty of ~(多くの~)

 

 <解答・解説>
Q1 ① people
② We know quite well that people are innocent of this crime.
・補った語はthat。
・①の名詞が②の文の中のthat節の中のSであるパターン。

 

【9.1.6】

<設問>
Q1[L1] a manからlocalityまでを①、②の関係に戻せ。なお、この際には1語を補うこと。

 

 <解答・解説>
Q1 ① a man
② We had been told that a man was familiar with the locality.
・これも、①の名詞が②の文の中のthat節の中のSであるパターン。ただ②の文の全体の文型が第4文型の受動態であるという点(さらに述語部分が過去完了になっている)で、前問より難しい。
・なお、文全体が第4文型の受動態で、O2が節である文の構造図は、「英語の基本」p.157にある。

 

【9.1.7】

<設問>
Q1[L1]  文頭からherまでを訳せ。
Q2[L1]  the prospect of marrying herと同じ構造を持つ表現が含まれている「COMPLETE」のページを答えよ。
Q3[L1] forの品詞は何か。
Q4[L2] the emotion of wild romanceからloverまでを①、②の関係に戻せ(なおこの際には1語を補うこと)。また、この部分を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 和訳参照
・overは「~について」「~のことで」の意味。

 Q2 p.338
・「同格のof+動名詞」という構造。同格のofなので、「という」という訳語がありえる。文頭からherまでの直訳は「彼は彼女と結婚するという見込みのことで、興奮しなかった」。ここから工夫したのが伊藤訳。

 Q3 (等位)接続詞
・等位接続詞のforを復習したい場合は「COMPLETE」p.84参照。

 Q4 ① the emotion wild romance(熱烈なロマンスの感情)
② His beloved books had assured him that the emotion of wild romance were proper for a lover.(彼の愛読する書物は、彼に、熱烈なロマンスが恋する者にふさわしいと断言していた)
・これも、①の名詞が②の文の中のthat節の中のSであるパターン。②の 文全体の文型は第4文型である。
・上のペアをふまえれば、本文のthe emotionからloverまでの約は「彼の愛読する書物が、彼に、恋する者にふさわしいと断言していた熱烈なロマンスの感情」となる。伊藤先生は「書物が…断言していた」という部分を「書物によると…断言されている」と変え、より自然な日本語にしている。
・ちなみに、the emotions of wild romanceのofも同格のof。「名詞+同格のof+名詞」のパターン。「COMPLETE」p.338の一番下のワクの中で既習。

 

【9.1.8】

<設問>
Q1[L1]  仮にL1のonが存在しないことが許されるとする。その場合、文全体の文型は何だということになるか。
Q2[L2] whatからtaskまでは、疑問詞疑問文が名詞節になったものである。これを疑問詞疑問文に戻せ。そして、whatをxとして、平叙文に戻せ。なお、平叙文に戻す際には1語を補うこと。
Q3[L2] whatから文末までを訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 第5文型パターン③の受動態
・callは、call on X to V(XにVをするよう要求する)という形で用い られる。onが必要であるがゆえ、純粋な第5文型パターン③とは異なる。
なお、同様の意味は、requestやrequireを用いて表現できる。これらは「COMPLETE」p.192のリストにある。つまり第5文型パターン③で用いられる動詞である。もちろんonは不要。

 Q2 What did the founders and the pioneers always believe was the American task?
The founders and the pioneers always believe that X was the American task.
・元の平叙文は第3文型で、that節がO。この節の中のSを尋ねたのが上の疑問文。Sを尋ねる文であるものの、that節の内側にあるので、3つの手順が必要になる。<はじめに>で述べた通り。

 Q3 和訳参照
・上の構造が見抜ければ、あとは日本語にしていくだけ。
・whatは疑問詞ではなく関係詞として、つまり「何」ではなく「もの/こと」のほうの訳で訳す。念のために、元の疑問文と、これが名詞節となったものの訳(2通り)を示す。

 

What did the founders and the pioneers always believe was the American task?
[訳]建国者や開拓者たちは、何がアメリカの使命だと常に信じてきたのか。

↓<名詞節化>

what the founders and the pioneers always believed was the American task
[訳1]建国者や開拓者たちが、何がアメリカの使命だと常に信じてきたのかということ
[訳2]建国者や開拓者たちが、アメリカの使命だと常に信じてきたもの/こと……本文はこちらの訳

 

② 目的格の関係代名詞(1)

[イントロダクション]
ここでは目的格の関係代名詞を見ていきます。これについては、「英語の基本」のp.206、p.212~p.214、「COMPLETE」p.118下~p.123で扱いましたが、実際に出くわす例は、そこで見たようなシンプルなものばかりではありません。複雑なものにも対応できるよう、この②もしっかりと読み込み、しっかりと復習をしてください。

 

【9.2.1】

<はじめに>
次の5つの英文と和訳を見比べてください。そして、共通する特徴を考えてみてください。

  The day will soon come when we can visit the country.
(私たちがその国を訪れることのできる日はじきに来るだろう)
Last week, a man died who was in many ways greater than my father.
(先週、父よりもいろいろな点で偉大だった1人の男性が死んだ)
The man has been arrested, but the fact remains that Pochi is dead.
(その男は逮捕された。しかし、ポチが死んでしまっているという事実は残る)
The attempt failed to help Tom and his dog.
(トムと、彼の犬を救おうという試みは失敗した)
The time has come to make our attitude clear.
(我々の態度をハッキリさせるべき時が来た)

  すべての文において、主語に対する修飾語が切り離されて、文末に置かれています。主語に対する修飾語が節や句で長い場合、しばしば、このように「文末への移動」が起こるのです。これをふまえたうえで、設問に入りましょう。

 

 <設問>
Q1[L3] whichの先行詞は何か。複数の語で答えよ。
Q2[L3] it was thereを訳せ。
Q3[L3] 先行詞とwhichから始まる関係代名詞節を①、②の関係に       戻せ。
※for several years running(数年間続けて)

 

 <解答・解説>
Q1 a new shape of pebble
・主語に対する修飾語が長いので、文末に置かれている。

 Q2 それはそこにあった。
・このwasは「存在」を表す。「ある」「いる」という意味のbe動詞。

 Q3 ① a new shape of pebble
② The year before, though it was there in hundreds, I never saw a new shape of pebble.
・②の文が「動詞修飾語(The year before)+動詞修飾語の節+SVO」という構造であり、①の名詞がこのO。Oまでが長い。
・なお、the year beforeは「前の年」という意味。the day beforeならもちろん「前日」。

 

【9.2.2】

<設問>
Q1[L1] the qualityからfinestまでを①、②の関係に戻せ。なお、in Smithはカットすること。
Q2[L1] finestの後ろに1語を補え。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the quality
② His friends considered the quality his finest.
・②の文が第5文型パターン①。①の名詞がSVOCのOである。「英語の基本」p.207下と、p.208上、「COMPLETE」p.120上に例がある。

 Q2 quality
・共通部分の省略。上の②の文を省略せずに書くと次のようになる。
His friend considered the quality his finest quality.
(彼の友達はその性質を、彼の最も素晴らしい性質だと考えていた)

 

【9.2.3】

<設問>
Q1[L1] the greatest happinessから文末までを①、②の関係にせよ。なお、greatestはカットすること。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the happiness
② Life has the happiness to offer.
・②をLife has to offer the happiness.とすることも、文法上は可能だが、こう考えると「人生が幸福を提供しなくてならない」という訳になってしまい、意味上不自然。よって上のように考える。
・②のto offerは、《準動詞句の一覧表》のC-1と考えることも、目的格であるhappinessを修飾していると考えることも可能。前者の場合は、②の文の訳は「人生は、提供するために幸福を用意している」となり、後者の場合は「人生は、提供するための幸福を持っている」となる。そして、the happinessが関係代名詞のthatとなって前に出たため、haveとtoが隣接し、have toに見えてしまう。
・英文を読む際には、常に形も意味も考えなくてはならないということがよくわかる例。

 

【9.2.4】

<設問>
Q1[L1] nothingからpaperまでを、①、②の関係にするとどうな       るか。なお、nothingはsomethingに変えて考えよ。また、②の文の文型と和訳も答えよ。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① something
② You would not wish something put in the daily paper.
第5文型パターン⑤
あなたがあることを新聞の中で言われたくない。
・putに「言う」という意味があるということを知らなければ非常に難しい問いとなる。somethingがOで、putから文末までがC。OCから生まれる文は以下の通り。

   Something is put in the daily paper.
(あることが新聞で言われる)

・wishという語は、いろいろな文型で用いられるが、第5文型では、パターン①、③、⑤で用いられる。例を挙げる。

 [第5文型パターン①]
I wish her happy.(私は彼女が幸せであることを願う)

 [第5文型パターン③]
I wish her to kiss me.(彼女にキスしてほしい)

 [第5文型パターン⑤]
She wished her husband defeated.
(彼女は夫が打ち負かされるのを願った)

・さて、本文は、はwish putという動詞の連続が不自然に感じられるが、wishという動詞は第5文型パターン⑤で用いられるということ、そして動詞putは過去分詞形もputだということを考慮に入れれば、something以下が、上のペアに戻ると予測できる。
・「英語の基本」p.351、「COMPLETE」p.189に、第5文型で用いられる動詞のリストがあるが、パターン⑤の「その他少数」の1つが、このwishなのである(wantも)。そのリストの横にこの2語を書き加えよ。
・上記の通り、このputは、「言う」「発言する」という意味だ。よって、②を型通りに訳せば、「あなたが、あることが新聞で発言されることを望まない」となる。そして、②を形容詞節にして、①の後ろに置いたものが、something which you would not wish put in the daily paperであり、これの訳が「あなたが新聞で言われることを望まないこと」。これをsayという動詞の後ろに置いて、文にしてみよう。
Say something which you would not wish put in the daily paper.
(あなたが新聞で言われることを望まないことを言いなさい)
・本文は、このsomethingがnothingなので、「あなたが新聞で言われるのを望まないゼロのことを言いなさい」ということであり、これはつまり、伊藤先生の訳のような意味だということになる。
・なお、伊藤先生の解説の、wish it (to be) putという部分の(to be)については、気にしないでよい。

 Q2 和訳参照

 

【9.2.5】

<設問>
Q1[L1] which節の終点はどこか。
Q2[L2] good mannersとwhich節を①、②の関係にするとどうなるか。
Q3[全文] 全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 see

Q2 ① good manners
② It would certainly have surprised their parents to see good manners.
・②の文は形式主語-真主語の構文であり、真主語の中のVのOが、①の名詞である。②の文を型通りに訳すと、「良い行儀を見ることが、きっと親を驚かせただろう」となり、ゆえに、本文のgood manners以下の訳は、「見ることがきっと親を驚かせただろう良い行儀」となるが、「見ることが」では不自然なので、「見れば」「見ると」などとしたほうがよい。真主語であるto seeの部分に、「もし見ていたら」という仮定のニュアンスがあるのである。
・さて、上のペアような「①の名詞が、形式主語-真主語の構文の、動詞のOである」という例は、これまでの英語学習で初めて見たものだろうと思う。このような、初学者にはかなり面倒なパターンもきちんと収録されているのが「解釈教室」の凄いところだ。「解釈教室」の特徴の1つは、この「網羅性の高さ」なのである。

 Q3 和訳参照

 

【9.2.6】

<設問>
Q1[L1] that節の終点はどこか。
Q2[L1] filmsとthat節を①、②の関係にするとどうなるか。
Q3[L2] to see句は《準動詞句の一覧表》のどれか。
※so far(これまでに)

 

 <解答・解説>
Q1 see
・2行目のseeにOがないことを見て、thatはこのseeのOだとわかる。その後ろのhave earnedが、文頭のThe few Japanese filmsに対する述語である。

Q2 ① films
② We in Britain have so far had a chance to see films
・このペアにおいても、①の名詞は②の中で、toV句の中の目的語としてはたらいているが、同じtoV句でも、9.2.5では名詞的用法だった(形式主語-真主語の構文は、名詞的用法)。一方、上のto see filmsは、形容詞的用法のうちの「同格」。chanceは、「何をする機会か?」という疑問が生じる名詞であり、to see filmsが、この疑問に対する答えになっているである。「英語の基本」pp.315-p.316、「COMPLETE」p.171で扱った内容。

 Q3 B―1(同格)

 

【9.2.7】

<設問>
Q1[L1] the qualitiesからproducingまでを①、②の関係に戻すとどうなるか。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the qualities
② Education aims at producing the qualities.
・9.2.5と9.2.6は、「①の名詞が、②の文中の、toV句の中のOである例」だった、この9.2.7は「①の名詞が、②の文中の、Ving句の中のOである例」である。
・aim at ~は、「~をめざす」であり、~の部分には、名詞が置かれる。動詞内容を置きたい場合は、動名詞にしなくてはならない。

 

【9.2.8】

<設問>
Q1[L1] thatの先行詞は何か。1語で答えよ。
Q2[L1] その先行詞とthat節を①、②の関係に戻すとどうなるか。
Q3[全文] 全文を訳せ。
※should like to ~(~したい)

 

 <解答・解説>
Q1 things
・about ourselvesもthat節もthingsを修飾する。1つのものに対して2つ以上の修飾語が存在する場合は、必然的に1つ以外のものはすべて、被修飾語から離れることになる。飛び越えて修飾させるということができなくてはならない。

Q2 ① things
② We should not like to hear other people say things.
・上の②はshoud like toをひとまとまりの助動詞だと考えると、hearがⅤ、other peopleがО、say thingsがCで、この文は第5文型のパターン②だということになる。
・①の名詞は、②の文において、Cの内側にあるV(hear)のOである。単なる目的格の関係代名詞とは違い、「準動詞句の内側にあるOが関係代名詞になったもの」なので、シンプルなものよりも当然のように難しい。

 Q3 和訳参照
・about ourselvesの和訳が重複するので、伊藤先生は片方を切っている。確認せよ。

 

【9.2.9】

<設問>
Q1[L1] the thingとwhich節を、①、②の関係に戻すとどうなるか。なお、その際には②に1語補うこと。
Q2[L2] the look in her eyesを訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the thing
② I knew that I would never forget the thing.
・①の名詞が、②の文のthat節の中にある動詞(forget)のOである。この構造も初めて扱うパターン。

 Q2 彼女の目つき

 

【9.2.10】

<設問>
Q1[L1] a little clockとthat節を、①、②の関係に戻すとどうなるか。なお、その際には②に1語補うこと。そして、②の文の文型を答えよ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① a little clock
② He had once heard his mother say that she liked a little clock.
第5文型パターン②
・②の文は、HeがS、hadが丸V、heardがV、his motherがО、say以下がC。
・Cの部分の、大まかな内部構造は次の通り。thatは補った接続詞。

say(V) that she liked a little clock(that以下はsayのО)

  そして、clockは、このthat節の内側において、likedのО。
・このa little clockを関係代名詞のthatに換えて先頭に出し、sayの直後のthatを消去したものが、以下である。

   that he had once heard his mother say she liked

そしてこれを①の名詞の直後に置いた表現が、本文のa little clock以下である。

 

③ 目的格の関係代名詞(2)

[イントロダクション]

「英語の基本」のp.176で「前置詞から始まる名詞節」について扱いましたが、「前置詞から始まる従属節」は、名詞節だけではありません。形容詞節である関係代名詞節や、関係形容詞節(whoseが形成する節)においても、前置詞からはじまるものが見られます。ここでは前者を復習しましょう。「COMPLETE」p.126の上のワクの中の、最後の文を見てください。この文の太字部分が形容詞節ですが、先頭が前置詞のatであることを確認してください。
さて、伊藤先生もこの「前置詞から始まる形容詞節」について説明されています。それが「解釈教室」p.174の中央からの9行です。ここに目を通してください。

 

【9.3.1】

<設問>

 Q1[L1] the conditionsからworkまでを①、②の関係に戻せ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the conditions
② You do your work under the conditions.
・関係代名詞が前置詞のOである場合には、原則としてその前置詞の訳は 表面に出ない。例えば、the stage on which he dancedの和訳は「彼が踊った舞台」であり、「彼がで踊った舞台」ではない。上の例でもunderに対して「~のもとで」「 ~の下で」という訳語を浮かび上がらせる必要はない。
ただ、例外もある。以下のような例である。

   the boy with whom I danced yesterday

 これを「きのう私が踊った少年」と訳すとやはり不自然である。「きのう私がいっしょに踊った少年」として、withの訳語を出したほうが、はるかに自然な訳になる。

 

【9.3.2】
<はじめに>
関係代名詞節の形成については、「①の名詞と、それが含まれた②の文」という話を出発点に進めました。その中で、「COMPLETE」p.117、p.119、p.120などのルールを記憶したのですが、これに加えて、次のこともおぼえてください。

 ****************************
①の名詞が②の中で前置詞のOとしてはたらいており、この前置詞句が名詞修飾語である場合は、②の文は、次の手順に従って形容詞節になることもある。

手順1 ②の文の中にある①の名詞を、関係代名詞whom,whichに代える。
手順2 「名詞+前置詞+関係代名詞」を文頭に移動させる。        
・但し、前置詞句によって修飾されている名詞の要素がSである場合は、移動はない。 
・前置詞句によって修飾されている名詞が前置詞の目的語である場合は、前置詞ごと移動させるのが原則。

 [例1]
① the movie(映画)                      
② I like the title of the movie.(私はその映画のタイトルが好きだ)

→the movie the title of which I like
(私がタイトルが好きな映画)

 [例2]   
① the book(本)              
② The cover of the book was dirty.(本のカバーが汚れていた)

→ the book the cover of which was dirty(カバーが汚れていた本)
※ of句によって修飾されているthe coverの要素がSなので、手順1のみで形容詞節になる。

 

  ★なお、このような「①の名詞が②の中で前置詞の目的語で、前置詞句が名詞修飾語である」というパターンでも、名詞ごと移動するのではなく、「関係代名詞のみが文頭に移動する」あるいは「前置詞+関係代名詞が文頭に移動する」という、「英語の基本」「COMPLETE」で扱った知識の範囲での移動形式もある。つまり、名詞はそのままの位置に残ることもあるのである。
****************************

 以上をふまえたうえで、設問に入ります。

 

 <設問>
Q1[L1] very high hills以下を①、②の関係に戻せ。なおveryの前にはtheを加えること。
Q2[全文] 全文を訳せ。
※all the year round(一年中)

 

 <解答・解説>
Q1  ①  the very high hills
②  Many of the very high hills are covered with snow all the year round.
・①の名詞が②の中で前置詞のOであり、前置詞句が名詞修飾語であり、その前置詞句によって修飾される名詞がSであるパターン。この場合は、関係代名詞に変えるだけで、②は形容詞節となる。[イントロダクション]の[例2]と同じパターン。
Q2 和訳参照
・関係代名詞をvery high hillsに対して訳し上げて、「スイスは湖と、 その多くが一年中雪でおおわれている高い丘の国である」としてもまったく問題ない。
・ただ、先行詞の直後にカンマがあり、ひと呼吸置かれているので、一度 ここで訳を切り、関係代名詞節を訳し下すこともできる。伊藤先生はそのようにしている(なお、伊藤先生は「高い丘」とせずに、「山」と訳されている)。
・ここで扱ったような「名詞から始まる形容詞節」の名詞は、many,few, allなどの数量に関するものや、数値である例が多くみられる。

 

【9.3.3】

<設問>
Q1[L1] comets以下を①、②の関係に戻せ。
Q2[全文] 全文を訳せ。
・文中のadd toについては、例文7.2.1で扱った。

 

 <解答・解説>
Q1 ① comets
②  The observation of comets greatly added to our knowledge of the universe.
・②の文中において、①の名詞は前Oとしてはたらいている。そして前置詞句は名詞修飾語であり、その名詞(the observation)がSなので、②のcometsをwhichに換えるだけで形容詞節が成立する。前問と同じ。

 Q2 和訳参照
・「カンマ+関係詞節」の中には、訳し上げるのが不適切で、andでつながれている場合のように訳し下したほうがいい例もある。本文はその例。「その観察によって我々の宇宙に関する知識が大いに増えた彗星……」というように、訳し上げるのは苦しい。主節と関係代名詞節に時間の流れがあるので、ここはそれに従って訳し下したほうが自然な訳になる。伊藤先生の訳で確認のこと。

 

【9.3.4】

<はじめに>
ここには、「英語の基本」「COMPLETE」のいずれでも扱っていない内容が含まれます。まずは次のペアを見てください。

   ① 名詞A
② S V  …  名詞A(名詞Bを修飾) 名詞B .

①の名詞が②の文中で、名詞修飾語としてはたらいています。このイメージ図は、「COMPLETE」p.123にあります。そして、このような場合に、②を①に対する修飾語にするには、whoseを用いるのでした。
さて、「COMPLETE」の例は、名詞Bの要素は、OかSでした。「英語の基本」では、前置詞のOである例も扱いました(p.220の上から2つ目)。そして名詞Bが前置詞のOの場合は、「前置詞ごと文頭に出ることがある」 ということを知らなくてはならないのですが(「英語の基本」p.219の手順参照)、さらに補足として、次の2点を知ってください。

 ****************************
α 「前置詞+名詞A+名詞B」が名詞を修飾している場合は、「修飾されている名詞+前置詞+whose+名詞」を文頭に移動させる。  
β ただし、修飾されている名詞がSである場合は、whoseに換えただけで形容詞節となる。              
****************************

  では、これを考慮に入れた上で、例文:9.3.4に挑みましょう。

 

 <設問>
Q1[L1] the oneから文末までを①、②の関係に戻すとどうなるか。    なお、oneはwriterを受けているので、①はthe writerとすること。
Q2[L1] 関係詞節の内部の文型は何か。
※この文のturnは「傾向」「気質」という意味である。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the writer
② The peculiar turn of the writer's mind best fits him to write on this subject.
・①の名詞が②の文中で、名詞修飾語としてはたらいている。そして修飾されている名詞mindは前置詞ofのOであり、of the writer's mindは名詞turnを修飾している。そして、turnはSだ。よって、②はthe writer'sをwhoseに換えただけで形容詞節となる(上のβ参照)。
・②の文の意味がとりにくいかもしれない。動詞fitの後ろにOがあり、その後ろにtoV句がある。「SVO+toV句」という構造を見て、動詞が「促す」「仕向ける」といったニュアンスがある場合、第5文型パターン③を疑うこと。つまり、「SがOを~するようにさせる」という意味である可能性を疑うのだ。
・辞書を引くと、fitにこの用法があるとわかる。『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)には、次のような例がある。
fit a person to do his new duties
(人を新しい職務につけるために訓練する)
また旺文社の『新英和中辞典』には、次のような例がある。
You should fit your plan to suit others.
(他の人々にも都合のよいように計画を変えるべきだ)
つまりこのfitは、「Oを~するようにフィットさせる」「Oを~するようにさせる」という意味なのである。       
・上の②の文も、まさにこの第5文型パターン③である。この文を型通りに訳すと、「その作家の独特の傾向が、彼を最高にこの問題について書くようにさせる」だが、これは要するに、「その作家の独特の傾向のために、彼こそが、その問題について書くのが最も適した人物である」という意味なのである。
・さて、②を形容詞節にしたものを①の後ろに置くと、次の表現が完成する。
the writer the peculiar turn of whose mind best fit him to
write on this subject
この表現の訳は、「彼のその独特の傾向のために、この問題について書くのが最も適した作家」となる。これが本文の、the one以下の部分の訳なのである。伊藤先生の訳も確認せよ。

 Q2 第5文型パターン③

 

【9.3.5】

<はじめに>
次のペアを見てください。

① the gate
② Tom was standing in front of the gate.

 このペアにおいては、①の名詞は、前置詞ofのOである。ただ、ofはその前のin frontと切り離してとらえるのではなく、in front ofでひとまとまりの前置詞と考えてしまうほうが合理的です。「COMPLETE」p.52~p.53で扱った「群前置詞」です。
・さて、①の名詞が②の中で前Oとしてはたらいている場合に、②を形容詞節にする際には、「関係代名詞だけ出す場合」と、「前置詞+関係代名詞を出す場合」がありました。これと同じように、①の名詞が②の中で群前置詞のOとしてはたらいている場合は、「関係代名詞だけ出す場合」と、「群前置詞+関係代名詞を出す場合」の2通りがあるのです。
多くの例において、「群前置詞+関係代名詞」が前に出ます。上のペアでもこの出し方が可能です(というよりも、関係代名詞だけで出すよりもこちらのほうが自然)。
・群前置詞ごと出すと、②の文は次のようになります。
in front of which Tom was standing
なお、「前置詞+関係代名詞that」という表現がないのと同じように、「群前置詞+関係代名詞that」も認められrません。in front of thatとはならないのです。 
そして、上の表現を①の前に置くと    
the gate in front of which Tom was standing
(その前にトムが立っていた門)   
が完成する。
・ここで1つ補足をしておく。次のことを知ってください。

 ****************************
動詞修飾語としてはたらく前置詞句/群前置詞句が、②の文の文頭にある場合は、①の名詞を関係代名詞に換えるだけで、形容詞節が完成する。
****************************

  次の例を見てほしい。

   ① the stage(ステージ)
② On the stage we danced a go-go.
(ステージの上で、我々はゴーゴーを踊った)

  このペアから「我々がゴーゴーを踊ったステージ」という意味の表現を作るには、まずは②の文の中にある①の名詞を関係代名詞に換えますが、この場合は、「関係代名詞のみの移動」は認められません。つまりthat/which on we danced a go-goという形容詞節は存在しないのです(この表現の不自然さは、直観的に判断できると思います)。関係代名詞に換えるだけで形容詞節が完成するのです。
なお、前置詞の直後なので、関係代名詞はwhichのみが使用可となります。
②を形容詞節にすると次のようになります。
on which we danced a go-go
そして、求められる表現は、次のようになります。
the stage on which we danced a go-go
・群前置詞の例も見ましょう。

   ① the gate
② In front of the gate Tom was standing.

 これは、上で見た例の群前置詞句が文頭にあるパターンです。
このペアにおいて、②を①に対する修飾語にするには、②の中のthe gateを関係代名詞に換えるのですが、「関係代名詞のみの移動」はやはり、ここでも不可能となります。that/which in front of Tom was standingという形容詞節は存在しないのです(これもおかしいと判断できるはずです)。
関係代名詞に換えただけで形容詞節は完成します。つまり、
in front of which Tom was standing
が求められる形容詞節です。前置詞ofの直後にあるので、関係代名詞はwhichのみが使用可です。
・以上の知識と、「by means ofが群前置詞である」という知識があれば、例文9.3.5は楽に読めることになります。

 <設問>
Q1[L1] writingから文末までを①、②の関係に戻すとどうなるか。
Q2[全文] 全文を訳せ。
・keep up with ~(~に付いていく)

 

 <解答・解説>
Q1 ① writing
② We can keep up with the talker by means of writing.
・by means of ~は、「~によって」という意味の群前置詞。②のwritingをwhichに換え、群前置詞ごと出し、これを①の後ろに置いたものが、本文のwriting以下なのである。
・なお、by means of writingは動詞修飾語である。動詞修飾語の位置は自由度が高いので、元のペアを、次のように考えることも可能。

   ① writing
② By means of writing we can keep up with the talker.

 このペアにおいて、②を①に対する形容詞節にする際には、writingをwhichに換えて終わりである。イントロの補足のところで述べた通り。

 Q2 和訳参照
・by means of以下の形容詞節を、writingに対して訳し上げて、「これが、これによって我々が話す人に付いていける速記法です」としても間違いではない。
・ただ、writingの後ろにカンマがあり、ひと呼吸あることを尊重して、「これが速記法で、これによって……」と訳し下したほうが自然な訳になる。

 

【9.3.6】

<設問>
Q1[L1] the societyから文末までを①、②の関係に戻せ。

 <解答・解説>
Q1 ① the society
② He forms a part of the society.
・①の名詞は、②の文の中で前Oとしてはたらいている。そして、その前置詞句は、名詞修飾語だ。partを修飾している。ただ、②を形容詞節にする際に、「名詞+前置詞+関係代名詞」を文頭に出すのではなく、of whichのみを文頭に出している。
・「①の名詞が②の中で前置詞の目的語で、前置詞句が名詞修飾語である」というパターンでも、「関係代名詞のみ」や「前置詞+関係代名詞のみ」が文頭に移動することもあるということは、【9.3.2】の<はじめに>の最後で述べた(★の部分)。

 

【9.3.7】

<設問>
Q1[L1] the wayから文末までを①、②の関係に戻せ。
Q2[全文] 全文を訳せ。
・devote oneself to ~(~に専心する)
・during the course of ~(~の間に) ※群前置詞

 

 <解答・解説>
Q1 ① the war(戦争)
② He was sent to prison during the course of the war.
(彼はその戦争の間に、牢獄送りになった)
・上のペアの②のthe warをwhichに代えて、during the course of which を文頭に出したのが
during the course of which he was sent to prison
であり、これを①の後ろに置いたのが、本文のthe war以下である。
・なお、例文9.3.5と同様に、元のペアにおいて、「群前置詞+名詞」は文頭に存在するとも考えられる。つまり元のペアを次のように考えることも可能だ。

  ① the war
② During the course of the war he was sent to prison.

 伊藤先生の解説では、こちらの考え方を採用されている。
なお、このペアでは、群前置詞が文頭にあるので、②を形容詞節にする際には、the warをwhichに換えて終わり。9.3.5のイントロの補足のところで述べた通り。

 Q2 和訳参照
・この文は、先行詞と関係代名詞節の間にカンマがあるのみならず、war までと、during以下には時間の流れ、「原因→結果」という流れがある。よって流れに自然に乗って訳し下す。

 

【9.3.8】

<設問>
Q1[L1] dellから文末までを、①、②の関係に戻せ。未習のパターンだが、ねばってみること。

 

 <解答・解説>
Q1 ① dell
② Through the depth of a dell ran a little brook.
・「①の名詞が②の中で前Oで、前置詞句が名詞修飾語である」というパターンはここまでにいくつか見たが、「その前置詞句によって修飾されている名詞が前Oである」という例は初めて。この場合は「名詞+前置詞+関係代名詞」に加えて、名詞の前にある前置詞も前に出る。例を示す。

 ****************************

  ① the mannequin(マネキン)                       
② A crown is put on the head of the mannequin.
(王冠がマネキンの頭の上に置かれている) 

→the mannequin on the head of which a crown is put
(頭の上に王冠が置かれているマネキン)
※前置詞句of whichによって修飾されているheadが前置詞onのOなので、onの部分から前に出ている。よってonが形容詞節の先頭となる。

 ****************************

・ただ、本文の例では、名詞の前にある前置詞が文頭にあるので、これ以上、出すことは不可能であり、結果として、②のa dellをwhichに変えただけで形容詞節が完成する。本文の関係代名詞に対する解説は、以上が標準的なものだが、実際にはthrough the depth ofを1つの群前置詞だと
考えてしまえば(このような群前置詞はないが)、1問前の9.3.7と同じ構造だということになり(倒置の部分は別として)、同じように理解できる。 
・なお、②の文は「動詞修飾語+VS」の倒置となっている。この倒置が弱ければ、「COMPLETE」p.319で復習せよ

Q2 和訳参照
・関係代名詞節をa dellに対する修飾語として訳し上げることも可能ではある。ただ、カンマがあり、また、関係代名詞節の前後は、単に事実を羅列している感が強いので、訳し下すほうが自然。伊藤先生はそのようにしている。

 

【9.3.9】

<設問>
Q1[L3] the British Commonwealthから文末までを①、②の関係に戻せ。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the British Commonwealth
② Outstanding among the British Commonwealth are Canada, Australia, and New Zealand.
・本文がoutstanding among whichという語順になっている説明をする。the British Commonwealthから文末までを①、②の関係に戻すすと、上のようになるが、これはCVSの倒置となっている文である(この倒置ついては「COMPLETE」p.318で既習。Cが前に出る前は、次のような形だった。
② among the British Commonwealth Canada, Australia, and New Zealand are outstanding.
つまり「前置詞句+SVC」という語順である。
ここで②を形容詞節にしよう。the British Commonwealthをwhichにするが、この前置詞句が文頭にあるので、これで完成する。つまり、次のようになる。
among which Canada, Australia, and New Zealand are outstanding.
この形容詞節において、CVSの倒置という現象が起こったとする。Cであるoutstandingが文頭に出て、SとVが入れ替わる。この結果が、本文の
outstanding among which are Canada, Australia, and New Zealand
という語順なのである。

 Q2 和訳参照 
・文全体の大きな構成は「while節+主節」である。主節は「so+真偽疑問文」の語順である。「~+so+真偽疑問文」は、「COMPLETE」p.320で扱ったが、そこで扱ったものは、「等位接続詞によって結ばれた2つの文」を前提としたものだった。本文は、前半がwhile節であるという点で異なるが、このwhileは「~だが」「~だが一方」という意味であり、全体は、実質的には等位接続詞でつながれた場合と同じである。
・本文の関係代名詞節を訳し上げることは、絶対に不可能ではないが、カンマがあり、また、関係代名詞節の前後は、単に事実を羅列している感が強いので、訳し下したほうがよい。伊藤先生もそうされている。

 

④ 関係代名詞の省略

[イントロダクション]

 英文において、「名詞+SV」という連なりがある場合、多くの例にお いては、名詞とSの間に従位接続詞のthatが省略されています。そして、このthatは同格/関係副詞、または関係代名詞のいずれかとなります。Vより後ろの部分に目的語が欠けている動詞か前置詞があれば、そのthatは目的格の関係代名詞だということになり、欠けがなければ同格/関係副詞のthatだということになります。なお、同格/関係副詞のthatだと判断した場合は、「修飾される名詞が意味上、同格/関係副詞のthatによって修飾されるものだと考えて違和感がない」ということを確認する必要があります。つまりCOMPLETEのp.130の表の、実戦の内側のもの(「何がどうする?」という疑問が生じる名詞)でなくてはならなのです。
なお、関係副詞のthatの省略と、関係代名詞のthatの省略は、OMPLETEのp.326~p.328で扱いました。同格のthatの例はあまり多くありませんが(COMPLETEのp.326参照)、珍しいわけでもありません。

  関係代名詞はそれ自体がCとしてはたらくこともありますが(「英語の基本」p.204~p.205参照)、この関係詞も省略が可能です。
また、関係代名詞節の先行詞が、「there be動詞 ~」の「~」であれば(「英語の基本」p.203参照)、この場合も関係代名詞は省略が可能です。
主格の関係代名詞は省略されないのが原則ですが、①の名詞と②の文のペアにおいて、①の名詞が②の文の中のthat節の主語である場合は省略が可能になります。例を示します。。

① the man
② I think that the man painted the picture.

 ②を①に対する修飾語にすると次のようになります(②のthatは消去する。the manはwhoに書き換えるが、これはSだが文頭に移動させる)。

  the man who I think painted the picture
(私がその絵を描いたと思っている男)

このwhoも省略が可能なのです。省略すると次のようになります。

  the man I think painted the picture
(私がその絵を描いたと思っている男)

 

【9.4.1】

<設問>
Q1[L1]  timeとitの間に省略されているthatは、同格/関係副詞か、それとも関係代名詞か。

 <解答・解説>
Q1 関係代名詞
・timeは関係副詞thatによって修飾される名詞だが(COMPLETEのp.130の表、あるいは「英語の基本」p.235の参照)、だからといって、省略されているものが関係副詞thatだと決めつけるわけにはいかない。すべての名詞は関係代名詞節によって修飾されるので(このことは上で示した2ページにある表から明らか)、関係代名詞のthat節によって修飾されている可能性もあるのだ。
・SV以下にOの欠けがあるかどうかを見抜ぬこう。なお、この際には、takeに関する以下の用法を知っているかどうかが問題になる。

   (1)  It takes ~ to V.(Vするのに~かかる)
(2)  It takes X ~ to V.(XがVするのに~かかる)
※ 「~」の部分は時間を表す語が置かれる。

これらは「形式主語-真主語の構文」だと考えられる。つまり(1)は「Vすることが、~の時間をかけさせる」という意味で、そこから上の訳のような意味になる。
(2)は「Vすることが、Xに、~の時間をかけさせる」という意味で、そこから上の訳のような意味になる。文型は、(1)がSVO(第3文型)、(2)がSVO1O2(第4文型)である。それぞれの例文を挙げよう。 

   It takes ten minutes to walk to the station.
(その駅まで歩くのに10分かかる)
It took me two years to write this novel.
(私がこの小説を書くのに、2年かかりました)

  本文はどちらのパターンだろうか。考えたうえで、以下の行に進むこと。

  (2)の型である。そして、Xに当たるのがthe lightであり、「~」に当たる目的語が欠けている。よって、timeの後ろに省略されているthatは、関係代名詞だということになる。
では、ここで、新たな設問を出す。

<設問>
the timeから文末までを①、②の関係に戻せ。

 解答を示す。

① the time
② It(仮S) takes(V) the light(О1) from the star(名修) the time(О2) to reach the earth(真S).

 

②の文のfrom the starはlightを修飾する。よって、the light from the starは、「星からの光」という意味になる。②の訳は、「星からの光が地球に着くまでに時間がかかる」。この②のthe timeを関係代名詞のthatに換えて、文頭に出し、①の後ろに置いたものが以下のものだ。

   the time that it takes the light from the star to reach the earth
(星からの光が地球に着くまでにかかる時間)

  そして、この表現からthatを省略したものが、本文のthe time以下なのである。
・伊藤先生の解説では、「直接目的語になる関係詞が省略されている」とあるが、「直接目的語」とは、О2のことである。
・伊藤先生は1行目のby the timeの部分を、従位接続詞のby the timeと勘違いしないように、という指摘をされている。by the timeは《従位接続詞の一覧表》のC-5だ。COMPLETEのp.136にある。

 

【9.4.2】

<設問>
Q1[全文] ある語(x)の後ろに、関係代名詞thatが省略されてい      る。xを答えよ。また、xと関係代名詞節を①、②の関係に戻せ。なお、①の名詞に修飾語がある場合は、その修飾語も含めて①の位置に置くこと。
・George the Fourthは「ジョージ4世」。また、say to oneselfは「自分に言う」から「考える、思う」という意味で使われることの多い表現。この文は、文構造を取るよりも、意味をつかむのが少し難しいかもしれない。

 

 <解答・解説>
Q1 things
① the sort of thing(その種のもの)
② We know life to be the sort of thing.          
(我々は人生がその種のものであることを知っている)
・②は第5文型パターン①で、①の名詞がCとしてはたらいている。文中のto beについてはCOMPLETEのp.34参照。Cとしてはたらく語が関係代名詞になる様子は「英語の基本」p.205に一例ある。ここでもto beが加わっている。
・②を①に対する修飾語にしたものが、以下の表現。 

the sort of thing that we know life to be
(我々が、人生がそうであると知っているその種のもの)

  「我々が、人生がそうであると知っているその種のもの」とは、我々が「人生ってこんなものだよな」と知っているところのものだ。よって、「我々が知っている人生」とまで訳してしまってよい。そして、上の表現からthatを省略したものが、本文のthe sort以下なのである(Cとしてはたらく関係代名詞も省略が可能だといことはイントロダクションで述べた)。
・念のため全体の文構造について述べておく。文頭のalthoughは《従位接続詞の一覧表》のC-5。「Although S1 V1,S2 V2 .」という構造であればわかりやすいのだが、この文では、V1を修飾する副詞節のwhen節があるので、when節の終点までがalthough節。主節は、weがS、sayがV、that節がO。

 

【9.4.3】

<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 和訳参照
・allという語は、「すべての」という意味の形容詞として、「all+名詞」という形で用いられる場合のみならず、「すべて(のもの/こと/人)」 という名詞としての用法も常に考慮に入れなくてはならない。
・All Iの部分を「すべての私」と解することはできないので、All I wantの部分を「名詞+SV」だと判断する。そしてその後ろのsayに目的語が存在しないのを確認し、関係代名詞のthatが省略されていることを見抜く。Allからsayまでは、次のペアに戻る。

  ① all
② I want people to say all.

  ②の文は、第5文型パターン③で、CであるtoV句の中のsayのOが、①の名詞。②を①に対する形容詞節にして、これを①の後ろに置いたものが、  

   all that I want people to say
(私が人に言ってもらいたい全てのこと)

  であり、ここからthatを省略したものが、本文のallからsayまでである。なお、この文全体の訳は、「私が人に言ってもらいたい全てのことは、私が最善を尽くしているということだ」だが、伊藤先生はここから少し工夫をして、「全て」をカットし、代わりに「だけ」という言葉を置いている。確認せよ。

 

【9.4.4】

<設問>
Q1[全文] この文には関係代名詞が2つ省略されている。どの語の後ろに省略されているかを答えよ。そして、そのうちの2つ目に関して、関係代名詞を補ったうえで、先行詞と関係代名詞節を、①、②の関係に戻せ。その際には1語補うこと。

 Q2[L2] until節はどこを修飾するか。
・2行目のpresent A with Bは、「AにBを与える」という意味である。

 

 <解答・解説>
Q1 最初のthingsの後ろと、2つ目のthingsの後ろ

   ① things
② We do not know that we want things.   
※補った語はthat。

・1行目のthings we wantの部分が「名詞+SV」。wantのOが欠けているので、thingsの後ろに関係代名詞thatを補って理解する。
・同じ1行目の後半、things we do not knowの部分も、「名詞+SV」だ。thingsの後ろにthatが省略されている。なお、knowの後ろにwe wantというSVがあるので、knowの直後には、≪従位接続詞の一覧表≫のA-0のthatが省略されているとわかる。
・上のペアにおいて、②を①に対する形容詞節にするには、②のthingsを関係代名詞のthatにして、これを文頭に出す。knowの直後の従位接続詞thatは消去する。
・この結果、完成するのが、以下。

   things that we do not know we want
(我々が、自分たちが望んでいると知らないもの)

  そして、この表現から関係代名詞のthatを省略したのが、本文の1行目にある2つ目のthings以下である。

 Q2 know
・untilは《従位接続詞の一覧表》のC-5なので、動詞修飾語としてはたらく。よって、被修飾語の候補は、wantかknowだ。意味から決めるしかない。「与えられるまでわからない」と考えるのが意味上、適切。別の言い方をすれば、「与えられてはじめてわかる」のである。伊藤先生の訳でも、「do not know … until SV」を、「SVまで~わからない」とせずに、「SVしてはじめてわかる」という訳にしている。

 

【9.4.5】

<設問>
Q1[L1]  the womanからtoまでを①、②の関係にせよ。
Q2[L1]  when節はどの語を修飾するか。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the woman
② You were talking to the woman.

Q2 talking
・ゆえに、youから始まる形容詞節の終点は文末である。

 

【9.4.6】

<設問>
Q1[全文] 文中で省略されている関係代名詞を補い、「先行詞+関係代名詞節」を、①、②の関係に戻すとどうなるか。

 Q2[L2] without句はどこを修飾するか。
・flower-decked locksは、「花に覆われた水門」。

 

 <解答・解説>
Q1 ① the fairyland(おとぎの国)
② It is the fairyland.(テムズ川はおとぎの国である)
・①の文が②の中でSVCのCである。この例は、「英語の基本」p.204で既習。
・the fairyland it isの部分が「名詞+SV」で、しかも動詞がbe動詞なので、SVCのCとしてはたらく関係代名詞が省略されているとわかる。
・このペアのCであるthe fairylandをthatに換えて文頭に移動させたものが

  that it is

 であり、これを①の後ろに置いたものが、本文の、the fairyland it isの部分。
・この部分の訳は、「テムズ川がそうであるおとぎの国」だが、この例のうに、関係代名詞自体がCとしてはたらいている場合は、be動詞が現在形であれば、be動詞に「現在」「現実」、過去形であれば「過去」という意味が存在することが多い。
・事実、「英語の基本」p.216の文(He is not the fool that he was before.)においても、isとwasが、「現在」と「過去」という対比の関係にある。よって、この文でもisを「現在」と訳出しよう。文頭からisまでの訳は、「テムズ側は、それが現在そうであるようなおとぎの国ではない」となる。文末のwithout句 は、「~なしでは」という意味なので、述語のwould not beの部分(中心はbe)を修飾する。よって、文全体の訳は、「花に覆われた水門がなかったら、テムズ川は、現在そうであるようなおとぎの国ではなくなるだろう」となる。「そうであるような」はカットしたほうが自然になるので切ろう。その結果、伊藤先生の訳と同じになる。

 Q2 be

 

【9.4.7】

<設問>
Q1[L1] pleasures there areの部分を①、②の関係に戻すとどうなるか。
Q2[L1] 1行目を訳せ。
Q3[L2] and yetを訳せ。

 

 <解答・解説>
Q1 ① pleasures
② There are pleasures.
・このようなペアは「英語の基本」p.203で既習。
・上のペアの②の文のpleasuresをthatに換えて文頭に出したものが

  that there are

 であり、これを①の後ろに置いたものが

  pleasures that there are

 である。そしてここからthatを省略したのが、本文のpleasures there areの部分だ。この関係代名詞も省略が可能。イントロダクションで述べた通り。
・この部分の訳は、「存在する喜び」。すると文頭のReallyからareまでの訳は、 「本当に楽しい会話は、存在する最大の喜びの1つである」となるが、これではやや不自然なので、伊藤先生は「存在する最大の喜び」を「この世の最大の喜び」としている。

 Q3 しかし
・「等位接続詞+従位接続副詞」。「英語の基本」p.147にある。
・その後ろのhow以下は、「副詞の程度を強調する感嘆文」。

 

【9.4.8】

<設問>
Q1[L1] ofは(      )のofである。
Q2[L1] the orderから文末までを①、②の関係に戻すとどうなるか。この際には1語補うこと。
Q3[L2] of most helpを2語で書き換えよ。
・3行目のworkは「労働」という意味ではなく「作品」。

 

 <解答・解説>
Q1 同格
・COMPLETEのp.338参照。

 Q2 ① the order(順序)
② He thinks that the order will be of most help to those who use his work.(彼はその順序が、彼の作品を使う人にとって最も有用であるだろうと考える)
・①の名詞は、②において、that節の中にあり、Sとしてはたらく。②を形容詞節にするには、②のthe orderをthatに換えて文頭に出す。thinksの直後のthatは省略する(この手順についてはイントロダクションで述べた)。

    that he thinks will be of most help to those who use his work

 であり、これを①の後ろに置いたものが

  the order that he thinks will be of most help to those who use his work

 である。そしてここから関係代名詞のthatを省略したものが(この関係代名詞は主格だが省略可能。イントロダクションで既習)、本文のthe orderから文末までの部分。訳は「彼が、自分の作品を使う人にとって最も役立つだろうと考える順序」となる。

 Q3 most helpful    
・of most helpのhelpは「手助け」という意味の名詞であり、ofが名詞のhelpを形容詞化している。

 

【9.4.9】

<設問>
Q1[L1] timeの後ろにはthatが省略されているが、これは関係代名詞か関係副詞か。

 

 <解答・解説>
Q1 関係副詞
・time we heardの部分が「名詞+SV」。timeの後ろにthatが省略されている。hear or readにはsomethingというOがある。そしてsomethingは主格のwhich節によって修飾されている。Oの欠けはない。よって、省略されているものは、関係副詞のthatだということになる。timeの後ろの関係副詞の省略は「COMPLETE」p.326で既習。

 

【9.4.10】

<設問>
Q1[L1] reasonとIの間に省略されているのは関係代名詞か関係副詞か。

 

 <解答・解説>
Q1 関係副詞
・reason I don't wantの部分が「名詞+SV」。reasonの後ろにthatが省略されている。SVの後ろにはOの欠けがない。よって、修飾されているのは関係副詞のthatだということになる。reasonの後ろの関係副詞の省略は「COMPLETE」p.327で既習。
・なお、reasonはwhyによっても修飾されるので(上巻p.235参照)、省略されているものはwhyだと考える立場もあるが(本文の解説から、伊藤先生もその立場だということがわかる)、本講座では、関係代名詞も関係副詞も、省略されるのは、原則としてthatだという考えを採用する。

 

 

【9.4.11】

<設問>
Q1[L1] wayとyouの間に省略されているthatは関係代名詞か関係副詞か。
Q2[L2] wayとyouの間に省略されているthatは関係代名詞か関係副詞か。
・you look to othersは、「あなたが他人を見る」ではなく「あなたが他人の目に映る」。「あなたが他人を見る」はYou look at others.である。look という動詞は、受動態でなくてもSが見る側であることがあるのだ。ちなみに、He looks happy.というように、lookの後ろに形容詞が置かれた文では、Sは見られる側。「彼は(他人から見て)幸せに見える」という意味である。
・1行目のbe apt toは、「英語の基本」p.345のリストにある。実質的には助動詞として処理できる。リストの前にある解説部分を復習すること。

 

 <解答・解説>
Q1 関係副詞

 Q2 関係副詞
・way you lookの部分が「名詞+SV」。wayの後ろにthatが省略されている。いずれも、後ろにOの欠けがないので、省略されているのは関係副詞のthat。
・伊藤先生の解説部分では、the way howという連なりが、もはやほとんど存在しないということが述べられているが、これについては「英語の基本」p.230の「参考」の①で詳述してある。
・伊藤先生はnearer the truthの部分について、「nearerは形容詞であるが、the truthを目的語にとっている」と述べているが、形容詞と考えるのではなく、このnearerは、「~により近い」という意味の前置詞だと考えることも可能だ。こうすれば、後ろに目的語を取ることの説明がつく(nearer the truthはC)。ただ、この考えの場合は「前置詞が比較級を持つのか」という問題に直面することになるが、「nearは例外的に持つ」と考えればいいだろう。

 

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Chapter10 修飾語の位置(1)

① H ... (句) ... M

[イントロダクション]

まずは次の表現を見てください。
A 革のサイフ                              
この表現は、「名詞+助詞+名詞」だが、「修飾語(革の)+被修飾語(サイフ)」という関係にあります。
次に、以下を見てください。      

B ワニの革のサイフ   

先頭に加わった「ワニの」は、直後にある「革」を修飾します。
ところが、同じ「名詞+の」が加わった表現でも、次のものは文法関係が異なります。。

   C タケシの革のサイフ

 これは、「タケシの所有物である、革のサイフ」という意味であり、「タケシの」は、「革の」を飛び越えて「サイフ」を修飾します。
このように、同じ「名詞1 助詞1 名詞2 助詞2 名詞3」という連なりでありながら、文法関係が異なります。
そして、この違いは、意味から判断するしかありません。我々には、「ワニは、その革から工業製品が作られる生きものだ」という知識があります。ゆえに「ワニの」と「革のサイフ」を見た時に、「ワニの」が「革」に対する修飾語だと判断します。
一方、「人間の革から財布を作るということなど、まずありえない」ということと、「人間は、財布を所有する主体でありえる」という知識が我々にはあるからこそ、Cを見て、「タケシの」が「サイフ」に対する修飾語だと判断できます。
同じ「判別」でも、たとえば「目的格の関係代名詞のthatか、同格のthatか」という問題などは、「Oが欠けているか否か」という、形の面から判断できます。仮に文の意味わかっていなくても、機械的に処理できるのです。
ところが、上のような判別は、意味の面から行うしかありません。この点において、同じ判別でも、難しさが異なるのです。
さて、英語においては「後ろからの修飾」があります。よって、

   A+B+X(修飾語)

  という連なりがあり、Xが文法上、AをもBをも修飾できるものである場合は、どちらを修飾しているかどうかを、意味を中心に判断することになります。
以上をふまえたうえで、「解釈教室」p.187と、p.188の上の11行を読んでください。

 

【10.1.1】

<設問>
Q1[全体] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] 形容詞fullの要素はCか、それとも名詞修飾語か。名詞修飾語なら、どこを修飾するか。

 

 <解答・解説>
Q1 第2文型
・A babyがS、isがV、like an explorerがC。in a new worldは、「世界の中における探検家」という意味で、explorerに対する修飾語と考えることもできるが、伊藤先生は「世界の中において、探検家である」と考え、動詞isを修飾するものととらえている。

 Q2 explorer
・worldの後ろには形容詞fullがある。このfullは、前置詞句のof句によって修飾されている。名詞の後ろに「形容詞+修飾語」が存在する例は、「英語の基本」p.367にある。 
ただ、そこにある例は、「形容詞からはじまるひとまとまり」が直前の名詞を修飾するものばかりだった。ところが、本文においては、full以下をworldに対する修飾語だと考えるのは、意味上、不自然。「世界くんが、好奇心に満ちている」ということになってしまう。full以下は、in a new worldを飛び越えて、exploreを修飾する。
なお、この文に関しては、伊藤先生の解説を読むと、むしろ混乱しがちなので流してよい。

 

【10.1.2】

<はじめに>
まずは、例文の上にある7行の解説を読んでください。なお、この解説部分の「H」は被修飾語を指し、「M」は修飾語を指します。

 

 <設問>
Q1[L1] in the storyはどこを修飾するか。
Q2[L2] reported句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。また修飾語なら、どの語を修飾するか。  
Q3[L2] about句どこを修飾するか。

 

 <解答・解説>
Q1 recognized

Q2 B-3  story
・something of themselvesの部分が少し意味が取りにくかったかもしれない。このof は、aboutの意味だと判断する。すると「自分に関する何か」となり、recognized something of themselvesは、「自分に関する何らかのものを認識する→ある程度、自分に関係のあるものを認識する」となる。伊藤先生は、さらにこなれた訳にしてある。

 Q3 story
・about句は、文法上はdayを修飾しうるのだが、こう考えると意味のうえで違和感が生じる。前方のstoryを修飾するのだと考えを改める。
・なお、aboutの後ろにカンマは、「ここでreported句のまとまりは終わりますよ。次から始まる前置詞句は、このまとまりと関連するものではありませんよ」という合図。カンマにはこのように、その前後が文法上の関連を持たないということを示す用法があるのだ。

 

【10.1.3】

<設問>
Q1[L1] failureの意味は何か。
Q2[L1] asの品詞と意味は何か。
Q3[L1] to bring句の終点はどこか。
Q4[L1] to bring句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q5[L2] showing句内部の文型は何か。

 

 <レクチャー>
Q1 不履行、~できないこと
・failureには「失敗」という意味のみならず、 「不履行、~できないこと」という意味がある。toV句によって修飾された場合は、通常、この意味になる。つまり、failure to Vで、「Vの不履行」「Vできないこと」という訳になるのだ。このtoV句は、もちろん、《準動詞句の一覧表》のB-1の同格。「COMPLETE」p.171参照。

 Q2 前置詞  ~の時
・前置詞のasは、「~として、~としての」という意味が基本だが、「~の時、~の時の」という意味もある。この文のasは、「~の時の」という意味で、failure as a boyは、「少年時代の不履行」となる。

 Q3 was
・to my parentsも、by+showing句も、to bringを修飾する。よってto bring句は、文の終わりまで。   

 Q4 B-1(同格)

 Q5 第4文型
・showingがV、themがO1、how節がO2。
・本文を、文法構造に忠実に訳すと、「私はどんなに嬉しいかを両親に見せることによって、親に対して喜びをもらすことの、少年時代の不履行を悔やむ」となるが、これでは不自然なので、伊藤先生の訳のようにする。

 

【10.1.4】

<設問>
Q1[L1] to develop句の要素を答えよ。
Q2[L1] to develop句の終点の単語は何か。
Q3[L1] among句はどこを修飾するか。
Q4[L2] based句はどこを修飾するか。
・basedは、本来は動詞baseの過去分詞形だが、次のような型で用いられている場合は、もはや形容詞だと考えよ。
Ⅹ is based on Y.(Xの基礎はYにある/XはYに基づいている)

 

 <解答・解説>
Q1 C
・文全体はSVC。

 Q2 duties
・toV句の内側の構造を示す。

 

to develop(V) friendly(名修) relations(O ) among all nations (名修) based on ~(名修)

・among all nationsも、based句もrelationsを修飾する。relationsはto developのOなので、based句の終点のdutiesが、同時に、to develop句の終点。

 Q3 relations(to developでも間違いではない)
・伊藤先生はto developに対する修飾として解釈しているが、relationsのほうがいいだろう。

 Q4 relations
basedからはじまるまとまりは、「形容詞からはじまる名詞修飾語のまとまり」であり(「英語の基本」p.367参照)、直前にthat/which isを補える。先行詞をnationsと考えると意味上、不自然なので、relationsだと考える。

 

【10.1.5】

<設問>
Q1[L1] interestsの意味は何か。
Q2[L1] in our present civilizationはどこを修飾するか。
Q3[L2] betweenは、しばしば、「between A and B」(AとBの間で/間の)という型で用いられる。この文では、A、Bに当たるものはそれぞれ何か。

 <解答・解説>
Q1 利害・利益

 Q2 is
・of interestsはconflictを修飾し、in our present civilizationはisを修飾する。「there  be動詞  名詞」の型の文は、文末にbe動詞に対する修飾語が存在するのが普通。
例:There are three cats on the car. 
※on the carがareを修飾。

 Q3  A:prosperous and employing classes of people
B:the employed mass
・prosperousとemployingの間にandがあるので、一見すると、これが「between A and B」のAとBに対応するものであるかのように思われるが、そうすると、3行目のandの存在の説明がつかない。Aにあたるものがprosperous and employing classes of peopleの全体で、Bにあたるものがthe employed massなのだ。
・なお、prosperous and employing classes of peopleは、「A of B」という表現だが 、「BのA」とは訳さずに、「AのB」と訳したほうが自然になる。つまり、「富裕で使用する側の階級の人々」と訳す(伊藤先生はここから工夫している)。
・Aが数量やkindの場合のみならず(「英語の基本」p.77参照)、このようにclassの場合においても、このような訳し方がありうるのだ。
・本文の、冒頭のis以降は、次のような関係にある。     

   動詞[is]  名詞[conflict]  前置詞句1[of句]  前置詞句2[in句]  前置詞句3[between句]

 前置詞句1は名詞を修飾し、前置詞句2は名詞を飛び越えて動詞を修飾し、前置詞句3は前置詞句1と前置詞句2を飛び越えて名詞を修飾している。修飾関係が交差し、入り乱れているのを確実に見極めなくてはならない。

 

【10.1.6】

<はじめに>
・「英語の基本」「COMPLETE」で、名詞修飾語としてはたらく形容詞節を数多く見ましたが、いずれも先行詞と関係節は隣接していました。ところが、離れる場合もあります。まずは、「解釈教室」p.189の下部にある4行の解説を読んでください。

 

 <設問>
Q1[L1] to doは[準動詞の一覧表]のどれか。
Q2[L1] which節は≪従位接続詞の一覧表≫のA-1か、B-1か。
B-1なら先行詞は何か 。

 

 <解答・解説>
Q1 B-1(目的格)
・to doはdoのOがないまま終わっているので、B-1の形容詞的用法のうちの「目的格」。

 Q2 B-1  something
・例文の上にある解説部分の文は、先行詞と関係代名詞節の間に、前方の動詞を修飾する副詞bestが存在していたが、この例では、先行詞と関係代名詞節の間に存在するものは、名詞修飾語である。1つの名詞に対して、toV句と関係代名詞節の、2つの修飾語が存在している。

 

【10.1.7】

<設問>
Q1[L1] called句はどこを修飾するか。
Q2[L1] about句はどこを修飾するか。
Q3[L2] which節は[従位接続詞の一覧表]のA-1か、B-1か。B-1なら先行詞は何か 。

 

 <解答・解説>
Q1 mansion

Q2 mansion

Q3 B-1  mansion
・called句もabout句もwhich節も、mansionを修飾するが、1つのものに対して、 複数のものが修飾する場合、短いものほど、被修飾語に近い位置に置かれる傾向がある。ここでも、

   called句→3語
about句→5語
which節→7語

・ちなみに、これは日本語でも同じだ。次の2つでは、どちらが自然な表現に感じるだろうか。

   A 高価な富士山が描かれた絵
B 富士山が描かれた高価な絵

  Aだと、「高価な」と「絵」の関係が、幾分つかみにくくなる。短いほうの修飾語を、被修飾語に近づけたBの表現のほうが、自然であり、相手に理解してもらいやすい表現なのだ。
・ところで、この文のwhichの前にはカンマがあるが、これは、about句の終点を示し、同時に、「about句とwhich節は関わりを持たない。which節はabout句よりも、もっと前を修飾する」ということを示すためのものだ。【10.1.2】で知った用法のカンマなのだ。

 

【10.1.8】

<設問>
Q1[全体] この例文10.1.8を見つつ、次のカッコを埋めよ。

「A<名詞> 前置詞 B<名詞>」(前置詞+Bは、Aに対する修飾語)の後ろに関係代名詞節が存在する場合、関係代名詞節は、BまたはAを修飾する。ところが、Aが( 1 )やsortやtypeであり、前置詞が( 2 )の場合は、「A 前置詞 B」の全体をまとめてとらえて、これ全体を先行詞だと考えることができる。 

Q2[L2]what自体の要素は何か。       

 

 <解答・解説>
Q1  (1)kind   (2)of
・本文のwho節は、厳密にはkindを修飾するが、無理にthe kindとof peopleを分けることなく、the kind of people(この種の人々)の全体を先行詞だと考えたほうがしっくりくる。
・なお、「A of B」で、Aが数量やkind、あるいはsort,typeなどの場合は、「AのB」と、前から訳す。解説のところで伊藤先生はそのことについて述べておられる。「英語の基本」のp.77で述べたことだ。

 Q2 O
・I am always thinking of you.(私はいつもあなたのことを考えています)というように、think ofという表現が存在するので、本文においても、thinkとofをまとめてとらえてしまうかもしれない。ただ、そうすると、whatがどの要素にもならないということになってしまう。
・whatは[従位接続詞の一覧表]の1の列と2の列にある以上、S・C・O・前O、名詞修飾語のいずれかとしてはたらかなくてはならない。直後がyouなので、名詞修飾語の可能性はなく、SとしてはたらくyouがあるのでSでもなく、またCでもなく、Oの欠けた前置詞はないので、前Oでもない。
・すると、消去法でOだということになる。whatをOだと判断するのなら、Oが欠けた動詞がwhat節中に存在しなくてはならない。そのような動詞があるだろうか。
ある。thinkである。thinkは、think A of B(BについてAということを思う)という用法もあるのだ。ofはaboutの意味。具体例を示す。Aの部分を尋ねている文で示す。

   What do you think of me?
(君は僕についてどういうことを思うか→君は僕をどう思うか)

  そして、これが名詞節となったものが、次のものだ。

   what you think of me(君が僕をどう思っているのかということ)

  本文のwhat節も、これと同じ構造になっている。
・L2のyouは一般の人、themはthe Japaneseを指すので、what you think of themの直訳は「人が日本人をどう思っているのかということ」だが、「人」は「他人(ひと)」であり、日本人にとっての他人は外国人であるので、「外国人が日本人をどう思っているのかということ」と訳し、ここから「外国人からどう思われているのか」と変えたのが伊藤先生の訳である。

 

【10.1.9】

<設問>
Q1[L1] which節の先行詞は何か。

 <解答・解説>
Q1 strike
・strikeの後ろにof句が2つあり、その後ろに関係代名詞のwhich節がある。文法上は、strike、workers、industriesのいずれもが、先行詞でありえそうだ。そして、どれが先行詞なのかは、意味から決めるしかないと思うかもしれない。ところが実は、この文においては、形から判断できる。
・which節の動詞はparalysesだ。-sの付いた形になっている。workersとindustriesは複数形なので、これらが先行詞のはずはなく、自動的にstrikeが先行詞だと決まるのである。

 

【10.1.10】

<設問>
Q1[L1] forの品詞は何か。 
Q2[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるはどれでもないか。
Q3[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。

 

 <解答・解説>
Q1 等位接続詞
・2つのSVの間にあるので、forは接続詞。「英語の基本」p.144-p.145、「COMPLETE」p.84で既習。

 Q2 どれでもない
・形容詞のthatである。形容詞のthatは、通常は「あの」「その」という訳になるが、このthatは、直後の名詞について「この名詞は、後ろから関係代名詞節などによって修飾される」ということを示す機能もある。このようなthatは訳さない。この文でも、1行目のthatは「partは、関係代名詞節によって修飾される」と予告している。
・名詞がこのようなthatによって修飾されている場合は、関係代名詞節の先行詞が特定しやすくなる。本文では、that節の直前に名詞natureが存在するので、文法上は、この名詞が先行詞にもなりえるが、partが指示形容詞thatによって修飾されているがゆえに、先行詞はnatureではなくpartだとわかる。つまり、「欠点を超越した性質」ではなく、「欠点を超越した部分」だとわかるのだ。
・伊藤先生の解説部分では、先行詞が複数形の場合についても触れられていいる。じっくり読まれよ。
・なお、「参考」のところは、この用法のthatが極めて有効に用いられている文が挙げられている。ここも必ず目を通すこと。

 Q3 B―1
・主格の関係代名詞である。

 

【10.1.11】

<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。あるいはどれでもないか。
Q2[L2] for句はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 どれでもない
・thatはopportunityを受ける名詞のthat。繰り返しを避けるために、thatを用いているのだ。
・比較級の文だが、than以下が繰り上がっており、opportunityと、これを修飾するfor句が離れている。

 Q2 opportunity

 

【10.1.12】

<設問>
Q1[L2] that節は、ある語の言い換えになっている。その語は何か。
・なお、nothing butはonlyの意味。

 <解答・解説>
Q1 difference
・このChapter10では、ここまでずっと「被修飾語と修飾語の分離」を扱ってきたが、本文は、「主要語と同格語の分離」である。
この文は、例文3.3.4と関連させて理解する。3.3.4においては、thisという名詞があり、これがthat節によって具体的に言い換えられていた。
・この例文10.1.12では、this remarkable differenceとthatが同様の関係にある。ただ、differenceがbetween句によって修飾され、differenceとthat節が離れているので、そのぶんだけ3.3.4よりも読みにくいものとなっている。
・この文に関しては伊藤先生の解説は読まなくてよい。

 

② H ... (節) ... M

[イントロダクション]                     

まずは次の表現を見てください。

  高価な布で丹念に作られたサイフ

 この表現の「高価な」は、どこを修飾するでしょうか。
文法上は、「サイフ」を修飾すると考えることも不可能ではありません。ただ、そう考えるには、「布で丹念に作られた」があまりも長いといえます。短い「高価な」がここを飛び越えて「サイフ」を修飾すると考えるのは、かなりの無理があります。
ところが、  

  けっこう素敵な布で作られたサイフ

 となると、1つ目の修飾である「けっこう素敵な」がかなりの長さを持つので、「サイフ」を修飾する可能性が高まります。
なお、  

  けっこう素敵な、布で作られたサイフ

 というように、1つ目の修飾の最後に「、」が置かれると、「けっこう素敵な」と「布」の関係が断ち切られていると考えられ、「けっこう素敵な」が「サイフ」を修飾する可能性がいっそう高まります。
さて、英語の「後ろからの修飾」でもまったく同じことがあてはまります。このことが述べられているのが、「解釈教室」p.194の下半分です。ここに目を通してください。なお、文中のexclusive ofは、群前置詞で、「~を除いた」という意味です。

 

【10.2.1】
<設問>
Q1[L2] with句の終点はどの語か。
Q2[L2] with句はどこを修飾するか。
Q3[L3] andは何と何を結ぶか。中心となる1語ずつで答えよ。
Q4[L3] shortはどこを修飾するか。
・なお、この文はアメリカに関するものである。

 

 <解答・解説>
Q1 short
・前置詞withのOは、peopleとhistory。peopleはof句によって修飾されている。一方、historyはshortによって修飾されているが、shortはsoによって修飾されているので、「後ろから名詞を修飾する形容詞」(「英語の基本p.367参照)でありながら、 そのまとまりの始点は、形容詞はなく副詞なのである。このような例は、「英語の基本」p.397の「発展」で既習。
・なお、この文のwithの前のカンマは「with句は、Russiaを修飾するのではない」という合図である。イントロで述べた日本語の「、」と同じ機能を果たしている。

Q2 country

Q3 peopleとhistory

Q4 history

 

【10.2.2】

<はじめに>
まずは以下を見てください。

 

  …… X 修飾語1(節) 修飾語2
※「修飾語1」も「修飾語2」もにⅩを修飾する。

 

修飾語1が上のように節であれば、それなりに長くなります。このような場合に、修飾語2が短い場合は、修飾語1を飛び越えてXに対する修飾語となるのに不適切です。イントロで説明した通り、短いものが長い部分を飛び越えて修飾語になるのは、無理があるのです。
実際、このような場合、修飾語2の大半は節です。長いのです。ところが中には、節でないこともあり、この場合はかなり読みにくくなります。つまり、修飾語2がXを修飾するということが見抜きにくくなるのです。 
以上のことが述べられているのが、例文:10.2.2の上の4行の解説です。ここに目を通したうえで、例文10.2.2に入っていきましょう。

 

<設問>
Q1[L1] sensationとitの間には何が省略されているか。
Q2[L2] of句はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 that(関係代名詞)
・もちろん目的格のthat。giveのO2。

Q2 sensation
・of以下が、youを修飾すると考えるのは意味上、不適切なので、it gives youを飛び越えて、sensationを修飾するものだと考える。
・ちなみに、the sensation以下を、①、②の関係に戻すと、次のようになる。

 ① the sensation
② It gives you the sensation of freedom from all responsibility.

 ②の文中の①の名詞が関係代名詞となり前に出る際に、修飾語であるof以下を引き連れて出なかったのだ。ゆえにsensationとof以下が離れることとなった。

 

【10.2.3】

<はじめに>
まずは、次のものを見てください。

 

  ……  X  修飾語1(節)    修飾語2
※修飾語1はⅩより前の部分を修飾し、修飾語2はⅩを修飾する。

           
やはり修飾語2が、節である修飾語1を飛び越えて、Xを修飾します。但し、12.2.2とは異なり、修飾語1はXではなく、Xよりも前の部分を修飾します。このような例もあるのです。
この場合もやはり、修飾語2の大半は長い節です。長くない場合は、かなり読みにくくなります。

 

<設問>
Q1[L2] of句はどこを修飾するか。
Q2[L1] butから文末までを訳せ。
・in itself→「それ自体」。

 

<解答・解説>
Q1 glimpse
10.1.11と同様に、「than以下の繰り上がり」が起こっており、結果として、glimpseと、これを修飾するof句が離れている。than節は直前のglimpseではなく、その前のbetterを修飾する。

Q2 和訳参照
・glimpse of the real nature of human beingsの部分は、名詞構文。glimpseは、動詞もglimpseなので、動詞表現に戻すと、

  glimpse the real nature of human beings

 となる。これは、「人間の真の性質について垣間見る」という意味。 
・以上から、it以下の訳は、「それは、私に、人間の真の性質に対するよりよい垣間見を与えた」となるが、これでは不自然なので、伊藤先生は工夫して、「もっとよく知ることができた」とされている。名詞であるglimpseを、動詞として訳しているのだ。「名詞構文は、動詞表現に戻して訳してよい」という規則に従っている。

 

【10.2.4】
<設問>
Q1[L2] having句の終点はどこか。また、この句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] whetherは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L3] thatの先行詞はどの語か。
・that is (to say)→「すなわち」「換言すれば」
・by nature→「生まれつき、生来」
・do away with→「廃止する、捨てる、つぶす」

 

<解答・解説>
Q1 beautiful
・that is to sayの部分から新しい文が始まる。having句の後ろがVならこれがSだということになり、SVなら分詞構文だということになる。
・havingは、直後にbuiltという過去分詞形があるので、完了形がing句化したものだとわかる(「COMPLETE」p.231参照)。builtのOがsomethingで、その後ろにwhether節がある。whetherは≪従位接続詞の一覧表≫のAの列とCの例にあるので、whether節は、S・C・O・前Oか、動詞修飾語としてはたらく。builtの目的語はsomethingで満たされているので、whether節はOにはなりえない。また、SやCもありえず、前置詞もないので前Oにもなりえない。whether節は、動詞を修飾するということになる。builtを修飾するのだ。よってwhetherは、「AであれBであれ」という訳になる。ただ、この文では、A,B,Cの3つがあるので、「Aであれ、Bであれ、Cであれ」だ。    
・このCであるinstitutionの後ろに、that isから始まる関係代名詞節が登場する。「先行詞+カンマ+関係代名詞that」という連なりは英文法のルールには存在しないので、institutionが先行詞だということにはならない。whether節をすべて飛び越えて、somethingを先行詞と考えれば、意味上も自然だ。whether節がbuiltを修飾し、that節がsomethingを修飾するので、that節の終点であるbeautifulまでがhaving句に含まれる。
・that節の後ろに、they areというSVが存在するので、having句は分詞構文だとわかる。訳は「作りあげると」でいいだろう。伊藤先生は一歩進めて、「あと」という言葉で訳している。この文のhaving以下は、次のような構造だ。

 

 having built something, 修飾語1(whether節), 修飾語2(that節)
※修飾語1はbuiltを修飾し、修飾語2はsomethingを修飾する。

Q2 C-0

Q3 something

 

【10.2.5】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・関係代名詞の前にカンマがある。挿入の形だが、節の終点が文の終点なので、「両端がカンマ」ではなく、「カンマとピリオド」に挟まれた挿入。いわゆる文末挿入の形である。
・カンマがあっても関係代名詞節はあくまで名詞修飾語なので、訳し上げるのが基本である(「COMPLETE」p.323参照)。よって、「書物は、偉大な天才が人類に残す、世代から世代へ伝えられていく遺産である」としてよい。
・ただ、このような関係代名詞節は、カンマがあることを尊重して、いったんカンマの前までを訳し、その後に関係代名詞節を訳してもよい場合もあるのだった(「COMPLETE」p.323参照)。この文ではその訳し方でもまったく問題ない。伊藤先生はこちらを選んでいる。

 

【10.2.6】
<はじめに>
この問題の前には関係代名詞節による「二重限定」について説明されていますが、これはやや難しいかもしれませんので、こちらで説明します。
この話を理解するためにまず、「大半の修飾語は、被修飾語を限定する機能がある」ということを知ってください。たとえばcold waterという表現では、形容詞coldが名詞waterを修飾していますが、これはwaterを限定しているといえます。waterはいろいろな温度でありえますが、coldによって修飾されることにより、低い温度のwaterだけに限られます。このように、修飾することは限定することにつながるのです。
そのうえで、次の文を見てください。

  He owns a house that has ten rooms and that stands on a hill.

  これは「英語の基本」p.301にある文です。1つの先行詞houseに対して2つの関係代名詞節が修飾しています。2つの関係代名詞節はandで結ばれているので、「AでありBである~」と訳す。このような場合は、2つの関係代名詞節が、先行詞を一度で限定しているといえる。これについて日本語の例で説明しましょう。「大学生であり、運転免許を持っている男子」という表現では、全男子のうち「大学生である」という性質と、「運転免許を持っている」という性質の両方を備わった人に限定しています。限定している内容は2つですが、一度に同時に限定しているのです。
ところが、2つの修飾語がある表現でも、たとえば「僕が知っている中で、ピアノを弾ける男性」というものは事情が異なります。この表現では、まずは全男性のうち、僕が知っている人に限り、そのうえで今度はピアノを弾ける人に限っています。2回に分けて限定しているのです。このようなものを「二重限定」といいます。二重限定のイメージは、解釈教室p.197の大きな図でつかめます。2度にわたって絞り込んで、最終的には中央の小さな丸だけに限られるのです。
そして、英語において、関係代名詞節で二重限定を行う場合、関係代名詞節の間にandもカンマも置きません、逆に言えば「先行詞+関係代名詞節+関係代名詞節」という構造を見たら、二重限定だと判断し「…のうちで/中で―な~」と訳すのが原則なのです。

 

<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・関係代名詞節の「二重限定」が見抜けるかが勝負。

 

【10.2.7】
<設問>
Q1[全文]全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・これも二重限定。
・There seemの部分に違和感があったかもしれない。「COMPLETE」p.43で、第2文型のbe動詞の位置に一般動詞が置かれうるということを述べたが、「There be動詞 名詞」のbe動詞のところにも同様の一般動詞が入り込みうるのである。There is Ⅹ.が「Ⅹがある」という意味だが、There seems Ⅹ.となると「Ⅹがあるようだ」「Ⅹがあるように思われる」という意味となる。

 

【10.2.8】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
和訳参照
・これも二重限定。1つ目の関係代名詞が省略されている。  

 

【10.2.9】
<設問>
Q1[L1] thingの後ろには何が例されているか。
Q2[L1] doの品詞は何か。
Q3[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
・for the sake ofは「COMPLETE」p.53参照。

 

<解答・解説>
Q1 that(目的格の関係代名詞)

Q2 助動詞
・強調のための助動詞。「COMPLETE」p.51参照。

Q3 A-0
・that節はone thingの言い換え。ゆえに名詞節。「COMPLETE」p.334の「本来の同格」の一例だが、「名詞と名詞」ではなく「名詞と名詞節』だという点で、やや「応用パターン」だといえる。
・この文は例文10.1. 12に類似のものだが、10.1.12では、this remarkable differenceと、言い換えのthat節の間にあるものが前置詞句だった。この例では、one thingと、言い換えのthat 節の間に、関係代名詞節が存在するのである。

 

③ H[S]+V ... M

[イントロダクション]
10.2.9、10.1.12は、ある名詞の言い換え表現が、文末に存在する文でした。これらの文においては、名詞と言い換え表現が近い位置にありましたが、この2つが、かなり離れている場合もあります。また、被修飾語と修飾語においても、同様の位置関係が見られます。このような例をここでは見ていきます。

 
【10.3.1】
<設問>
Q1[L1] to follow句は、どの語の言い換えか。

 

<解答・解説>
Q1 that
・Sがthatであり、具体的な内容を持っていない。その言い換えであるto follow句が 、SVCまで言い終えた後に置かれている。
・本文の上に置かれている3行の解説を読むこと。
・neither A nor Bは、both A and Bの否定表現である。この文では、A、Bにあたるものが前置詞句。                

 

【10.3.2】
<設問>
Q1[L1]  Sであるpeopleの言い換え表現は、どこに存在するか。  
・A as well as B→「Bと同様にAも」。


<解答・解説>
Q1 educated以下の全て。
・SVOまで言い終えた後に、Sの同格語が置かれている。educated以下が、全てpeopleの同格語なのである。         



【10.3.3】
<設問>
Q1[L1] whenは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] to choose句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
・なお、この文は疑問だが、How much choice does anyone have …という形ではなく、hasが助動詞と同様に、Sの前にダイレクトに移動している。一般動詞であるが、haveは例外的にこのような用法がある。もちろん、上のようにdoesを用いる形のほうが標準的。

 

<解答・解説>
Q1 C-3
・疑問文の述語のhasを修飾する。  

Q2 B-1(関係副詞)
・timeを修飾する。主語に対する修飾語が文末に移動している。

 

【10.3.4】
<設問>
Q1[L2] 先頭のofから始まる句の終点はどこか。また、このof句はどの語を修飾するか。
Q2[L2] thoseを言い換えると何になるか。
Q3[L2] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 today     paper
・このofは、Oがthe levelだが、このlevelがof those(これは1行目のdaily paperを受ける。ただ、thoseは複数形なので、daily papersだということになる)によって修飾されていて、thoseはさらに主格の関係代名詞のthat節によって修飾されている。よって、2行目の先頭のof句の終点は、文の最後だということになる。
・これだけ長いof句がSを修飾する場合、修飾語を本来の位置に置くと、

  S + 長い修飾語 + V …

という構造となり、なかなかV以下が現れない。英語では文全体の型の把握に手間取る文を嫌う。よって、長い修飾語であるof句を、文末に移動させている。
・この後ろのof句をLondonに修飾させるのは、意味から不適切だとわかる。
・なお、level of thoseのところは「A of B」という構造だが、「BのA」ではなく「AのB」の順で訳されている。

Q2 papers

Q3 B―1(主格)

 

【10.3.5】
<はじめに>
・この例文の上にある4行の解説を読んだうえで、例文の読解に挑みましょう。

 

<設問>
Q1[L1] whichは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。仮にB-1なら、先行詞は何か。
Q2[L2] to influence every aspect of life句は、C(補語)であるか、Cでないか。

 

<解答・解説>
Q1 B-1   attitude
・a newから始まる文は、第1文型が進行形になった文。第1文型なのでwhich節がCやOになる可能性はない。また、当然、Sでもなく、直前に前置詞がないので、前置詞のOでもない。つまり、このwhichは≪従位接続詞の一覧表≫のA-1ではない。
・すると、whichはB-1の関係代名詞だということになる。whichの先行詞は「物事」でなくてはならないので、直前にあるpeopleは先行詞ではありえない。Sであるattitudeが先行詞なのだ。

Q2 Cではない
・which節の内部は、一見すると、whichがS、wasがV、to influenceがC、というように考えられるが、この考えだと、「態度は生活のあらゆる面に影響を及ぼすことだ」という訳になってしまい、意味不明だ。「S+be動詞+to不定詞」の連なりには、もう1つの解釈の可能性がある。「COMPLETE」p.221で扱った、「助動詞be+to不定詞形の動詞」である。意味は「カギ用意」の5つであり、この文は、「予定」「運命」あたりの意味だ。つまり、which以下は「その後、影響を及ぼすことになる」という意味。   
・なお、which節は、原則どおりに訳し上げてもかまわないが、which節の内容が、「その後のこと」なので、時間の流れに忠実に、peopleのところでいったん切り、which節を 訳し下すことも可能。伊藤先生が解説のところで「訳は無理に関係詞の中からはじめず、ひと工夫する」と述べているのは、要するに「which節は訳し下してもよい」こと。
・このように、関係詞節の前にカンマがなくても訳し下す場合もあるということを知ること。

 

【10.3.6】
<設問>
Q1[L1] to protect句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L3] which節の先行詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 C-1
・requireを修飾する。

Q2 clothes
・第2文は、Sにthoseが加わっている。文脈上、「それらの衣服」と読むのは不自然なので、10.1.10のところで述べた、that,thoseが持つ「関係詞の存在を予告するもの」ではないかと判断し、後ろに関係節が登場するのを待つ。clothesの直後には関係節はないが、文の最後にwhich節が登場し、意味のうえでも、これをclothesに対する修飾語だと判断して問題ない。

     

【10.3.7】
<設問>
Q1[L1] whenは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 B-1
・3行目のandより後ろの部分は、

  S 丸V 丸Ⅴ 動修 V when S 丸V V O .

 という構造。最初の2つの「丸V」は、法助動詞のwouldと、進行形の助動詞be。
さて、上のように、「文+when節」という構造を持つ文の大半は、when節が副詞節だ。つまり、例えば次のような文である。

  I met John when I was a child.
(私は子供の時に、ジョンに会った)

 ところが本文において、そのように解釈すると「写真が絵にとってかわる時、時が急速に近付きつつあるだろう」という訳になり、意味不明である。whenはC-3ではなく、B-3なのである。離れたところにあるSのtimeを修飾するのだ。

 

【10.3.8】
<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L1] that節の終点の語は何か。

 

<解答・解説>
Q1 B-1(同格)
・解説はQ2のところでまとめて行う。

Q2 men
・because節はrisingを修飾するので、文の終点が、that節の終点。that節の内側は完全な文だ。S・C・O・前Oの欠けはない。ということは、この、thatは関係代名詞ではないということになる。さて、この文の主節の主語はwarning(警告)だが、この語からは、「何がどうである?」という疑問が生じる。ということは、この語は意味の上では、同格のthat節によって修飾される名詞でありえる。そして実際に修飾される(辞書参照)。この文の同格のthat節は、内側にbecause節が含まれていて、非常に長くなっているので、Sから切り離され、文末に置かれているのだ。

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Chapter11 修飾語の位置(2)

① M+M ... H

[イントロダクション]
Chapter10は、名詞に対する修飾語を中心とした内容でしたが、このChapter11では、動詞に対する修飾語について検討します。
名詞に対する修飾のうち、前からの修飾(例えば、cold waterのcoldなど)については、それほど難しい問題は存在しなかったので、名詞修飾語に関しては、後ろからの修飾に限って話を進めました。しかし動詞に対する修飾語は、前からの場合も、後ろからの場合も、複雑な問題が存在します。よって、この章では、その両方について見ていくことになります。

 

【11.1.1】
<はじめに>
・まずは「解釈教室」p.204の下半分と、p.205の上の4行を読んでください。そのうえで、例文:11.1.1に入ります。

<設問>
Q1[L1] in句はどこを修飾するか。
Q2[L1] going句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 talked

Q2 C-2
・in句も、going句も、動詞talkedを修飾する。going句は分詞構文である。「参考」のところは目を通すこと。

 

【11.1.2】
<設問>
Q1[L1] during句の終点はどこか。
Q2[L2] on句はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 youth
・on句が、her youthを修飾するのなら、during句の終点は、occasionsになるが、on句は、visitedを修飾する。よって、during句の終点はyouthである。during句もon句も、visitedを修飾する。

Q2 visited
・「参考」のところにある文においては、先頭の前置詞から始まるまとまりは長くなる。at the footがvillageを修飾し、of the mountainがfootを修飾するので、mountainまでがin句の範囲である。
・なお、この文は「動詞修飾語+VS」の倒置である(「COMPLETE」p.319参照)。

 

【11.1.3】
<設問>
Q1[全文] この文のどこかに同格関係がある。どことどこか。

 

<解答・解説>
Q1 Hereとon the earth's surface
・副詞と前置詞句の同格関係。「COMPLETE」p.339で既習。
・伊藤先生の解説部分では、このようなものをどう訳すかが論じられている。目を通すこと。

 

【11.1.4】
<設問>
Q1[L1] if節はどこを修飾するか。
Q2[L1] in句はどこを修飾するか。
Q3[L2] fastの意味と品詞を答えよ。
Q4[L2] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。Yは2語である。
・L1のwere toを忘れていたら、「COMPLETE」p.260参照。

 

<解答・解説>
Q1 be

Q2 be

Q3 「しっかり」「かたく」  副詞

Q4 X:frost    Y:that/which is
・frostとterribleの部分は、「名詞+形容詞」。「英語の基本」p.367で扱った「名詞修飾としてはたらく形容詞からはじまるまとまり」の例。よって、frostの直後には、that/which isを補える。但し、この例では、形容詞terribleの前に、これを修飾するsoが存在しているので、「副詞から始まるまとまり」になっている。例は「英語の基本」p.397の「発展」で扱ってある。
・さて、terribleの後ろにはthatがあるので、このsoは、so ~ that構文のsoだとわかる。「英語の基本」p.292にある通り、so ~ that構文には二通り訳し方がある。それぞれの訳し方で、in a frost以下を訳してみよう。

  とても恐ろしく、全ての動物と植物が死滅してしまう氷に 
全ての動物と植物が死滅してしまうほどに恐ろしい氷に

 そして、これをwould be fast boundの部分、つまり、「かたく閉じこめられるだろう」につなぐ。ただ、伊藤先生の訳では、soの全部を無理に修飾語とはせずに、so terribleのみを修飾語として訳し(「おそろしい氷に」)、あとは訳し下している。文法上の関係を、そのままダイレクトに和訳に反映させなくていい場合も多い。「英語の基本」p.47でも述べたことだ。

 

【11.1.5】
<設問>
Q1[L1] for句はどこを修飾するか。
Q2[L2] whenever節はどこを修飾するか。
・wheneverは、≪従位接続詞の一覧表≫の後半にある。忘れかけていたら、必ず「英語の基本」か「COMPLETE」で復習すること。

 

<解答・解説>
Q1 gave

Q2 gave

 

【11.1.6】
Q1[L1] whatever自体の要素と、whatever節の要素は何か。
Q2[L1] whateverは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L1] unless節はどこを修飾するか。
・the learnedは「学識のある人」「学者」という意味。learned personsと書き換えられる。このlearned personsという表現におけるlearnedは、「名詞を修飾する過去分詞」だが、意味は受動ではない。完了の意味。つまり、persons who have learnedの意味。「名詞を修飾する過去分詞」が完了の意味を持つことについては、「英語の基本」pp.333-334を参照。
・この文のbusinessは、「関係する筋合い」「口出しする権利がある事柄」という意味。以下の表現を暗記せよ。

  That’s not your business.(それは君の知ったことではない)

 

<解答・解説>
Q1 whatever自体:O(sayのO)   whatever節:動詞修飾語
・「whatever節(動詞修飾語)+SV」の例は「英語の基本」でいくつも見たが、本文は「whatever節(動詞修飾語)+もう1つの副詞節+SV」という構造。なおunlessは≪従位接続詞の一覧表≫のC-5にある。

Q2 C―1´

Q3 is

 

【11.1.6 参考】
<はじめに>
【10.2.6】で、「大半の修飾語は、被修飾語を限定する機能がある」ということを述べましたが、修飾語の中には限定(制限)をしないものもあります。次の2つを見てください。

  1. ぼくが大好きな国
  2. ぼくが大好きなドラえもん

 

  いずれも、「僕が大好きな」は、直後の名詞に対する修飾語ですが、(1)は修飾語が「国」を限定、制限しています。いろいろある国のうち、一部に限られることになるからです。一方(2)は、「いろいろなドラえもんがいるけど、そのうちの僕の大好きなもの」という意味ではありません。ドラえもんは一人しかいないからです。(2)の修飾語には、被修飾語を限定、制限するはたらきがないのです。(1)のような修飾語を「制限用法」といい、(2)のような修飾語を「非制限用法」といいます。
非制限用法の例を他にも少し見ましょう。

  水道橋にある東京ドーム
アメリカの歴史を専攻した妻

 「東京ドーム」「妻」の前の部分が修飾語ですが、これらもやはり制限、限定するはたらきはありません。これらがなくても、東京ドームは1つであり、妻は1人だからです。
さて、日本語では、修飾語が制限用法であれ、非制限用法であれ、形のうえでの違いは、原則としてありません。つまり、修飾語は、被修飾語の前に置けばいいだけのことです。
ところが英語においては、被修飾語の後ろに置く修飾語が、非制限用法の関係詞節である場合は、関係詞節の前後にカンマを置くのが原則です(関係詞節で文が終わるのであれば、2つ目のカンマはピリオドになります)。
よって、「アメリカの歴史を専攻した妻は、しばしばアメリカに行く」という文を英訳すると、次のようになります。

   My wife, who majored in American history, often goes to America.

  関係代名詞節の両端にカンマがあることを確認してください。

 

<設問>
Q1[L1] when節は≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 B-1
・when節は、形の上では、seeを修飾するとも考えられるが、意味を考え、summerを修飾すると判断する。whenの前のカンマは非制限用法の目印。「エジプトにいろいろな種類の夏があるうち、洪水が引いた夏」という意味ではない。エジプトの夏は、洪水が引くという性質を持っているのだ。

 

② H+M

 

【11.2.1】
<設問>
Q1[L1] 以下のカッコを埋めよ。
downstairsとto the dining-roomは(  )関係にある。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 同格
・11.1.3で、「副詞と前置詞句の同格関係」を扱ったが、このdownstairsとto the dining-roomも、同じ。最初に「下に」と述べ、次に、これをto the dining-roomで具体的に説明している。

Q2 和訳参照
・伊藤先生は解説のところで、downstairs to the dining-roomも部分の訳し方について説明している。

 

【11.2.2】
<設問>
Q1[L1] returnedを修飾する句は、全部でいくつあるか。
Q2[L2] prettyの品詞は何か。 
・なお、disgustedは「うんざりして」「いやになって」という意味の形容詞。

 

<解答・解説>
Q1 3つ
・Q2でまとめて解説する。

Q2 副詞
・from the city → returnedを修飾
about three o'clock → returnedを修飾
on the May afternoon → three o'clockを修飾
・afternoonの後ろの部分だが、中心となる語は、形容詞のdisgustedだ。この形容詞は前からwell(十分に)によって修飾され、後ろから前置詞句with lifeによって修飾されている。wellは形容詞を修飾する語なので副詞である。そしてこの副詞wellをprettyが修飾している。副詞を修飾するものは副詞である。
・いずれにせよ、文末に、形容詞を中心としたまとまりがある。これは「英語の基本」p.369で扱った表現が、文頭ではなく文末に置かれた形だ。つまり、disgustedを中心とした句は、動詞returnedを修飾するのだ。但し、「英語の基本」p.369の例とは異なり、形容詞が前から「副詞+副詞」によって修飾されているので、「形容詞から始まるまとまり」ではなく、「副詞からはじまるまとまり」になっている。類例は「英語の基本」p.397の「発展」のところにある。赤ちゃんの文と、その下の文だ。
・なお、pretty well disgustedを「かなり十分にいやになって」とするのは、やや不自然なので、伊藤先生は「かなり」をカットしている。
・ちなみに、伊藤先生はdisgustedをあくまでも過去分詞形ととらえている。ただ、こう考えても、beingが省略された分詞構文だということになるので(「英語の基本」p.340参照)、やはりdisgustedを中心としたまとまりがreturnedを修飾することには変わりない。
・結局のところ、returnを修飾する句は3つなのだ。

 

【11.2.3】
<設問>
Q1[L1] careに対する修飾語は全部でいくつあるか。
Q2[L2] groping after truthを動詞表現に戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 3つ
・動詞careは、「~を気にかける」という意味だが、文法上は自動詞であり、直後に名詞を置くことはできない。care for ~という形で用いる。for ~は、文法上は、動詞careに対する修飾語である「arrive at ~」や「listen to ~」において、「at ~」「to ~」が、文法上は、arrive, listenを修飾するのと同じ。
・この文では、careとforの間に、careを修飾するlittleが入り込んでいるので、少し読みにくいかもしれない。このような他動詞的な自動詞と前置詞の間に、動詞を修飾する副詞が入る例は、よく見られる形だ。類例を挙げておく。  

  Tom looked straight at me.(トムはまっすぐ僕を見た)
Listened carefully to the song.(その歌を注意深く聴きなさい)

・文末のin句も、caresを修飾するので、caresに対する修飾語は全部で3つだということになる。

Q2 grope after truth
・gropeも2項動詞で、やはり、前置詞が必要(つまり自動詞)。このような動詞を名詞構文にする際には、ofを用いる必要はない。存在する前置詞(この場合はafter)をそのまま利用する。他の例も挙げる。

  arrive at Yokohama → arrival at Yokohama
object to the plan → objection to the plan

・なお、動詞gropeは、そのままの形の名詞が存在するのだが、ing形を用いて名詞化している。こうすることにより、名詞化したことがはっきりする。

 

【11.2.4】
<はじめに>             
・10.2.1のところで、短い修飾語が、長い部分を飛び越えたうえで修飾語として機能するのは極めて困難だということを述べました。まずはこの話を思い出してください(忘れていたら読み返してください)。  
・そして、同じことが動詞においてもあてはまります。このことが、「解釈教室」p.211 の上半分で説明されています。ここを読んでください。
・なお、2番目に示されている英文の斜体部分は、what節を飛び越えてwriteを修飾します。最後の2行では「wishedに対する修飾語だと判断すると、誤った和訳になる」ということが述べられています。

 

<設問>
Q1[L1] in句はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 had
・in句は、主格の関係代名詞thatが形成する節(parsimoniousまで)を飛び越えて、動詞hadを修飾すると考えるのが意味上、最も自然です。

  

【11.2.5】
<設問>
Q1[L1] to realize句の終点はどこか。また、この句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L3] farの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 reflect  C―1
・have only to V(あるいはonly have to V)は、「Vしさえすればよい」という意味。これをふまえたうえで、まずは伊藤先生の解説を読むこと。
・解説の通り、toV句は、that節を飛び越えて動詞reflectを修飾するのである。≪準動詞句の一覧表≫のC-1だ。that節の最後の単語であるunknownの後ろにカンマがあり、「ここでthat節は終わる。その後ろのtoV句は、これの内側とは関係は持たない」ということが示されている。「関係を断ち切るカンマ」は、名詞修飾語に関する章であるChapter10で言及したが、このように、動詞修飾語の前にも置かれるのだ。

Q2 副詞
・realizeのOがhow節で、文末のin modern timesは、national lifeを修飾するので、how節の終点は文末。farは副詞で、changeを修飾する。距離の遠さではなく、程度の多さを表している。

 

【11.2.6】
<設問>
Q1[L1] until節はどこを修飾するか。
・in general→「人一般」「一般の人々」

 

<解答・解説>
Q1 appreciate
・文法上はhasを修飾する可能性もあるが、意味上、それは不可。until節、what節を飛び越えてappreciateを修飾する。
・depriveは3項動詞で、X deprive A of B.(XがAからBを奪う)という形で用いる。これを受動態にすると、A is deprived of B (by X). となり、deprivedとof句が隣接することになる。

 

【11.2.6 参考】
<設問>
Q1[L1] whenever節はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 plays
・文末の節が、その前の節を飛び越えない例。whenever節が、which節の中のVであるplaysを修飾する。

 

【11.2.7】
<設問>
Q1[L1] justはどこを修飾するか。
Q2[L1] 1つ目のasの品詞と訳は何か。   
Q3[L1] areの後ろに1語を補え。
Q4[L1] as long as節はどこを修飾するか。
・as long asは≪従位接続詞の一覧表≫のC-5。「COMPLETE」p.136参照。

 

<解答・解説>
Q1 as節
・「従属節に対する修飾語」。「COMPLETE」p.307参照。

Q2 従位接続詞   ように

Q3 breathing

Q4 breathing
・as long as節のSはtheyだ。これはplantsを指す。ということは、この節は、breathingを修飾すると考えるべきだ。つまり、「生きている間は、植物は呼吸をしている」と理解するのである。
・as long as節がbreathingを修飾するということは、as節の終点はwe areまでだということになる。as long as節は、as we areを飛び越えて、 breathingを修飾するのである。

 

【11.2.7 参考】
<設問>
Q1[L1] as節の終点はどの語か。
Q2[L2] that of thoseの、thatとthoseは何を指すか。
Q3[L3] because節はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 different
・Q3でまとめて解説する。

Q2 that → the character    those → people

Q3 differs
・because節は、意味から、as節の内側のdiffersを修飾すると判断する。ゆえに、as節の終点は、文の終点のdifferentなのである。「because節がas節を飛び越えて冒頭のvaryを修飾する」という構造ではない。

 

③ M+H(句・節・文)

 

[イントロダクション]
ここでは、句に対する修飾語、節に対する修飾語など、ここまでに扱わ なかった種類の修飾語を見ていきます。

 

【11.3.1】
<はじめに>
11.3.1と11.3.2では、「英語の基本」「COMPLETE」で扱っていない修飾のパターンを知ることにします。まずは「英語の基本」p.394-396を読んでください。
p.396の下で述べた通り、toV句において、動詞に対する修飾語を前方に置く場合は、toとVの間に置くのが基本であり、toの前に飛び出すのは、notとneverだけでした。例は「英語の基本」p.399にあります。例文の最初の3つです。
ところが、not,never以外にも、前からtoVを修飾することがあるのです。
以上をふまえたうえで11.3.1に入ります。

<設問>
Q1[L1] more intelligentlyはどこを修飾するか。
Q2[L2] 第2文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 to begin
・more intelligentlyを、前方の動詞isに対する修飾語として解釈することは、意味上、不自然である。to beginを修飾すると考える。
・仮に、intelligentlyが比較級でないのなら、to intelligently beginとなるのが自然だが、2語の比較級の場合は、toの前に飛び出すのだ。toとVの間に2語以上のものが置かれることはまずないと考えること。分離不定詞という形は、1語の副詞によるものなのだ。

Q2 和訳参照
・第2文のin句は、isを修飾する。「誠実な失敗においては、恥はない」を出発点に、伊藤先生のように訳す。

 

【11.3.2】
<設問>
Q1[L1] to ask句の内側の文型は何か。 
Q2[L1] with meはどこを修飾するか。
・should like to V→「Vしたい」

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン③
・to askがV、youがO、with meが動詞修飾語、to make句がC。Askは「COMPLETE」p.192のリストにある。

Q2 to make
・with meがaskを修飾するか、それともto makeを修飾するかという問題に直面するが、この文の修飾語はIなので、askの主体はIだ。仮にwith meを、askに対する修飾語だと考えると、「私は、私とともにお願いする」ということになる。これはおかしいので、with meはto makeに対する修飾語だと判断する。
・with meを、to make句の最後部に置いて、to make a quick survey of the problem with meとするのも可能だが、こうすると逆に、with meがproblemを修飾すると解釈されてしまう可能性が高まる。これを避けるために、to makeの前に置いているのだ。
・survey of the problemの部分は名詞構文。動詞表現に戻すとsurvey the problemとなる。surveyは動詞も名詞も同じ形である。
・「解釈教室」p.216の上部の「参考」のところでは、分離不定詞について述べられている。
*        *        *
11.3.1と、この11.3.2は、「2語による、前からのtoVの修飾」の例だったが、このようなものは、例外的なものだと考えること。toV句の前に、動詞修飾語としてはたらく句がある場合、この句は、それよりも前にある動詞を修飾するのが原則なのである(11.3.2の前にある文の、with himがその例)。

 

【11.3.3】
<設問>
Q1[L1] writingの意味は何か。
Q2[L1] simplyはどこを修飾するか。 

 

<解答・解説>
Q1 書いたもの、文
・動詞がing形となり、名詞化したものは、swimming,running,fishingなど、たくさんある。注意しなくてはならないのは、この場合の意味である。もちろん「~すること」というのが基本の意味だが、「~することの結果生まれるもの」という意味を持つものも少なくない。たとえばpaintingには「描くこと」という意味もあれば、「描いた結果生まれるもの」(つまり「絵」)という意味もある。
・この文のwritingはbadによって修飾されている。「悪い書くこと」は意味不明だ。このwritingの意味は「書くこと」ではなく、「書いた結果生まれるもの」、つまり「文」という意味なのだ。
・なお、この話はing形の名詞のみならず、動詞からの派生名詞の多くにも当てはまる。(例:invention→「(1) 発明すること (2) 発明品」)。

Q2 from句
・前置詞句に対する修飾語。「COMPLETE」p.305で既習。

 

 
【11.3.4】
<設問>
Q1[L1] asの品詞と意味は何か。
Q2[L1] goldから始まる文の文型は何か。
Q3[L2] centuriesの要素を答えよ。
Q4[L1] beforeからはじまるまとまりの終点はどこか。
Q5[L1] beforeからはじまるまとまりの要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 前置詞   ~として
・asの後ろにはSVではなく、名詞のみが存在する。よってasは、従位接続詞ではなく、前置詞だとわかる。

Q2 第2文型
・前置詞句のin useがCである第2文型の文。

Q3 前置詞句に対する修飾語(その前置詞句は動詞修飾語としてはたらくものである。つまり、副詞句なので「副詞修飾語」も正解)。
・centuriesはbefore句を修飾する。centuries before ~で、「~の何世紀も前から」という意味になる。

Q4 coins
・前置詞beforeのOはthe timeだが、その後ろにtimeを修飾するof Croesusがあり、その後ろにCroesusを修飾するwho節がある。このwho節の終点が、同時にbefore句の終点。
・whoの前のカンマは、もちろん非制限用法の目印。このwho節は「いろいろいるクロイソスのうち、最初の貨幣を作った人」という意味ではないのです。「僕の大好きなドラえもん」と同じ、制限しない修飾語である。

Q5 動詞修飾語
・wasを修飾する。
・この文の全体を、構造に忠実に訳すと、次のようになる。

  交換の手段として、金は、知られている中で最古の貨幣を紀元前6世
紀に鋳造したクロイソスの時代の何世紀も前から、使われていた。

 伊藤先生の訳は、これとは異なる。本来は名詞修飾語であるwho節を
「~だが」という言葉を添えたうえで、文頭に置くなど、かなりの改変
を加えている。ただ、上の訳で十分。

 

【11.3.5】
<設問>
Q1[L1] over thereはどこを修飾するか。
Q2[L1] very muchはどこを修飾するか。
Q3[L1] 文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 house
・「英語の基本」p.65に、thereが後ろから名詞を修飾する例があるが、over thereにも同様の用法がある、というより、その部分に関しては、次のようにとらえなおすこと(以下の内容は、p.65に書き加えよ)。

   時や場所に関する動詞修飾語は、1語であれ、2語以上であれ、
名詞修飾語としてもはたらくことができる。この場合は、名詞を
後ろから修飾する。
1語の例→上巻p.65
2語以上の例→the meeting last night(昨晩の会議)
people all over the world(世界中の人々)

Q2 like ours
・伊藤先生はlikeだけを修飾すると考えているが、前置詞句全体に対する修飾語というとらえかたでいいだろう。「前置詞だけに対する修飾語」という発想は、本講座では採用しない。

Q3 第2文型
・like句がC。「英語の基本」p.109で既習。

 

【11.3.6】
<設問>
Q1[L1] rightはどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 at句
・rightは「まさに」「ちょうど」という強めの意味。もう1つ例を挙げる。

  Bob stood right next to me.(ボブは私の真横に立った)

 rightが、群前置詞句のnext to meを修飾している。このrightは、「横に」を強めている。よって、横は横でも「真横に」「すぐ横に」といった意味になる。
・right at the beginningのrightもやはり強めの言葉なのだが、伊藤先生はこれを「いちばん」と訳されている。
・cf.で示されている文のrightlyは、saidを修飾する。

 

【11.3.7】
<設問>
Q1[L1] wellはどこを修飾するか。
Q2[L1] wellを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 over a hundred years

Q2 たっぷり
・wellにも前置詞句を修飾するはたらきがある。「ゆうに、かなり」という意味だ。他の例も挙げる。

  It's well past five. (とっくに5時を過ぎている)

 

【11.3.8】
<設問>
Q1[L1] dressed句の終点はどの語か。
Q2[L1] dressed句の要素は何か。
Q3[L2] at any rateの意味は何か。どこを修飾するか。
Q4[L2] to feel句の要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 clothes

Q2 動詞修飾語
・dressedを、「着せる」という意味の動詞の過去分詞形だと考えようと、「~を着ている」という意味の形容詞だと考えようと、このdressed句は、beingの省略された分詞構文だと考えられるという点は同じだ。
dressedからclothesまでのまとまりが、動詞isを修飾する。訳語は「~と」を選ぼう。

Q3 少なくとも   for the first day
・前置詞句を修飾するものが、語ではなく句だ。前置詞句を修飾するものが1語ではないものとしては、「COMPLETE」p.305に次のようなものがある。

I met him three days before his death.

  句であるthree daysが、後ろの前置詞句を修飾している。

Q4 S
・to feel句は否定語のnotが加わった形。「COMPLETE」p.360参照。文全体は、形式主語-真主語の構文の真主語である。

 

【11.3.9】
<設問>
Q1[L1] onlyはどこを修飾するか。
Q2[L2] cooperatingに進行形の意味はあるか、ないか。「英語の基本」p.328-p.330を再読したうえで考えよ。

 

<解答・解説>
Q1 when節

Q2 ない
・「協力的な」「お互いに協力する」という意味。動詞cooperateを単に形容詞化しただけの意味。このように、進行形の意味がなく、単に形容詞化した意味のものは、多くが辞書に1つの語として記載されている。このcooperatingもまた然り。辞書で確認されたし。
・「参考」のところでは、onlyがwhen節から離れている例が挙げられている。

 

【11.3.10】
<設問>
Q1[L1] longはどこを修飾するか。
Q2[L1] このbeforeは前置詞か従位接続詞か。

 

<解答・解説>
Q1 before節

Q2 従位接続詞
・後ろがSV・・・である。
・「参考」のところにある文は、before節の前にある動詞修飾語があるという点は、11.3.10と同じだ。ところが意味から考えて、a long timeは、lieを修飾すると考えなくてはならない。

 

【11.3.11】
<設問>
Q1[L1] partlyはどこを修飾するか。
Q2[L1] partlyを2語で書き換えよ。
Q3[L2] 文末に8語を補うとすれば、どのようなものが補えるか。
・This is because SV→「こういう訳でSVだ」

 

<解答・解説>
Q1 because節

Q2 in part
・「COMPLETE」p.307参照。

Q3 as because modern science has become more complex
as muchは「同じくらい」。何と同じかは、文脈上、そこまでの内容だということになる。つまり、文末にはas because modern science has become more complexを補えるのだ。この比較対象語は明らかなので、本文では切り落としている。「as以下の省略」については、「COMPLETE」p.283参照。

 

【11.3.12】
<設問>
Q1[L1] muchはどこを修飾するか。またmuchの訳も答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 as節  ほとんど
・muchに関しては「almostと同様の意味になることがある」ということを知ること。much the sameという型で用いられるのが典型例。例文を見よう。

  Their sizes are much the same.
(それらのサイズはほとんど同じだ)

 また、動詞修飾語としてはたらくas節が「~ように」という意味である場合に、asの前にmushが置かれることがあるのだが、この場合もalmostの意味になる。

I serve my country much as you serve yours.
(君が君の国に奉仕しているのとほとんど同じように、僕も自分の国に尽くしている)

このmuchは、as節全体に対する修飾語である。本文も同じ。

 

【11.3.13】
<設問>
Q1[L1] obviouslyはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 文全体
・文修飾は「COMPLETE」p.308で既習。

 

【11.3.14】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・rightlyは文修飾語。よって「英国ではその問題は作家のセンスにゆだねられているが、これは正しいことだ」と訳してもよい。伊藤先生のような「正当にも~」は日本語としてはやや不自然。
・なお、leave A to B(AをBにゆだねる)は意外に弱い。3項動詞としてのleaveのこの用法を確実に押さえよ。

 

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Chapter12 比較の一般問題

① ...than[as]+語・句・節 

 

[イントロダクション]

このChapterでは「比較」を扱います。「比較の基準となる語は何か」という設問を数多く出しますが、解答はペアの文に戻した段階での原級で答えてください。なお、「比較の基準となる語」「比較の元のペア」については、「COMPLETE」p.268~p.282で解説してあります。また「ペアに戻す」という作業は、「COMPLETE」p.293、p.294で扱いました。忘れていたら再読してください。

 

【12.1.1】
<設問>
Q1[L1] 比較対象語は何と何か。
Q2[L1] 文末にはどんな語句が省略されているか。
Q3[L1] almostはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 poetryとlanguage

Q2 as language
・この文の比較の基準となる語は形容詞universalだが、andの後に、比較の基準となる語がもう1つある。ancientである。この後ろには、as  languageが省略されている。明白なのでカットされている。as以下の省略については、「COMPLETE」p.283参照。

Q3 as ancient
・「COMPLETE」p.285の上のリストにalmostがある。

 

【12.1.2】
<設問>
Q1[L1] asを訳せ。
Q2[全文] 比較対象語は何か。そして、比較の基準となる語は何か。
Q3[L3] oneは何を指すか。

 

<解答・解説>
Q1 時
・asはもちろん、動詞修飾語としてはたらく節を形成する従位接続詞である。「英語の基本」p.287で既習。

Q2 比較対象語:a page+which節と、one+which節
比較の基準となる語:many

Q3  a page
・2行目以降は、「同じくらい~だ」という内容の文の否定文。oneはa pageを指す。manyはCではなく名詞修飾語。impressionsを修飾している。

 

【12.1.3】
<設問>
Q1[全文] 比較対象語と、比較の基準となる語はそれぞれ何か。
Q2[L2] itは何を指すか
Q3[L2] workの後ろには何が省略されているか。
Q4[L2] X result in Y.はどういう意味か。

 

<解答・解説>
Q1 比較対象語:effortとthe work(it results in)
比較の基準となる語:precious

Q2 effort

Q3 that
・これはもちろん前置詞inのOとしてはたらく関係代名詞。

Q4 Xが/はYという結果になる。
・the work it results inの部分は、「努力が結果となる仕事」だが、これでは不自然なので、「努力の結果、生まれる仕事」と訳そう。

 

【12.1.4】
<設問>
Q1[全文] 比較対象語と、比較の基準となる語はそれぞれ何か。

<解答・解説>
Q1 比較対象語:spoken wordsとwords printed on paper
比較の基準となる語:exciting

 

【12.1.5】
<設問>
Q1[L1] evenを訳せ。
Q2[全文] この文が1つの文になる前の、ペアに戻すとどうなるか。なお、evenは取り払って考えること。

 

<解答・解説>
Q1 いっそう
・「COMPLETE」p.285の下のリスト参照。

Q2 ① To know the resemblances of things is important.
② To know the differences of things is important.
・比較対象語はSとしてはたらくtoV句どうしであり、比較の基準となる語は形容詞のimportant。このペアから比較級の文を作り、そのうえで、moreを強めるevenを置いているのが、本文である。
・なおこのペアでは、いずれのtoV句も、形式主語-真主語の構文にはなっていないが、ともにこの構文になっている場合や、片方だけがこの構文となっているような例もある。次のペアを見よ。

  ① It is easy and quick to dress a small child.
(小さい子供に服を着せることは、簡単で時間もかからない)
② To teach a small child to dress for himself is quick and easy.
(小さい子供に、自分で服を切るように教えることは、簡単で時間もかからない)

 ①は形式主語-真主語の構文になっているが、②ではそのままである。なお、②のtoV句の内側は、第5文型パターン③である(「COMPLETE」p.192のリスト参照)。
さて、このペアの比較対象語はit(=to dress a small child)とto teach a small child to dress for himselfであり、比較の基準となる語は形容詞のeasyとquickだ。そして、ここから生まれる比較級の文が

  It is easier and quicker to dress a small child than to teach a small child to dress for himself.

 であり(②のisは共通部文なので消去した)、この文の2つ目のa small childを代名詞のheに代えたものが、「解釈教室」p.226の上にある参考の文なのである。
・なお、この文は比較の基準となる語が、easyとquickの2つである。

 

【12.1.6】
<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻せ。なお、a great dealは取り払って考えること。
Q2[L1] a great dealは「多くの量」という意味で、本来は名詞であるが、この文では、名詞本来のはたらき(S、C、O、前置詞のO)のいずれかとしてはたらいているか、はたらいていないか。

 

<解答・解説>  
Q1 ① Climbing up stairs uses up much energy.
② Walking on the level uses up much energy.
・uses upのupはusesを修飾する副詞。upがあることにより、「使う」というよりも「使い切る」といったニュアンスになる。
・比較対象語は、主語のclimbing up stairsとwalking on the level。比較の基準となる語は形容詞muchであり、これは名詞修飾語。energyを修飾している。energyは複数形となっていない。よって、more energyのmoreの原級は、manyではなくmuchだとわかる。energyは加算名詞ではないのである。
・さて、このペアから完成する比較級の文が、次のものだ。

  Climbing up stairs uses up more energy than walking on the level.

 ②における①との共通部分であるuses upは、消去してある。そして、この文のmoreの前に、a great dealを置いたのが本文である。

Q2 はたらいていない。
・a great dealには、aが存在することから、dealは名詞だとわかる。名詞は本来、S、C、O、前置詞のOのいずれかとしてはたらくのだが、この文では、「はるかに」という意味で、例外的に、形容詞moreを修飾している。形容詞を修飾する語は副詞だ。つまり、名詞が例外的に、副詞として用いられているのだ。
・名詞の例外なはたらき(=S、C、O、前置詞のO以外のはたらき)としては、「英語の基本」p.83で、名詞修飾語になるもの(名詞の形容詞的用法)と、動詞修飾語になるもの(名詞の副詞的用法)を扱ったが、「名詞の副詞的用法」には、このように、形容詞修飾語としてはたらくものもあるのだ。
・「COMPLETE」p.285のリストにa great dealを書き加えておくこと。
・また、伊藤先生は、本文の後の「参考」で、three yearsという名詞が、 形容詞olderを修飾している例を挙げている。

 

【12.1.7】
<はじめに>
この文の前には、7行の解説があります。ここでは、次の2つの文が示されています。

  A:I love him more than she.      
B:I love him more than her.

 さて、比較級の文に接した場合は、常に「比較対象語は何か」「比較の基準となる語は何か」ということを考えなくてはならないのだですが、上のようにthan以下が代名詞である場合は、格が大きなヒントになります。 
Bは、than以下が目的格なので、元のペアが次の通りだとわかるのです。

  ① I love him much.
② I love her much.

 なお、このmuchは「たくさん」という意味で動詞を修飾する副詞のmuchですこれも比較級はmoreとなります。
さて、上のペアでは、himとherが比較対象語です。このペアから生まれた比較級の文が、Bなのです。②のI loveは、共通部分なので消去されています。Bの文は、「私は、彼女を好きである度合いよりも、彼を好きである度合いのほうが高い」という内容なのです。     
一方、Aのsheは主格なので、元のペアは次の通りです。

  ① I love him much.
② She loves him much.

 このペアでは、比較対象語はIとsheです。このペアから生まれた比較級の文がAなのです(②のloves himは、共通部分なので消去してあります)。「私が彼を好きである度合いよりも、彼女が彼を好きである度合いのほうが高い」というのがAの内容なのです。
・では、次の2つの文はそれぞれどのような意味でしょうか。そして、比較対象語は何でしょうか。また、どのようなペアに戻るでしょうか。考えてみてください。

  C:Tom has a more expensive bicycle than Bob.
D:Tom has a more expensive bicycle than this car.    

 Cは、「トムはボブよりも高価な自転車を持っている」という意味であり、比較対象語はTomとBobです。以下のペアに戻ります。

  ① Tom has an expensive bicycle. 
② Bob has an expensive bicycle. 

 Dは、「トムは、この車よりも高価な自転車を持っている」という意味であり、これは自転車と車の比較です。元のペアをどう考えるかは少し難しい問題です。
以下のように考えることができます。

  ① Tom has an expensive bicycle. 
② This car is expensive.   

 そして、bicycleとthis carが比較対象語だと考える。①のexpensiveを比較級のmore expensiveにして、②の前にthanを置き、②のexpensiveを消去したのが、

  Tom has a more expensive bicycle than this car is.

 であり、isはなくても意味が通じるので、消去したのがDの文です。
このペアでは、bicycleとthis carを比較対象語だと考えたが、これは「OとSの比較」となっている。比較対象語の要素にズレがある。「COMPLETE」p.280で扱ったパターンの一例だと考えてよい。そしてさらにこのペアが厄介なのは、比較の基準となる語が①では名詞修飾語であり、②ではCであるという点です。
さて、ここで改めてCとDを見ます。

  C:Tom has a more expensive bicycle than Bob.
D:Tom has a more expensive bicycle than this car.

ともに「SVO+than+X(名詞)」という形でありながら、Xの比較対象語は、Cの文では主語のTomであり、一方、Dの文ではTomではなく目的語のbicycleです。このように、比較対象語となる部分が異なるのですが、TomもBobもbicycleもcarも代名詞ではないので、このような判断がなされた根拠は、名詞の格ではなく、文の意味からです。つまり、形だけからは判断できないのです。比較対象語は、多くの例において、形だけでは決まらず、文の意味を考えて初めて突き止めることができるのです。
以上をふまえたうえで設問に入ります。

 

<設問>
Q1[L1] asを訳せ。
Q2[L1] Isaac grew olderの文型は何か。
Q3[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q4[L1] he hadから文末までを訳せ。
Q5[L1] that節の中の文の比較対象語は何と何か。

 

<解答・解説>
Q1 「~につれて」「~と」

Q2 第2文型
・一般動詞を用いた第2文型。growは「COMPLETE」p.43のリストにある。

Q3 A-0
・that節は、形式主語-真主語の構文の真主語。

Q4 和訳参照

Q5 mattersとthe manufacture (of toys like the little windmill)
・that以下のthe manufactureの比較対象語が、主語のheなのか、目的語のmatterなのか、形からは決められない。意味を考え、後者だとわかる。<はじめに>で見たDの文と同様のもの。

・the manufacture of toys (like the little windmill)の部分は、名詞構文である。manufactureは名詞も動詞も同形なので、動詞表現に戻すと、manufacture toys (like the little windmill)となる。
・that節の中の文を①、②の関係に戻すと次のようになる(farは削除する)。

  ① He had important matters.
② The manufacture of toys like the windmill was important.

・比較の基準となる語は形容詞のimportant、比較対象語はOのmattersと、Sのthe manufacture of toys like the windmill。比較対象語の要素にズレがあるのだ。
・cf.の部分では、have ~ in one's mind(~を考えている)は、have in ones' mind ~としてもよいということが示されている。

 

【12.1.8】
<設問>
Q1[L1] supposeは本来は(      )だが、本文では、実質的には(      )としてはたらいている。  ※(      )に適切な品詞を入れよ。
Q2[L1] この行には省略可能な単語が1つある。どれか。
Q3[L1] eachからmoneyまでの部分の文型は何か。
Q4[L2] twiceはどこを修飾するか。
・in possession of ~は、「~を所有して」という意味の群前置詞として処理すること。

Q5[L3] would以下の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 (  動詞  ) ( 接続詞 )
・「COMPLETE」p.135参照。≪従位接続詞の一覧表≫のC-5である。

Q2 that
・C-5の接続詞に含まれるthatの省略が可能だということについては、「COMPLETE」p.327の最後の2行で既習。

Q3 第5文型パターン①
・構造は以下の通り。

 Each(S) of us(名修) suddenly(動修) found(V) himself(O) in possession of  ~(C).

・第5文型パターン①において、Cが前置詞句である例を「COMPLETE」p.41で扱った。上は群前置詞句なので、もう一段階難しい。
・なお、このeach of us suddenly found himself in possession of ~は、型通りに訳すと、「とつぜん、我々のめいめいが、自分たちが~を所有している状態だとわかる」となるが、第5文型パターン①で動詞がfindで、Oが「~self」の場合は、「わかる」という言葉を前面に出すのではないということは、例文:2.2.10で扱ってある。実際の和訳は、伊藤先生の訳で確認されたし。
・なお、foundが過去形であるがゆえに、文は仮定法過去だとわかる。

Q4 as much
・等級に対する修飾語。「COMPLETE」p.284参照。
・twice as much money as beforeのうち、as beforeは「以前と同じように」という意味の成句的表現として処理すればよい。ただ、この文ではmuchがtwiceによって修飾されているので、「同じ」ではなく「2倍」になるが。

Q5 第2文型
・X is over.のoverは「終わった」「済んだ」という意味の形容詞だと考えてよい。The switch is on.のonなども同類(「英語の基本」p.375の下の例文参照)。

 

【12.1.8 参考】
<設問>
Q1[L2] この行(childから始まる行)においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。Yは2語である。
Q2[L3] muchの要素を答えよ。
Q3[L3] oneは何を指すか。
Q4[L4] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
Q5[L4] muchの要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:child    Y:who is
・born in the United States todayのひとまとまりは、《準動詞の一覧表》のB-3。childを修飾する。

Q2 O
・consumeは他動詞で、Oが必要だが、直後のduringは前置詞なので、during his lifetimeはOにはなりえない。muchがOである。これは「多くの」という意味の形容詞ではなく、「多くの量」という意味であり、いわば「形容詞を含んだ名詞」である。「COMPLETE」p.294、p.295の表の⑤のものである。
・なお、born in Indiaも《準動詞の一覧表》のB-3であることは言うまでもない。oneを修飾する。

Q3 child

Q4 consumeとcontribute

Q5 名詞修飾語
・pollutionを修飾する。「COMPLETE」p.294、p.295の表の③のmuch。
・contribute A to Bは、「Bに対してAを与える」「Bに対してAを及ぼす」。ほぼgiveの意味。

 

【12.1.9】
<設問>
Q1[L1] whenは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[全文] 比較対象語と、比較の基準となる語はそれぞれ何か。

<解答・解説>
Q1 B-1
・このwhen節は、文法上は、動詞修飾語として、reachedを修飾するとも考られるが、これでは意味上、問題が生じる。C-3のwhenは、「~の時」と訳すので、このwhenをC-3だと考えると、この文の訳は、「戦争が、犠牲者に対するのと同じくらい、侵略者に対しても有害なものである時、人は今や発展段階に到達した」となってしまう。意味不明だ。するとwhenをB-3だと考える。ただ、こうすると疑問が生じるかもしれない。「英語の基本」p.224-p.226等で見た通り、関係副詞whenの先行詞は、time,year,morningなど、明確に、「時間に関する語」だとわかるものばかりだった。ところがこの文には、このような名詞が存在しない。whenの先行詞は何だろうか。
stageである。これは、はっきりと「時間に関する語」という感じがしないのだが、「段階」というのは、時の流れの中の一部分であり、やはり「時間に関する語」なのである。when節はstageを修飾するのだ。こう考えれば、文全体の意味もしっくりくる。

Q2 比較対象語:to the intruderとto the victim
比較の基準となる語:damaging
・本文を文法構造に忠実に訳すと、訳は「人間は今や、戦争が、犠牲者に対するのと同じくらい、侵略者に対しても有害なものであるという発展段階に辿り着いた」となるが、when節が長いので、伊藤先生は相当の工夫をした訳にしている。

 

【12.1.10】
<設問>
Q1[全文] この文の比較対象語と、比較の基準となる語を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 比較対象語:to skin colorと、to other characteristics
比較の基準となる語:much
・importanceは複数形になっていない。不可算名詞だ。よって、moreの原級はmanyではなくmuchだとわかる。この文の比較の基準となる語は、形容詞muchなのである。
・なお、thanの後ろのto other characteristicsからtoをカットしてother characteristicsとするのは、原則的には不可。こうすると、skin colorとother characteristicsという、「前置詞のOどうしの比較」になってしまう。原則としてこれが許されないということは、「COMPLETE」p.274の上半分で述べた。
・skinは、「名詞の形容詞的用法」(「英語の基本」p.83参照)。直後の名詞を修飾している。

 

【12.1.11】
<設問>
Q1[L1] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。なおYは2語である。
Q2[全文] この文の比較対象語と、比較の基準となる語は何か。

 

<解答・解説>
Q1 X:when    Y:we are
・whenは従位接続詞でありながら、内部にSVがない。これは何度も扱っている、「副詞節の内部における、Sとbe動詞の省略」だ。このwhen youngは、where we are youngの意味。主節の動詞seemを修飾する。
・なお本文において、主節の主語はweではなくitであり、この点、「COMPLETE」p.330の図で示した4つの条件のうちの④、つまり、「S1とS2が同じ」というが満たされていない。ただ、本文では主節は形式主語-真主語の構文であり、実質的な主語はthat節の中のweだといえるので、その点では満たされていると言える。

Q2 比較対象語:2つのthat節
比較の基準となる語:important
・it以下を、肯定文に戻したうえで2文に戻すと次のようになる。

  ① It seems important that we should be successful in a worldly sense.
② It seems important that we should try and become our true selves.

 ②のIt seemsは共通部分なので、1文にする際にカットしている。

 

【12.1.12】
<設問>
Q1[全文] 比較対象語と、比較の基準となる語を答えよ。
Q2[L1] we go abroad among menを訳せ。
・for the most part→「大部分は」「たいていは」「ほとんど」

 

<解答・解説>
Q1 比較対象語:when節どうし
比較の基準となる語:lonely

Q2 和訳参照
・abroadは「外国に」の意味ではない。それでは意味が通らない。
また、この前置詞句は動詞修飾語(goを修飾)だが、訳し下したほうがはるかに自然な訳になる。

 

  
【12.1.13】
<設問>
Q1[全文] 比較対象語と、比較の基準となる語は何か。
Q2[L2] muchを訳せ。
Q3[L2] to fall句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。

<解答・解説>
Q1 比較対象語:if節とif節
比較の基準となる語:likely

Q2 はるかに
・「COMPLETE」p.285の下の表参照。

Q3 D-1(4番目のパターンbe likely toは「COMPLETE」p.185にある)
・walking over a chasm on a narrow plankの意味が取りにくいかもしれない。説明する。まずは次の文の意味を考えよ。

  A:I want to fly in the sky on a magic carpet.

 in the skyも、on a magic carpetも、flyを修飾し、「私は魔法のじゅうたんに乗って、空を飛んでみたい」という訳になる。2つの前置詞句が、動詞flyを修飾することは簡単に見抜けるはずだ。
さて、上のwalking over a chasm on a narrow plankは、chasm(深い裂目、小峡谷)、plank(板)という語が少し難しいということもあり、Aの文よりも意味がとりにくいのだが、これもやはり、over句とon句が、ともに動詞walkを修飾する。よって同様に、2つの前置詞句を動詞に修飾させて、「深い裂け目の上を、狭い板に乗って歩く」と訳せばいいのである。
伊藤先生の訳には注意が必要。伊藤先生はover a chasmが、plankに対する修飾語になるように訳しており、また、chasmが「深淵」と訳されているので、この和訳を見た 際には「なぜ、このような訳になるのだろう?」と疑問に思う可能性がある。この訳に違和感をおぼえたら、文法関係に忠実な、上記の「深い裂け目の上を、狭い板に乗って歩く」という訳でよい。

 

【12.1.14】
<設問>
Q1[全文] 比較対象語はか。比較の基準となる語は何か。
Q2[L1] in timeを訳せ。
・puzzle outは「解く」。

<解答・解説>
Q1 比較対象語:thenとif節
比較の基準となる語:well
・本文での比較の基準となる語はbetterだが、この語の原級は、形容詞goodではなく副詞のwellである。betterはgoodの比較級でああるのみならず、wellの比較級でもある。

Q2 時間をかければ
・in timeは「(1) 早く、間に合って  (2) 将来、ゆくゆく、そのうち(3) 正しいリズムで、調子を合わせて」だが、本文は(2)の例。「考え続ければ、ゆくゆくは解ける」ということ。ゆえに伊藤先生は「時間をかければ」と訳している。上手い。

 

【12.1.15】
<はじめに>
まずは次の表現を見てください。

  Ⅹ  as … as if ―.

  このような形の表現で、Ⅹがif節である場合は「if節どうし」の比較と考えて「if―の場合と同じくらい、Ⅹの場合も…」と訳せばいいのですが、Ⅹがif節ではない場合の多くにおいては、1つ目のasは無視して、「主節+as if節」(as ifは「COMPLETE」p.137参照)の文として解釈すればうまくいきます。

 

<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・前半にif節がないこともあり、等級の文だと考えるのではなく、「主節+as if節」の文だと考えればよい。
・先頭のtoV句はS。そして、isの後ろのtoV句はCである。先頭のtoV句の内側は、第5文型パターン①。makeがV、oneselfがO、at homeは「くつろいだ」という意味でありCだ。第5文型パターン①で、Cが前置詞句の例。この部分の訳は「自分自身をくつろいだ状態にすること→くつろぐこと」という意味になる。
・この文では、L2にもat homeがあるが、これは文内容から「家に」という意味だとわかる。

 

② ...than[as]+(S)+V

 

【12.2.1】
<設問>
Q1[全文] この文を2文のペアに戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 ① We are well off now.
② We were well off fifty years ago.
・比較対象語は、are+nowと、were fifty years agoだといえる。
・be well offは、「暮らし向きが良い」という意味。

 

【12.2.2】
<設問>
Q1[全文] この文を2文のペアに戻すとどうなるか。そのペアにおいて、比較対象語と比較の基準となる語は何か。

 

<解答・解説>
Q1 ① These causes are important.
② They(=these cause)seem important.
比較対象語:areとseem
比較の基準となる語:important
・現在形は、「現在」のみならず「現実」を表しうる(「COMPLETE」p.217参照)。そしてseemは、「~のようである」という意味なので、このペアは、「現実」と「見かけ」の比較だということになる。
・①のほうのimportantの度合いがより低い、ということを述べるために、①のimportantを劣等比較級のless importantにしたうえで、1文につないだのが本文である。「劣等比較級」という言葉については「COMPLETE」p.275参照)。

 

【12.2.3】
<設問>
Q1[全文] この文の2文のペアに戻すとどうなるか。そして、そのペアにおいて、比較対象語と比較の基準となる語は何か。

 

<解答・解説>
Q1 ① It is easy to think in a foreign language.
② It is easy to feel in it(=a foreign language).
比較対象語:(it+)to think in a foreign languageと、(it+)to feel in it)
比較の基準となる語:easy
・形式主語-真主語の構文の真主語どうしが比較対象語。実質的な比較対象語はtoV句どうしだが、itはこれとイコールの関係にあるので、itも比較対象語の一部だと考えることもできる。

 

【12.2.4】
<設問>
Q1[L1] one以下を元のペアに戻すとどうなるか(なお、否定文のままでは考えにくいので、肯定文にして考えること)。そして、そのペアにおいて比較対象語と比較の基準となる語は何か。

<解答・解説>
Q1 ① One sees many birds.
② One hears many birds.
比較対象語:seesとhears
比較の基準となる語:many
・動詞と動詞の比較の文である。
・このペアから生まれる等級の文が次のもの。

  One sees as many birds as one hears.

  これを否定文にしたのが次の文。

  One does not see as many birds as one hears.

 本文では、as manyではなく、so manyとなっている。このsoについては、「COMPLETE」p.271参照。

 

【12.2.5】
<設問>
Q1[L1] 主節を2文のペアに戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 ① The world will need wisdom in the future much.
② It(=the world) needs wisdom much.
・比較対象語は、will needとneeds。「未来」と「現在」の比較になっている。比較対象語はmuchだが、これらは「たくさん」という意味で、動詞needを修飾する副詞である(「COMPLETE」p.294、p.295の表の⑥のもの)。
・ちなみに、動詞修飾語としてはたらく副詞のmuchが単独で用いられることは少ない。veryを伴い、very muchで用いられることは多いので、上のペアでも、very muchとしたほうが、はるかに自然な文となる。
・本文に添えられた参考の文は容易に理解できるはずだ。目を通すこと。

 

【12.2.6】
<設問>
Q1[全文] 文全体を、2文のペアに戻せ。また、そのペアの比較対象語と比較の基準となる語を答えよ。evenは取り払って考えよ。
Q2[L2] evenを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 ① When you are writing to someone you have never met, it is important to make a good impression.
② It is important to make a good impression when you are writing to a friend.
比較対象語: when節とwhen節
比較の基準となる語:important
・「知らない人に手紙を書いている場合」と「友達に手紙を書いている場合」の比較。①ではwhen節は主節の前にあり、②では後ろにあるので、この2つが比較対象語だということが少し見抜きにくかったかもしれない。
・このペアに、以下の操作を加える。

  ・①のimportantを、比較級のmore importantとする。
・②の文頭にthanを置く。
・②のimportantを消去する。
・②の文における、①の文との共通部分(it is、及び、to make a
good impression)のうち、to make a good impressionを消去する。
・①と②をつなぐ。   

この結果の文が、以下である。

  When you are writing to someone you have never met, it is more important to make a good impression than it is when you are writing to a friend.

 そして、比較級のmore importantの前に「いっそう」という意味のevenを置いたのが、本文である。

Q2 いっそう
・「COMPLETE」p.285の下の表参照。

 

【12.2.7】
<設問>(難)
Q1[L1] it以下をペアに戻すとどうなるか。そのペアにおいて、比較対象語と比較の基準となる語は何か。なお、farは消去して考えること。

 

<解答・解説>
Q1 ① It enables man to achieve much.
② He would achieve much if everyone were an all-round man.
比較対象語:It enables man to achieveと、He would achieve+if everyone were al all-round man
比較の基準となる語:much
・2つのmuchは「多くのこと」という意味の名詞のmuch。achieveのOとしてはたらいている。このmuchが比較の基準となる語だ。形容詞・副詞ではないが、「多くの」という形容詞の意味を含んだ名詞なので、比較の基準となりえる。
・比較対象語は何だろうか。これは非常に難しい問題だ。①のitは、冒頭のSpecialization of functionを受ける。これは、「職業の専門化」という意味だが、名詞構文だ。根底にはspecialize functionがあるといえる。よって、①のitは、この動詞表現を受けた訳にすることが可能である。つまり、「職業を専門化することが、人に多くを成し遂げさせる」と訳せる。ここから進めて、「職業を専門化した場合は、人は多くのことを成し遂げることができる」とまで訳せる。
さて、このように①のitは、「職業を専門化した場合」という意味で解釈できるので、これと②のif節、つまり、「ひとりひとりが全部の仕事をする場合」が比較対象だといえる。
さらに、①は述語動詞がenablesという現在形であり、「現実」を表し、②はwould achieveで推量が加わっているので、enables man to achieveと、He would achieveの部分も「現実の世界」と「推量の世界」で比較対象語にあると考えられる。つまり上のペアにおいては、比較対象語にはズレがあるのだ。「COMPLETE」p.280のパターンである。
・さて、このペアに、以下の操作を加える。

  ・①のmuchを比較級のmoreとする。
・②の文頭にthanを置く。  
・②のmuchは消去する。
・①と②をつなぐ。
・②のachieveはカットする(wouldだけでも意味が通じる)。

 この結果のものが、次のものだ。

   It enables man to achieve more than he would if everyone were an all-round man.

 そして、moreの前に「はるかに」という意味を表すfarを修飾語として加えたものが 、本文のit以下である。
・なお、伊藤先生は、解説部分の冒頭で、「thanの前後で構文が違う」と述べている、これは、「この文をペアに戻すと、①と②では文全体の構造が異なる」ということだ。上の解答の通り、①の文は第5文型パターン③であり、②の文は「SVO+if節」である。

 

【12.2.7 参考】
[イントロダクション]
・この「参考」については、以下の文の部分のみを利用する。
Surely every man deserves the study of a biographer.  As much is to be learned from the ordinary as from the extraordinary.

 

<設問>
Q1[L1] the ordinaryとthe extraordinaryを訳せ。
Q2[L1] 第2文をペアに戻せ。またこのペアの比較対象語と比較の基準となる語を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 普通の人たち、凡人  非凡な人たち
・「the ordinary = ordinary people」であり、「the extraordinary = extraordinary people」である。「the+形容詞」は、「~な人たち』という意味になりうる。the rich(金持ち)、the poor(貧者)などが典型例。

Q2  ① Much is to be learned from the ordinary.
(多くのことが平凡な人から学ばれうる→学べる)
② Much is to be learned from the extraordinary. 
(多くのことが非凡な人から学ばれうる→学べる)
比較対象語:from句とfrom句
比較の基準となる語:much
・be動詞isは、「COMPLETE」p.221で扱ったもの。「可能」を表す。文全体が受動態で、かつ、助動詞beが加わっているので、少し読みにくいかもしれない。
・MuchはSとしてはたらいている。名詞でありながら、比較の基準となっている。このペアに以下の操作を加えたのが、元の文なのである。

  ・①のmuchをas muchとする。
・②の前にasを置く。
・②のmuchを消去する。
・②における①との共通部分であるis to be learnedを消去する。
・①と②をつなぐ。

 

【12.2.8】
<設問>
Q1[L1] 2番目のwe are以下をペアに戻すとどうなるか。ペアの比較対象語と、比較の基準となる語も答えよ。

 

<解答・解説>
Q1  ① We are fat or thin and bony.
② Other people say we are fat or thin and bony.
比較対象語:We areと、Other people say+we are
比較の基準となる語:形容詞fatと、形容詞thinと形容詞bony
・「SVと、SV+that節」という比較のペアは、「COMPLETE」p.280で既習。上の②ではsayの後ろにthatが省略されている。

 

【12.2.9】
<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻すとどうなるか。その際にmuchは取り払って考えること。
・形容詞difficultは、後ろにtoV句を伴って、「X be動詞 difficult to V(XはVするのが難しい)」というように用いられることが多いのだが(「COMPLETE」p.184で示した、目的語を欠いて用いるパターン)、後ろに前置詞句を伴って、「X be動詞 difficult of ~(~が難しい)」という型でも用いられる。他動詞的形容詞でもあるのだ。この型も知ること。研究社の『新英和中辞典』に次のような例文がある。

  The place is difficult of access.(その場所は近づくのが困難だ)

 『旺文社英和中辞典』には、次のような用例がある。

  be difficult of explanation(説明しがたい)

  これはbe difficult to explainと同義。

 

<解答・解説>
Q1 ① This work of science is difficult of attainment.
② Those who have not tried imagine this work of science is difficult of attainment.
・この文は、特に以下の3つのことが見抜けていないと、文全体の意味をつかむのが非常に難しくなる。

 (1) thoseはpeopleを表す名詞である。 
(2) triedは本来は他動詞であり、「try Ⅹ」という形で用いられるが、この文では、Xの部分が書かれていない。Xにあたるものは、this work of scienceである。このように本来は他動詞だが、文脈から明らかな場合にOが省略されることは多い。たとえば、

  He writes to his parents every week.
(彼は毎週、両親に手紙を書く)

 は、本来はwrite a letterとするべきだが、文から明らかなので、Oが省略されている。よって、who節の終点はtried。
(3) imagineの後ろには、本来は、(that) this work of science isが存在するのだが、省略されている。

・以上をふまえたうえで、ペアに戻すと、上で示した通り、次のようになる。

   ① This work of science is difficult of attainment.
② Those who have not tried imagine this work of science is
difficult of attainment.

 ②はthoseがS、whoからtriedまでがthoseを修飾する名詞修飾語、imagineがVで、this以下はすべてimagineのOだ。もちろんimagineの後ろには従位接続詞thatが省略されている。このペアは、difficultという形容詞を基準として、this work of science is(この仕事の<難しさの>現実)と、「Those who have not tried imagine (that)+this work of science is」(この仕事をしたことがない人が考える、この仕事の<難しさの>現実)の比較をしているものなのである。このペアに以下の操作を加える。

  ・①のdifficultを比較級のmore difficultにする。
・②の先頭にthanを置く。
・②のimportantを消去する。
・①と②をつなぐ。

 すると、次の文が完成する。

 This work of science is more difficult of attainment than those who have not tried imagine this work of science is of attainment.

 この文の、最後のthis work以下は、なくても意味が通じる。ここでも切ろう。すると、次のようになる。

  This work of science is more difficult than those who have not tried imagine.

 そしてこの文のmoreの前に、「はるかに」という意味のmuchを修飾語として加えたものが本文である。

 

【12.2.10】
<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻せ。

 

<解答・解説>
Q1 ① He was born under a blue sky.
② A blue sky is generally seen in England.
・彼が生まれた空の青さと、イギリスで一般的に見られる空の青さの比較である。もちろん比較の基準となる語は、形容詞blue。このペアにおいて、「彼が生まれた空のほうが青かった」ということを述べたい場合は、このペアに以下の手順を加える。

  ・①のblueを比較級のbluerにする。
・②の前にthanを置く。
・②のa blue skyを消去する(blueは名詞修飾語なので、直後の名詞も消す)。
・①と②をつなぐ。

 この結果のものが本文である。

 

【12.2.11】
<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 ① She requires much attention.
② She is receiving much attention.
・「必要としている注意」と「現在受けている注意」の比較。比較対象語
はrequiresとis receiving。比較の基準となる語はもちろん形容詞
much。

 

【12.2.12】
<設問>
Q1[L1] shouldを訳せ。
Q2[全文] この文をペアに戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 はずだ
・shouldには、「義務」だけではなく「推量」の意味もあるということは「COMPLETE」p.239の表参照。

Q2 ① These nuclear power stations should produce much electricity.
② Much electricity is produced by eighteen million tons of coal.
「これらの原発が生み出すはずの電力」と、「1800万トンの石炭によって生み出される電力」を、形容詞muchを基準にして比較している。
・②の文において、比較の基準となる語のmuchが名詞のelectricityを修飾しているので、much electricityが消えることになる。

 

             
【12.2.13】
<設問>
Q1[L1] sentの目的語はどの語か。
Q2[L2] andは何と何を結ぶか。
・at one's disposal→「~の自由なように処分、使用してよい」

 

<解答・解説>
Q1 (as many) doctors

Q2 as it had at its disposalと、as the budget was able to pay for
・文全体は以下のような構造である。

The government sent out to the district as many doctors  

as ~

and

 as ~ .

 よって、まずはandの前で切り、The governmentからdisposalまでの部分、つまり以下の文について考察する。 

  A:The government sent out to the district as many doctors as it had at its disposal.

 さてここで、この文が、どのようなペアに戻るかを考えよ。考え終わったら(できれば紙に書いて)、以下の行に進むこと。
次のペアに戻る。ちなみに、①のoutは副詞。sentでは「送る」だが、outがあると「送り出す」という感じになる。

  ① The government sent out to the district many doctors.
② It(=the government) had many doctors at its disposal.

 それぞれの文の意味を考えよう。いずれも、やや意味が取りにくい。①は、仮に

  The government sent out many doctors to the district.

 となっていれば、sentとそのOであるdoctorsが近くにあるので、意味が取りやすいのだが、上の①では、VとOの間に前置詞句to the districtがあり(もちろん、これは動詞sentを修飾する)、VとOが離れているので、読みにくくなっている。
①の意味は「政府はその地域に多くの医者を派遣した」である。
・②の文は、「SVO+動詞修飾語としてはたらく前置詞句」だと考えられる。よって、「政府は、多くの医者を、使用できる状態で持っていた」という意味だということになる。「使用できる状態で持っていた」は「管轄下に置いていた」と訳したほうが自然になる。
つまり、このペアは、「政府が派遣した医師の数」と、「政府の管轄下にあった医者の数」の比較だ。これを形容詞manyを基準にして比較しているのである。さて、このペアからas ~ asの文を作るには、以下の操作を加える。

  ・①のmanyをas manyにする。
・②の前にasを置く。
・②のmany doctorsを消去する。
・①と②をつなぐ。

 この結果、Aの文が完成する。Aの文は、表面的には、「政府は政府の管轄下にあった医者の数と同じ多さの医者を、その地域に派遣した」という意味だが、これはつまり、「管轄下にあった医者の全員をその地に派遣した」ということだ。
・次に、as the budget was able to pay forの部分に移る。この部分はas it had at its disposalの部分と並列の関係にある。よって、まずは以下の文を用意し、この文について考察することにする。

   B:The government sent out to the district as many doctors as the budget was able to pay for.

 さて、この文は、どのようなペアに戻るだろうか。これも設問として考え、考え終わったら以下の行に進むこと。
次のペアに戻る。

  ① The government sent out to the district many doctors.
② The budget was able to pay for many doctors.

 このペアは、「政府がその地域に派遣した医者の数」と、「(政府が)予算を支払うことができた医者の数」の比較である。
さて、このペアからas ~ asの文を作るには、以下の操作を加える。

 ・①のmanyをas manyにする。
・②の前にasを置く。
・②のmany doctorsを消去する。
・①と②をつなぐ。

 この結果の文が、上のBの文である。Bの意味は、「政府は予算が許すのと同数の医者を、その地域に派遣した」ということだが、これはつまり、「政府は、予算の許すかぎりの医者を、その地域に派遣した」ということだ。
・さて、上のAとBの文を結ぶと、次の文が完成する。

  The government sent out to the district as many doctors as it
had at its disposal and the government sent out to the district  
as many doctors as the budget was able to pay for.

そして、andの直後のthe governmentからdoctorsまでが重複しているので、これをカットしたのが、本文なのである。
・なお、伊藤先生はasを関係代名詞ととらえているが、そのように考える必要はない。

 

【12.2.13 参考】
<設問>
Q1[L1] 文をペアに戻せ

 

<解答・解説>
Q1 ① Things went well.
② Things had been expected to go well.
・①は「事態がうまくいった」という意味であり、②は「事態はうまくいくだろうと予想された」という意味である。②の文全体は、第5文型パターン③の受動態(「英語の基本」p.364参照)。そして、述語の部分が過去完了形になっている。これは大過去だといえる。
・このペアにおいては、実際と、それ以前の予想を、副詞wellを基準にして比較している。比較対象語は、wentとhad been expected to goだといえる。そして、このペアに、以下の操作を加える。

  ・①のwellを比較級のbetterにする。
・②の文頭にthanを置く。
・②のwellを消去する。
・②における、①の文との共通部文であるthingsを消去する。

 この結果、次の文が得られる。 

   Things went better than had been expected to go.

 最後のto goは、無くても意味が通じるので、これを消したのが本文である。

 

③ ... A than B

【12.3.1】
<設問>
Q1[L1] 文頭からtalentまでの部分を訳せ。
Q2[L2] oneを1語で書き換えよ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・is born with a great share of some special talentの部分は、訳の工夫が必要になる。shareは「取り分」「分け前」「分量」という意味で、someは「ある」「何らかの」という意味。「取り分」「分け前」「分量」は、数量に関する語なので、この部分は「A of B」を「BのA」と訳す。つまり、「ある特別な才能の、多くの分量」と訳すのではなく、逆に「AのB」、つまり、「多くの量の、ある特別な才能」と訳す(「英語の基本」p.77参照)。 
よって、is born with a great share of some special talentの訳は、「多くの量の、ある特別な才能とともに生まれる」であり、ここから工夫すれば、伊藤先生のような訳になる。

Q2 a mam

 

【12.3.2】
<はじめに>
これまでに見た比較の文は、「別のものどうしの比較」でしたが、比較級を用いた文の中には、同一物に関して、「Ⅹはαというよりもむしろβである」という意味(αもβも形容詞)を持つものもあります。これは「Ⅹ … more α than β」という形で表します。例文を見ましょう。

His hair was more gray than brown.
(彼の髪は、褐色というより灰色だった)
The word made me more sad than angry.
(その言葉は、私を怒らせたというよりもむしろ悲しませた)

 これと同じ内容は「less β than α」という型でも表すことができます。つまりlessを用いた場合はαとβの語順を変えるのです。

   I’m less tired than sleepy.
(疲れているというより眠い)

 以上をふまえたうえで文に挑みましょう。

 

<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・本文は、上のI’m less tired than sleepy.という文の応用だと考えればよい。つまりCの部分が形容詞ではなく、toV句なのである。

 

【12.3.3】
<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻せ。なお、lessを強調するfarは取り払って考えること。

<解答・解説>
Q1 ① The strength of a state depends little upon the form of its institution.
② The strength of a state depends little upon the character of its men.
・比較の基準となる語はlittle。このlittleは副詞で、動詞dependsを修飾する。「COMPLETE」p.296、p.297の表の④のlittleである。
・比較対象語はupon ~という前置詞句どうしである。このペアから、「国民の性格に依存する度合いよりも、その制度の形態に依存する度合いのほうがより少ない」という意味の文を作ることを考える。このペアに以下の操作を加える。

  ・①のlittleを比較級のlessにする。
・②の文頭にthanを置く。
・②のlittleを消去する。
・②における①との共通部分であるthe strength of a state dependsを消去する。

 この結果、次の文が完成する。

  The strength of a state depends less upon the form of its institution than upon the character of its men.

 これをそのまま訳せば、「国家の力は、国民の性格よりも、その制度の形態に依存する度合いが少ない」だが、逆転させて、「国家の力は、その制度の形態よりも、多く、国民の性格に依存する」としよう。そしてこの文のlessにfarが加わった文が、本文である。
・日本語では、「より少なく~」というような言い方をしないので、やや意味が取りにくい。

 

【12.3.4】
<設問>
Q1[L1] what自体の要素とwhat節の要素を答えよ。
Q2[L1] whatは疑問詞か関係詞か 
・A rather than B→「BよりもむしろA」

<解答・解説>
Q1 what自体:O   what節:S
・what自体はneedのOであり、節全体はisのS。

Q2 関係代名詞
・「何」という訳ではない。「必要なものは」という意味なので、もちろん関係代名詞。≪従位接続詞の一覧表≫のA-1の②だ。「もの」「こと」と訳すwhatが関係代名詞であるということは、「英語の基本」p.183に記してあります。
・文全体の訳は、「我々が今日必要なものは、より多くの野心的な政治家というよりもむしろ、国家の基盤になりえるより多くの技術者だ」となる。伊藤先生は、そこからさらに工夫をしている。

 

【12.3.5】
<設問>
Q1[L1] part withを訳せ。
・would rather A than B→Bよりも(むしろ)A

 

<解答・解説>
Q1 手放す
・辞書参照。「with」なのに「手放す」になる。意外な意味を持つ句動詞である。

 

【12.3.6】
<設問>
Q1[L1] ofは主格か目的格か同格か。
Q2[L1] depend uponは、この文ではどう訳すべきか。
・not so much A as B→「AというよりもむしろB」

 

<解答・解説>
Q1 主格
・the spread of a languageは名詞構文。動詞表現に戻すと、A language spreads.となる。

Q2 ~による、~によって決まる
・depend (upon)は、「~に頼る」だけではなく「~による、~次第だ」も必ず押さえること。「~に(た)よる」と記憶すればよい。

 

【12.3.7】
<設問>
Q1[L1] whereは《従位接続詞の一覧表》のどれか。
Q2[L2] in what direction we are movingの、in what directionと同じ構造を持つ名詞節が記載されている「英語の基本」のページを答えよ。
Q3[L3] what節を疑問文に戻すとどうなるか。さらに、これを平叙文に戻すとどうなるか。なお、平叙文に戻す際には、whatはthisにすること。

 

<解答・解説>
Q1 A-3
・where節は、Cとしてはたらいている。

Q2 p.176
・2つ目の例。at which stationという連なりが、in what directionと同じ。「前置詞+名詞修飾語としてはたらく疑問形容詞+前置詞のO」の連なりである。例文:4.3.4でも扱った。
・なお、「前置詞+従位接続詞+前置詞のO」という連なりについては、4.3.11もチェックしておくこと。

Q3 疑問文:In what direction are we moving?
平叙文:We are moving in this direction.
・平叙文がwhat節になるまでのプロセスをたどっていこう。まずは平叙文を示す。

  We are moving in this direction.(我々はこの方向に向かっている)
※ 方向を示す前置詞はtoではなくinであることに注意。

この文の中で、名詞修飾語としてはたらいているthisを尋ねる。

(1) What direction are we moving in?
(我々はどの方向に向かっているのか?)
(2) In what direction are we moving?   
(        〃        )
※ 名詞修飾語を尋ねているが、修飾されている名詞の要素が前置詞のOなので、2通りの文がが完成する(「英語の基本」pp.111-114参照)。なお、「どの方向に?」ではなく、「どちらの方向に?」なら、whatではなくwhichを用いる。

 それぞれを名詞節にする。

(1)' what direction we are moving in
(我々がどの方向に向かっているのかということ)
(2)' in what direction we are moving
(                〃            ) 

 この(2)が、本文のin以下。「前置詞から始まる名詞節」であることに注意すること。もちろん、このwhat節はwhere節と同様に、Cとしてはたらく。

 

【12.3.8】
<設問>
Q1[L1]  notから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・not so much A as B=not A so much as Bである。 

 

【12.3.9】
<設問>
Q1[L2]  but moreを1語で書き換えよ。

<解答・解説>
Q1 as
・not so much A as Bに関しては、次のことも知ること。
(1) not so much A as B
=(2) not so much A but (more/rather) B
・本文では、前置詞句のas句とas句を対比させているので、(1)の表現を使うと、後半がas as the mainspring …となる。asの連続を避けるために、(2)の表現を用いている。
・文全体のおおまかな内容は、「私は農業を、~としてではなく、…として評価するようになった」だが、伊藤先生の訳は、ここから工夫がなされているので、as句がvalueに対する修飾語だとはわかりにくいもの
となっている。

 

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Chapter13 比較の特殊問題  

 

① no ... 比較級[so」 ... than[as]

 

【13.1.1】
<設問>
Q1[L1] where節の終点はどこか。 
・throw ~ open→「~を開け放つ」

 

<解答・解説>
Q1 England
・前置詞句のthan Englandは more readilyを修飾するゆえ、文末までが節。なお、このthanが副詞のmore readilyを修飾するということと、このthanが前置詞だということが理解できない場合は、「COMPLETE」p.276~p.277を読むこと。
・where節はcountryを修飾するので、この文全体は「イギリスより、いつも家庭生活が友人、そして、見知らぬ人にさえも、快く解放されているゼロの国がある」という訳になるが、これでは不自然なので、伊藤先生の訳のようにする。

 

【13.1.2】
<設問>
Q1[L1] nothingの後ろには関係代名詞のthatが省略されている。このthat節の終点の語を答えよ。
Q2[L1] moreの品詞は何か。
Q3[L1] thanの直後のthatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 contented

Q2 副詞

Q3 A-0
・ここはまず、nothing以下を①、②の関係に戻してみよう。

  ① nothing
② I want nothing more than that you should be happy.

  moreは「たくさん」という意味で、動詞wantを修飾する副詞muchの比較級である。②の文は、副詞muchを基準にして、nothingとthat節を比較している文だとわかる。nothingは名詞なので、これの比較対象語であるthatもまた名詞節である。
つまりこの文は、「私は、あなたが幸福で満足しているということよりも、たくさん望むことはない」という意味だ。訳は「あなたが幸福で満足しているということよりも、私が望むことはない」としたほうが自然になる。
この②を①に対する修飾語としたものが次の表現である(関係代名詞はthatを用いることにする)。

   nothing that I want more than that you should be happy
(あなたが幸福で満足しているということ以上に、私が望むゼロのこと)

  そして、ここからthatを省略したものが、本文のnothing以下である。
・以上をふまえれば、文全体の意味は、「あなたが幸福で満足しているということ以上に、私が望むゼロのことがある」となるが、これでは不自然なので、「あなたが幸福で満足しているということよりも、私が望むことはない」とする。
・結局、上の②の文と同じ訳になってしまった。本文は、実質的には、②と同じ意味なのである。伊藤先生の解説でも、そのことが述べられている。

 

【13.1.3】
<設問>
Q1[全文] この文の比較対象語は何か。
Q2[L1] whenは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 neverとwhen節
・文全体の大まかな内容は、「彼にとっては、ゼロの時(never)が、他人を幸福にしようと努力している時(when節)と同じくらい幸せだ」。これはもちろん、「~の時に最も…」という意味内容の文である。

Q2  C-3
・when節は、副詞neverの比較対象語なので、副詞節である。よってC-3だということになる。

 

【13.1.4】
<設問>
Q1[全体] 比較対象語は何と何か。
Q2[L1] toward句はどこを修飾するか。
Q3[L2] todayはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 nowhereとin Africa
・文全体の大まかな意味は「独立への前進はアフリカと比べてゼロの場所で、より明らかだ」。もちろんこれは「アフリカにおいて最も明らかだ」という内容。

Q2 progress

Q3 Africa
・「英語の基本」p.65参照。

 

【13.1.5】
<設問>
Q1[L1] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 X:experiences  Y:that/which are
・形容詞satisfactoryは等級のso satisfactoryになっており、また、この形容詞を修飾する副詞quiteが前に存在するが、この部分「英語の基本」p.367の例。副詞からはじまるという点で、「英語の基本」p.397のパターン。

Q2 和訳参照
・この文は、「there  be動詞  名詞(この部分に否定語がある)+関係代名詞節(その内部が比較表現)」という点で、13.1.2と同じ。
たしかに、同じ「比較表現」でも13.1.2は比較級であり、本文では等級であるという点では異なり、また、否定語が13.1.2ではnothingであり、こちらではfewであるという点も異なるが、大筋は同じである。よって、本文全体の訳は、13.1.2と同じように、先行詞+関係代名詞節の部分を①、②に戻した場合の②の文と、実質的には同じになる。
・ではこの文でも①、②に戻してみよう。まずは本文に、関係代名詞+be動詞を復元させる。

  There are few experiences which are quite so satisfactory as getting a good idea.

 この文のfew experiences以下を、①、②の関係に戻そう。

  ① few experiences
② Few experiences are quite so satisfactory as getting a goodidea.

 ②の文は、「よい考えを思いつくことほど満足を与えてくれる経験はほとんどない」という意味である。そして、これがそのまま本文の訳となるのである。

  

【13.1.6】
<設問>
Q1[L1] what自体の要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 S
・whatの直後にcan beという述語が存在するので、whatはS。
・本文は、そのまま訳せば、「このミスに比べて、何がより自然でありえるだろうか?」となる。これはつまり、「このミスよりも自然なものはありはしない」ということだ。表面的には尋ねている文だが、実際には平叙文と同じように、尋ねているのではない文。レトリック(修辞)上、疑問文という形を用いているだけ。いわゆる修辞疑問文。

 

【13.1.7】
<設問>
Q1[L1] 第1文の文型は何か。
Q2[L2] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)を補うことができる。X、Yを答えよ。Yは2語以上である。
Q3[L3] oneは何を受けるか。
Q4[L3] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)を補うことができる。X、Yを答えよ。Yは2語以上である。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン⑤
・第1文は、形式目的語-真目的語の構文。「英語の基本」p.291で扱ったこの文型は、文全体が第5文型パターン①のものと、第3文型のものだったが、この文は、第5文型パターン⑤である。構造を示そう。

  We(S) indeed(動修) hear(V) it(仮O) not seldom said (C)  that SV(真O).

・CはVed句だが、先頭がsaidではないということに注意せよ。saidが副詞のseldomによって修飾されており、さらに、seldomはnotに修飾されているので、notがまとまりの先頭である。「notからはじまるVed句」は「英語の基本」p.400にある(上のようなCとしてはたらく例ではなく、名詞修飾語としてはたらく例だが)。

Q2 X:spoken    Y:than this
・thisは第1文のthat節を指す。するとA falser word was never spoken than thisで、「これほど間違ったことが言われたことはない」となる。「than以下の省略」は、「COMPLETE」p.283で既習。

Q3 word

Q4 X:one    Y:was never spoken than this
・was spokenが、前半と共通なので省略されている。この語は「共通部分の省略」の例である。 そして、spokenの後ろと同様に、ここでもthan thisが省略されている。
・本文のand以下は、文末にthan thisのみならず、was spokenが省略されているという点だけでも難しいのだが、wordの代わりに代名詞のoneが用いられているという点、更に、否定語のhardly(ほとんど~ない)が、前半のneverとは異なった位置(文頭)にあるという点も難しい。
前半のneverは、wasとspokenの間に存在している。この位置に否定語が置かれた場合は読みやすいのだ。上の文のhardlyを、wasとspokenの間に移動させてみよう。

  and a more mischievous one was hardly spoken than this

 この文は、かなり読みやすいはずだ。ところが、本文では、was spokenが省かれているため、このままの位置にhardlyを残すと、a more mischievous one hardlyとなり、不自然な文となる。そこで、hardlyを先頭に出しているのである。
本文の第2文は、かなり難しい文である。繰り返し音読・筆写をすること。

  

【13.1.8】
<設問>
Q1[L1] oursを2語で書き換えよ。
Q2[L1] beforeは主に前置詞、従位接続詞、副詞であるが、本文ではいずれか。
Q3[L1] in historyの要素を答えよ。
Q4[L2] この行においては、ある語(X)の後ろに、ある語(Y)が省略されている。X、Yを答えよ。なおYの語数は指定しない。
Q5[L1] 第2文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 our age

Q2 副詞
・ 「かつて」「これまで」という意味。動詞beenを修飾する。文全体は「否定語+真偽疑問文の語順の倒置」だが、本文では否定語のneverが、「before+これを修飾するin句」を引き連れて文頭に出ている。「他のものを引き連れた倒置」は、「COMPLETE」p.356で既習。

Q3 副詞修飾語
・beforeを修飾する。beforeは、in historyによって修飾されているので、「かつて」は「かつて」でも、あくまで歴史時代の範囲に限定される。逆に言えば、先史時代はそのようなことがあった可能性は残ることになる。

Q4 X:himself    Y:as now
・伊藤先生はas in this ageを補っているが、もちろんそれも正解であるし、as in our ageでもいいだろう。

Q5 和訳参照

 

【13.1.9】
<設問>
Q1[L1] 文頭からdoubtまでを訳せ。
Q2[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q3[L2] moreの品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 疑いはほとんどないようだ。
・「There  be動詞  名詞」のbe動詞の位置にseemが入り込んでいる例。【10.2.7】で既習。確認せよ。

Q2 B-0
・後ろにOの欠けなし。もちろん同格のthatである。

Q3 副詞                          
・moreはbenefitedを修飾する。                

 

【13.1.10】
<はじめに>
ここでは「as,than以下の前方移動」というテーマを扱います。まず,次の文の意味と,元のペアを考えてみてください.そして,どのような
プロセスを経てこの文が完成したかを考えてみてください.ぜひ紙に書き
がら考えてください.パズルを解くような面白さが味わえるはずです.

 My son is as satisfied as my wife with our new house.

  as my wife withの部分が,かなり異様に感じられるかもしれません.
ところが,ペアに戻してみると,このような構造の文が生まれた理由が明らかになります.

① My son is satisfied with our new house.
(息子は新居に満足している)
② My wife is satisfied with our new house.
(妻は新居に満足している)

このペアにおいて,比較対象語はMy sonとMy wifeであり,比較の基準となる語は,形容詞satisfied(満足している)です.共通部分はisとwith our new houseです.
このペアから完成する文は,次のものです.

My son is as satisfied with our new house as my wife.
(妻と同様に,息子も新居に満足している)

共通部分はともにカットしました.
さて,この文のように,等級の形容詞/副詞と,文末のas以下が,やや離れている場合に,文末のas以下が前方に移動することがあるのです.上の例で,as my wifeをas satisfiedの後ろに移動させると,文は次のようになります.

 My son is as satisfied as my wife with our new house.

 これが最初に示した文なのです.
もう一つ見ましょう.これもやはり,文の意味と元のペアを考えてください.

My daughter is more interested than my wife in cooking.

元のペアは次のとおりです.

① My daughter is interested in cooking.
(娘は料理に興味を持っている)
② My wife is interested in cooking.
(妻は料理に興味を持っている)

比較対象語はMy daughterとMy wifeであり,比較の基準となる語は形容詞のinterestedです.共通部分は,isとin cookingです.
このペアから完成する文は次のものです.共通部分はカットしました.

  My daughter is more interested in cooking than my wife.
(娘は妻よりも料理に興味を持っている)

さて,この文のように,比較級の形容詞/副詞と,than以下が少し離れている場合も,than以下を前方に繰り上げることがあるのです.than my wifeをmore interestedの後ろに繰り上げましょう.文は次のようになります.

  My daughter is more interested than my wife in cooking.

  以上をふまえたうえで設問に入ります。

<設問>
Q1[全文] この文では、ある部分が移動することにより、文が変形している。変形する前の文はどのような形か。
Q2[L1] moreの品詞は何か。

<解答・解説>
Q1 The poet more tries to look at words afresh than any other writer.
・than以下の繰り上がっている。

Q2  副詞
・moreは副詞muchの比較級で、triesを修飾する。つまり「よりたくさん努力する」のである。

 

【13.1.11】
<設問>
Q1[L1] than everを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 これまでより
・成句として記憶すればよい。なお、伊藤先生はこの文の上の部分で、everの後ろにbeforeが置かれうることを指摘している。実際、本文でも置かれている。
・inはもちろんbeforeを修飾する。13.1.8で既習。

 

【13.1.12】
<設問>
Q1[L1]  I may sayを訳せ。
Q2[L3] 本文のような「X …  as ~ as any」は、最上級と同じ意味があるか、それともないか。
・the nature of life→「生命の本質」

<解答・解説>
Q1 私は言える/言ってよい
・mayは「可能」の意味。

Q2 ない。
・まずは次の3文を見よ。

No other girl in her class is as beautiful as Meg.
(クラスでメグほど美しい少女はいない)
Nobody in this school is so handsome as Joe.
(この学校で、ジョーよりもハンサムな人はいない)
Nothing else is as precious as air.
(空気ほど貴重なものは他にない)

「否定語+as/so  ~ as … A」という型は、最上級と同様の意味を持つ。一方、「A … as  ~ as than any」は「一番」の意味にはならない。「誰/どれにも劣らないほど」という意味に止まるのである。例文を見よう。

Meg is as beautiful as any other girl in this school.
(メグはこの学校で誰にも劣らないほど美しい)

 

② no more ... than,etc.  

[イントロダクション]

この「② no more ... than,etc.」は話があちこちに飛び、攻略が苦しいところなので、例文を読む順を、以下のように並び換えたうえで読み進めます。
11→7→8→13→9→12→5→1→2→3→4→10→14→15→16→6
いくつか、非常に難しい文がありますが、苦しさを感じたら一度目は飛ばしてもかまいませんので、何とかこの山を越えてください。

 

【13.2.11】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・文頭のcontrary to ~を、「~とは異なり」「~とは対照的に」という意味の群前置詞だと見抜けたかが1つの勝負。
・文全体は比較級の否定文だが、これは「COMPLETE」p.275で既習。

 

【13.2.7】
<設問>
Q1[L1] moreの品詞は何か。
Q2[L2] merelyはどこを修飾するか。
Q3[L2] by knowing句はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 副詞
Q2 by句
Q3 writeとcompose
・これについては以下をじっくり読むこと。

*********************************
[2文に還元して考えることの大切さ]
「COMPLETE」では、等級,比較級の文に関しては,文のペアを用意し,これが合成されて1文になる様子を見てきましたが,この考え方を知っておけば,逆に,1文を2文に戻すことができるようになります.そしてこれによって,文の正確な理解に至ることが多いものです.
そのことを,この【13.2.7】を読み解くことによって実証しましょう.
さて,この文には、no more … thanの形が存在します.この型の文では,後半を否定の意味で取るのでした.そして,それと同じように前半部分も~でない,というのが文全体の意味でした(「COMPLETE」p.286参照).よってこの文の訳は,「単に規則を知るだけではいい音楽が
作れないのと同じように,いい英語は書けない」となります.
ただ,この訳は工夫の余地があります.文末のmerely by knowing the rulesは,composeのみならず前半部分のwriteをも修飾するのですが,2箇所を修飾するということが明示された訳のほうが,より親切なものだといえます.
さて,そもそも,なぜ文末のmerely by knowing the rulesの部分が,composeのみならず,writeをも修飾するといえるのでしょうか.一つの語句が二箇所を修飾するなどということは,やや奇妙に思えます.なぜ,このようなことが起こり得るのでしょうか.
それは,上の文をペアに戻すことによって明らかになります.話をわかりやすくするために,noは取り払ったうえでこの文をペアに戻してみてください.ぜひ紙に書いて考えてください.
次のペアに戻ります.

 ① One can much write good English merely by knowing the rules.
(単に規則を知るだけで,いい英語がたくさん書ける)
② One can much compose good music merely by knowing the rules.
(単に規則を知るだけで,いい音楽がたくさん作れる)

 つまり,merely by knowing the rulesは,いずれの文にも存在していたのです.このペアの,①のmuchをmoreにして,②の前にthanを置き,②のmuchを消去し,②における①との共通部分であるmerely by knowing the rulesを消去したうえで,①を②をつないだのが次の文です.

  One can more write good English merely by knowing the rules than one can compose good music.

この文では,moreとthan以下が,かなり離れているので,than以下を前方に移動させます.「than以下の前方移動」は,【13.1.10】で扱いました.そこで扱ったものは比較級の直後への移動でした.この文では直後ではなく,その少し後ろへの移動になっています.イメージ図を示しましょう.【 】の内側が、繰り上がったthan以下です。

  One can more write good English 【than one can compose good music】 merely by knowing the rules .

なお,移動させたthan以下の終わりの部分をはっきりと示すために,この文では,musicの後ろにカンマが打たれています。
そして,このmoreの前にnoを置いたのが本文なのです.
さて,than以下を前方に移動させたことにより,writeと,これを修飾する「merely+by+動名詞」以下が離れてしまいました.このことも原因となり,「merely+by+動名詞」は一見すると,composeだけしか修飾しないように思えるのですが,ペアに戻すと,もともとはwriteもcomposeも,「merely+by+動名詞」によって修飾されていることが明らかです.よって、本文でmerely by knowing the rulesを見た際には,文全体の意味を考えたうえで,「この句は,元のペアでは,Englishの後ろにもあったのだ.ゆえにこれは,composeのみならずwriteも修飾するのだ」と見抜くのです.
「2文を1文にする」というプロセスを知っているからこそ,元に戻すことができ,正しい解釈に至ることができるのです.
以上をふまえて,訳をより適切なものにしていきましょう.

単に規則を知るだけでいい音楽が作れないのと同じように,単に規則をるだけではいい英語は書けない.

「単に規則を知るだけでは」は二度出したのです.こうすれば,「merely+by+動名詞」がcomposeのみならずwriteをも修飾するということがはっきりと伝わります.訳し下した次の訳でもかまいません.

単に規則を知るだけではいい英語は書けないが,これは,単に規則を知るだけでいい音楽が作れないのと同じだ.

 

【13.2.8】
<設問>
Q1[L1] moreの品詞は何か。
Q2[全文] この文のどこかの語(X)の後ろに、4語(Y)補える。X、Yを答えよ。なお、Xは文末のstillではない。

 

<解答・解説>
Q1 副詞
・moreは動詞changedを修飾している。

Q2 Ⅹ:than    Y:it would (have changed)
・まずは次の文を見て欲しい。

  I feel happier when I’m alone than when I’m with you.
(君といるよりも一人でいる時のほうが幸せだ。

 than以下は、when節だが、when節は従属節である。従属節だけの文は原則として存在しないので、この文を①、②のペアに戻す際には、than以下に主節を補わなくてはならない。次のペアに戻る。

  ① I feel happy when I’m alone.
② I feel happy when I’m with you.

 ②にI feel happyを補ったのだが、これは易しい。なぜなら、①と全く同じ主節を補えばいいからである。ところが、本文では補う主節が、「if節の形、内容から自分で推測しなくてはならないもの」であるがゆえに極めて難しい。
・no more … than構文においては、than以下を「~でないのと同様に」と否定文として訳すのだが、本文では問題が発生する。例文:13.2.7では、前半部分にno more write があり、副詞moreが動詞writeを修飾していた。そして、than以下に動詞composeがあり、これの元がmuch composeであり、writeとcomposeが対応するものととらえ、「全くcomposeできないとの同じように、writeできない」と理解することができたところが、この本文では、前半のchangedに対応する動詞が、後半にないのだ。
たしかに、if節の中にstood stillという動詞部文があるが(stillは動詞を修飾している。stand stillで「じっとしている」)、ここをchangedと対応するものだと考えると、「全くじっとしていなかったのと同様に、景色が変わらなかった」となってしまい、意味が不明だ。また、そもそもthan以下に主節がない。すると、主節を補い、その動詞部分が前半のchangedと対応するのではないかを予想する。
・ここで次の例を見てほしい。

  I danced better than if Meg had helped me.

 than以下は、「if+S+had+過去分詞形」であり、これは、過去のことに対する仮定を示す「仮定法過去完了」だ。この文は、本来は次のペアがあったと考えられる。

  ① I danced well.(私は上手に踊った)
② I would have danced well if Meg had helped me.
(メグが助けてくれていたら、私は上手に踊っただろう)。

 実際に踊った上手さと、助けられていた場合に踊っただろう上手さを比較している。比較対象語は、danced(実際)と、would have danced (推量の世界)だといえる 。ただ、would have dancedは、if節によって修飾されているので、このif節も含めて比較対象語だと考えられる。比較の基準となる語は、もちろん副詞wellである。
さて、このペアから比較級の文を作るには、次の操作を加える。

 ・①のwellを比較級のbetterにする。
・②の文頭にthanを置く。
・②のwellを消去する。
・①と②をつなぐ。

 この結果、次の文が得られる。

  I danced better than I would have danced if Meg had helped me.

 和訳は、「私は、メグが助けてくれていたら踊っただろうよりも、うまく踊った」となるが、ややただたどしいので、「私は、メグが助けてくれていた場合よりも、うまく踊った」とシンプルな訳にしよう。
さて、この文のthan以下は、if節があれば主節の内容が推測できるので、主節はカットしてもかまわない。この結果、 

  I danced better than if Meg had helped me.

 となり、これが最初に示した文なのである。
このように、than以下においては、「主節が存在しないif節」が存在することがあるので、その場合は、適切な内容を補いながら理解しなくてはならない。
・本文も同じである。この文のthan以下に本来は、it would have changedという表現が存在していたのである。これを見抜き、「静止していた場合にちっともchangeしなかっただろうのと同様に、実際もchangeしなかった」と理解しなくてはならないのである。
・no more … than構文は、than以下に否定語がないのに、これを否定で訳さなくてはならないという点ですでに難しいのだが、本文は、否定で訳すべき部分がそもそも消えているという点で、極めて難しい。

 

【13.2.13】
<はじめに>
例文:13.2.7と13.2.8で、「no+比較級」を見ましたが、これらの比較級は、いずれもmoreが用いられるものでした。ところが、「no+-er」という型も存在します。

 

<設問>
Q1[L1] on the ground thatの4語は、ひとまとまりで1つの品詞だと考えられる。どの品詞か。
Q2[全体] 文全体を、①、②のペアに戻すとどうなるか。なおnoは取り払って考えること。

 

<解答・解説>
Q1 (従位)接続詞

  • 「英語の基本」p.245の③参照。
  •  

Q2  ① If you choose your friends on the ground that you are     virtuous and want virtuous company, you are near to true friendship.
② You would be near to true friendship if you choose them for commercial reason.
・本文全体は、「if節+主節+than+if節」。ここでもやはり、than以下がif節のみなので、主節の内容を補いながら理解しなくてはならない。例文:13.2.8とは異なり、この例ではif節の内部が「S+過去形の動詞」である。「仮定法過去完了」ではなく、「仮定法過去」の例だ。よって、補う主節の形は、「S+過去形の法助動詞+原形の動詞」となる。
・このペアでは「if節+are」と、「would be+if節」が比較対象語だと考えられる。
・比較の基準となる語は形容詞near。つまり、「有徳な自分にふさわしい徳のある人が必要だと思って友達を求める場合に得られる友達と、商売上の理由で友達を求める場合に得られる友達に関して、どちらがより真の友情に近いか」という比較なのである。
・この文に以下の操作を加える。

  ・①の形容詞nearを比較級のnearerにする。   
・②の文頭にthanを置く。
・②のnearを消去する。
・①と②をつなぐ。

・この結果、次の文が得られる。
If you choose your friends on the ground that you are virtuous and want virtuous company, you are nearer to true friendship than you would be to true friendship if you choose them for commercial reason.

 than以下の主節は、なくても意味が通じるので、カットしよう。すると、次のようになる。

  If you choose your friends on the ground that you are virtuous  and want virtuous company, you are nearer to true friendship than if you choose them for commercial reason.

 この文は、「自分が徳をそなえており、有徳な友が必要だという理由で 友人を求めれば、商売上の理由から友人を選ぶよりも、より真の友情に近づくだろう」という意味だ。 
そして本文では、nearerにnoが加わっているので、than以下を否定の意味で読まなくてはならない。
・than以下のどの部分を否定で読むかは、戻した②の文から明白だ。ここに存在するnearを否定で読めばいいのである。よって、文全体の大まかな内容は、「商売上の理由で友人を選ぶ場合は、真の友情に近付いたりはしないが、これと同様に、自分が人徳者だからという理由で徳を求めて友人を選ぶ場合も、真の友情に近付かないのである」ということになる。
・伊藤先生の訳は、前からの訳。つまり、「Bでないのと同様に、Aでない」とせずに、「Aないのは、Bでないのと同様だ」としている。no more … thanは多くの例において、このように訳し下すことも可能である。

 

【13.2.9】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「no=not any」である。そして「no more ... than = not ... any more than」である。
・文全体は、「自然界において、物事が突然、また、準備もなく起こったりしないように、歴史の中においても、物事が突然、また、準備もなく起こったりしない」という意味だとわかる。この訳ではたどたどしいので、「自然界において、物事が突然、また、準備もなく起こったりしないように、歴史の中においてもそのようなことは起こらない」とするか、あるいは、伊藤先生のように前から訳しても構わない。

 

【13.2.12】
[イントロダクション]
ここは、例文の前にある伊藤先生の解説をまずは読むこと。

 

<設問>
Q1[L1] sheは何を指すか。
Q2[L2] この文のnoがnotの意味で用いられているが、なぜそのように判断できるか。

 

<解答・解説>
Q1 (The) Church
・フランス語やドイツ語とは異なり、英語には、原則として、名詞ごとの性の区別はないが、かつての名残で、わずかながら見られる。ここがその例。Churchをitで受けずに、sheで受けている。

Q2 前半の内容と矛盾するから
・but以下の文は、no more ... than。この型の文では、than以下を否定の意味で読むのだった。するとこの文は、「封建君主が腐敗していなかったのと同様に、教会も腐敗していなかった」という意味だということになり、前半の内容と矛盾する。よって、このno moreは、not moreの意味で用いられているものだと考えを改める。
・なお、後半の訳は、伊藤訳よりも「封建君主ほどには腐敗していなかった」のほうがわかりやすい。

 

【13.2.5】
<設問>
Q1[全文] ①、②のペアに戻すとどうなるか。なお、その際にはnotは取り払って考えること 。
Q2[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 ① The quality is indispensable to a man in order to live alone.
(その性質は、人にとって、ひとりで生きていくために必要である)
② It(=the quality)is indispensable to man to enable him to cooperate with his fellows.
(その性質は、人が仲間と協力をすることを可能にするために必要である)
・本文は、than以下が非常に読みにくいはずだ。it is to enableの部分がSVC や、助動詞のbe+to V(「英語の基本」pp.54-55)に見えてしまう。ところが落ち着いてペアに戻せば、この部分の構造も見抜ける。
・ペアの、それぞれの文構造を解説する。①では、to a manは形容詞indispensableを修飾する。in order to Vは、「英語の基本」p.336で扱った。《準動詞の一覧表 》のC-1のtoV句と同質なので、動詞is(~である)を修飾するということになる。in order toV句の内側は、第1文型。なおto a manは、「人にとって」とせずに、「人が」としたほうがより自然な訳となる。 
・②にも、動詞修飾語としてはたらくtoV句があるが、こちらにはin orderが存在しない。また、toV句の内側が、第5文型パターン③なので少し読みにくい(enableは「COMPLETE」p.129のリストにアリ)。このtoV句は、動詞isを修飾する。
・さて、このペアの比較対象語は何だろうか。また、比較の基準となる語は何だろうか。
比較の基準となる語は、もちろん形容詞indispensableである。比較対象語は、in order toV句と、toV句である。つまり、This qualityが、「人が一人で生きるため」と、「人が仲間と協力することを可能にするため」のどちらの際に不可欠かと比較している。
仮に、人が一人で生きるために、「より不可欠」であれば、①のindispensableをmoreにすることになる。逆の内容を表したければ、①のindispensableをless indispensableにする。この場合に完成する文が次の文。

  The quality is less indispensable to a man in order to live alone than it is indispensable to enable him to cooperate with his fellows.

  この文を否定文にしたのが、本文である。本文の訳は、「この性質は、人が仲間と協力をすることを可能にするために不可欠であるよりも劣ることなく、人が一人で生きていくのに不可欠だ」となる、これでは不自然なので、伊藤先生の訳のようにする。伊藤訳にある「絶対」という言葉は、「劣ったりなどしないのだ」というニュアンスから生じるもの。

Q2 和訳参照

 

【13.2.1】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・「COMPLETE」p.288に類例アリ。
・伊藤先生の解説部分では、例文:13.2.1は、次のように表現されることもあるということが指摘されている。

  She is beautiful no less than her mother.

 つまり、形容詞の前にあるはずのlessが、noの後ろに移動したパターンもあるということ。この知識は、次の例文:13.2.2を理解するのに役立つことになる。

 

【13.2.2】
<設問>
Q1[L1] no lessは、ある語の前に移動させることができる。どの語か。
Q2[L2] advancedの後ろに名詞1語を補うとすると何か。  

 

<解答・解説>
Q1 miraculous
・同じ「less+形容詞」であっても、例文:13.2.1では、形容詞はCとしてはたらいていた。一方、この文では、形容詞が名詞修飾語としてはたらいている(miraculousがpowerを修飾)。どちらのパターンにも対応できなくてはならない。
・no less ... thanなので、ここでももちろん、than以下は肯定の意味である。

Q2 organism
・文全体は、 「最も高等な生物に、奇跡的な力があるのと同様に、最も下等な動物にも劣らず奇跡的な力がある」という内容だということになる。

 

【13.2.3】
<設問>
Q1[L1] lessは「COMPLETE」p.296の表の何番のものか。

 

<解答・解説>
Q1 ④
・p.296の表のとおり、lessは多様だが、この多様性は、no less ~ than構文の多様性につながる。
・さて本文だが、encouragedまでの部分は、第3文型の受動態だ。その後ろにlessがあるので、これは動詞のbe cherished and encouragedの部分を修飾する、副詞のlittleの比較級だということになる。そして、このlessがnoによって修飾されているので、よって「少なくなく(→大いに)、大切にされ、育成されるべきだ」という内容となる。
・than以下のabilityは、文頭のmoral character and good healthと対応関係にある。abilityの後ろにはshould be cherished and encourageが省略されているのだ。よって、「才能が大いに大切にされ、育成されなければなならないのと同じように、道徳的品性や健康も大切にされなくてはならない」というのが文全体の内容だということになる。
・伊藤先生は、やはり「前からの訳」としている。

 

【13.2.4】
<はじめに>
no more ... thanも、no less ... thanも、...の部分が名詞である例があります。それぞれの例を見ましょう。

  A:Bob is no more an expert than Tom.
(トム同様に、ボブも専門家ではない)
B:Bob is no less a genius than Tom.
(トム同様に、ボブも天才だ)

 さて、Bの型の文に出会った場合に、「~同様に、…もXだ」という意味で解して問題なければいいのだが、例文:13.2.4のようなパターンもあります。ここでは、あてずっぽうでいいので、次の設問を解いてみてくださ。

 
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・この文を<はじめに>で示したBのように、「大統領が人であるのと同様に、彼は人である」と理解したのでは意味不明だ。Bの型の文は、伊藤先生の訳で示されているような意味になるということを知り、この文を暗記せよ。
さて、このChapter13の「② no more … than,etc」では、例文の順序を入れ替えて攻略している。ここまでに全16文のうち、11文を見終えた。ここまでは以下の型に関する内容であり、メインだといえる。

  no more ... than
not more ... than
no less ... than
not less ... than

 ここからの4文(13.2.10、13.2.14、13.2.15、13.2.16)は、比較に関してする成句として処理すればいいだけのものである。

 

【13.2.10】
<設問>
Q1[L1] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・no more thanは、「~しか」「わずか~」「せいぜい~」。直後が数値であることが多いが、本文のように名詞である場合もある。この場合も上掲の訳でいける。つまり「せいぜい~にすぎない」とすればよい。

 

【13.2.14】
<設問>
Q1[全文]  全文を訳せ。 
※未修の表現が含まれているのであてずっぽうでよい。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・do more than+Vは「V以上のことをする」。未修の表現だが、1つ1つの語の意味を拾っていけば理解しうる文かもしれない。なお、「彼はその問題に対する解決法を発見する以上のことをした」という訳では少し不自然なので、伊藤先生は工夫をされている。
・最後の前置詞句は、solutionsを修飾する。

 

【13.2.15】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。 
※未修の表現が含まれているのであてずっぽうでよい。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・cannot/can never do better than Vは「Vするのが一番よい」。これも未修の表現だが、やはり1つ1つの語の意味を拾っていけば理解しうる文かもしれない。

 

【13.2.16】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。 
※未修の表現が含まれているのであてずっぽうでよい。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・not do other than V(Vするほかない)。これも未修の表現だが、not doとother thanを合わせれは「Vする以外のことはしない→Vする他はしない」となり、上の訳にたどりつけるかもしれない。
・notの前にcanがあるので、「Vするほかない」ではなく、「Vするほかはできない」となる。

    

【13.2.6】
<はじめに>
次の文の意味を考えてみてください.
The large castle has as many rooms as my small house, but each room is very large.
主語がthe large castleであることの影響もあり,この文のas many roomsの部分は,「多くの部屋」という意味で感じてしまうかもしれません.ところが,その後ろの比較対象語は,my small houseです.たくさんの部屋がある建物ではありません.よって,このas many roomsは「同じくらい部屋が多い」ではなく,「部屋の多さが同じ」という意味の文なのだということがわかります.「COMPLETE」p.290の、(1)の意味なのです。文の訳は,「この大きな城の部屋数は私の小さな家と同じだ.しかし,それぞれの部屋はとても大きい」となります.なお,小さな家と同じ部屋数だということは,部屋の数が少ないと考えられるので,「同じだ」を「同じでしかない」と訳してもかまいません. このように,本来は「多い」という意味のmanyが,「少ない」という意味にすら感じられる例もあるのです.

 

<設問>
Q1[L1] anyから文末までを訳せ。
Q2[L2] aboutはどこを修飾するか。
・a beef bone→「牛肉のついた骨」。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・successfulというプラスの単語を等級で用いながら、2つ目のas以下が「成功しない」例なので、successfulと反対の意味になる例。<はじめに>で示した文と同様である。
・attemptの後ろのtoV句は、一覧表のB-1(同格)。

Q2 as successful
・「同じくらい」の意味。「COMPLETE」p.285の上のリスト参照。
・さて、このChapter13の「② no more ... than,etc.」の内容は、以下の4つの表現に関するものがメインだった。

  no more ... than
not more ... than
no less ... than
not less ... than

 ところが、この例文:13.2.6のみが、as ~ asに関連するものであり、ここだけが「仲間外れ」のように思えるが、ある点において、上の4つの表現のいずれかと共通である。どの表現と、どのような点において共通しているかわかるだろうか。
・no more ... thanである。次の文を見よ。

  Bob is no more handsome than Tom.

 これは、「トムと同様に、ボブはハンサムではない」という意味である。handsomeという単語を用いていながら、実際には「ハンサムではない」という逆の意味になる。この点、例文:13.2.6では、successfulという語を用いておきながら、「成功の見込みがない」という反対の意味である点で同じなのである。

 

③ the+比較級

 

【13.3.1】
<はじめに>
まずは次のペアを見ください.

 ① He worked hard.(彼は一生懸命働いた)
② He felt happy.(彼は幸せに感じた)

さて,このペアにおいて,hardの高まりの度合いと,happyの高まりの度合いが,比例関係にあったということを述べたいとします. つまり,「一生懸命働けば働くほど,彼はより幸せに感じた」「一生懸命働くにつれて,彼はいっそう幸せに感じた」という内容を表現したいのです。このような比例関係を表す文を作るには,文に次の四つの手順を加えます.

<手順1>  両方の文の形容詞/副詞を比較級にする.
<手順2>  比較級の前にtheを置く.
<手順3>  両方の「the+比較級」を文頭に移動させる[比較級が形容詞で,名詞を修飾している場合は名詞も出す.名詞がSの場合は,移動はない].
<手順4>  2つの文をカンマでつなぐ.

 上のペアにこの手順を加えると,次の文が完成します.

  The harder he worked, the happier he felt.

 これが,求められる意味の文なのです.
他の例に進みましょう.次のペアを見てください.

 ① He read many books.(彼は多くの本を読んだ)
② He became modest.(彼は謙虚になった)

 このペアから,「彼は本を読めば読むほど,よりいっそう謙虚になった」「彼は本を読むほどに謙虚になった」という意味の文を作ることを考えます.形容詞manyと,形容詞modestが比例関係にあったということを表現したいのです.どのような文が完成するでしょうか.上の手順を参考にして,自分で完成させてみてください.完成したら下に進み,答えあわせをしてください.
まず,①のmanyと,②のmodestを比較級にします.それぞれ,moreとmoremodestになります. 次に,比較級の前にtheを加えたうえで,「the 比較級」を文頭に出します.①はbooksも出すということに注意してください[<手順3>参照].そして,この二つをつなぐと,次の文が完成します.

 The more books he read, the more modest he became.

今度は例文から,元のペアを推測してみます.次の文は,どのようなペアに戻るでしょうか.

  The more she danced, the more beautiful she became.
(彼女は踊れば踊るほど美しくなった)

この文は,次のペアに戻るのです.

 ① She danced much.(彼はたくさん踊った)
② She became beautiful.(彼女は美しくなった)

 ①のmoreの元の姿は,副詞のmuchです.動詞dancedを修飾します.一方,②のmoreは,形容詞beautifulの比較級の一部なので,元のペアに戻すと,moreは消えます.

 

<設問>
Q1[全文] この文をペアに戻すとどうなるか。   

<解答・解説>
Q1 ① Mankind much widens and deepens the scientific habit of
mind.
② It will prosper much.
・moreは、いずれも動詞修飾語としてはたらく副詞のmuchに戻る。①のmuchは、文末に置いても絶対に間違いとはいえないが、動詞から離れすぎるので、上の位置に置いたほうが自然になる。②のmuchは、prosper の前に置くことが可能。
・本文で難しいのは、The more mankindの部分を、many mankindが元になっているのだと勘違いしてしまいがちだという点である。ところが、そのように考えるのであれば、「より多くの人間が、科学的な考え方を習慣を拡大深化すればするほど」という意味になる。こう考えるよりも、「人間が、よりたくさん、科学的な考え方を習慣を拡大深化すればするほど」と考えたほうが自然になる。

 

【13.3.1 参考】
<設問>
Q1[全文] ペアに戻すとどうなるか。 

 

<解答・解説>
Q1 ① A fact is associated with many other facts in the mind.
(ある事実が頭の中で他の多くの事実と結び付けられる)
② Our memory keeps good possession of it.
(我々の記憶は、それ<=a fact>をよく記憶する)
・factが複数形のfactsになっているので、moreの原級は、名詞factを修飾する、形容詞manyだとわかる。なお、manyとfactsの間にotherが存在している(これもmanyと同様に、factsを修飾する)。このotherは、挟まれたまま文頭に出る。  
・後半のthe better possessionもやはり、「名詞修飾語+名詞」が前に出ているが、possessionがof itによって修飾されているので、これも出ている。
・betterはgoodの比較級なので、keeps better possessionは、元に戻すと上のようにkeeps good possessionとなる。なお、このgoodは善悪の「良い」ではなく、「しっかりとした」「確固たる」という意味である。
与えられた文の和訳は、伊藤先生の解説部分を見ること。

 

【13.3.2】
<はじめに>
「the 比較級,the 比較級」においては、文の一部が省略されることがあります。このことを念頭に置いたうえで、設問に挑んでください。

 

<設問>
Q1[L1] the greater以降を、元のペアに戻すとどうなるか。
Q2[L2] languageの要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 ① The language difference is great.(言語の違いが大きい)
② The cultural distance is great.(文化の違いが大きい)
・the greater以降は、前半にも後半にも動詞がない。be動詞の省略を疑う。元のペアでは存在していたbe動詞が本文では消えているのである。

Q2 名詞修飾語
・「英語の基本」p.83参照で既習の名詞の形容詞的用法。

 

【13.3.3】
<設問>
Q1[全体] 文全体を元のペアに戻すとどうなるか。
Q2[L1] 戻したペアにはhighという語が存在するが、これの要素、品詞は何か。

 

<解答・解説>
Q1 ① We go high.(私たちが高く上がる)
② The particles of dust in the air are small and light.
(空気中の埃の粒子は、小さく軽くなる)

Q2 動詞修飾語  副詞
・このhighは「高い」という意味の形容詞ではなく、「高く」という意味の副詞である。動詞goを修飾する。②のareは「なる」と訳されているが、be動詞にこの訳があるということは何度も述べている。
・なお、本文では、後半において倒置が見られる。be動詞のareがSの前に出ている。「the 比較級,the 比較級」においては、文が真偽疑問文の語順になることがあるのである。

 

【13.3.3 参考】
<設問>
Q1[全体] 文全体を元のペアに戻すとどうなるか。
Q2[L1] 戻したペアにはnearという語が存在するが、これの要素、品詞は何か。
Q3[L2] into a relationの要素は何か。

 

<解答・解説>
Q1 ① You come near into a relation with a person.
② Tact and courtesy become necessary.

Q2 副詞  動詞修飾語

Q3 副詞修飾語
・①の文の意味を考えよう。You come nearは「あなたが近くに来る」。nearは副詞だ。動詞comeを修飾する。ここで文が終わったのでは何の近くになのかわからない。前置詞句into a relation of a personが、nearを修飾することにより、「ある人との関係における近く」だとわかる。前置詞句のinto a relationは、副詞nearを修飾するのである(nearを修飾語する前置詞句は、「COMPLETE」p.46で既習)。
・よって①は、「ある人との関係における近くに来る」、つまり「ある人と親しくなる」という意味だとわかる。
・では、このペアを「the 比較級,the 比較級」の構文にしてみよう。①のnearをnearerとし、②のnecessaryをmore necessaryとし、これらにtheを加えて先頭に出す。そしてカンマでつなぐと、次の文が完成する。

  The nearer you come into a relation with a person, the more necessary tact and courtesy become.

 これはもちろん正しい文だ。
そのうえで、後半部分が真偽疑問文の語順になっているのが本文。

 

【13.3.4】
<設問>
Q1[L1] 文全体をペアに戻すとどうなるか。
※例文の上の3行の解説がヒントになる。
Q2[L2] at the mercy of factの要素は何か。
at the mercy of ~→「~のなすがままになって」

 

<解答・解説>
Q1 ① A man is interested in many things.
② He has many opportunities of happiness and he is little at the mercy of fate.    

Q2 C
・本文においては、比較級が3つあるが、伊藤先生の解説のとおり、andの左右がひとつの文なので、上のペアに戻る。
・2つのmoreは、形容詞manyに戻る。②のlittleは、動詞修飾語としてはたらく副詞muchの反意語。「より少なく」「ほとんどなく」という意味で、動詞isを修飾する。「COMPLETE」p.296のの④のlittle。
・at the mercy of fateはC。②の後半は第2文型である。

 

【13.3.5】
<はじめに>
これは音楽に関する話です。3語目のitはmusicを指します。

<設問>
Q1[全体] 文全体をペアに戻すとどうなるか。
Q2[L2] effectの後ろには目的格の関係代名詞のthatが省略されているが、このthat節の最後の語はどれか。

 

<解答・解説>
Q1 ① It is old and we are accustomed to it.
② The effect that it produces upon us is great.
・②にはisを補った。この語は、このペアを「the 比較級,the 比較級」する際に省略されている。

Q2 us
・Ⅹ produce the effect upon Y.という文のupon Yは、produceを修飾する。「Y(の上)に影響を与える」のである。本文では、upon usがproducesを修飾するので、usまでが関係代名詞節に含まれる。

 

【13.3.6】
<はじめに>
≪the 比較級,the 比較級における、因果の逆転≫
ここまでに見た「the 比較級,the 比較級」は、①と②のペアのいずれにおいても、文中の形容詞/副詞が比較級となり、theとともに文頭に出るのでした。ところが、①の「the 比較級」のみが前に出て、② の文では移動が起こらない場合もあります。そして、この場合は、①と②をつなぐ際に、「②+①」の順序でつなぐことになります。つまり、文全体は「~すればするほど、…になる」ではなく、「…になる。~すればするほどに」という順序での記述になるのです。

≪like/love ・・・ better≫
まずは次の文を見てください.
I like meat better than fish.
betterは,副詞wellの比較級なので,この文をペアに戻すと,次のようになりそうです.

 ① I like meet well.
② I like fish well.

 ところが,「like O well」[あえて訳せば「Oを上手に好む」]という表現は不自然です.betterはwellの比較級ではなさそうです.では,何の比較級なのでしょうか.
副詞much(たくさん)なのです.副詞muchは,動詞likeとloveを修飾する際だけは,比較級がmoreにならず,betterになることがあるのです[もちろんmoreの使用も可].よって上の文は,「私は魚より肉のほうが,よりたくさん好きだ」という意味だということになります[訳の際には,「たくさん」はカットしたほうが自然になります].
この文を改めて見ましょう.loveの例も併記します.

I like meat better than fish.(私は魚より肉のほうがより好きだ)
I love this tortoise better than my wife.
(私は妻よりも,このカメのほうが好きだ)

 

<設問>
Q1[L1] notwithstandingの品詞は何か。
Q2[L2] 第2文を訳せ。
・it seems as though ~→「~のようだ」

 

<解答・解説>
Q1 前置詞

Q2 和訳参照
・L2のshe以下は次のペアに戻る。

  ① He behaved badly.
② She loved him much.

・ちなみに、上のペアから、原則どおりの「the 比較級,the 比較級」という形にすると、文は次のようになる。

  The worse he behaved, the better she loved him.

 こちらのほうが、はるかに読みやすいだろう。

 

【13.3.7】
<はじめに>
theと比較級が用いられる表現には、他にも「(all) the 比較級+原因・理由を表す表現」があります。これについて説明しましょう。
まずは次の文を見てください.  

John loves Mary deeply.(ジョンはメアリーを深く愛している)

この文を元に,「ジョンは,メアリーが貧乏なので,よりいっそう深く
愛している」という文を作ることにします.つまり,ある原因・理由により,形容詞/副詞の程度がいっそう高まる,という内容を作るのです.
この際には,文に次の手順を加えます.

<手順1>  原因・理由を表す語句,節を置く.
<手順2>  形容詞/副詞を比較級にする.
<手順3>  比較級の前にtheを置く.

 上の文にこの手順を加えると,次の文が完成します.

   John loves Mary the more deeply because she is poor.

  この構文に関しては,次のことを知ってください.

「the 比較級」の前に,allが置かれることが多い.このallは強調する役割を果たす.

 なお,上の文では,理由はbecause節で示されていますが,理由が名詞である場合,例えば「その美貌のために」「その資産のために」というような場合は,「because of+名詞」「for+名詞」「on account of 名詞」などを用います[on account ofは「~のために」という意味の群前置詞です].別の例を見ましょう.今度は逆に,元の文を予測してみてください.

  She likes him all the better for his fortune.
(彼女は彼の資産のために,よりいっそう彼を愛している)

この文の元の形は,次のとおりです.

She likes him much.(彼女は彼をたくさん愛している)

この文に,次の四つの手順を加えたものが,与えられた文なのです.
・理由を表すfor句を置く[手順1].
・muchを比較級にする[手順2.muchが動詞likeを修飾しているので,比較級はbetterを用いている.もちろんmoreの使用も可].
・比較級の前にtheを置く[手順3].
・theの前にallを置く.

では改めてこの2文を見ましょう。

John loves Mary all the more deeply because she is poor.
(メアリーが貧乏なので,ジョンはいっそう深くメアリーを愛している)
She likes him all the better for his fortune.                                
(彼女は彼の資産のために,よりいっそう彼を愛している)

 

<設問>
Q1[L1] a poetから文末までを、<はじめに>で示した手順1~3を加える前の文に戻すとどうなるか。

 

<解答・解説>
Q1 He proved that a poet could write fiction in prose and would do it well.
・これをもとに、「詩人であるがゆえに、より上手く書ける」という内容にするために、<はじめに>で示した3つの手順を加えたのが本文である。もちろん比較級にする語は副詞のwell。理由は「for+動名詞」で示されている。

 

【13.3.8】
<設問>
Q1[全体] この文を、【13.3.7】の<はじめに>で示した手順1~3を加える前の文に戻すとどうなるか。
Q2[L1] justを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 Evil deeds are attractive.

Q2 まさに
・justはbecause節全体を修飾する。

 

【13.3.9】
<設問>
Q1[L1] if節の終点の語を答えよ。またif節内部の文型は何か。
Q2[L1] heから文末までを、【13.3.7】の<はじめに>で示した手順1~3を加える前の文に戻すとどうなるか。
Q3[L3] ofは主格か目的格か同格か。

 

<解答・解説>
Q1 books   第5文型パターン③

Q2 He will want to read them much.
・moreは「たくさん」という意味の副詞で、動詞wantを修飾する(want to read全体を修飾すると考えてもかまわない)。muchはwillの後ろに置くことも不可能ではない。
・この文では原因はbecause節で示されている。比較級にしたmoreの前に、theだけではなく、allも加わっていることを確認せよ。

Q3 同格
・of以下は、どのような魅力かを示している。「同格のof+動名詞」は「COMPLETE」p.338で既習。

 

【13.3.10】
<はじめに>
theと比較級が用いられた表現のうち大切なものとして、他にもう1つ「none the less+原因・理由を表す表現」があります。これは、「ある原因・理由があるからといって,形容詞/副詞の程度が低くなるということはない」という内容の表現です. 
このような意味を表すためには,文に次の手順を加えます.

 <手順1>  原因・理由を表す語句,節を加える.
<手順2>  形容詞/副詞を劣等比較級にする.
<手順3> 劣等比較級の前にtheを置く.
<手順4> theの前にnoneを置く.

では,具体例を見ましょう.まずは次の文を見てください.

 I work hard.(私は懸命に働く)

この文をもとに,「私は風邪を引いているからといって,懸命に働く程
度が減ることはない」「私は風邪をひいていても,変わらずに懸命に働く」
という内容の文を作ることを考えます.その際には,この文に次の手順を加えます.

 ・because I have a coldを加える<手順1>.
・hardをless hardにする<手順2>.
・lessの前にtheを置く<手順3>.
・theの前にnoneを置く<手順4>.

この結果,次の文が完成します.

 I work none the less hard because I have a cold.
(私は風邪をひいていても,変わらずに懸命に働く)

 次は,先に完成した文を示します.この文の元の形を考え,どのような
プロセスを経て,この文が成立したのかを考えてください.

She is none the less beautiful for pimples.
(彼女はにきびのために美しさが劣るということはない
→にきびがあっても彼女は相変わらず美しい)

元の文はShe is beautiful.です.そして,「にきびがあっても,その
美しさは減ることはない」ということを示すために,次の四つの手順を加えています.

・理由を表すfor pimpesを加える[手順1].
・beautifulをless beautifulにする[手順2].
・lessの前にtheを置く[手順3].
・theの前にnoneを置く[手順4].

 では,ここで見た2文をまとめて見ましょう.

I work none the less hard because I have a cold.
(私は風邪をひいていても,変わらず懸命に働く)
She is none the less beautiful for pimbles.
(にきびがあっても彼女は相変わらず美しい)

 

<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。
・think little of ~→「~を軽んじる」「~を何とも思わない」。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・<はじめに>の知識があれば理解できる文。think little ofという成句の中にあるlittleがlessに変化している。for以下の直訳は「彼らが話していたことに対する彼女の興味の欠落のために」。ここから工夫する。

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Chapter14 共通関係 

 

① 文の主要素の共通関係

[イントロダクション]
 まずは次の文を見てください。

  A さっき、飛んでいるチョウとトンボを見た。

 この文において「と」は何と何を結んでいるでしょうか。もちろん、「チョウ」と「トンボ」です。そして、「飛んでいる」が「チョウ」と「トンボ」を修飾すると考えるのが普通です。
では、次の文の「と」は何と何を結んでいるでしょうか。

  B さっき、飛んでいるチョウとネコを見た。

 この文では、「と」が結んでいるのは、「飛んでいるチョウ」と「ネコ」です。仮に「と」が「チョウ」と「ネコ」を結ぶのなら、「飛んでいる」が「チョウ」と「ネコ」の両方を修飾する、ということになってしまいます。
AとBは、全く同じ品詞の並びの文です。ところが、「を見た」の前の名詞がトンボかネコかというだけで、文構造は異なります。そして、異なる文構造だと判断する根拠は、形ではなく、意味です。つまり、我々は、「トンボは飛ぶ」と知っているからこそ、Aでは、「飛んでいる」が「チョウ」と「トンボ」の両方を修飾すると考えるのであり、一方、「ネコは飛ばない」と知っているからこそ、Bでは「飛んでいる」がネコに対する修飾語にはならない、ということがわかります。
次のCは微妙な文です。

  C さっき、飛んでいるチョウとアリを見た。

 アリは、普通は地面を這うものだと考えますが、羽の付いた「羽蟻」も存
在します。すると、Cは二重の解釈をしうる文だといえます。
さて、ここでわかったのは、「XとY」という表現が存在する文の難し
さです。文構造を、形から決めることができない例が存在するのです。常識や文脈、各語の意味から総合的に判断し、正しい解釈を導き出さなくてはなりません。
そして、これと同じことが英語においても、等位接続詞が存在する文でもあてはまります。and,but,orが存在する文においては、これらが何と何を結ぶかを機械的に判断することができず、意味で決めていくしかないことが多いのです。その具体例を扱うのが、このChapter14です。

 

【14.1.1】
<設問>
Q1[L1] doesの品詞は何か。
Q2[L1] Everybodyからachieveまでを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 助動詞
andはcanとdoesを結ぶとしか考えられない。ということは、doesはcanと同じ助動詞だということになる。「英語の基本」p.58で扱ったdoesである。このdo,does,didの訳語としては、「英語の基本」では「本当に」「実に」「とても」を挙げていますが、伊藤先生は「現実に」とされている。「本当に」でも構わない。

Q2 誰もが成し遂げることができるし、実際/現実/本当にそうしている。
・このように、助動詞どうしがandで結ばれている例を他にも1つ挙げておく。

  Tom will and must come here.
(トムはここに来るだろうし、また、来なくてはならない)

 

【14.1.2】
<設問>
Q1[L1] andは何と何を結ぶか。
Q2[L1] prizedの後ろに1語を補え。
Q3[L1] 冒頭のitは何を指すか。

<解答・解説>
Q1 isとhas been

Q2 possession
・「共通部分の省略」は「COMPLETE」p.325で扱いましたが、いずれも後半の省略でした。このような前半の省略は少し難しいことが多いものです。

Q3 the sense of humor
・この文においては、文頭のitが何なのか解決しないまま読み進める。そして、最後に、付け足しのようにthe sense of humorという名詞があり、これをitの正体だと判断する。
・文頭のitが、文末that節などの名詞節や、toV句などの名詞句を受ける、という例は何度も扱っているが(形式主語-真主語の構文)、このように、文末の名詞を受けることもあるのだ。伊藤先生は、この2つが同格関係にあるという説明をしている。

 

【14.1.3】
<設問>
Q1[L2] ownの品詞は何か。
Q2[L3] lostのOは何か。

 

<解答・解説>
Q1 名詞
・ownは「自身の」「自体の」という形容詞でもあり、「自身」「自体」という意味の名詞でもある。この文では後者。

Q2 (its) fertility
・このits fertilityは、losingのOでもある。この14.1.3の上のところにあるI hate and detest a lie.という文においても、最初の動詞であるhateのOがandを飛び越えた位置にあるが、この文は読みやすい。なぜなら、hateとdetestがいずれも、Iに対するVだからである。つまり、

  S V1 and V2 O.

 というシンプルな構造なので、「andは2つのVを結んでいるのだな」とはっきりわかる。等位接続詞andの前後がVとVであり、左右対称なのである。
ところが、本文では、等位接続詞orの前後が対称関係にはない。前がhas lostという「丸V+V」である一方、後ろには、まずis in the processという「V+C」がある(この前置詞句はCだ)。そして、このprocessが「of+Ving句」によって修飾されている。
このように等位接続詞は、「ズレた並列」とも呼ぶべき関係で、2つのものを結ぶこともあるのである。

 

【14.1.4】
<設問>
Q1[L1] enoughはどこを修飾するか。
Q2[L1] この文は「英語の基本」p.372の「enough to構文」であるか、そうでないか。
Q3[L2] andの前に2語を補っても文意は変わらない。何を補えるか。
Q4[L2] stillの訳は何か。

 

<解答・解説>
Q1 hard
・enoughは、1語で後ろから形容詞、副詞を修飾する例外的な副詞。「英語の基本」p.74で扱ってある通り。

Q2 そうでない。
・toV句は形式主語-真主語の構文の真主語。

Q3  it is
・and以下のharderは、後ろにtoV句が続くという点が1行目のhard以下と同じなので、andがhardとharderを結んでおり、冒頭のIt isが、hardとharderの共通のSVなのだと判断する。ただ、この文は、元は次のようなものだったと考えることも可能である。

  It is hard enough to know whether one is happy or unhappy,  and it is still harder to compare ……

 つまり、andが2つの文を結んでいて、第2文の先頭の2語が、第1文の先頭の2語と共通なので省略した、とも考えられる。andは一見するとhardとharderを結んでいるようでいて、実は「文と文を結ぶand」だと考えることができるのである。

Q4  いっそう
・伊藤先生は「はるかに」としているが「いっそう」がよい。「COMPLETE」p.285の下のリスト参照。

 

【14.1.5】
<設問>
Q1[L1]  orは何と何を結ぶか。結ばれる全体と全体を答えよ。
Q2[L3] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 bits of fresh gossipとlittle stories of some celebrity that she had read or heard somewhere
・1行目のorの後ろはlittle stories。これがa good memoryと並列なのか、gossipと並列なのかを考えなくてはならない。形のうえではどちらとも判断できるので、意味から決めるしかない。「ゴシップ」と「小話」が似た意味なので、この2つが並列にあると考える。

Q2 memoryとknack
・3行目のandの後ろはa knock。これが何と並列なのかも、候補の名詞がいくつかあり、意味で判断するしかない。「よく記憶していたし、また、それをおもしろく告げるコツももちあわせていた」と考えると意味としてしっくりくる。memoryもknockも、haveのOである。
・なお、伊藤先生の解説部分で、「意味だけからきている」という言葉があるが、これは「意味で判断するしかない」ということだ。

 

【14.1.6】
<設問>
Q1[L1] thatは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] that節の内側の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 A-0
・remindのO2としてはたらいている。
・remindという動詞は「思い出させる」という意味で、3つの名詞を要求する。つまり、「XがYにZを思い出させる」というように用いるのだ。3つの名詞を要求する動詞の大半は、「名詞 動詞 名詞 前置詞  名詞」という型で用いられる。次のような例だ。

  Tom provided them with water.(トムは彼らに水を供給した)
Tom apologized me for the mistake.
(トムはそのミスのことで私に謝罪した)

  remindも同じで、Ⅹ remind Y of Z.という型で用いられる。
・ところが、思い出させる内容が、名詞ではなく文内容であることもありえる。具体例を示そう。次のようものである。

  この写真は、僕に、父は若いころは野球選手だったということを思い出させる。

 このような内容を表現したい場合は、「X remind V that節」という連なりになる。that節はO2であり、文型は第4文型だ。この用例も辞書で確認すること。
・以上のことを知っていれば、この本文は、remindが持つ、上の2つの用法がドッキングした文だということがわかる。つまり、まずはof our deathで述べ、次に、この内容をthat節で言い換えているわけだ。of deathとthat節が同格関係にあるともいえるだろう。

Q2 第2文型
・一般動詞のremainが用いられた第2文型。「COMPLETE」p.43参照。

 

【14.1.7】
<設問>
Q1[L1] be used to ~と、used to ~のそれぞれの意味を答えよ。
Q2[L1] someの品詞は何か。
Q3[L1] stillの意味は何か。
Q4[L1] doは何を受けるか。

 

<解答・解説>
Q1 be used to ~:~に慣れている
used to ~:かつては~したものだった
・前者においては、「~」の部分には名詞(節)か動名詞が置かれる。
一方、used to ~は法助動詞に類する表現であり、後ろには動詞が置かれる。「COMPLETE」p.243参照。

Q2 名詞
・「幾人かの人々」という意味。ただ、訳の際には「幾人の人はV」とすると不自然なので、「Vする人もいる」とする。

Q3 いまでも、まだ
・doを修飾する。

Q4 think

 

【14.1.8】
<はじめに>
まずは以下を見てください。

  S be動詞 動詞1+ed and 動詞2+ed …… .

 Sとbe動詞の後ろに、原形に-edの加わった動詞が、andを挟んで連続する、という構造である。
この構造の文は、2通りの解釈がありえる。
1つは、「動詞1+ed」のみならず、「動詞2+ed」も過去分詞形だという解釈。この場合の訳は「Sは~され、そして、-された」となる。
もう1つは、「動詞2+ed」が過去形だという解釈。この場合は、「Sは~され、そして、―した」という訳となる。
仮に「動詞2」が自動詞でしか用いられない動詞であれば、後者になる。それ以外の場合は、「動詞2+ed」の後ろの構造を見極め、どちらの解釈かを判断する。
・例文:14.1.8の前にあるHistoryから始まる文は、動詞が3つあるパターンだが、動詞はいずれも過去分詞形である。andの後ろのvalueは、「~を大切にする」という意味の他動詞だが、これの目的語がないまま文が終わっている。ゆえに、valuedを過去形と考えると、何を大切にしたのかが示されない文になってしまう。よって、このvaluedは、sought after,prizedと並列で解釈し、この3つの動詞が、いずれもbeenの後ろに連なる過去分詞形だと判断する。

 

<設問>
Q1[L2]  receivedは過去形か、過去分詞形か。

 

<解答・解説>
Q1 過去形
・receiveは第3文型で用いられる動詞だ。この文の主語はgirlsだが、仮にreceivedをtaughtと並列と考え、wereに連なるものだと判断すると、「少女が受け取られた」という意味になってしまい、意味不明である。また、receivedの後ろにa very narrow kind of educationという名詞句が存在することの説明がつかない。
・receivedは過去分詞形ではなく過去形なのである。そしてa very narrow kind of educationがreceivedのOである。
なお、伊藤先生は「受ける教育の範囲は非常に狭く」と訳されているが、received以下の直訳は、「非常に狭い種類の、科学はまったく含まれていなかった教育のみを受けた」となる。

 

【14.1.9】
<設問>
Q1[L1] that節の終点の語は何か。

 

<解答・解説>
Q1 nation
・thatは直後が動詞なので、主格の関係代名詞である。問題は、この節の終点がnationなのか、それとも文末のpowerなのかということだ。
andはintroducedとguidedを結ぶのだろうか。それとも、wereとguidedを結ぶのだろうか。前者なら関係代名詞節はnationまでで終わりということになり、後者なら関係代名詞節は文末まで、ということになる。どちらかは、意味で決めるしかない。
前者が適切である。

 

【14.1.9 参照】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・andが、関係代名詞節の中の2つの動詞を結んでいるパターン。関係代名詞節は文末までとなる。
・冒頭のHeからgrandmotherまでの部分を、伊藤先生は「あとに残された彼は、祖母の世話を受けることとなった」と訳しているが、直訳は「彼は、祖母の世話に託された」となる。leave A to Bは、「AをBに残す」「AをBに任せる」「AをBに託す」という意味であり、冒頭のHeから grandmotherまでの部分は、これの受動表現。このleaveの、3項動詞としての用法を見抜けたかも勝負どころの1つ。

 

【14.1.10】
<はじめに>
まずは、この例文の上にある文を見てください。この文は、文全体がSVOCのパターン②ですが、Oが3つあります(第5文型の5つのパターンを忘れていたら、「英語の基本」p.350で復習のこと)。当然のことだが、等位接続詞はこのように、第5文型のOどうしを結ぶこともあるのです。

 

<設問>
Q1[L1] 第1文の、文全体の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン④
・CであるVing句が4つある。等位接続詞が第5文型のCどうしを結んでいるのである。

 

【14.1.11】
<設問>
Q1[L1]  see farmers at workの部分の文型は何か。
Q2[L2]  driving句の要素は何か。
・look out→「外を見る」「遠くを見る」

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①
・at workは「仕事中の」という意味。よって、see farmers at workのところは、「農民が働いているのを見る」と解釈できる。farmarsの後ろにbe動詞を補うと、farmers以下からは、Farmers are at work.という文が成立するので、第5文型パターン①。
・第5文型パターン①で用いられる動詞は、「英語の基本」p.33の通り、「思考」「作為」「呼称」に関するものが主なものだが、このseeはいずれにも含まれない。例外的なものだと考えよ(seeをp.33に書き加えておくこと)。

Q2 C
・orの後ろはpeople+Ving句なので、これは第5文型パターン④だと判断できる。この文のsee以下は、次のような構造なのである。

 

          OC(パターン①) .
SV(see) or
OC(パターン④).
orが2つのOCを結んでいるのだ。

 

② 修飾語の共通関係

[イントロダクション]

「① 文の主要素の共通関係」では、文の要素(S、V/be Ved、C、 O、修飾語)のうち、修飾語以外のものが等位接続詞によって結ばれる様子を見ましたが、ここでは、修飾語が等位接続詞によって結ばれる様子を見ていきます。

 

【14.2.1】
<設問>
Q1[L1] vastはどの語を修飾するか。 
Q2[L1] mountainの要素は何か。 
Q3[L1] highlandの要素は何か。    
Q4[L1] 2つ目のandは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
・なお、この文は「there be動詞 ~」という型のものだが、この文型においては、thereが形式上の主語で、~が意味の上での主語だと考えられるのだった。Sが2つあるとも考えられる文なのである。「英語の基本」p.89を参照されよ。

 

<解答・解説>
Q1 areas

Q2 名詞修飾語

Q3 名詞修飾語

Q4 areasとplains
・冒頭からmountain and highlandまでを読むと、「山と高原がある」という意味の文だと感じられる。そして、vastがこの2つを修飾すると考えられそうだ。
・ところが、その後ろを見るとareasがあり、考えを改める。mountainとhighlandはこのareasを修飾するのだ。「名詞による名詞修飾」は、「英語の基本」p.83で既習。また、vastもareasを修飾する。mountainとhighland を飛び越えて修飾するのである。
・2つ目のandが結ぶ中心の語は、areasとplains。つまり、「北部に地域があり、南部に平野がある」というのが、この文の骨格なのである。

 

【14.2.2】
<はじめに>
A as well as Bという表現がある。これは「BのみならずAも」という意味なので、AとBは並列の関係にある。よって、文の中でas well asを見たら、これが何と何を結ぶのかを考えなくてはならない。

 

<設問>
Q1[L1] takeの意味を答えよ。
Q2[L2] as well asは何と何を結ぶか。

 

<解答・解説>
Q1 理解する、解する
・「受け取る」から「理解する」「解する」という意味に発展するのは自然な流れ。日本語でも「彼の発言を、私は賞賛だとは受け取らなかった」というように、「受け取る」を「理解する」「解する」の意味で用いる。

Q2 in a goodとin a bad
・2行目のin a goodまでを読んで、直後に、goodによって修飾される名詞が来るかと思いきや、as well asがあり、その後ろがin a badとなっている。よって、in a goodとin a badが並列の関係で、badの後ろにあるsenseは、goodとbadの両方によって修飾されるものだと判断する。

 

【14.2.3】
<設問>
Q1[L1] evenを訳せ。
・somehow (or other)→「どいういうわけか」

 

<解答・解説>
Q1 いっそう
・「COMPLETE」p.285の下のリスト参照。

 

【14.2.4】
<設問>
Q1[L2] 2つのandは、それぞれ何と何を結ぶか。

<解答・解説>
Q1 最初のand:of hope for the future of mankindとof fear
2番目のand:of great hopeとof great fear
・「;」の後ろでは、その前までに述べたhopeも、fearも、ともに大きなものなのだということを述べている。

 

【14.2.5】
<設問>
Q1[全文] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] the moonから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 第3文型の受動態
・SがItであり、形式主語-真主語の構文になっている。

Q2 和訳参照
・「COMPLETE」p.316で「SV…,Ving ―」という構造をもち、Ving ―以下を訳し下す文を見た。そこで見た3文はいずれも「SV…」と「Ving ―」の間で時間の流れがあるが、このパターンの中には、「Ving ―」の部分が「SV…」の部分を具体化していると考えられるものもある。この場合は、間に「つまり」「すなわち」といった言葉を置くと自然な訳になることが多い。本文もその例。the moon changed in shapeの具体的な内容はbeginning以下なので、伊藤先生は「つまり」という言葉でつないでいる。

 

【14.2.6】
<はじめに>
cold water and milkという表現においては、形容詞coldはwaterのみならずmilkをも修飾しているように感じられます。ただ、理論上はcold waterと、milkという関係でもありえます。つまり、coldがwaterのみを修飾している可能性もあるのです。ただ、どちらで解釈しても、和訳は「冷たい水と牛乳」となります。
さて、英語には後ろからの解釈があります。以下を見てください。

  A(被修飾語になりうるもの) and B(被修飾語になりうるもの) C(修飾語)

 このような構造においては、「Cが、AとBの両方を修飾するのか、それともBのみを修飾するのか」という問題が発生します。上のcold water and milkの例と異なるのは、どちらと解釈するかによって、和訳が異なるということです。前者で解釈すれば、「CであるAとB」となり、後者で解釈すれば「Aと、CであるB」となります。
よって、「どっちのパターンかわからないけど、和訳をすれば結局同じだから、どっちかわからないままでいいや」というような考えで臨んではなりません。CがAとBの両方を修飾しているのか、それともBのみを修飾しているのかを、 正確に見極めなくてはならないのです。
では、上のような構造に出会った場合は、どう対処すればいいのでしょうか。どちらのパターンを優先させるべきでしょうか。まずは、「CはAとBの両方を修飾するのではないか」と考えてください。そして、それが不自然な場合には、「Bのみを修飾する」と考え直します。
以上のことが述べられているのが、例文:14.2.6の上にある、伊藤先生の解説です。ここに目を通したうえで、例文に入っていきましょう。

 

<設問>
Q1[L2] useful以下は、どこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 plants and animals
・名詞animalsの直後に形容詞から始まるまとまりがある。「英語の基本」p.367で扱った例である。
・本文の問題点は、animalsの前にandがあるということだ。これにより、useful以下が、animalsのみならずplantsをも修飾する可能性も出てくる。どちらなのかは意味から決めるしかない。「人間に役立つ植物や動物」と考えるべきだろうか。それとも、「植物や、人間に役立つ動物」と考えるほうが自然だろうか。
後者のほうが自然である。useful以下は、plantsとanimalsの両方を修飾するのである。

 

【14.2.6 参考】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・pastは前置詞。Her eyes were constantly straying past himの直訳は「彼女の視線は、彼を通り過ぎてたえずさまよっていた」だが、これは意味が少しつかみにくい。よって伊藤訳では、「さまよっていた」を「定まらぬ」という名詞修飾語に転換して訳している。
・lawnの後ろのbeyondは、lawnのみを修飾している。意味上、windowsに対する修飾語にはならない。beyondはbeyond the open windowの意味だからである。
・なお、beyondのような1語の副詞が、後ろから名詞を修飾するということについては「英語の基本」p.65で既習。

 

【14.2.7】
<設問>
Q1[L2] of句はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 kindとdegree
・ofは直前のdegreeを修飾するが、degreeはorによってkindと結ばれている。よって、これをも修飾する可能性がある。意味から決めるしかない。両方にかかると考えられる。
・なお、伊藤先生はof cultureの前のカンマについて述べている。仮にここにカンマがないと、degreeとof cultureの結びつきが濃くなり、degreeだけを修飾するように感じられる。ところが、degreeの後ろにカンマを置き、of句との関係を断ち切ることによって、「degreeとof句だけが緊密な関係にあるわけではないですよ。前のkindだって、of句によって修飾されますよ」ということを示している。
・ただ、カンマを置かずに、degreeとofを密着させたからといって、必ずdegreeのみを修飾するということになるわけではない。密着させても、of句はkindとdegreeの両方を修飾しうる。伊藤先生の「必須の条件ではない」という言葉は、このことを指す。

 

【14.2.7 参考】
<設問>
Q1[L1] what自体の要素と、what節の要素を答えよ。
Q2[L2] in some special directionはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 what自体:producingのO   what節:S

Q2  knowledge
・in some special directionは、直前のknowledgeのみを修飾する。「A and B」のうち、Bのみを修飾する。意味からこのように判断する。

 

【14.2.8】
<設問>
Q1[L1] that節はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 (the) discoveries and inventions
・thatは直後が動詞markなので(このmarkは「示す」「しるしとなる」という意味)、主格の関係代名詞である。これがinventionsのみを修飾するのか、それともdiscoveriesをも修飾するのか、という問題が発生する。
意味から、両方を修飾するのだと判断する。

 

【14.2.8 参考】
<設問>
Q1[L2]  who節はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 poets
・自分たちの書物を捧げるのは詩人だ。suitorsは捧げないだろう。

 

【14.2.9】
<設問>
Q1[L2] from句はどこを修飾するか。

<解答・解説>
Q1 gained
・この文の後ろの部分の構造は、

  … A and B 修飾語(from句)

 となっているが、だからといって、必ず、その修飾語がB、あるいは「AとB」を修飾するわけではない。その前にある「…」の部分を修飾することもありうる。
・この文では、from句が、Aの前にある動詞のgainedを修飾している。つまり、「本から得た」という連なりで読むのである。

 

【14.2.10】
<設問>
Q1[L1] healthの要素は何か。仮にOならどの動詞のOか。前置詞のOならどの前置詞のOか。

 

<解答・解説>
Q1 前置詞のO   toとforのO
・useful toという表現の、前置詞toのOがないままandがあり、その後ろにessential forがある。そして、その後ろにhealthという名詞があるので、andはuseful toと、essential forという、2つの「形容詞+前置詞」を結んでいるのだと判断する。healthは、前置詞to、前置詞forの共通の目的語なのである。
・なお、この文において、「healthは、前置詞toの目的語のみならず、前置詞forの目的語でもある」ということをはっきり示したければ、forの後ろにカンマを置く。こうすることによって、forとproper healthの緊密な関係を断ち切ることができる。例文:14.2.7では、この手段が取られていた。
・また、本文の上にある文においても、natureの前にカンマが置かれ、natureは、againstのOだけでなく、withのOでもある」ということが示されている。確認せよ。

 

【14.2.11】
<設問>
Q1[L2] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
Q2[L2] economiesの訳を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 useとeconomies
・伊藤先生の解説を読まれよ。理論上は、4つの可能性がある。意味からuseとeconomiesを結ぶと判断する。

Q2 節約、倹約効果
・この文脈では「経済機構」ではない。

 

【14.2.12】
<設問>
Q1[L1] as ifは≪従位接続詞の一覧表≫のどこにあるか。
Q2[L2] boreの意味を答えよ。
Q3[L2] in whichの後ろには5語を補うことができる。その5語を答えよ。
・carry on→「実行する」「行う」

 

<解答・解説>
Q1 C-5
・「英語の基本」p.245の⑦参照。

Q2 「抱えている」「持っている」
・haveと同義。辞書でbearを引いて確認のこと。as if節の内側なので、仮定法過去の時制が応用されている。

Q3 the education is carried on
・system以下は、元が次のような文だったと考えることが可能である。

system
in which the education is carried on
and
for which the education is carried on 

 andが結ぶ2つの形容詞節においては、先頭の前置詞以外はすべて同じなので、本文では、前半の共通部分を省略している。
なお、すべての共通部分をカットすると、system in and for which …となるが、これではややわかりづらい文になるので、共通部分のうちwhichだけは残し、system in which and for which ……としている。

 

③ A and (M) B

 

[イントロダクション]
等位接続詞は、2つの語句や文を対等の関係で結ぶものですが、その2つのものは、隣接している場合もあれば、Bの前に修飾語が存在している場合もあります。つまり、「A and 修飾語X B」という形である場合もあるのです。
修飾語Xが存在する場合は厄介です。Xを、Aと並列の関係にあるのだと勘違いしてしまう可能性があるからです。Xが終わり、Bが登場するまで我慢しなくてはなりません。
なお、XがAを修飾すること、文法上ありえません。

 

【14.3.1】
<設問>
Q1[L1] butは何と何を結ぶか。中心となる2語どうしで答えよ。
Q2[L1] ifは≪従位接続詞の一覧表≫のA-0か、C-0か。後者なら、if節はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 country hasとwe find
・Each country has its own proverbsの後ろにbutがある。仮に、この後ろに従位接続詞の存在しないSV…があれば、これがEach country has its own proverbsと並列だと考えられるが、butの後ろにあるのは従属節であるif節である。if節の後ろにSV…があるのだろうと予想して読み進め、we find striking similarities in meaningを見て、これがEach country has its own proverbsと並列なのだと判断する。
・この文は、「S1 V1 … but S2 V2 …. 」というのが大きな流れなのだが、S2 V2…の前に、V2(find)を修飾する副詞節のif節が存在しているのである。

Q2 C-0  find

 

【14.3.2】
<設問>
Q1[L1] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。

<解答・解説>
Q1 hadとremained
・andの直後にremainedがあれば、andがhadとremainedを結ぶということがすぐにわかるのだが、この文では、remainedを修飾するall his lifeが存在しているので読みにくくなっている。
・なお、all his lifeのlifeは名詞だが、動詞remainedを修飾する。何度も扱っている「名詞の副詞的用法」。
・remained an illiterateの部分は「VC」。「一般動詞が用いられた第2文型」である。remainは「COMPLETE」p.43のリストにある。

 

【14.3.3】
<設問>
Q1[L1] andは何と何を結ぶか。

 

<解答・解説>
Q1 wealthとpower
Q2 with itがpowerを修飾すると考えるのは不可。前置詞句が名詞を修飾するのは後ろから。伊藤先生はpower will continueの部分だけを修飾すると判断しているが、ここだけに限る必要はないだろう。後ろの文全体を修飾していると考えてよい。

 

【14.3.4】
<設問>
Q1[L1] if節の中の文型は何か。
Q2[L2] orは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。
Q3[L2] for some other reasonはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 第4文型の受動態
・that節がO2。

Q2 feelingとreceiving

Q3 receiving

 

【14.3.5】
<設問>
Q1[L1] though節はどこを修飾するか。1語で答えよ。
Q2[L2] andは何と何を結ぶか。まとまりの先頭の1語どうしで答えよ。
・cannot help Ⅴing→「Vせずにはいられない」。

 

<解答・解説>
Q1 help(あるいはsayingも可)
・例文:14.3.1は「S1 V1 … 等位接続詞 従属節 S2 V2 … .」という構造だった。この文も似ているが、S1とS2が共通なので、S2がカットされており、「S1 V1 … 等位接続詞 従属節 V2 … .」という構造になっている。
though節は、V2であるcould not help sayingの部分を修飾する(あえて1語で言えば、helpかsaying)。

Q2 watchedとcould
・watched以下と、could以下を結ぶ。

 

【14.3.6】
<設問>
Q1[L1] 文頭からearlyまでの部分は、ある点で「『英語の基本』で示した文法規則を破った文」だと言える。どのような点で破っているか。
Q2[L1] the sun went off it earlyを訳せ。
Q3[L1] whichの先行詞を答えよ。
Q4[L2] butは何と何を結ぶか。

 

<解答・解説>
Q1 文と文が接続詞なしで結ばれているという点。
・「英語の基本」p.143に、「文を文は接続詞によって結ばれる」と記述してあるが、その規則を破っている。このような例が見られるのは、主に文どうしが対句となっている場合や、2つの文が「原因→結果」の関係にある場合。本文は後者。L1のカンマをandに変えて読めばよい。

Q2 和訳参照
・「日が早く沈んだ」は破滅的な誤訳。居間が南東に面していることが、天体の運行に影響を与えるはずがない。この文の構造、直訳は次の通り。

   the sun(S) went(V) off(前) it(前O) early(動修)
※「前+前O」は、動詞wentを修飾する
(太陽がそこを早く離れていった)

offは「離れて」という意味の前置詞。offは前置詞よりも副詞として 用いられる例のほうが圧倒的に多いゆえ、前置詞offは弱い人が実に多い。1つ例を挙げる。

   Tom fell off a horse.
(トムは馬から離れて落ちた→トムは落馬した)

Q3 the sun went off it early
・前文が先行詞。「カンマ+関係代名詞」には、このような用法もある。

Q4 coolとsad

 

【14.3.7】
<設問>
Q1[全文]  全文を訳せ。
Q2[L1] andは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしで答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・with manyを「多くの人に関しては→多くの人にとっては」と理解できるかが勝負。manyは名詞。

Q2 dailyとonly

 

【14.3.8】
<設問>
Q1[L1] the onlyから文末までを訳せ。
・in contact with ~→「~と関係を持って」

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・L3の最初のandは、of livingからbeingsまでと、of maintainingからersonalityまでを結んでいる。2番目のandは、maintaining its freedomと、conserving its own personalityを結んでいる。
・ofは同格のof。

 

【14.3.9】
<はじめに>
if notという表現は、「A if not B」という形で用いられて、「BではないにせよA」「Aである。ひょっとするとBであるかもしれない」という意味で用いられることが多いのですが、単に「もし~でないなら」と解釈すべき例もあります。例文を見ましょう。

   Do you have any questions? If not, I’ll return to my room.
(何か質問がありますか.ないなら自室に戻ります)

 このIf notは、If you do not have any questionsが省略された形だと考えることができます。
以上を踏まえたうえで設問に入ります。

 

<設問>
Q1[L2] to goから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・このif not on footは、if you do not go on footを省略した形だと考えられる。文中に存在しない 語であるyou doを補って考えなくてはならないという点で、「はじめに」で示した例文よりも少し難しい。

 

【14.3.10】
<設問>
Q1[L2] expressing句は≪準動詞句の一覧表≫のどれか。
Q2[L2] andは何と何を結ぶか。中心の1語どうしで答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 B-2
sabishiiを修飾する。ただ、長いのでexpressingの前で切ったほうが自然な和訳となる。

Q2 belongingとbeing
・L2のofは同格のof。

 

④ (A+B+C)(A´+C´)

 

[イントロダクション]
まずは次の文を見てください。

  僕は法学部の学生だが、兄は文学部だ。

 この文においては、後半は省略があります。
「兄は文学部だ」は「兄は文学部の学生だ」というべきところだが、前半の繰り返しになるので、「の学生」を削除している。
このような、「繰り返しを避けるための省略」という現象は、英語においても存在するのだが、特に、等位接続詞が用いられた文において頻繁に見られる。これについて扱うのが、この④なのである。
・伊藤先生が示されている(A+B+C)(A´+C´)は、「前半にあったBが、後半では省略されている」ということを意味する。つまり、上で説明した内容を記号にすればこうなるのである。

 

【14.4.1】
<設問>
Q1[L1] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:indirect  Y:moral teaching
・この文は、「SV 等位接続詞 SV」という構造の文ではない。文と文をつないでいるのは従位接続詞のthoughだが、やはり後半において、前半と重なる内容が存在するので、省略が起こっている。

 

【14.4.2】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:one  Y:should be

 

【14.4.3】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:is  Y:forgotten

 

【14.4.4】
<設問>
Q1[L1] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

<解答・解説>
Q1 X:characters  Y:must be

 

【14.4.5】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:is  Y:an excuse for rough manner
・anを忘れぬよう。

 

【14.4.6】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 X:is  Y:the commonest and easiest of virtues

 

【14.4.7】
<設問>
Q1[L2] thoseはどの語を受けるか。
Q2[L2] animalsの後ろに省略されている語句を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 the actions

Q2 were said to be governed
・この文は、L2のreasonの直後にandがあれば読み易いが、対句表現なので、文と文がandなしで結ばれている。

 

【14.4.8】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。なお解答は2箇所になる。

<解答・解説>
Q1 X:if  Y:the people are influenced chiefly
X:private  Y:considerations

   

【14.4.9】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。
Q2[L3] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。
Q3[L3] whereは≪従位接続詞の一覧表≫のどれか。

 

<解答・解説>
Q1 X:physique  Y:has advantage

Q2 X:legs  Y:have advantage
・legsが複数形なので、hasではなくhave。

Q3 C-3
・省略されているhaveを修飾する。C-3のwhereは、A-3やB-3のwhereに比べて、苦手としていうる人が非常に多い。「英語の基本」、「COMPLETE」で復習をすること。ぜひCDも聴かれたし。

 

【14.4.10】
<設問>
Q1[L1] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

<解答・解説>
Q1 Ⅹ:beauty  Y:is one of the symptoms
・対句表現なので、andなしで文と文が結ばれている。

 

【14.4.11】
<設問>
Q1[L1] man as manはどう訳すか。
Q2[L2] isの後ろに省略されている語句を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 人間らしい人間
・前置詞のasの意味は、「~として」が基本。よって、man as manの訳は「人としての人」となるが、これではやや不自然なので、上のようにする。

Q2 X:is  Y:a creative artist

 

【14.4.12】
<設問>
Q1[L2] ある語(X)の後ろに、ある語句(Y)が省略されている。XとYを答えよ。

<解答・解説>
Q1 X:pessimist  Y:ooks into a mirror and becomes

 

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Chapter15 挿入の諸形式

① 語句の挿入 - andとif    

[イントロダクション]
 挿入については、「COMPLETE」の「転の巻」の第3部の第2章で扱いましたが、ここではより詳しく見ていきます。

 

【15.1.1】
<設問>
Q1[全文] 2つのlettersは(      )関係にある。

 

<解答・解説>
Q1 同格
・同格表現が、文末に挿入されている文。

 

【15.1.2】
<設問>
Q1[L1]the precedenceから文末までを、①、②の関係に戻すとどうなるか(なお、挿入部分は省く)。そして、②の文の訳はどうなるか。
・position in life→「社会的地位」
・parents'という語に注意されたし。parent'sではない。複数形であるparentsの後ろにアポストロフィーが付いている。本来はparents'sなのだが、最後のsは省く。

 

<解答・解説>
Q1 ① the precedence(優先)
② The idea of a “position in life" takes the precedence above all other thoughts in the parents' mind.(「社会的地位」という考えが、両親の心の中で、他の全て考えの上に優先を占める)
・①のthe precedenceは、②においてtakesのO。
②にある2つの前置詞句(above all other thoughtsとin the parents' mind)がいずれも、動詞takesを修飾しているので、②は上のような訳となる。ただ、上のままでは少し不自然なので、次のようにするといいだろう。

「社会的地位」という考えが、両親の心の中で、他の全ての考えよりも、優先的な地位を占めている。

 よって、②が①に対する修飾語となった表現、つまり、 

  the precedence which the idea of a “position in life" takes the precedence above all other thoughts in the parents' mind 

 の訳は、次のようになる。

  両親の心の中で、他のどんな考えよりも、「社会的地位」が占めている優先

・さて、本文においては、parents'の後ろに挿入がある。「両親の心の中で」と言おうと思ったところ、「そのうちでも、特に母親の」という情報を追加することを思い立ち、more especially in the mother'sを挿入している。mothers'は もちろん、mindを修飾する名詞修飾語。
全文訳は次のようになる。

  私はいつも、両親の(特に母親の)心の中で、他のどんな考えよりも、
「社会的地位」が占めている優先に驚く。

 ただ、これでは少しぎこちないので、「優先に驚く」は、「優先していることに驚く」としたほうが自然になる。伊藤先生の訳もそのようになっている。

  

【15.1.3】
<はじめに>
次の文を見てください。

  What is still better is that he has a beautiful voice.
(いっそう良いことは,彼は美声の持ち主だということだ)

 ≪従位接続詞の一覧表≫を見ればわかるとおり,whatはAの列にしかありません.ということは,what節は名詞節にしかならない[=S,C,O,前置詞のOのいずれかとしてはたらく]のです.実際,上の例でもwhat節はSとしてはたらいています. 
ところが例外的に,上のような「内側に比較級[あるいは最上級]の存在するwhat節」は,「~なことには」「~なのだが」という意味で,副詞的に文全体や語句を修飾することもあります.次のような例です[この文ではstillが比較級の後ろに置かれています.比較級に対する修飾語は比較級の後ろに置かれうるのです]

Tom is kind and rich, and what is better still, honest.
(トムは親切で金持ちで,いっそう良いことには,正直だ)

 what節でありながら,S,C,O,前置詞のOではなく,honestに対する修飾語としてはたらいています.
他の例も見ましょう.

 Tom is kind and handsome ,and what is more important, he never tells
a lie.(トムは親切でハンサムだ.そしてより重要なことに,決して嘘をつかない)
We got lost, and what is worse, it began to rain.
(我々は道に迷ってしまった.更に悪いことに,雨が降り出した)
My husband is kind and rich, and what is better still, honest.
(夫は親切で金持ちで,いっそう良いことには,正直だ)
The doctor is handsome, intelligent, and what is best of all, rich.
(その医者はハンサムで聡明で,最も良いことには,金持ちだ)
My boss is unkind, stingy, dull, and what is worst, he is abnormal.
(私の上司は不親切で,ケチで,愚鈍で,最悪なことに,変態です)

 このwhat節は,通例,上のように挿入の形になります.
なお,ここで見たwhat節の中の「what+be動詞」は,しばしば省略されます.

 

<設問>
Q1[L1] a magnifying glassを訳せ。
Q2[L2] betterの前に2語を補え。

 

<解答・解説>
Q1 拡大鏡
・magnifyingは、「拡大している」という進行の意味ではない。「拡大するための」という意味「英語の基本」p.329で示したa sleeping bag のsleepingと同様のもの。
・「ing形+名詞」のing形が多様な意味を持つことについては、「英語の基本」pp.328-330で既習。

Q2 what is

 

【15.1.4】

<はじめに>
まずは本文の上にあるワクの中の例文と、その下にある4行の解説を読んでください。
さて、andの本来の機能は、「英語の基本」pp.299-300で解説したとおり、2つのもの(文、句、語)を、対等な関係で結ぶというものでした。ところがワクの中の(c)のような用法もあります。これは、いわば「挿入部分の先頭に置かれるワンクッション」あるいは「挿入であることの目印」といった類のものです。伊藤先生はこのandを「ダッシュのかわり」と述べています。
日本語で似た例を挙げてみましょう。

   A 息子には、できれば東大か一橋に(早慶でもいいけど)入ってもらいたい。
B 息子には、できれば東大か一橋に(まぁ早慶でもいいけど)入ってもらいたい。

 この2例のうち、Bには、挿入部分の先頭に「まぁ」でワンクッション
が入っていますが、この「まぁ」にはもちろん意味はありません。(c)のandはそのようなものです。
よって、andについては、

  ・対等なものどうしを結ぶのではない用法もある    
・このandは訳出の必要はない

 ということを知ってください。ちなみに、(c)の例ではandの前にカンマがありますが、存在しない例もあります。

 

<設問>
Q1[全体]文全体の文型は何か。
Q2[L1]with句の要素は何か。

<解答・解説>
Q1 第3文型の受動態
・この文は形式主語-真主語の構文。ItがS′、is saidがbe Vedで、that以下がS。

Q2 動詞修飾語
・with considerable justiceは、be saidを修飾する動詞修飾語だが、挿入句となっている。そして、その先頭にandが置かれ、ワンクッション入っている。
・伊藤先生がcf.で示されているのは、前置詞句が挿入の形になっていない文。andは挿入の目印なので、挿入の形でなくなると消える。

 

【15.1.5】
<設問>
Q1[L1] 文頭からpartsまでを訳せ。
Q2[L1] others = other (   )
Q3[L1] othersの後ろに1語を補え。
Q4[L1] othersからcuriosityまでを訳せ。
Q5[L2] fewの後ろに2語を補うとすれば何か。
・in partsは「部分部分」「ところどころ」という意味。【11.3.11】で扱ったin partとは少し異なる。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・仮にSome→S、are→V、to以下→Cと考えると、「いくつかの本は、ところどころだけ読まれることだ」という意味不明の解釈になってしまう。このような場合は、be動詞が助動詞であることを疑う。「英語の基本」pp.54-55で扱った内容。つまり、この文は、元は次のような文である。 

  Some books are read only in parts.

 文全体は第3文型の受動態なのである。そして、述語であるbe Vedの前に、助動詞のareが加わり、その結果、先頭の述語(are)が、to不定詞形のto beになっているのである。
・この助動詞の意味は「鍵用意」だが(「英語の基本」p.54参照)、この文では「義務」が適切だ。よってこの文は、「何冊かの本は、ところどころを読まれるべきである」と訳せる。ただ、これはぎこちないので修正して、「ところどころを読むべき本がある」としよう。

Q2 others = other ( books )

Q3 are
・この文では、Someからpartsまでの部分と文構造が同じなので、共通部分をカットしている。

Q4 和訳参照
・このbutに関して、伊藤先生は解説部分で「butが逆接を示すだけではなく、15-1-4のandと同じ用法で使われている」と述べているが、andではなくわざわざbutを用いている以上、ここは逆接の意味があると考えるべきだ。これより、その説明を行うが、その前にまずは次の文を読解してみてほしい。イースター島における、部族間の「石像建造競争」の話である。石像を造るには、石を運ぶためのレール代わりに、大量の木材が必要であった。

  Prodigious quantities of timber would have been required and in increasing amounts as the competition between the clans to erect statues grew.(東京理科大)

  この文は、全体が次のような構造である。

   文 and  in句 as節.

  andの後ろには,in句が修飾する先もなければ、as節が修飾する主節もないのである(andを飛び越えて、前の部分を修飾すると考えるのは文法上、不可能)。
どう解釈すればいいのか。
「andの後ろでは共通のものが省略されうる」ということを思い出し、 次のように補う。

  Prodigious quantities of timber would have been required and 【timber would have been required】 in increasing amounts as the competition between the clans to erect statues grew.

 つまり、andの前の文のSVを含む内容が省略されているのである。
in句もas節もbeen requiredを修飾するのである。
・よって、文の訳は次のようになる。

  莫大な量の木材が必要とされただろうし、また、部族間の石像を建てる競争が高まるにつれて、ますます多くの木材が必要とされただろう。

 このように、「ほぼ文まるごとの省略」は実に読みにくいのだ(ちなみに、文末のtoV句はcompetitionを修飾する同格である)。
・さて、othersからcuriouslyも、同じように考えることができる。curiouslyが修飾する先がない。どういうことか。等位接続詞のbutに目を付けて、この文は、本来は次の形だったと考えればよい。

   others (are) to be read but 【they are to be read】 not curiously

 【they are to be read】の部分がまるごと省略されているのである。
訳は次のようになる。

    読むべきものもあるが、しかし、それらは好奇心を持たずに読むべきだ→読むべきものもあるが、好奇心を持つ必要もないものもある。

・このbutに逆接の意味があることは、伊藤先生の和訳からも明らかだ。伊藤先生は解説部分で、「逆接を示すだけでなく」と言いつつも、ご自身の和訳は「逆接」になっている。
本文のnotは、述語以外のものであるcuriouslyと結びつく。これについては「COMPLETE」p.346の上参照。

Q5  books are

 

【15.1.6】
<はじめに>
挿入のandに関する成句として、and thatというものがあります。このthatは前文を受けます。具体例を見ましょう。

  We had to judge and that very hastily.

 thatはWe had to judgeを受けます。よってこの文は「我々は判断しなくてはならない。そして、とても早く我々は判断しなくてはならない」ということですが、二度訳すのはたどたどしいので、通常はこのand thatは「しかも」と訳されます。

 

<設問>
Q1[L1] People who were presented to himを訳せ。
Q2[L2] and thatを訳せ。
Q3[L2] notはどの語と結びついているか。
Q4[L2] entirelyはどこを修飾するか。
Q5[L2] notから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・presentは、次のような型で用いられる。

  Ⅹ present A to B.(XがAをBに紹介する)

 つまり3項動詞だ。そして、これの受動態は次のようになる。

A is presented to B (by X).((Xによって)AがBに紹介される)

 よって、People who were presented to himの訳は、「彼に紹介された人々」となる。

Q2 しかも

Q3 entirely
・前問で扱ったばかり。述語以外の部分と結びつくnot。
・このnot+entirelyは「部分否定」であり、「100%であるわけではない」という意味になる。部分否定は「COMPLETE」p.355で既習。

Q4 because節

Q5 和訳参照
・部分否定を見抜けて、かつ、tintirelyによる節修飾語を見抜けたうえで、うまく訳せるかが勝負。

 

【15.1.7】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。
・if any→「たとえある[いる]にせよ」

<解答・解説>
和訳参照
・fewの前にはaがない。ということは、このfewは「少し」ではなく「ほとんどない」。

 

【15.1.8】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。
・if anything→「どちらかといえば」「もしあるにしても」

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・purely physical fatigueの部分は、very beautiful girlsと同じ構造。つまり「AがBを修飾し、BがCを修飾する」という構造である。
・in anythingが存在することによって、tend toの連なりが分割されていることに注意。このtend toは「傾向がある」だが(「COMPLETE」p.168参照)、伊藤先生は「多い」という訳語にしている。上手い訳だ。

 

【15.1.9】
<設問>
Q1[L1] my father's loss of fortuneを動詞表現に戻すとどうなるか。
Q2[L1] fortuneを訳せ。
Q3[L2] my fatherとhimselfの関係は(   )である。
Q4[L2] it preyedから文末までを訳せ。
Q5[L2] ownの後ろには何が省略されているか。
・rather A than B→「BよりもむしろA」。

 

<解答・解説>
Q1 My father lost fortune.

Q2 財産
・この文では「運」ではない。

Q3 同格

Q4  訳例1:そのことは、自分自身のためというよりもむしろ私のためになのだが、彼女を悩ませた。
訳例2:そのことは彼女を悩ませた。自分自身のためというよりもむしろ私のためになのだが。
・文末にthough節が挿入されている。though節においては「これだけ書けば意味が通じるだろう」と判断された場合に、かなり自由気ままな省略が起こりやすい。本文でも本来は次のような文だった。【 】が補った部分。

   though 【it preyed upon her mind】 rather for my sake than for her own 【sake】

 省略を補いつつ、意味を取れるかが勝負。

Q5 sake

 

【15.1.10】
<設問>
Q1[L1] however carefullyを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・本来の形はhowever 【you read them】 carefully。
・however節においても、「気ままな省略」が起こりやすい。

 

【15.1.11】
<はじめに>
ifは,「A if B」という形で,「BではあるがA」という意味で用いられることもあります.例を見ましょう。

  This is an interesting, if difficult, problem.
(これは難しくはあるが面白い問題だ)
The man was very handsome, if short.
(その男は,背は低かったが,とてもハンサムだった.)

 これらの表現では,ifが「~ではあるが」「~であるにせよ」という意味で用いられていますが,ifにこのような意味があるということは,「英語の基本」p.239を見ればわかります.

 

<設問>
Q1[L1] 文頭からchangeを訳せ。
Q2[L2] in句はどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・must have causedは過去への推量。
・great if gradualを「徐々にではあるが大きな」と訳せたかが勝負。

Q2 caused

 

【15.1.12】
<設問>
Q1[全文] 文全体の文型は何か。
Q2[L1] novel-readingから文末までを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 第5文型パターン①の受動態

Q2 和訳参照
・A if not Bがある。これを「BではないにせよA」という意味で取れたかが勝負。これについては【14.3.9】の<はじめに> で既習。本文ではAがa waste of timeであり、Bがactually harmfulである。いずれも要素は、S be Ved CのCである。
・このratherは「どちらかといえば」。よって「Bではないにせよ、どちらかといえばA」となる。

 

【15.1.13】
<はじめに>
A if not Bが、「BでないにせよA」の意味である場合は、次の等式が成り立ちます。

  A if not B
=if not B, at any rate A
=if not B, at least A
=if not B, at all events A

 

<設問>
Q1[L1] if notから文末までを訳せ。
Q2[L2] with serenityとwith resignationはどこを修飾するか。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照

Q2 ともにaccept

 

② 節の挿入 - whatとas      

 

【15.2.1】
<設問>
Q1[L1] whatからusまでを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・修飾語としてはたらくwhat節。【15.1.3】の<はじめに>で詳述した。 この例の訳は、「~には」よりも「~だが」のほうがいいだろう。
・weとallは離れているが同格。
・allの前にnotがある。この連なりは「部分否定」。つまり、「100%ではない」という意味。

 

【15.2.2】
<設問>
Q1[L1] whatからallまでを訳せ。

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・このwhatも【15.2.1】と同様のもの。「何より最高なことに」は不自然。伊藤訳のように「何よりいいことに」が適切。

 

【15.2.3】
<設問>
Q1[全体] 文全体の文型は何か。
Q2[全文] 全文を訳せ。
Q3[L1] that節の内側の文型は何か。

 

<解答・解説>
Q1 第3文型
・IがS、hadが丸V、imaginedがVで、that節がO。

Q2 和訳参照
・このwhat節は、これまでのように修飾語として訳すのは処理が難しいが、これらの挿入されたwhat節の性質に対して別の説明を施せば、自然な訳出への糸口が見える。
さて、ここまで、この挿入されたwhat節は「その後ろの部分に対する修飾語」と考えてきた。ところが、このようなwhat節に関しては、「その後ろの部分と同格である」という考え方も可能である。たとえば【15.2.2】では、「what節=rich(何よりもいいこと=金持ち)」と考えるのである。
本文では、この考え方を採用すると、実にうまくいく。つまり文頭からwhat節までを、まずは「私はたいていの平和主義者たちが主張したことを考えていた」と読む。そして、「たいていの平和主義者たちが主張したこと」をより具体的に述べたものが、その後ろのthat節なのである。よって文全体の訳は、「私はたいていの平和主義者たちが主張したことを考えていた。つまり戦争は~」としてよい。
・ただ、what節は挿入であり、「おまけの感じ」があることも事実だ。これを尊重して、あくまでも「I had imagined+that節」の部分を中心に訳出することを考えれば、伊藤訳のようにする。この訳では、what節を文頭に移動させている。

Q3 第3文型の受動態
・このforceは「~を押しつける」という意味で 、X force A on/upon B.(XがAをBに押し付ける)という型で用いられる。この型の文が受動態になったものがthat節の内側に存在する文である。

 

【15.2.4】
<はじめに>
・本文の上の7行で書かれていることは、要するに以下のこと。この結論を知ればよい。

  「~なことだが」「~なことに」という意味で用いられる挿入のwhat節においては 、whatではなくwhichが用いられることがある。

 

<設問>
Q1[L1] nationに対する述語はどれか。
Q2[L2] orは何と何を結ぶか。中心となる1語どうしを答えよ。 
Q3[L2] whichからthingまでを訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 (will) be

Q2 economizesとspends
・冒頭のnationに対して関係代名詞のwhich節が修飾している。この節中においては、orによってeconomizesとspendsが結ばれており述語が2つある。

Q3 和訳参照
・whichはwhatと同じ役割を果たしている。

 

【15.2.5】
<はじめに>
as節には、文修飾語としてはたらくものがあります。これは、次のような特徴を持ちます。

  ・as自体は,SやOとしてはたらく[as節の内側は,SやOが欠けている]
・asは主節を受ける[「as=主節」である].
・as節は文修飾語[主節修飾語]としてはたらく.
・asの訳は「が,ように」.

 具体例に進みましょう.次の二文を見てください.

A Tom loved Yumi as I knew from his attitude.
B As is usual with him, he missed the last train. 
※with:~に関して  

 Aの文では,as節の中のknewのOが欠けています.asがこのOとしてはたらきます.asは主節のHe loved Yumiを受けます.よって,私が彼の態度からわかっていたことは,「トムがユミを好きだ」ということなのです.
そしてこのas節全体は,主節を修飾します.つまり主節に対して,「私には,トムがユミを好きだということは,トムの態度からわかっていことなのですよ」と説明を加えているのです.文全体の訳は「私には,トムがユミを好きだということは,トムの態度からわかっていたが,トムはユミを好きだった」となりますが,これでは冗長なので,重複部分を切って「私には,トムの態度からわかっていたが,トムはユミを好きだった」とします.
Bの文では,as節の中のSが欠けています.asがSとしてはたらきます. asは後方にある主節のhe missed the last trainを受けます.よって,is usual with him(彼に関してよくあること)の主体は,「終電に乗り遅れた」ということなのです. そして,このas節全体が,主節を修飾します.主節全体に対して,「このことは,彼にはよくあることなのだけどね」と説明を加えているのです.文全体の訳は,「彼が終電に乗り遅れるということは,彼にはよくあることだが,彼は終電
に乗り遅れた」となりますが,重複部分をカットして,「彼にはよくあることだが,彼は終電に乗り遅れた」とします.

 

<設問>
Q1[L1] as自体の要素とas節の要素を答えよ。
Q2[L1] asは何を受けるか。

 

<解答・解説>
Q1 as自体:S   as節:文修飾語
・伊藤先生はas was ufual with himを「いつものように」と訳していますがが「いつものことだが」でも構いません。

Q2 主節

 

【15.2.6】
<設問>
Q1[L1] The pictureを訳せ。
Q2[L1] as自体の要素とas節の要素を答えよ。
Q3[L1] asは何を受けるか。

 

<解答・解説>
Q1 絵(は)
・「その絵は」ではない。話の内容からtheは総称のtheだと判断しなくてはならない。伊藤先生の訳は意訳。

Q2 as自体:O2   as節:文修飾語

Q3 主節(The picture+was以下)
・asは主節を受けるので文内容。そしてusの後ろにofがない。よって、as節のremindは、remind A of Bではなく、remind A that節という、第4文型で用いられるremindだと判断できる。asはthat節に相当する。remindはこの2つの語法をいずれもおさえること。
・なお、【15.2.5】の<はじめに>と本文で扱ったasは、それ自体がSまたはOとしてはたらくものであったが、O2であるものはなかった。その意味で、この【15.2.6】は「既習の事項の未習のパターン」だといえる。
類例を1つ挙げよう。

  Bob is, as Meg told me, the richest man in this town.
(メグが私に教えてくれたのだが、ボブがこの町で一番の金持ちだ)

 asはカンマの両端にある主節を受ける。そして、節の中で、toldのO2としてはたらく。

 

※先に【15.2.11】を扱う。
【15.2.11】
<はじめに>
soには、ここで扱っている文修飾語の節を形成するasと同様の機能があります。

 

<設問>
Q1[L1] so自体の要素とso節の要素を答えよ。
Q2[L1] soは何を受けるか。

 

<解答・解説>
Q1 so自体:S   so節:文修飾語
・so節の内側は、it is saidの後ろに、真主語のthat節が欠けている。soは主節を受けるので文内容。soがこの真主語のthat節に相当するものだと判断できる。前問と同じ。

Q2 主節(The bee and the wasp will+never以下)
・なお、the bee,the waspのthe、ともに総称のthe。

 

【15.2.7】
この15.2.7は、「設問→解答・解説」という手段ではなく、文の成り立ちを解説することにより攻略します。まずは次の文を見てください。

What the poetic imagination says may be either true or false, and there is no means for demonstrating that it is the one or the other.

  文末付近にあるitはwhat the poetic imagination sayを受けます。oneはtrueを受け、the otherはfalseを受けます。よってこの文の訳は次のようになります。

詩的な想像力が言うことは正しいかもしれないし、間違っているかもしれない。そして、それが正しいか否かを証明する方法はない。

さて、この文に対して、「科学の世界においては、科学的な想像力が言うことがが正しいか否かを証明する方法はある」という内容を加えたいとします。どうすればいいでしょうか。最も単純な方法は次のようにします。

[A]
What the poetic imagination says may be either true or false, and there is no means for demonstrating that it is the one or the other 【and/but there is in science a means for demonstrating what the scientific imagination says is true or false】.

文末に【】を加えるのです。ただ、【】の内容は、a means以下を切っても意味が通じます。切りましょう。次のようになります。

[B]
What the poetic imagination says may be either true or false, and there is no means for demonstrating that it is the one or the other 【and/but there is in science】.

さて、ここで、【】の内容を、【】より前の部分のどこかに挿入することを考えます。このような場合、and/butを切ったうえで、両端にカンマを置くことによりそのまま挿入するわけにはいきません。「挿入の目印」であるasを先頭に置くのが原則なのです。その結果生まれたのが15.2.7です(これを[C]とします)。
さて、[A][B][C]のうち、最も理解しやすいのは[A]です。これはいわば、そのまま読めばいい文だからです。[B]は省略が起こっているという点で[A]よりも難しいのですが、前半で述べられている内容が省略されているので、まだ易しいといえます。[C]は極めて難しい文です。「省略+挿入」であり、この位置に挿入された結果、まだ述べていない内容が省略されていることに耐えながら読まなければいけないのです。[C]の文を読んでいる際にthere is in sicenceを見た時点で、isの後ろにa meansが省略されているということは理解できます。既にmeansという語が出ているからです。ところがmeansを修飾するfor以下はまだ出てきていないので、何のための手段かわからないままこの挿入部分を読み、その後ろを読んで初めて「正しいかどうかを証明するための方法」とわかります。挿入された結果、「共通部分の前半の省略」という現象が起こることになり、「わからないまま読み進める」という試練に耐えなくてはならないのです。
さて、【15.2.8】【15.2.10】も同じ構造の文です。この【15.2.7】に対する演習として利用しましょう。

 

【15.2.8】

<設問>
Q1[L1]canの後ろに省略されている語を補え。

 

<解答・解説>
Q1  give us a special opportunity for sharpening our perceptions
・この15.2.8は、次のように書かれていれば最も読みやすい。

The observation of nature gives us a special opportunity for sharpening our perceptions, and/but nothing else can gives us a special opportunity for sharpening our perceptions.

後半の共通部分を切ると次のようになる。

The observation of nature gives us a special opportunity for sharpening our perceptions, and/but nothing else can.

そしてand/butを切ったうえで、nothing else canの前にasを置き、これを挿入形式にしたのが本文なのである。

 

【15.2.9】より先に【15.2.10】を扱います。

【15.2.10】
<設問>
Q1[L1]beの後ろに省略されている語を補え。
Q2[L1]省略された語を補ったas節の文型を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1  careful not to allow himself to be burdened by the weight of material things.

Q2 第5文型パターン①
・「第5文型パターン①で、Vがknowであり、OとCの間にto beが置かれている」という例は「英語の基本」のp.208で既習。本文では、Oがany other manで、Cがcareful。not to allow以下は、carefulを修飾するto不定詞句。OCの部分から生まれる文は次の通り。<>は補ったbe動詞。

Any other man <was> careful not to allow himself to be burdened by the weight of material things.

  be careful to Vは「Vするよう注意する」。be able toと同じ「be動詞+形容詞+to」でとらえてよいパターン。
この15.2.10の第1文は、次のように書かれた場合に、最も読みやすくなる。

He was careful not to allow himself to be burdened by the weight of material things and I have hardly known any other man to be careful not to allow himself to be burdened by the weight of material things.

これではたどたどしいので、後半の重複部分をカットすると次のようになる。

 

He was careful not to allow himself to be burdened by the weight of material things and I have hardly known any other man to be.

そしてandを消し、それ以下を「asの加わった挿入形式」にして前方に置いたのが15.2.10である。

 

【15.2.9】
<はじめに>
この【15.2.9】の文中にもasがありますが、これはCOMPLETEのp.160で扱った通常の副詞節のas節です。これをふまえたうえで設問に挑んでください。

 

<設問>
Q1[全文]全文を訳せ。。

 

<解答・解説>
Q1  和訳参照
・このas節は、【15.2.7】【15.2.8】【15.2.10】とは異なり、COMPLETEのp.160で扱った通常の副詞節のas節として処理できる。
主節がthis is your aimであり、これに対する従属節がas it should beyour aimである(itはthisを受ける)。your aimは共通なので、本文ではbeの後ろで省略されている。asの訳は「が」がいいだろう。そして、この「主節+従属節」全体をifが覆っている。するとifからbeまでの直訳は「これが君の目標であるべきであるが(as節の訳)、これが君の目標であるの(主節の訳)なら(ifの訳)」となる。もちろんこのままでは不自然なので、伊藤先生の訳のように工夫する。
・L2のifは「もし~なら」ではなく「もし~でも」「たとえ~でも」の意味で解釈できるかが勝負。COMPLETEのp.134のL2で既習。

 

③ S+Vの挿入

 

【15.3.1】
<設問>
Q1[全体] 文全体を挿入されていない形に戻すとどうなるか。なお、その際には1語を補うこと。
Q2[L1] somewhatはどこを修飾するか。
Q3[L1] above句はどこを修飾するか。
Q4[L2] ofは主格か目的格か同格か。
・L1のpoint→「問題」「事柄」。

 

<解答・解説>
Q1  It appears that this is a point somewhat above the understanding of the police officer.
・補ったのはthat。本文は「主節の挿入」がある文。主節挿入は「COMPLETE」p.322参照。
・it appears that SVは「SVのようだ」。

Q2 above句
・above句はpointを修飾するので、a point above ~ は、「~を越えた問題」という訳となる。
・somewhatは「いくぶん」「ある程度」という意味だが、伊藤先生のようにaboveを修飾していると考えるよりも、above句全体を修飾していると考えたほうがいい。本講座では「前置詞単独に対する修飾語」は、採用しないということは【11.3.5】のQ2の解説部分で述べた。

Q3 point

Q4 主格
・警察官「が」理解するのである。

 

【15.3.2】
<設問>
Q1[全体] 文全体を挿入されていない形に戻すとどうなるか。なお、その際には1語を補え(長いので、全文を書かなくてよい)。また、戻した文全体の文型は何か。なおconvincedは形容詞として扱う。 
Q2[L2] for parentsの要素を答えよ。

 

<解答・解説>
Q1 I am convinced that it is the right attitude ~.
第2文型
・補ったのはthat。
・戻した文は、「SVC+形容詞修飾語としてはたらくthat節」という構造。「形容詞修飾語としてはたらくthat節」は≪従位接続詞の一覧表≫のD-0。
・本文も「主節の挿入」。

Q2 意味上の主語

 

【15.3.3】
<設問>
Q1[全体] 文全体を挿入されていない形に戻すとどうなるか。なお、その際には2語を補え。その2語は同じ語である。

 

<解答・解説>
Q1 I think that you will agree with me that this would be fair.
・補ったのは2つのthat。
・この文は、ここまでの2例よりも、一段階だけ複雑になっている。解答の通り、元の文は「主節(I think)+従属節(that you will agree)+従属節(that this would be unfair)」という構造。従属節の中に再び従属節があるという構造なのだ(「英語の基本」p.303参照)。このうちの2番目の従属節が表舞台に出て、それ以前の「主節+従属節」が挿入された形になっている。  

 

【15.3.4】
<設問>
Q1[全体] 文全体を挿入されていない形に戻すとどうなるか。なお、その際には1語を補え(長いので、解答を書くのはnotまででよい)。
Q2 in this or that kind of patternの要素を答えよ。
・Ⅹ consist in Y.→「X(の本質)はYにある」

 

<解答・解説>
Q1 It is important to realize that science does not ….
・この文は形式主語-真主語の構文。そして、真主語であるtoV句の中の動詞のOであるthat節が表面に出ている。

Q2 あれやこれやのパターンで
・日本語では「彼はいつもあれを食べたい、これを食べたいなどと、食べ物の話ばかりしている」というように、「あれ」と「これ」をペアで使うことがあるが、英語のthatとthisにも同様の用法がある。ただ、「あれこれ」ではなく、「これあれ」の順序で用いる。つまり、this,thatの順序に出すのだ。これについては、解説のcf.のところに文の例がある。よって、Q1で示した文の、science以下の直訳は次のようになる。

  科学というものの本質は、我々が明瞭に知っていることを集め、それをあれやこれやのパターンに配列することではない。

 この訳で問題はないが、伊藤先生はin this or that kind of patternを「思いつきの方針に従って配列する」と訳している。

 

【15.3.5】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・she believedを主節挿入だという考え、she believedを文頭に移動させて書き換えて見る。すると、次のような文となる。

  She believed that she sometimes read novels, but mainly those which would suggest to her some idea.

 これは意味不明だ。「彼女は自分が小説を読むと信じていた」というような内容はおかしい。
・では、どう考えるか。She believedが戻る位置をwhich節の先頭だと考えるのである。挿入されている主節のSVは、従位接続詞が形成するワク形容詞(つまりwhich節のワク)を飛び越えて機能することはできないのである。
これについては、those以下を①、②の関係に戻すとわかりやすくなるので戻す。

  ① those
② Those would, she believed, suggest to her some idea.

  she believedは、あくまでもこの②の文における主節挿入なのである。すると②の文は、次のように書き換えることができる。

②´ She believed that those would suggest to her some idea.
(彼女は小説が彼女に何らかのアイディアを与えてくれると信じていた)

  この②´を①に対する修飾とすると、次のようになる(thatは省略する)

  those which/that she believed suggest to her some idea
(彼女が、自分に何らかのアイディアを与えてくれると信じていた小説)

 本文のthose以下は、このように書かれていれば読み易いのだが、she believedが挿入の形になっているので読みにくくなっている。
・butの後ろにはthey wereを補うと理解しやすくなる。

 

【15.3.6】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・挿入部分を除いた、本文の構造は次の通りである。

  My father had a bad heart, <the result of playing football>
※<>は前文全体と同格

・「文全体と、それを受ける語の同格」は、「COMPLETE」p.339で既習。
・本文は、同格部分に対して、「子供の頃に聞いた話では、これはフットボールの結果だ」という情報を加えている。よって、挿入部分を文に埋め込んで表現すれば、次のようになる。

  My father had a bad heart. I was told that it was the result of playing football.

 itは前文を指す。
・本文の挿入部分は、上のようにthatを補って書き換えられるという点では、主節挿入だといえるが、書き換えるためには、いったん文を切った方が自然になるし、また、it wasも補わなければならない。このような面倒な書き換えが必要なものが挿入されていることもある。挿入部分の無法地帯ぶりが、この文からよくわかる。

 

【15.3.7】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・この文の大きな流れは、挿入部分を除いた以下である。

  It is difficult for anyone to recall his boyhood exactly.

 そして、difficultの後ろに、「私が聞いたところでは不可能らしいけど」という一種の註を加えている。この挿入部分は、「主節である」「従属節である」というようなことや、別の表現への書き換えを考えることなく、この部分の意味を取るだけでよい。このような、いわば「文法関係を考えない表現」となっているところから、挿入部分の無法地帯ぶりが伺える。

 

【15.3.8】
<設問>
Q1[L1] The childを訳せ。
Q2[L1] aloneはどこを修飾するか。
Q3[L1] 第2文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 子供(は)
・theは総称のthe。

Q2 parents
・副詞による名詞修飾。しかも後ろから。このaloneは「英語の基本」p.84で既習。

Q3 和訳参照
・この文は大きな流れが、挿入部分を除いた以下である。

   It is brought at birth into a vast school.

 そして、vastの後ろに、「無限といえるだろう」という一種の註を加えている。これもwe may sayを主節として書き換えることを考えるとむしろ難しくなるので、文法関係は考えず、そのまま意味のみを取ったほうがよい。
・なお、vastはschoolを修飾し、infantもschoolを修飾する。これを抽象的な図にすると次のようになる。

  Ⅹ(Zを修飾),  … Y(Zを修飾), Z

挿入部分の直前の語が、挿入部分を飛び越えて、挿入部分の直後の名詞を修飾し、挿入部分の最後の語も、挿入部分の直後の名詞を修飾するという構造である。

 

   
【15.3.9】
<設問>
Q1[L1] thisは何を受けるか。
Q2[L3] itは何を受けるか。
Q3[L3] thatの先行詞は何か。1語で答えよ。
Q4[L2] haveから文末までを訳せ。
・この文のpracticallyはalmostの意味。

 

<解答・解説>
Q1 The people who are not accustomed to teaching
・文全体のおおまかな構造は、「S+修飾語 - SVO - VO修飾語」。挿入されている部分はSVOという完全な構造なので、主節挿入の例のように、「これを文頭に持っていき、残りの部分がthat節内側に入る」という考え方は不可能。この挿入部分は、補足的に内容を追加しているだけで、単に意味を取りさえすればよい部分だといえる。
・andは挿入の目印。

Q2 teaching

Q3 expense
・広くthe expense of spirit全体だと考えることも可能。

Q4 what
・have no idea of ~は「~がわからない」。よってこの部分の訳は、「教育が含む、精神の出費がわからない」となるが、これでは意味が不明なので、「教育に含まれる、精神の犠牲がわからない」→「教育をするためには、どれほど精神の犠牲が必要なのかわからない」とする。伊藤訳ではさらに工夫している。
・なお、have no idea of ~は、~の部分が、wh節か「wh語+toV句」であることが多い。そして、この場合はofが頻繁に省略される。

 

【15.3.9 参考】
<設問>
Q1[L1] thisは何を指すか。

 

<解答・解説>
Q1 the economy of Europe was becoming capitalistic
・thisは前方ではなく、後方のものを受けることもある。
・なお、この例は、挿入されている部分が「SVC」。そして挿入部分とそれ以外の部分は「主節-従属節の関係」にはない。やはり単に挿入部分の意味だけを取ればよい。

【15.3.10】
<設問>
Q1[全文] 全文を訳せ。

 

<解答・解説>
Q1 和訳参照
・この文は「もっと教育を受けたい人は」と言い、述語部分を言おうかと思いきや、思い出したかのように、「あ、ちなみにそういう人はいっぱいいますけどね」と付け足して述べ、その後に述語を述べる、という流れの文。やはり挿入部分とそれ以外の部分は「主節-従属節」という関係にはない。andは「挿入の目印」。
挿入部分で省略されているもの補うと、次のようになる。

  and there are many 【wishing to take further education】

・この文のmanyは名詞で「多くの人」という意味。
・なお、a choice of excellent universitiesのofは、「~という」と訳せる「同格のof」。よって、there is以下は、「すばらしい大学という選択肢がある」という訳になる。伊藤先生の訳は、ここからかなり発展させたものになっている。

 

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